あこがれのインターネット常時接続環境への道 (2)
(以前の記事の目次はこちら)

 

[2005/11/26] NTTから400kbpsの贈りもの

 このしばらくはリンク速度を監視してなかったが、ダウンロードが速くなったような気がするので、確認したところ、下り速度が3528kbpsで以前の3087kbpsから441kbps増加している。また、BNRスピードテストで実際のダウンロード速度を計測したところ、約2,960kbpsでやはり以前の約2,564kbpsから約396kbps増加している。


BNRスピードテストで計測した下り速度(約2960kbps) 以前のデータはこちら

 不思議なことがあるものだ。以前に詳しく計測したのは50Mbpsタイプに速度変更した昨年の12月だったが、その後、ファームウェアを「1.04」から「1.05」→「1.06」とアップデートたので、その都度、確認程度の測定をしていたが、誤差レベルで基本的な速度に変わりがなかった。また、この間で、モジュラージャック以降の屋内配線もまったく弄っていない。しかるに、今回の速度アップについては、NTT局舎より我が家の引っ込み口までの、回線品質が向上したのが要因と思われる。

 回線品質のチェックには、「DR utility」によるビットマップの取得が便利だ(詳細はこちら)。
 下図は、速度アップした現在のビットマップであるが、以前のビットマップのNEXT(近端漏話)と比較すれば一目瞭然で、ISDNの影響により削られた窪みが小さくなったのと、新しく高周波数帯域にビットマップが存在するのが読み取れる。


DR utilityを使って取得した速度アップ後のビットマップ(50Mbpsタイプ)

 更に下図では、速度アップ後のNEXT(近端漏話)のビットアップに、以前のビットマップにおけるピークのトレース(黒の実線)を重ねたが、明らかに青の部分が増加しており、これら増加分が約400kbpsの速度アップに相当することが分かる。

 これらの結果をまとめると、今回の速度アップは、ISDNのノイズに起因する影響が少なくなったことによる、回線品質の向上が要因で、おそらく、近隣の家でISDNの利用を止めたのであろう。
 これからのインターネット環境は、ISDNやADSLから、FTTHやケーブルテレビジョンのインターネットサービスに乗り換えるケースも多いと思われる。(今更、ISDNからADSLへのケースは少ない)
 その結果、ADSLにおけるISDNの影響が少なくなるとともに、すでに補強された膨大なADSLのバックボーンは空いてくるので、快適なADSL環境が訪れるのではなかろうかと期待している。


[2005/08/21] キャンペーンの裏を感じ、FTTH化はご破算に!

 直前の記事で紹介した「真夏の@nifty光 with フレッツキャンペーン」であるが、なんと響きのよいキャッチコピーであろうか。ADSLからFTTHへの乗り換え作戦も最終段階に入り、そろそろコース変更を申し込もうと キャンペーンページにアクセスしたとき、キャンペーンの背景にある新たな新事実に遭遇した。

 NTT西日本が提供するFTTHには、「フレッツ・光プレミア ム」「Bフレッツ」のサービスがあり(NTT東日本は 「Bフレッツ」しかない)、一戸建て住宅を対象とするホームタイプには、それぞれ「ファミリータイプ」と「ファミリー100」のメニューが用意されている。ところが、筆者宅の京都府八幡市では、まだ 「フレッツ・光プレミアム」は開通しておらず、現時点で申し込めるのは「Bフレッツ」のみであった。

 「フレッツ・光プレミアム」と「Bフレッツ」のホームタイプは、NTT西日本では同料金で運営されており、@niftyのキャンペーンでも同様に取り扱われているが、 通信方式としては、「フレッツ・光プレミアム」はGE-PON方式で、対する「Bフレッツ」はB-PON方式で、スペックなどはまったく異なるサービスである。

 下表は、GE-PON方式を使った「フレッツ・光プレミアム」のホームタイプである「ファミリータイプ」と、B-PON方式を使った「Bフレッツ」のホームタイプの「ファミリー100」と「ビジネスタイプ」のスペックをまとめたもの だ。以下、表を使って両者の差を解説する。(なぜか「フレッツ・光プレミアム」には「ビジネスタイプ」がない)

サービス名
(NTT西日本)
通信方式 サービスメニュー 共用部の帯域
(下り/上り)
最大通信速度
(下り/上り)
基本
セッション数
接続台数
フレッツ・光プレミアム GE-PON ファミリータイプ 1/1Gbps 100/100Mbps 5
Bフレッツ B-PON ファミリー100 (622/155Mbps) 100/100Mbps 2 5台
ビジネスタイプ 4 50台

 PON (Passive Optical Network)とは、光ファイバー網の途中に分岐装置を挿入して、一本のファイバーを複数の加入者宅に引き込む技術の総称であり、伝送方式などによってB-PONやGE-PONなどが存在する。
 まず、B-PON (Broadband PON)であるが、「Bフレッツ」で使われてる方式で、光ファイバ部分の伝送技術としてはATM (Asyncronous Transfer Mode)が使われており、1本の回線を複数の論理回線(チャネル)に分割し、同時に通信を行なう多重化方式の一つだ。「Bフレッツ」では、共用部の帯域(下り/上り)を622/155Mbpsとして 、最大32ユーザーで分割共有し、終端は100MBの制限が設けられている。
 次に、GE-PON (Gigabit Ethernet PON)であるが、B-PONの改良版として「フレッツ・光プレミアム」で使われる方式で、光ファイバ部分の伝送技術としては、従来LANで使われてきた技術であるGigabit Ethernetを応用し、Ethernetのフレームをそのまま送受信する。その結果、B-PONのようにATMに変換しないことから、変換にかかるオーバーヘッドなどがなくな り、双方向1Gbpsのサービスが可能となった。「フレッツ・光プレミアム」では、共用部の帯域(上り/下り)は共に1Gbpsで、B-PONと同じく、最大32ユーザーで分割共有 すると共に、終端はやはり100MBの制限が設けられている。

 すなわち、「フレッツ・光プレミアム」と「Bフレッツ」(GE-PONとB-PON)の方式としての特徴は、最大32ユーザーで分割共有すると共に終端は100MBの制限が設けられている点は同じだが、共用部の帯域が(特に上りについて)GE-PONが勝る点が異なるだけだ。
 しかし、実際のサービスとしての機能は大きく異なり、基本セッション数(インターネットへの同時接続数)が「フレッツ・光プレミアム」の「ファミリータイプ」が「5」に対し、「Bフレッツ」の「ファミリー100」は「2」になっている。(「Bフレッツ」の「ビジネスタイプ」は「4」であるが、これこそが契約料で約10倍も高い理由)
 なお、接続台数(台数制限)については、NTTで監視できるすべがないために、一応約款で定められているものの、有名無実なものになっている。(参考文献

 このように、「フレッツ・光プレミアム」には「Bフレッツ」にない大きな値打ちが存在するが、筆者宅をはじめとして「フレッツ・光プレミアム」が開通している地域は少なく、現実には都心部の一部に限られている。
 おそらく、「フレッツ・光プレミアム」回線が開通次第、順次自動的に「Bフレッツ」が「フレッツ・光プレミアム」に切り替わると思われるが、キャンペーンの背景に「これから切り替わることを前提とした過渡的措置」があると感じ、二の足を踏んで思いとどまることにした。


[2005/07/16] 時機到来、FTTH乗り換えの詳細検討に着手!

 総務省が7月8日公表の報道資料「ブロードバンド契約者数の推移」によると、2004年12月末〜2005年3月末の3ヶ月間における純増数は、FTTHが約42万契約、DSLが約35万契約となり、3ヶ月間の純増数としては初めてFTTHがDSLを上回り、ブロードバンドの通信インフラは、ADSLに変わってFTTHの時代に突入したとみてよいだろう。
 事実、このところのプロパイダのFTTHへの誘導作戦は激しく、その背景には、NTT東西日本が起死回生の命運を賭け、プロパイダを巻き込んでの囲い込み合戦が激しく繰り広げられている。

 それらのことから、プロパイダではFTTH乗り換えキャンペーンが行われているところが多く、筆者が使っている@niftyにおいても格安の真夏のキャンペーンが実施されている。
 筆者の居住区は京都になるが、特に関西地区においては格安のFTTHプロパイダのケイ・オプティコムが存在する競争上、NTT西日本はエリア限定の格安の料金が設定されている。

 ここで紹介するキャンペーンは、@niftyがNTT西日本と提携して行われている「真夏の@nifty光 with フレッツキャンペーン」であるが、初期費用が無料で開通から18ヶ月までは月額費用が\2,000の割引に加え、愛知県、静岡県、大阪府、京都府、兵庫県、広島県、福岡県の居住区については、開通から最大3ヶ月間は月額費用を無料にするというものだ。

 詳細については、下記に現在加入している@nifty ADSLスタンダードコース(50Mbps)との料金比較をまとめているが、導入(加入または変更)経過月でシミュレートした結果(右図)、累積総経費は24ヶ月までは、ADSLよりFTTHが安くなるという計算になった。

 問題は、24ヶ月以下の解約については手数料や違約金が発生することと、19ヶ月以降については割引がなくなることだ。したがって、転勤などで居住区が変わる可能性がある場合は注意が必要であるが、割引がなくなることについては、その時点ではFTTHの料金が下がっている可能性も大いにあると思われるので、筆者は楽観視している。

 むしろそれよりも、3Mbpsのリンク速度しか出ないADSL環境が、経費が大きく変わらずに1桁上のリンク速度が得られる点に大きな魅力を感じている。また、@niftyのサービス体系ではFTTH契約によって、ホームページ容量がADSL契約の20MBから一挙に100MBになることも魅力的だ。
 なお、FTTHで提供される機器は回線終端装置だけで、ADSLモデムのようにルーター付でないので、複数台のパソコンでアクセスする場合には別途ルーターが必要になるが、ここしばらくの間にルーターも安くなってきており、スループットが100Mbps近くあるものでも5千円程度からあるので、おおきな出費にはならない。

 そんなことで、FTTHへの乗り換えの詳細検討に着手した。

@nifty FTTHとADSLの料金比較表(消費税別)
費用 (消費税を除く) 真夏の@nifty光 with フレッツ
(ホームタイプ)キャンペーン
NTT西日本(エリア限定)
@nifty ADSLニュースタン ダード
コース(50Mbps)
月額費用 @nifty月額料金 最大3ヶ月 \0
4ヶ月目〜18ヶ月目 \3,070
19ヶ月目以降 \5,070
\2,880
(ADSL利用料含む)
機器使用料等 最大3ヶ月 \0
4ヶ月目〜 \1,100
\780
NTT回線使用料 \113
ファミリープラン +4人分を月額料金に含む
(料金にすると\1,000)
\500
(+2人分)

合計

〜3ヶ月 \0
4ヶ月目〜18ヶ月目 \4,170
19ヶ月目以降 \6,170
\4,273
初期費用 NTT工事費+NTT契約料  \0
(\27,900が無料)

(設置済)

その他 キャンペーン条件

2005年7月1日 〜2005年8月31日の間に入会またはコース変更の申し込みを行い、2006年8月31日までに開通した、愛知県、静岡県、大阪府、京都府、兵庫県、広島県、福岡県に居住のNTT西日本エリア限定

 
※注意事項
キャンペーンは2年間の接続利用を前提とした料金なので、それ以前に解約した場合は、右記の解約手数料や違約金が必要
 

@12ヶ月以内に解約の場合
 初期費用 \27,900
 解約手数料 \3,000
 解除手数料 \5,000
 フレッツ・あっと割引違約金\5,000
  合計 \40,900
A12ヶ月〜24ヶ月で解約の場合
 解除手数料 \5,000
 フレッツ・あっと割引違約金\2,500
  合計 \7,500

 
ホームページ容量 100MB
(料金にすると月額\3,200相当)
20MB
(\0)
メールボックス容量 100MB
(料金にすると月額\3,200相当)
20MB
(\0)
年間費用 初年度(初期費用+月額費用×12) \37,530
(\0×3+\4,170×9)
\51,276
2年目(月額費用×12) \62,040
(\4,170×6+\6,170×6)
\51,276
3年目以降(月額費用×12) \74,040 \51,276

[2004/12/19] ADSL 50Mbpsタイプに速度変更が完了

 50Mbpsタイプが開通予定の前日の15日、対応モデムのNECアクセステクニカ製のAterm WD701CV(C)が宅急便にて届く(モデル名末尾の(C)は、IP電話事業者がNTTコミュニケーションズ仕様)。WD701CVは、下りが最大50Mbps(47/40/26/24/12/10/8/1.5Mbps)、上りが最大5Mbps、3Mbps、1Mbpsに対応、IP電話機能やスプリッタを内蔵し、オプションで無線LANも可能な最新のADSLモデムで、12Mbpsタイプで使っていたDR202Cに対して、背が4センチほど高くなっている。なお、ファームウェアは、入手時点では1.03(2004/12/03)であったが、現時点での最新は、1.04(2004/12/17)がリリースされている。

 ところで、便利なように見えるが、私には不便なスプリッタを内蔵するWD701CVである。

 右の図は、我が家のADSLとパソコンの接続状態を示しているが、下記の理由から、ADSLモデムとスプリッタは、物理的に離れていることが必須となる。

  1. メインPCから見える位置にADSLモデムを設置したい。
  2. 1階のモジュラージャック(MJ)の近くにADSLモデムを設置する適当な場所がない。
  3. アナログモデム時代に敷設したモジュラーケーブルを有効活用したい。

 このような接続方法を取ると、IP電話は使えなくなるが、我が家では導入した場合のコストメリットが僅少なので、もとより使う予定がない。(IP電話で緊急電話がかけられて、基本料金が不要になっても、電話線で給電されるため、停電時でも使える固定電話を手放せないと考えている。)

 さて、スプリッタであるが、現在のものはレンタル品なので、DR202Cと一緒に返却しなければならない。そこで、Webサイトで探したところ、Aterm WD700シリーズのADSLモデム純正?のものが販売されていたので、これを準備しておいた(送料・消費税込みで\2,310)。製造元はNECトーキンで、ADSL POTS Splitter PSR-1330という製品だ。

 ADSLモデムに接続する際の注意点としては、電話回線はすでにスプリッタを通ってADSL回線になっているので、 モデムの「電話回線」に接続すると更にモデム内蔵のスプリッタを通ることになるので、モデム背面上部のフタを開き「ADSL回線」に接続し、フタ内部のスイッチを「2」に切り替えるのが正しい使い方だ(詳しい画像入りの説明はこちら)。

  転送速度[kbps]
(BNRスピードテスト)
リンク速度 [kbps]
(モデムの回線速度)
下り 上り 下り 上り
予測・期待値
(50Mbpsタイプ)
3200 4000
速度変更後
(50Mbpsタイプ)
2564 595 3087 896
速度変更前
(12Mbpsタイプ)
1965 580 2464 832
変更による
速度向上
599
(130%)
15
(103%)
623
(125%)
64
(108%)
予測・期待値に
対する達成度
49% 41%

 前置きが長くなったが、お待ちかねの転送速度がどのようななったかに移ろう。予定通り16日に12Mbpsから50Mbpsタイプに切り替わり、最初は局側での「チューニング」が行われていた模様で、低い方から少しずつ高くなり、今朝頃でほぼ完了したようだ。

 BNRスピードテストの生データを下記に掲載し、速度変更による予測・期待値、変更後の実際の速度、達成度などについて、右の表にまとめた。
 予測・期待値に対する達成度は、50%以下という惨憺たる結果となったが、少ないものの確実に転送速度は向上した。その結果、動画コンテンツの高解像度版の視聴で壁になる2Mbpsを、余裕を持って確保できるようになったのは、大きな成果であった。


BNRスピードテストで計測した50MBタイプの下り速度(約2564kbps)


上と同条件の上り速度(約595kbps)

 では、予測・期待を翻した要因について、50Mbpsタイプのビットマップから考察してみよう。こちらの12Mbpsタイプのビットマップと比較すると微妙な違いがよく分かるが、少ないものの転送速度が向上した要因は、FEXTの高域とNEXTの山の右側裾野あたりが伸びているあたりだ。そして、相変わらず転送速度を制限する元凶となっているのはISDNの影響で、50Mbpsタイプにしても、このようなまったく改善することができない要因があったことが、予測・期待を翻す結果となったと考えられる。


DR utilityを使って取得した筆者のWD701CVのビットマップ(50Mbpsタイプ)

 何はともあれ、上級への速度変更で反対に転送速度が落ちた例も聞くが、予測・期待値から大きく外れたものの、動画コンテンツの高解像度版の視聴が可能になったことで、当面は凌ぎながらじっくりとFTTH化へ移行できる環境となったことは嬉しいことだ(それもタダで)。
 それと楽しみなことは、突如としてISDNの影響が皆無となる可能性があることだ。そういえば、自治会の集まりの時、「うちはまだISDNだ!」と言われてた方がいらっしゃたような記憶がある。今後は、ISDNの廃絶とADSLならびにFTTHへの普及促進活動に努めるつもりだ。(笑)


[2004/12/18] 己を知る、DR utilityでビットマップ取得

 直前の「ADSL 50Mbps時の転送速度の予測」の記事中で、「現在は12Mbpsタイプで回線速度が2.5Mbpsなので、50Mbpsタイプに変更すると回線速度は4Mbpsが期待できる」と述べたが、「 公称速度に対して回線速度がなぜそんなに落ちるのか?」という素朴な疑問について、解説しておこう。

 要は、伝送される信号が、ノイズの影響や減衰でもって、制限されるからだ。

 ADSLの信号伝送では、利用する帯域を複数のサブキャリアに分割し、各キャリアで最大15bitのデータを伝送する仕掛けになっていて、モデムの「トレーニング」という動作で各キャリアのbit数が決定し、これにもとづいて送受信が行われる。なお、各キャリアでのbit数を表したものをビットマップと呼ぶ (キャリアチャートとも呼ばれる)。すなわち、ビットマップとは、ノイズの影響や減衰によって信号伝送に使用するとエラーなる領域をカットしたもので、矩形が理想であるが、現実には通常、 両肩が丸められ、帯域が高くなるにしたがって、なだらかに落ちる山形になる。(下図を参照。左の小さな幅の山が上り、その右の大きな幅の山が下りのビットマップ)

 なお、ビットマップにはFEXTとNEXTが存在し、FEXT(Far End CrossTalk)は遠端漏話と呼び局側を指し、NEXT(Near End CrossTalk)は近端漏話と呼び自宅側を指す。例えば、ビットマップに大きな影響を与えるISDNで考えると、近隣の家が導入するISDNによって干渉を受けた場合は、NEXTのビットマップは影響を受けて削られるが、局側に至るとISDNの減衰などもあり、FEXTのビットマップは影響を受けない。
 実際に日本のISDNでは、2.5msの間に上りと下りを交互に伝送するピンポン伝送方式を採用しているので、FEXTとNEXTが1.25msごとに切り替わることになる。したがって、1.25ms後には先ほどの例が逆転し、家の近くがFEXT、局側がNEXTとなるわけだ。そこで、Annex Cでは、影響が出てない間にbit数を多くして高速な伝送が行われるようにしていて、これをDual Bit Map方式(DBM方式)という。

 話が少しそれたので元に戻そう。つまり、公称速度に対して回線速度が落ちるのは、ノイズの影響や信号の減衰によって、理想状態から削られたビットマップによるものである。したがって、このビットマップを知ることで、ADSL回線のウィークポイントや改善策をはじめ、スピードタイプ変更時の予測など ができる。
 では、ビットマップの取得方法に移る。ADSLモデムにはFEXTとNEXTが保存されているので、モデムにより保守メニューから呼び出せるモデルもあるが、筆者のNECアクセステクニカ製 DIRECTSTAR Aterm DR202Cは、残念ながら取得のための機能がない。そこで、お世話になるのがフリーウェアのDR utilityだ。
 DR utilityは、現時点では40Mサービス対応以下のモデムに対応するDR utility for Windows 1.1.1と、47MBサービス対応以上のモデムに対応するDR utility for Windows 1.2.0bが、HI-WIND ADSLで配布されている。

 下記は、DR utility for Windows 1.1.1を使って取得した、筆者が使用するADSLモデムのNECアクセステクニカ製 DIRECTSTAR Aterm DR202Cの12Mbpsタイプ時のビットマップだ。
 NEXT(近端漏話)側のビットマップを見ると、ISDNの影響により削られた大きな窪みと、高周波数帯域ではビットマップそのものが存在しないのが読み取れる。(伝送する周波数が高くなればなるほど、信号の減衰は大きくなるのは定性であるが、粗悪な回線で銅線の直径が細いとより顕著に減衰する。ただし、筆者宅の局舎からの線路距離長が4090mもあることを考えると、粗悪な回線よりも距離による減衰の可能性が高い。)


DR utilityを使って取得した筆者のDR202Cのビットマップ(12Mbpsタイプ)

  世の中には知らない方が幸せなこともあるが、このビットマップが示唆する「ISDNの影響」と「物理的な距離」から推測すると、50Mbpsタイプになっても大きな転送速度アップにならないと予測される。

つづく


[2004/12/11] ADSL 50Mbps時の転送速度の予測

 ADSLの50Mbpsへの速度変更は、もう少し時間が掛かり年内ギリギリと思っていたが、非常にスピーディに進んでおり、切り替え予定日は12月16日に決定した。1.5Mbpsから12Mbpsへの速度変更時は27日(18営業日)も掛かったが、予定通り進めば、今回は約半分の13日(9営業日)で切り替えが完了することになる。

 12月04日(土) @niftyサイトにて速度変更の申し込みを行う
 12月07日(火) @niftyより開通予定日が12月16日とメールあり
 12月07日(火) イー・アクセスより速度変更工事予定日が12月16日とメールあり
 12月09日(金) イー・アクセスより速度変更工事予定日が12月16日と郵便ハガキが到着する

 早く切り替わるのは結構なことだが、反面、どの程度の速度が出るか、期待に胸膨らませ、ワクワクして過ごす日々が少なくなるのも残念なことだ。そこで、大きな期待はしてないものの、下りの転送速度について、ささやかな予測をしてみよう。
 ADSLの転送速度は、NTT収容局と自宅の間に敷設された電話線における、線路長に比例する信号減衰とその間で拾うノイズによることは公知のことである。すなわち、一般的には、線路長が短くノイズが少ないほど、転送速度は高くなることになる。しかし、実際には、他にも多くの要因があり、例えば電話線の太さやノイズの周波数、はたまたモデムの性能など、数え切れないほどで、予測は困難を極める。

 そこで、速度変更時には、変更前の実績を元に変更後の予測するのが、最も精度が高いと思われる。
 具体的には、まずこちらの@niftyサイトに掲載されている「ADSLの速度とNTT収容局からの距離の関係」のグラフを見て欲しい。このグラフは、横軸にNTT収容局からの距離をとり、縦軸に下り回線速度(モデムのリンク速度)をとって、ADSLのタイプによるNTT収容局からの距離と下り回線速度の関係を示したものであるが、これを利用する。
 現在の筆者宅のADSLは、12Mbpsタイプで下り回線速度が約2.5Mbps(転送速度は約2Mbps)となっている。したがって、50Mbpsに速度変更したときの回線速度と転送速度は以下のように予測することができる。

  1. 縦軸の2.5Mbpsを通る平行線と12Mbpsタイプ(水色の線)の交点(a)を求める。
  2. 交点(a)を通る垂線と50Mbpsタイプ(青色の線)の交点(b)を求める。
  3. 交点(b)を通る水平線と縦軸との交点から、回線速度の予測値は約4Mbpsと求められる。
  4. 回線速度の4Mbpsは、転送速度で約3.2Mbpsと予測される。(PPPoA方式における転送速度の理論限界値は約88%なので、条件にもよるが一般的には、転送速度は回線速度の8割程度になる。

 「取らぬ狸の皮算用」となるか結果が待ち遠しいが、転送速度が3Mbpsを超えれば、現在の動画コンテンツのすべてに対応できるので、FTTHも不要な常時接続環境となることもあって期待している。

つづく


[2004/12/04] ADSL最速の50Mbpsサービスに申し込む

 価格破壊の期待の星には肩透かしを食らい、FTTHの夢も無残に砕けることになった。おそらく、ユーザーの囲い込みを目的とする期間限定のキャンペーンは、各事業者で華々しく行われるであろうが、本格的なFTTHの低料金化は、相当先に繰り延べられると思われる。したがって、キャンペーン終了後時点の料金は、現時点の高価格水準の料金が適用される可能性が高い。

 そこで、ひとまずFTTHを静観し、ADSLスピード競争も一段落した50Mbpsを試すことにした。イー・アクセスは2004年11月18日、「ADSL下り最大50Mbps、上り最大5MbpsのADSL最高速サービスを12月上旬から対応予定」と発表したが、これにより事実上のADSLスピード競争にピリオドが打たれたことになる。

 筆者は、@niftyのイー・アクセス回線12Mbpsタイプ(下り12Mbps、上り1Mbps)に加入しているが、@niftyのADSLの料金体系は、NTT東西を除く回線事業者を使う場合、下り上りが共に最大1Mbpsの「ライトコース」と、それ以上の下りが最大50Mbpsで上りが最大5Mbpsの「ニュースタンダードコース」の2種類があるだけだ。
 したがって、「ニュースタンダードコース」には、回線事業者や事業地域によって、下りが最大50Mbps、47Mbps、40Mbps、26Mbps、24Mbps、12Mbps、10Mbps、8Mbps、上りが最大5Mbps、3Mbps、1Mbpsのタイプが存在するが、すべて同一料金となる。(IP電話も無料オプションなので、使っても使わなくても料金は同一)

 また、速度変更には、本来はコース変更(速度アップ)手数料の3,150円とNTT工事費の3,200円が必要になるところ、「はじめよう!@niftyフォン(IP電話)キャンペーン」(2004年7月1日〜2005年1月31日)を使えば、コース変更(速度アップ)手数料が無料になると共に、回線事業者がイー・アクセスの場合はNTT工事費も無料となる(2004年12月1日以降)。加えて、@niftyフォン(IP電話)対応ADSLモデムへの交換手数料の3,150円も無料になる。
 すなわち、条件にもよるが筆者の場合は、一切の費用が掛からずに、12Mbpsから50Mbpsタイプに変更し、@niftyフォン(IP電話)が手に入ることになる。

 さて、どれほどの速度アップになるか、読者の方も興味津々であろうが、NTT西日本 線路情報開示システムによると、線路距離長が4090mで伝送損失が37dBと、期待できる条件でもないので、下りについては今年最後の運試し程度で考えている。ただし、上りについては、おそらく何がしかの向上があると思うので、ホームページのアップロードが 快適になると期待している。乞うご期待!(下記は、数ある回線速度のスピードテストの中でも、上り速度も計測することができるBNRスピードテストで計測した、現在の12MBタイプの測定結果。)


BNRスピードテストで計測した12MBタイプの下り速度(約1965kbps)


上と同条件で計測した上り速度(約580kbps)

つづく


[2004/11/28] ADSLより安いFTTHがついに登場!

 ニフティ株式会社は11月24日、同社が運営するインターネットサービスの@niftyにて、12月1日から新しい光ファーバー接続サービス「@nifty光 with Bフレッツ」の提供を、破格値で開始すると発表した。
 「@nifty光 with Bフレッツ」は、NTT東西地域会社の光ファイバー回線網を使い、販売連携関係をもとに、従来はNTT東西地域会社と@niftyで分かれていた開通までの問い合わせや請求を、@niftyで一元的に行うことによって、利用者の利便性向上と業務効率化の実現を図ろうとするもの。同時にスタートしたキャンペーン(2004年11月25日〜2005年1月31日)により、料金プランによって利用する1年目はADSLよりもFTTHの方が安くなるケースも発生する。

 下表は、筆者が利用している「@nifty ADSLニュースタンダードコース」と、新しい「@nifty光 with Bフレッツ ホームタイプ NTT西日本」の料金比較表だ。

@nifty FTTHとADSLの料金比較表
費用 (消費税を除く) @nifty光 with Bフレッツ
ホームタイプ NTT西日本
キャンペーン
@nifty ADSLニュースタンダード
コース(12Mbps)
月額費用 @nifty月額料金 \4,170
(2年目以降 \6,170)
\2,880
(ADSL利用料含む)
機器使用料等 月額料金に含む \780
NTT回線使用料 \165
ファミリープラン 月額料金に含む
(+4人分で料金にすると\1,000)
\500
(+2人分)

合計

\4,170
(2年目以降 \6,170)
\4,325
初期費用 NTT工事費+NTT契約料  \0
(\27,900が無料、特別な工事や土日祝日の工事により\27,900を超えた場合は、差額の支払いが必要)

(設置済)

その他 キャンペーン特典

@2005年1月31日までに申し込み、2006年1月31日までに開通すること
A12ヶ月以内に解約する場合は、解約手数料の\3,000と初期費用の\27,900の支払いが必要

 
※注意事項
(24ヶ月以内の解約の場合は、解約時期により、キャンペーン特典のAに加え、解除手数料やフレッツ・あっと割引違約金が別途必要)

1) 12ヶ月以内は、解除手数料の\5,000とフレッツ・あっと割引違約金の\5,000(Aとの合計で\40,900)
2) 12ヶ月〜24ヶ月の場合は、解除手数料の\5,000とフレッツ・あっと割引違約金の\2,500(合計で\7,500)

 
ホームページ容量 100MB
(料金にすると月額\3,200相当)
20MB
(\0)
メールボックス容量 100MB
(料金にすると月額\3,200相当)
20MB
(\0)
IP電話対応機器レンタル料 (\300) (\0)
年間費用 初年度(初期費用+月額費用×12) \50,040 \51,900
2年目以降(月額費用×12) \74,040 \51,900

 筆者の場合には、@nifty ADSLスタンダードコースに、本人に加えて2人分のIDを取得できるファミリープラン3をオプションとして利用しているが、@nifty光 with Bフレッツでは、本人に加えて4人分のIDが標準サービスにセットされているので(ファミリープラン5相当)、初期費用が無料 なこともあって、初年度の年間費用はADSLよりもFTTHの方が安くなる。(2年目以降はキャンペーン特典がなくなるので月額で\1,845高くなる)

 ただし、@nifty光 with Bフレッツでは 、IP電話対応機器をレンタルしないと、提供されるのは回線終端装置(メディアコンバータ)だけなので、複数台のPCに接続するには、別途ルータを購入する費用が発生する。(IP電話を使うなら、月額\300でIP電話対応機器をレンタルすると、IP電話対応機器にはルータ機能とLAN4ポートが付いているので、こちらがお得と思われる。しかし、IP電話を使わないでルータ機能だけが必要なら、5千円程度から入手できるので、気に入ったモデルを自前で用意するのが得策だろう)
 また、@nifty光 with Bフレッツでは、ホームページ容量が標準サービスで100MBまで使えるので、@nifty ADSLスタンダードコースの標準サービスの20MBからオプションで増量(月額で\400/10MB)するのなら、@nifty光 with Bフレッツが安くなるケースが発生する。


[2004/11/23] FTTHは身近に迫るのか?

■最近の需要動向

 Fiber To The Home。通信オタクでなかっても、普通にインターネットを活用しているユーザーなら、いつかはFTTHオーナーになることを夢に抱いているではなかろうか。筆者も同じく、今年こそ はFTTHと考えていたが、おそらく、来年以降の夢に繋ぐ気配が濃厚になってきた。

 そこで、最近のFTTHの動向と課題などについて整理し、今後の行方を占ってみることにしよう。

 まず、需要動向 にを整理してみよう。右のグラフは、2002年1月〜2004年8月のブロードバンドと呼ばれる通信メディアごとの加入者数の推移だ。(総務省情報通信報道資料より作成)

 最近の動向として注目すべきなのは、前月比の伸び率でみると、ADSLやCATVが1〜2%と伸び悩んでいるのに対し、FTTHは着実に6〜7%の伸びを確保している点だ。
 もっとも、母数の違いがあるので、例えば2004年8月における前月比の増数でみると、ADSLが約22万人に対してFTTHが約10万人と、まだまだADSLへの加入者数が多いのには違いない。しかし、ADSLの加入者の2人に対し、FTTHの加入者が1人いるという時代に達したのも事実で、こうしてみると、FTTHが迫りつつあるのを実感する次第だ。

期待はずれの価格戦争

 機運も熟し満を持して、通信メディア界の価格リーダー的存在のソフトバンクBBは10月4日、NTT東西地域会社が保有する未使用の光ファイバー回線を利用するFTTHインターネットサービス「Yahoo! BB 光」 の申し込み受付を10月5日より開始すると発表した。

 誰もが超低廉のFTTHが開始されると思ったであろうが、あにはからんや「Yahoo! BB 光」の戸建て向け料金は月額7234円、集合住宅向けは月額3675円と、業界では最高の価格水準となって発表されたのであ る。(下表は各社の料金一覧。料金は税込月額で、基本料、端末使用料、インターネット接続料などの合計とした。なお、初期費用とIP電話料は含まず。) 
 現在FTTH通信事業を営む企業は、「これで値下げをしなくて済む」と胸をなでおろしたであろうが、価格戦争を勃発してくれるであろうと、ユーザーの期待の星(ソフトバンクBB)も空振りに終わった。

企業名

事業領域

税込月額料金(+IP電話)

戸建て向け

集合住宅向け

ケイ・オプチコム

近畿6府県と福井県

\4,900(\5,200)

\4,074(\4,368)

STNet

四国4県

\5,040(\6,090)

\4,410(\5,460)

エネルギア

中国5県

\5,565(\6,258)

\3,780(\4,473)

NTT西日本

富山、岐阜、静岡県以西

\5,744 ( − )

\3,507 ( − )

KDDI

全国の指定都市など

今年度内参入

\4,095(\4,777)

有線ブロード

全国の指定都市など

\6,300(\7,014)

\3,295(\4,009)

ソフトバンク

全国の指定都市など

\7,234(\7,633)

\4515(\4,515)

■安くできなかった訳

 第二種通信事業者のソフトバンクは、第一種通信事業者のNTT東西地域会社から回線を借りて、通信事業を営んでいるが、ADSLで使う電話回線とFTTHで使う光ファーバー では、回線を借りるためのコストが大きく異なる点がある。 (2004年4月の電気通信事業法の改正で、通信事業者の認可制から届出制に変わったが、第一種が自ら回線設備を保有して通信サービスを行うのに対し、第二種は第一種の事業者から回線を借りて通信サービスを行う形態に変わり がない)

 電話回線と光ファイバーの大きく異なる点は、前者がすでに敷設された設備を使うのに対し、後者は新たに敷設しなければいけないことだ。したがって、第二種通信業者が第一種通信業者に支払う回線使用料も大きく異なり、電話回線(電話共用)では月額180円に対し、光ファイバーでは月額5000円にもなるという。

 この高価な光ファイバーのコスト的欠点を補うため、光ファイバー網の途中に分岐装置を挿入して、一本の 光ファイバーを複数の加入者宅に引き込むPON (Passive Optical Network)と呼ばれる方式が存在する。
 PON方式は、「Bフレッツ・ファミリー100」は本当に安いのかの記事で報じたが、一本の 光ファイバーを最大32人のユーザーでシェア(いわゆる割り勘)することによって、一人当たりの負担額を少なくする方法だ。したがって、シェアするユーザー数によってコストは変わり、「Bフレッツ・ファミリー100」のPON方式をシミュレートすると 、シェアドユーザー数とFTTH設備コストの関係は、おおよそ右のグラフのようになる。

 すなわち、PON方式のメリットを得ようとすると、少なくとも4人のユーザーでシェアすることが必要で、それ以下だと一本の光ファイバーをNTT局舎と直結する方式 の方が安くなることになる。なお、シェアするユーザーは、信号減衰の関係により、電柱で3本の間に存在することが条件といわれている。

 もし読者が戸建て住宅に住んでいるならば、自宅の前の電柱から上下(カミシモ)1本の電柱の間に(電柱で3本の間)、FTTHを契約しそうなユーザーが何人いそうか 数えてみれば分かるが、ユーザー数の確保がいかにハードルが高い条件なのかが理解できるであろう。事実、Bフレッツの提供形態に意義あり?で報じたが、NTT東日本では 「わざわざ分岐方式(PON方式)を使うより1芯で引き込む方がコストが安かった」ため、「分岐方式を前提として料金設定していたにもかかわらず、実際には1芯を1ユーザーが占有する1芯直結方式が使われていた。」ことが 、申請通りの形態になっていないとして問題になった。

 以上のようにFTTHは、ユーザー数が飛躍的に多くなれば安くなる可能性を持っているが、 「高いがゆえにユーザー数が増えず、ユーザー数が少ないがゆえに安くならない」という、「鶏と卵がどちらが先か」の議論のような、普及への過渡期における課題を抱えている。


[2004/10/11] 「e-Japan戦略」から「u-Japan構想」へ

 CEATEC JAPAN 2004(幕張メッセ開催)で10月6日、特別セッション「2010年ユビキタスネット社会の実現に向けて〜u-Japan構想〜」が開催され、講演者の総務省情報通信政策局総合政策課の和久屋聡課長補佐は、12月に向けて策定中の「u-Japan構想」ののあらましを解説するとともに、将来展望などを語った。(詳細はこちら)
 また、翌10月7日のITU TELECOM ASIA 2004(韓国釜山開催)のフォーラム「Connecting the next billion(次の10億を繋ぐ)」で、総務省の山口副大臣は、日本のIT政策について講演を行い、「2010年には日本をユビキタスネット社会に」 と語った。(詳細はこちら)

 これらの講演は、2001年1月に策定した「e-Japan戦略」(「日本は2005年までに世界最先端のIT国家を目指す」とした施策)は来年が最終年度にあたることから、次のJapan構想の方向を示すもので、詳細については総務省が8月27日に発表した、次の資料がベースになっている。平成17年度 重点施策平成17年度 所管予算概算要求の概要(PDF)、平成17年度 ICT政策大綱(PDF)。

 なお、CEATEC JAPAN 2004で10月7日、産官が集い「デジタルが広げるユビキタス社会」をテーマにパネルディスカッションが行われ、来るべきユビキタス社会における期待と問題点などについて、忌憚のない意見交換が繰り広げられた。ユビキタス社会の定義や内容を探るにも、格好の教材となるだろう。(詳細はこちら)

 日本は、「e-Japan戦略」で掲げた情報ネットワーク網の整備をほぼ達成し、今後はその情報ネットワーク網を有意義に利用したユビキタスネット社会に向け、いま「u-Japan構想」への船出をきったといえよう。

 【関連記事】
 ■ 2004年度の「IT政策大綱」 (2003/09/08)
 ■ その後の「e-Japan戦略」(2003/08/16)


[2004/05/15] 米国トップ20プロパイダの利用者数

 米Leichtman Research Groupは、2004年第1四半期の米国ブロードバンド(CableとDSLを含む)市場に関する調査結果を米国時間5月11日に発表した。それによると、2004年第1四半期における米国ブロードバンドの新規加入者数は234万人で、総利用者数は2693万人に達した。

 右の表は、CableプロパイダとDSLプロパイダを含む上位20社の2004年第1四半期末時点の総利用者数と2004年第1四半期の新規加入者数である。なお、これら上位20社で、ブロードバンド市場のシェア98%を占める。

 2004年第1四半期末時点のCableの総利用者数は1667万人で、DSLの総利用者数は1026万人。合計利用者数の割合は、さすが広大な大陸のお国柄もあって、Cableが62%を占め、DSLが38%になっている。また、2004年第1四半期のCableとDSLの新規加入者数は共に117万人で、四半期ごとの新規加入者数としては過去最高となった。

 一方日本では、総務省が4月30日発表の「インターネット接続サービスの利用者数等の推移」によると、2004年第1四半期におけるブロードバンドの新規加入者数は127万人(※1)で、総利用者数は1492万人(※2)に達している。

(※1) DSL:92万人、CATV:10万人、FTTH:25万人
(※2) DSL:1120万人、CATV:258万人、FTTH:114万人


[2004/04/12] イー・アクセスが回線増数でトップに!

 総務省は4月12日、2004年3月末現在のDSLサービス提供数<速報値>を発表した。DSLサービスの加入者数合計は約1120万回線で、前月から約29万回線の伸びを示した。

 事業者別の数値では、前月からの増数は、NTT東西が約12.5万回線で久々にトップに返り咲き、Yahoo!BBは約7.3万で顧客情報流出事件が響いた模様だ。

 なお、イー・アクセスは、4月12日にADSL回線が150万回線を突破したと発表した。さらに、3月中の純増回線数は8.2万回線に上ったと報じている。

 これによって、イー・アクセスは、回線増数ではYahoo!BBを抜いてNTT東西に次ぐ事業者となり、NTT東、NTT西を単独会社とみれば、トップの事業者に躍り出たことになる。


[2004/04/01] 顧客情報流出事件で通信事業者に切に願うこと

 前代未聞の大量の顧客情報流出事件となった「ソフトバンクBB」(Yahoo! BB)のリスクマネージメントのあり方が改めて問われている中、3月9日の「ジャパネットたかた」に引き続き、3月25日には「アッカ・ネットワークス」の事件が公表されている。
 最近の顧客情報流出事件における規模(流出数)と、社内で認知してから対外発表までの期間をまとめたのが、以下のグラフだ。規模が大きかったとはいえ、対外発表が遅れて大混乱を招いた「ソフトバンクBB」に学習したのか、「ジャパネットたかた」と「アッカ・ネットワークス」のすばやい対外発表は、好印象をもってユーザーに迎えられたと考えて良いであろう。

 誤った時は潔く謝りさえすれば済むというものでもないが、特に日本人的感情においては、正直に「潔く謝る」ことに対して「仕方ないか!」と考え(諦め)、「赦す」土壌があるように思われる。
 Yahoo! BBのユーザーの本音を問うアンケートの回答結果では、 「解約したいと思わないし、実際に解約しない」が46.9%、「解約したいと思うが、諸般の事情で実際には解約しない」が42.8%、 「分からない」の4.3%を加えると圧倒的多数で解約する意思はなく、「実際に解約する」と答えたのはわずか7.2%に止まっている。おそらく、この7.2%のユーザーも ホントは解約しないユーザーが大半と推測するが、ADSLのような通信サービスは「一度加入したら乗り換えしにくいという事情」を改めて認識した次第だ。
 そして、「乗り換えにくい通信サービスを提供しているからこそ、セキュリティ確保や品質維持を徹底する責任」があることを感じ、今後の運用・運営を行っていただくことを通信事業者に切に願う 次第だ。


[2004/03/25] 特定地域向けデータ通信サービス

 NTT西日本は3月24日、自治体が整備した光ファイバを使って提供するブロードバンド接続サービス「特定地域向けIPデータ通信網サービス」を開始すると発表した。ブロードバンドが使えないことで生じる地域格差(デジタル・デバイド)の是正を目的としたサービスで、自治体向けに提供する。同様のサービスは、NTT東日本ではすでに開始されている秋田県矢島町での導入実績があるが、NTT西日本では初めてとなる。

 サービスの概要は、NTT西日本の局舎と住民宅および役所などの間に、自治体が敷設した光ファイバをNTT西日本がIRU契約※で借用し、自治体が指定するインターネット接続事業者(ISP)に接続して、最大100Mビット/秒のインターネット接続を提供できるようにする。(※IRU契約:関係者すべての合意がない限り破棄できない使用権)

 自治体がNTT西日本に支払う料金はケースにより異なるが、今回の宮崎県木城町の場合は、加入数を630と想定して月額110万円程度(加入者あたり月額1,750円程度)になると見られている。ISPとの契約料、光ファイバの敷設・保守料金は自治体持ちとなるが、4月サービス開始予定の宮崎県木城町においては、月額4,000円の料金で加入者の募集を行っている。


[2004/03/06] 『FTTH安売り事件』はNTT東日本がジャブ!

 NTT東日本の『FTTH安売り事件』は、2月25日に公取委が開催した第1回審判において、双方の主張はまったく噛み合わず、泥沼化する様相を呈してきたとすでに報じたが、NTT東日本は同社Webサイトにて3月2日、第1回審判における陳述をまとめた公式見解を公開した。

 公開された公式見解とは、『「Bフレッツ・ニューファミリータイプ」に関する公正取引委員会の排除勧告・審判開始決定に対する当社の基本的な考え方について 』というタイトルで、約200行にわたる長文で、ブロードバンド市場の投資リスク、分岐設備の導入時期の判断など、に対する公取委の認識の誤りなどを指摘し、独占禁止法違反にあたらないと結論づけている。
 また、分岐設備を導入していないのは、需要が点在している現時点では、即座に導入する必要がなく、将来需要が増加してから導入するのが合理的と説明し、「民間企業であれば当然採るはずの投資判断で あり、正当性は明らか」としている。

 4月18日に開催されている予定の第2回審判を前にして、まずNTT東日本が世論を味方にするジャブを放った格好になったが、審判の行方はどのように展開するのか、結果が興味深い。


[2004/03/03] xDSLユーザー数は中国がトップに躍り出る

 xDSLに関する国際的な業界団体のDSL Formは3月2日、2003年末の全世界のxDSLユーザー数を発表した。ユーザー数は、前年から77.8%((約2800万)増えて、全世界で6384万ユーザーに達したようだ。(調査は、英国の調査会社Point Topicが行った。)
 まず国別のユーザー数は、昨年は約200万で5位であった中国が、なんと1年で約900万の伸びを示し、世界の17%を占有して1位に躍り出た。以下僅差で日本、米国、そして韓国、ドイツと続く。
 次に電話回線に占める普及率は、韓国が27.7%の第1位で、大きく引き離されて台湾、香港ベルギーと続き、日本は14.4%の5位となる。さすが人口が多い中国は、ユーザー数はトップでも、普及率は5.1%と低く、今後の大きな伸びが期待されている。


[2004/02/28] 顧客情報流出事件で孫氏のお詫びの裏に!

 すでに新聞やラジオ・テレビなどで大きく報道されている、前代未聞となる450万件を超える※Yahoo! BBの顧客情報流出事件だが、ソフトバンクは27日になって、初めて孫社長が出席する記者会見を開催し、その席上で孫社長は深々と頭を下げ、謝罪の意を表明した。(※現在の加入者:約240万件、加入手続き中:約10万件、無料体験/キャンペーン申込者:約147万件、解約者:63万件)
 同社によると、流出した個人情報は、1)住所、2)氏名、3)電話番号、4)申込時のメールアドレス、5)Yahoo!メールアドレス、6)Yahoo! JAPAN ID、7)申込日の7点で、クレジット番号や口座番号、パスワードについては含まれてないという。

史上最大規模にまで発展した今回の事件について、経緯を追ってみよう。

  1. (1月07日) ソフトバンク子会社の取引先が容疑者から8件分のリストを受け取る。
  2. (1月14日) ソフトバンクは、8件分の情報がYahoo! BBの個人情報であることを確認する。
  3. (1月17日) ソフトバンクに容疑者から104名分の顧客データが届く。
  4. (1月19日) ソフトバンクは、警視庁久松警察ならびにハイテク対策センターに相談する。
  5. (1月21日) ソフトバンクの渉外担当者が容疑者と接触し、残りの顧客情報をプリントしたものを手渡しされる。ソフトバンクが顧客データベースと照合したところ、本物であると判明。
  6. (1月22日) ソフトバンクは総務省に報告し、捜査への全面協力、2次被害の防止、情報管理について指導を受ける。
  7. (1月23日) ソフトバンクは、顧客情報の一部(242人)が流出したと発表する。

      [事件の一部が公開され、容疑者の割り出しに入る。]
     
  8. (1月27日) ソフトバンクは、1.に対して被害届けを提出する。
  9. (2月02日) ソフトバンクサイトのお知らせで、顧客情報の流出に絡んだ「身に覚えのない請求が届いた場合の注意点」を掲載する。
  10. (2月03日) ソフトバンクは、3.に対して被害届けを提出する。
  11. (2月11日) 警察より容疑者を逮捕したとの連絡が入る。警察からは、逮捕の事実を含めて、捜査上の理由で情報を公開しないよう厳命される。

      [容疑者が逮捕され、事件の解明に入る。]
     
  12. (2月24日) 新聞各紙は、顧客情報の流出が470万人分におよんでいると報じる。
    その中でも詳しく報じた情報読売新聞は、東京夕刊一面に『ヤフーBB加入者情報「470万人分」流出 数十億円要求の61歳男を逮捕』と、同夕刊社会面に『ヤフーBB加入者情報、海外ルートで流出か 容疑者「知人から入手」』の記事を掲載する。
    記事によると、『容疑者は2004年1月21日、ソフトバンク関係者を都内に呼び出し、「Yahoo! BBの加入者470万人分の個人情報が手元にある。」と説明。出資金名目で現金を脅し取ろうとした容疑で、2004年2月11日に逮捕し、情報が入っているDVDを押収した。また、警視庁捜査一課ではDVDの内容を分析し、数百万人分の個人情報が記録されていることを確認した』とある。
  13. (2月24日) ソフトバンクは、新聞各紙の報道に対して記者発表を開催し、広報室の田部氏は、「今のところ242人以上の情報流出は確認されていない」と470万人分の流出を否定した。DVDの存在については、「何者かから“DVDか分からない物”を受け取り、その時点で警察に手をゆだねたので、何者からか渡された“物”が何であったかは把握していない。」また、「現時点で警察から何の説明も受けてない」とした。
  14. (2月24日) ソフトバンクは、同日深夜に2回目の記者発表を開催し、宮内副社長は大量の顧客情報とみられるデータの存在を認め、「現在は警察から依頼されてデータの照合を行っているところだ」と述べた。また、1回目の記者発表で広報室の田部氏から明らかにされる情報が少なかったのは、「逮捕の事実を含め、捜査上の理由で情報を公開しないよう厳命された。社長以下、数名しか知らされなかった」と説明した。

      [事件の全貌が明らかにされ、事後処置に入る。]
     
  15. (2月27日) Yahoo! JAPANサイトで、『「Yahoo! BB」お客様情報流出問題の新たな事実についてのおわびと御説明』が掲載される。
  16. (2月27日) ソフトバンクサイトで、「お客様情報流出問題に関する、現時点までの調査結果と今後の対策について」が掲載される。
  17. (2月27日) Yahoo! BBは、期間限定でメールアドレスを無料で変更できる旨を発表する。
  18. (2月27日) ソフトバンクは、451万人分の情報流出を認め、孫社長が謝罪する。

 これらが今回の事件のほど全貌であるが、不幸中の幸いだったのは、顧客情報の中でも最もシークレットな部分の、クレジット番号や口座番号、パスワードなどが含まれてなかったことだ(ホントのことは分からないが報道ではなかったとされている)。今回の容疑者は、顧客情報の流出をもとに現金を脅し取るのが目的だったようだが、もしクレジットカード詐称が目的と考えると、背筋が凍るような恐ろしさを感じる次第だ。
 今回の事件は、顧客獲得を最大目的とするソフトバンクの経営戦略が破綻したもので、規模の急膨張に管理体制が追いつかなかった、セキュリティ体質の欠陥が露呈した以外のなにものでもないが、IT社会におけるセキュリティの恐ろしさやあり方を示唆しているものとして受けとめたい。


[2004/02/26] NTT東日本の『FTTH安売り事件』

 昨年の12月4日、NTT東日本が提供する一部の光ファイバーサービスで、他事業者の参入を妨げているという公取委の勧告で始まり、12月15日にはNTT東日本が応諾しない旨を発表し、ますます泥沼化の様相を呈してきた『FTTH安売り事件』だが、2月25日公取委は勧告に対する第1回審判を開催した。
 その筋の報道によると、公取委の「料金を安く設定して、他社の参入を阻んだ!」との主張に対し、NTT東日本は「料金の引き下げは消費者の利益にもなり、真っ当な設備運営の何が問題なのか!」と、双方の主張はまったく噛み合わず、4月18日に開催する予定の第2回審判に持ち越した。


[2004/01/05] 新潟県能生町にFTTH網構築の補助金交付

 総務省は2003年12月25日、新潟県能生町の「地域情報通信ネットワーク基盤整備事業」(事業費総額約6億5千4百万円)に対し、補助金約2億1千8百万円の交付を決定した。
 能生町は、この事業により町内全域に加入者系光ファイバ網を構築し、各家庭から常時接続による最大100Mbpsの超高速インターネットを利用できる環境の整備を行うとともに、この設備を利用した在宅介護や遠隔診断などの福祉サービスの提供など、高度な行政サービスの展開を予定している。
 なお本件は、「e-Japan重点計画-2003」に掲げられている「地理的情報格差の是正」という目標を実現する取組の一環として行うもの。(下記の図は報道資料より引用掲載)

 

 能生町は直江津と糸魚川の間に位置し、海岸線は風光明媚に恵まれ夏は海水浴客で賑わうが、大きな産業 もなく冬は雪害によって陸の孤島になりかねない地域だ。特に能生町の山側は妙高山系にまで至り、地理的情報格差が大きく、ネットワーク基盤の整備事業が急がれていた地域だ。


[2003/12/15] Bフレッツ提供形態の勧告を拒否!

 NTT東日本は、下の記事の光ファイバサービス「Bフレッツ」の料金設定に関し、公取委から出ていた勧告に対して勧告諾否期限の15日、指摘のあった点については私的独占に当たらず、独占禁止法に違反しないため、今回の勧告に対しては応諾しないと発表した。この勧告に応諾しなかったため、公取委では「審判」と呼ぶ手続きが始まるが、通信関連で審判手続きに入るのは初めてとなる。


[2003/12/06] Bフレッツの提供形態に異議あり?

 公正取引委員会(公取委)は12月4日、NTT東日本が提供する光ファイバーサービスのBフレッツプランの「ニューファミリータイプ」について、申請通りの形態になっておらず、他事業者の参入を妨げていると判断し、独占禁止法第3条の規定に違反するものとして勧告を行った。同行為に対しては11月12日、総務省が行政指導を行っていたが、今回公正取引委員会は、法律違反というさらに厳しい措置の勧告に踏み切った。
 また、NTT東日本は、他の電気通信事業者から委託を受けたADSL等の工事の機会に、工事施工会社を通してBフレッツ等の営業活動を行なわせ、他の電気通信事業者とその契約者の取引を不当に妨害し、独占禁止法第19条の規定に違反するおそれがあるとして警告を行ったもの。

 公取委によると、NTT東日本は「ニューファミリータイプ」では、光ファイバー1芯を局内で4分岐し、さらに局外で8分岐して最大32ユーザーでシェアする、分岐方式を前提として料金設定していたにもかかわらず、実際には1芯を1ユーザーが占有する1芯直結方式が使われていた。(分岐方式の関連記事はこちら)
 NTT東日本の「ニューファミリータイプ」の月額料金は4500円であるが、第1種電気事業者として他事業者に貸し出し時の1芯の月額接続料金コストの5074円を下回っており、他事業者が同社の光ファイバーに接続して提供するサービスへの新規参入を阻害しているとした。

 NTT東日本は、「需要が少なかったために取った暫定的な措置で、1ユーザーに提供する場合、わざわざ分岐方式を使うより1心で引き込む方がコストが安かった」とし、「勧告の内容を十分に検討した上で、期限の12月15日までに対処方針を決定したい」と諾否について即答は避けた。
 また、他の電気事業者から委託を受けたADSL等の工事における営業活動については、「既に全支店、全工事委託会社に対し指導の徹底を図っており、今後とも疑念を招かぬよう対処していく」としている。

 ユーザーにとっては、普通車の切符を買ったつもりがグリーン車だったというような嬉しい誤算であるが、それがまかり通らぬところに、日本の電気通信事業者の難しい課題を抱える。公正な競争はユーザーも望むところであるが、規制の名の下に自由競争の障壁 があってはならないと感じる次第だ。


[2003/12/04] Reach DSL V2.2は来年春登場か?

 NTT収容局から距離の離れたユーザーを対象とした「長距離向けADSL」ことReach DSLは、V2.2にアップグレードされて、来年春にもサービスが開始される模様だ。

 開発元のパラダインのサイトには、V2.2に対応するNTT収容局に設置するGranDSLAM 4200IPやBitStorm 2600IPと、端末機器となるADSL/R Modem 6381のリリースが掲載されている。

 右の図は、リリース資料に掲載された実力を示すグラフだが、現在Yahoo! BBが500Kbps以下の速度しか出ないユーザーを対象とするReach DSL V2.0のサービスに対し、近距離では2倍以上のパフォーマンスと、中間距離でも1Mbps前後の安定した通信能力を実現するとしている。


[2003/10/30] 超高速インターネット衛星へスタート!

 前の記事「ブロードバンドの期待するもの」において、デジタルデバイド(いわゆる地域間情報格差)を解消し、ブロードバンド難民の救世主として期待されるものとして、「超高速インターネット衛星」を挙げた。
 タイミングよくその記事が掲載された同日、総務省が設置する「衛星アプリケーション実験推進会議」は、産学官を対象に、2005年打上げ予定のWINDSを用いた実験参加への募集要項を公表した。
 WINSは、ギガビット級の通信を可能とする衛星で、日本はもとより、韓国、中国、香港、シンガポール、ジャカルタ、インドなどアジアの広域をカバーし、地球局アンテナ径45cm級で下り155Mbpsの伝送速度を実現する。


[2003/10/30] ブロードバンドのインフラに期待するもの

 タイトルの記事をインプレス提供のブロードバンド情報サイトのBroadBand Watchに投稿しました。連載「ブロードバンド百景」の第六十五景に掲載されてますので、ご興味のある方は下記のURLにてご覧願います。
 なお、原稿の締め切りが9月19日だったため、情報になったソースの時間ずれがあるがご容赦願いたい。
 □BroadBand Watch
  http://bb.watch.impress.co.jp/
 □ブロードバンド百景 第六十五景
  http://bb.watch.impress.co.jp/column/hyakkei/2003/10/30/
 □記事の永久保存版(mth保存ファイル)
  http://homepage3.nifty.com/kimuras/hyakkei_65.mht


[2003/09/08] 2004年度の「IT政策大綱」

 総務省の情報通信政策局は8月28日、2004年度の「IT政策大綱」を発表した。(原文はこちら)
 今回発表された「IT政策大綱」は、現況分析と共に2004年度に展開するIT政策の大もとを示したもので、「日本発の新IT社会」を産学官が連携して創出し、世界にモデルとして発信していくべきとしている。その中で推進する重点分野としては、ユビキタスネットワーク・放送のデジタル化・コンテンツ流通・セキュリティ・ワイヤレスブロードバンド・国際的取り組み・電子政府自治体・その他の重要事項が挙げられている。
 それらの中から、特にネットワーク環境の現況と今後の整備促進施策について紹介する。

ネットワーク環境の整備状況

  1. 利用可能数では「e-Japan戦略」での2005年における目標をすでにクリア
     利用可能数では、すでにDSLで3500万所帯、CATVで2300万所帯、FTTHで1680万所帯になっている。「e-Japan戦略」での2005年における目標は、高速インターネット(DSL、CATVなど)3000万所帯、超高速インターネット(FTTH)1000万所帯だったので、予定より早く上回って進んでいることになる。
     ただし、実際の加入者数では、DSLが854万所帯、CATVが228万所帯、FTTHが53万所帯で(総務省発表の7月末現在)、利用可能数と実際の加入者数の間には大きなギャップがあり、魅力あるサービスやコンテンツなどの充実で、加入促進を図るのが今後の課題だ。
  2. 料金面においても常時接続料金で世界的で最も低廉な水準を実現
     2003年に国際電気通信連合(ITU)で提出された調査によれば、100Kbpsあたりの1ヶ月の料金では日本が0.18ドル、韓国が0.29ドル、米国が2.86ドルで、世界最低廉だそうだ。
     ただし、鵜呑みにするのは危険で、例えば筆者宅では通信料金が4056円(ニフティ12M)、実際の通信速度は約2.5Mbpsなので、ドル換算すると約1.35ドル(4056/25/120)となって、1桁も高い料金になっている。算定の根拠が不明だが、通信速度はフルスピードで計算していると思われるが、これらの資料からみても、最低廉といえないまでも低廉に属するのは間違いなさそうだ。

ネットワーク環境の整備促進施策

 今後、国民生活や社会経済活動のあらゆる分野でITを利活用したアプリケーションが更に高度化・多様化していくことが想定される中で、インフラサービスを提供する電気通信事業者にとっては、利用者ニーズに対応するため、これまで以上に柔軟に事業展開・サービス提供を行うことが必要になる。
 また、国民利用者が地理的格差なくどこにいてもIT利用をできる環境が重要なので、条件不利地域等における光ファイバネットワークの全国的な整備の促進等への取り組み重要だ。なお、ネットワークを早期に広域に構築していくうえで、光ファイバと無線との組み合わせも視野に入れて推進することが望ましい。
 としたうえで、下記の具体的施策が謳われている。

  1. 事業者のより柔軟な事業活動を可能とする競争環境の整備
     電気通信事業者の柔軟かつ多様な事業展開・サービス提供を可能とするため、最一種電気通信事業および第二種電気通信事業の事業区分を廃止する等規制の合理化を講じた「改正電気通信法」が本年7月に成立した。同法の着実な実施、競争状況の評価等を通じ、競争施策を推進する。
  2. ネットワークの整備促進(支援や所用経費補助)
     a.地域公共ネットワークの全国整備
     b.加入者系光ファイバ網の整備
     c.新世代地域ケーブルテレビ施設の整備
     d.移動体通信用鉄塔施設の整備
  3. 開発技術開発の推進
     レーザー光を空間伝搬させることで大容量の無線通信を可能にする光無線について、光/電気変換を行わず光ファイバと接続する「フル光接続」を実現するための研究開発を推進する。

 昨年は大きく加入者数を伸ばしたADSLだったが、ここにきて普及の勢いが弱まってきている。そして特筆すべき点は、年初より月を追うごとに、開通数が減少し解除数が増大していることだ。たとえば、開通数に対する解除数の比率は、1月が約29%だったのに対し7月では約44%にも達した。
 おそらく、ADSL解除数の大半は光ファイバ(FTTH)やケーブル(CATV)に流れていると思われるが、時代は高速インターネットから超高速インターネットに向かうのを、しみじみと実感する次第だ。


[2003/08/16] その後の「e-Japan戦略」

 1995年12月に出版された「ビル・ゲイツ 未来を語る」(ビル・ゲイツ著/西和彦訳)は、「パソコン」から「情報ハイウェイ」へ、「パソコン革命」から「コミュニケーション革命」へと目を向けたビル・ゲイツが、「インターネット以後」のビジョンを熱く語った初の著作だ。(1997年5月には、インターネットを最大のテーマとして、大幅に加筆・改訂されたアップデート版が出版されている。)
 その当時は、1992年にニフティの会員になって、情報通信の世界に手を染めかけた時期であり、モデムを2400bps(2.4kbps)から14400bps(14.4kbps)にアップグレードし、イッチョンチョン(14400bpsのこと)に酔いしれていた時でもあった。
 ちょうど当時に読んだのが「ビルゲイツ 未来を語る」だった。将来は約1000倍に高速化された「情報ハイウェイ」が張りめぐらされ、世の中の構造すらも変革されるという、ビル・ゲイツが熱く語る「ハイウェイへの道」に、疑心暗鬼ながら胸躍らせたものだ。

 日本国における、日本人による日本人のための情報ハイウェイ構想は、2000年9月21日に当時の森首相が所信表明演説の中で掲げた「e-Japan戦略」が本格的なスタート となった。
 沿革としては、約9年前の1994年8月2日に「高度情報通信社会推進本部」が内閣に設置されてのが始まりとなる。その後、2000年7月7日に「通信情報技術戦略本部/IT戦略会議」が設置され、2001年1月6日には「高度情報通信ネットワーク社会戦略本部(IT戦略本部)」が内閣に設置された。
 このような比較的長い時間の議論を経て、2001年1月22日にIT戦略本部が策定した「e-Japan戦略」が決定され、e-Japanに向けて行政や施策が現在も進んでいる。なお、2003年7月2日には「e-Japan戦略II」が決定され、これまでに整備されつつあるインフラを活用して、国民が便利さを実感できる仕組みを構築することが重視されている。

 「e-Japan戦略」については、首相官邸ホームページIT戦略本部のページで公開されているので、詳細はそちらで参照して いただくとして、要旨のみを解説する。

  1. 目的
     全国民がITのメリットを享受できる社会を実現し、それによって産業分野での国際競争力の強化や経済構造の改革、国民生活の利便化などを成功させる。
  2. 構想
     国家が中心となって情報技術の普及に取り組む。
  3. 目標
     5年以内に世界最先端のIT国家となるため、高速で安価な通信網の整備や国家制度の確立を図る。具体的な目標としては、下記のようなものだ。
     3-1 2001年に全ての国民が安価にインターネットに常時接続することを可能にする。
     3-2 2002年までに電子商取引の制度基盤と市場ルールを整備する。
     3-3 2003年までに電子政府を実現する。
     3-4 2005年までに世界最高水準の超高速アクセスが可能なインターネット網を整備する。
     3-5 2005年までに米国水準を上回るIT技術者の確保できるよう人材育成を強化する。

 要するに、5年以内に世界最先端のIT国家となるために、通信網の整備や制度の確立などを、国家が先導して推進するというビッグプロジェクトだ。まことに素晴らしいプロジェクトで、大枠としては筆者も諸手を挙げて賛同している。

 目標の3-1項と3-4項の常時接続と超高速アクセスについて、本文中の「II.重点施策分野の1.超高速ネットワークインフラ整備及び競争施策」に詳しく書かれている ので、原文の紹介と意見を述べてみたい。

 まずは、3-1項の常時接続について詳しく見て行くが、原文は(2)目標-2に以下のように書かれている。
 『短期的には、1年以内に有線・無線の多様なアクセス網 により、すべての国民が極めて安価にインターネットに常時接続することを可能とする。これに必要なあらゆる手段を速やかに講ずる。』
 戦略が決定したのは2001年1月22日なので、ADSL普及元年の年にあたる。筆者も6月30日に夢に見たADSLが開通し、まさしく極めて安価にインターネットに接続することが可能になり恩恵を蒙った。
 ただ残念なのは、本文に「すべての国民」とあるが、現在になってもADSLが開通しない地域が多々あるのは如何なものであろうか。この点について、(3)推進すべき方策-2の「情報格差の是正」で は、『過疎地や離島など条件不利地域における高速インターネット利用の普及策について検討する。』とある。
 「e-Japan戦略II」においても、『高速・超高速インターネットが全国どこでも利用できるよう、必要な規制改革や競争 政策を推進する。ビジネスとして成立しにくい地域については、特別措置を実施する。 双方向の超高速ネットワークによる公共施設等の接続を推進する。』や『過疎地や既設集合住宅等におけるラストワンマイル用のアクセス回線として、無線シ ステムの導入・普及を検討する。・・・』とあるだけで、具体的な運用面に落とし込んで、早急なる実施について切に期待するところだ。

 次に、3-4項の超高速アクセスが可能なインターネット網の整備について見るが、原文は(2)目標-1に下記のように書かれている。
 『競争及び市場原理の下、5年以内に超高速アクセス(目安として30〜100Mbps )が可能な世界最高水準のインターネット網の整備を促進することにより、必要とするすべての国民がこれを低廉な料金で利用できるようにする。(少なくとも3000万世帯が高速インターネットアクセス網(※1)に、また1000万世帯が超高速インターネットアクセス網(※2)に常時接続可能な環境を整備することを目指す。)』 とある。

(※1)高速インターネットアクセス網:音楽データ等をスムーズにダウンロードできるインターネット網のことをいい、現時点ではxDSL、CATV、加入者系無線アクセスシステムを利用したインターネット網が代表的な例。
(※2)超高速インターネットアクセス網:映画等の大容量映像データでもスムーズにダウンロードできるインターネット網のことをいい、現時点では光ファイバーを利用したインターネット網が代表的な例。

 まことに結構な目標だが、見逃してならないのは3000万所帯と1000万所帯だ。統計データ提供サービスサイトのMC-統計によると、2000年10月1日に実施された国勢調査の総所帯数は、全国で約4700万所帯、東京都と神奈川県と大阪府を合わせると約1200万所帯になることだ。
 すなわち、2005年の目標年度でも総所帯数はほとんど変わらないと思われるので、享受できる所帯は高速インターネットアクセス網で約64%、超高速インターネットアクセス網については約21%にしかならないことだ。ましてや、超高速インターネットアクセス網は大都市部が中心になるが、極端な例として東京都と神奈川県と大阪府の約80%(960万)の所帯が享受すれば、ほぼ達成できる目標になっていることだ。

 今回は「e-Japan戦略」における高速および超高速インターネットアクセス網について、すべての国民が平等に享受するための課題について触れた。インターネットアクセス網の整備には、難しい問題が多々あるのも事実だが、国民と政府が一丸となって夢のある戦略に挑み、世界で最も輝いたIT国家にならなければいけないと感じている。
 

[2003/07/09] 20Mbps超サービスで光と影はより鮮明に!

 アッカ・ネットワークスは7月9日、7月11日よりSo-netにて「26Mbpsサービス」の予約受付を開始すると発表した。なお、「ADSLモデム」、「IP電話」および「無線LAN(IEEE802.11g対応※)」の3機能を一体にした、多機能ADSLモデムの提供についても触れている。

(※)IEEE802.11gは、IEEE802.11bと同じ2.4GHz帯の周波数を利用し、 IEEE802.11bの約5倍にあたる54Mbpsの転送速度をサポートする。 同じく54MbpsのIEEE802.11aと異なりIEEE802.11bとの互換性もある。

 また、「26Mbpsサービス」でのADSLリンク速度と線路距離について、興味深いグラフが掲載されている。
 右のグラフは、アッカ・ネットワークスが掲載したグラフをもとに、現在「12Mbpsサービス」のユーザーが「26Mbpsサービス」に乗り換えた時に、どの程度まで速度アップが期待できるかを、ユーザーの通信環境ごとに予測できるよう作成したものだ。
 その結果、「26Mbpsサービス」で1Mbps以上の速度アップが期待できるのは「12Mbpsサービス」で3Mbps以上出ているユーザーで、3Mbps以上の速度アップが期待できるのは「12Mbpsサービス」で7Mbps以上出ているユーザーとなった。(アッカ・ネットワークスが掲載したグラフは、ノイズが無い理想的環境下における推定リンク速度のため、実際には、これより速度が落ちることになる。)
 Nikkeibpの記事によると、収容局から2km以上のユーザー(「12Mbpsサービス」で10Mbps以下しか出ないユーザー)になると、元々「24Mbpsサービス」は「12Mbpsサービス」よりも遅いという。

 収容局より遠く、通信環境が悪いユーザーにとっては、敷居の高い20Mbps超サービスになりそうだ。


[2003/06/29] ADSLエクスペンシブコース??発進!

 NTT東日本も25日、下り最大速度24Mbpsの「フレッツ・ADSL モアII」を発表した。これで20Mbps超サービスについて、全国規模の事業者各社から発表が出そろったことになる。
 なお、「フレッツ・ADSL モアII」の月額料金は、現在の12Mbpsサービスの「フレッツ・ADSL モア」に対し、DSLサービス料金を50円高い2750円(マイラインセット割引で2475円)に抑え、モデムレンタル料を値下げして490円としたことで、通常で3240円(マイラインセット割引で2965円)とした。
 「フレッツ・ADSL」では別途ISPとの契約が必要になるが、現時点最安値であるBB.excite500円でADSLのISPサービス料(500円)とIP電話サービス料(277円)を、マイラインセット割引(2475円)と組み合わすと3742円になって、爆安と言われたYahoo!BBの3838円より96円安い料金が実現することになる。

 このようなことから、ADSL事業の今年の夏から秋にかけては、価格と速度の二つを賭けた競争が激化するものと思われ、特に価格競争について、ユーザーとしてはまことに嬉しい限りだ。

 ところでADSLは、ベストエフォートの名の下、収容局に近く通信環境が良く光があたる地域と、収容局に遠く通信環境が悪く(加えて通信ができない)光のあたらない陰なる地域ができることから、「光と陰」と比喩してきたが、24Mbps超サービスでは陰影がさらに濃くなると予想している。
 たとえば、筆者宅は収容局から約2kmであるが、1.5Mbpsサービスではフルレートだったものが、12Mbpsサービスでは原理上の約1/5の2.5Mbpsしか出ない。おそらく、20Mbpsサービスに替えても3Mbpsも出れば御の字の薄い陰の地域だ。(もっとも、ADSLも来てない真っ暗闇の地域の方を考えると、幸せ者と感じているが)
 反対に中には、まだ8Mbpsサービスしか来てないが、6Mbps近くも出る地域にお住まいに方もいらっしゃるようで、他人事ながら20Mbpsサービスでどこまで出るかに興味を持って見守っている。(^J^)

 そのようなことで、出るはずも無い数字を明示的に付けたサービス名について、不満を感じているユーザーの一人だが、やはり同じような声が多くなってきてるようだ。
 公正取引委員会は25日の報道発表で、「ADSL接続サービスの取引に係る広告表示に関して、苦情が多く寄せられるようになってきている」とコメントした上で、誤認を招くおそれがある表示を「問題となる事例」として追加するなど留意事項の改定を行い、表示適正化を要請するとともにガイドラインを示した。
 誤認を招きかねない表示とは、 最大速度を明示してメリットを謳っているが、通信設備の状況やほかの回線との干渉などによっては、通信速度が低下する場合がある旨、が明記されていないなどが該当する。(韓国では、回線速度表示が「過剰にユーザーの期待を煽る」という理由で、すでに2000年に禁じられている。)
 また、ほかにも、ADSL料金などの表示に関して、分かりにくい表示があると指摘している。(同感!)

 こうした流れの中で、大手ISPのニフティは、公正取引員会の動きに連動したものではないとした上で、現在の「ADSL12M」「ADSL1M」といったコース名の表示に代えて、「ADSLライトコース」「ADSLスタンダードコース」といった名称を採用する方針を固めているという。ニフティ広報は、各省庁で議論が始まる以前から、ユーザーからクレームとまではいかないまでも、速度表示の真偽を問い合わせる声はあったと話す。「海外では、ユーザー宅の実測値にもとづいて課金する……という料金体系もあると聞いている。これを採用するかはともかく、社内で議論を続けていた。」との弁。


[2003/06/23] Yahoo!BBも20Mbps超サービスを発表

 6月23日付のソフトバンク・グループ2社(ソフトバンクBB、ヤフー)の発表によると、6月25日よりYahoo!BBにおいて、下り最大速度26Mbpsの新サービス「Yahoo!BB 26M」の申し込み受付を開始する。サービス提供エリアは、一部地域によっては導入が遅れるものの、基本的には現在Yahoo!BBを提供するエリア。サービス開始時期は、7月以降より準備が整い次第、順次開始するとしている。月額料金は、現在の12Mbpsサービスに対して、DSLサービス料金の200円とモデムレンタル料の100円の合計300円アップの、総計NTT東日本エリアで3838円、NTT西日本エリアで3846円。

 なお、利用する技術は、他の事業者が軒並み日本向けの通信事情を考慮した規定を加えた「Annex C」の拡張使用の「Annex I」準拠の24Mbpsサービスを提供しているのに対し、Yahoo!BBでは北米向けの「Annex A」で26Mbpsを実現している。「Annex A」は、特に大きな特別規定もなく、高速化を実現しやすいが、日本のISDNと重なる周波数帯域を大幅に使用するため、ISDNとの干渉で極端な速度低下や伝送距離の低下を引き起こす可能性があると言われている。


[2003/06/18] NTT西日本も20Mbps超サービスを発表

 先ごろから発表が相次いだ20Mbpsサービスだが、NTT西日本も6月18日、下り最大速度24Mbpsの「フレッツ・ADSL モア 24」サービスを発表した。利用する技術は、各社から発表されているのと同じ「G.992.1 Annex C」の拡張版の「G.992.1 Annex I」だ。サービス開始は、7月以降にまず大阪府内22市から始め、順次エリアを拡大してゆくとしている。なお、サービスの月額料金は、現在の下り最大速度12Mbpsの「フレッツ・ADSL モア」に、月80円追加するだけの2980円と低く抑えられている。(利用には別途ISPのサービス料金が必要)
 また、「フレッツ・ADSL モア 24」に対応したADSLLモデム、ADSLモデム内蔵ブロードバンドルータ、ADSLモデム内蔵ワイヤレスブロードバンドルータ及びISPが提供するIP電話サービスに対応したADSLモデム内蔵ルータなどの端末機器を、7月下旬から販売開始することも合わせて発表した。

 先に発表されたADSL回線業者の両雄のイー・アクセスとアッカ・ネットワークスに続き、大御所のNTTが発表されたことで、ADSLは一気に20Mbps超サービスへ加速することになる。NTT東日本は明日にでも発表があると思われるが、あと大手ではYahoo! BBの発表が待たれるが、近々に発表があるであろう。


[2003/06/16] ADSL回線業者の両雄が20Mbps超サービスを発表

 ADSL回線業者のイー・アクセスとアッカ・ネットワークスは6月16日、夏から実施する20Mbps超サービスの発表を行った。背景としては、総務省の事業用電気通信設備等委員会の意見募集で、アマチュア無線との干渉が危惧されるとの意見が集まていたが、6月13日に開催された会合での議論の結果、干渉する周波数の出力レベルを抑制する方向に収まったため、20Mbps超ADSL技術は事実上の解禁になったことがあげられる。
 イー・アクセスの発表によると、標準化された「G.992.1 Annex I」を採用し、下り最大速度24Mbpsサービスを2003年7月より開始するとしている。なお、サービスエリアはADSLプラス(12Mbpsサービス)提供エリアと同一としており、今秋より下り30Mbps超サービスも導入するとしている。
 アッカネット・ワークスの発表では、やはり「G.992.1 Annex I」を採用して、下り最大速度26Mbpsサービス(アマチュア無線への干渉対策の取り組みにより保証するものではないとしているが)を可及的速やかに速やかに提供するとしている。

 同日であるものの、イー・アクセスの発表の数時間後に慌ててアッカ・ネットワークが発表する格好になったが、国内のADSL回線業者の両雄が発表したことで、一気に20Mbps超サービスが加速することになった。今後、ISP(プロパイダ)からの20Mbps超サービスの発表が続くことになろう。


[2003/06/10] 20Mbps超の先陣を切ったのは「コアラ」

 福岡および大分でADSLサービスを展開する「コアラ」は6月9日、8月中をメドに福岡都市圏で24Mbpsサービスを開始すると発表した。受付は10日から開始されているが、新規に「コアラ」へのADSL申し込みが対象で、現在「コアラ」会員の24Mbpsサービスへの切り替えは別途案内するとしている。
 料金は月額3200円前後を予定しており、同社が提供している12Mbpsサービスの月額2860円に対して、約300円のアップになる。なお、モデムのレンタル料金は、12Mbpsサービスと同じ月額500円になる予定だ。

 24Mbpsサービスは、調達先を明らかにしていないが、「G.992.1のAnnex I」準拠のモデムを調達することで実現するとしている。「G.992.1のAnnex I」は、従来の12Mbpsサービスで使っていた「G.992.1のAnnex C」の拡張版で、帯域を2倍の2.2MHzまで拡大して、下り伝送速度を24Mbpsとした。
 ただし、実際20Mbpsで利用できるのは、NTT収容局からの距離が1k〜1.5km以内で、メタル回線の品質が良い限られたユーザーになる模様。


[2003/06/06] 20Mbps超サービスへの準備万端OK!

 6月5日の日経コミュニケーションのHeadline Newsによると、米アトランタで開催中の「SUPERCOMM」で、米UTスターコム、韓国コアクセス、米アナログ・デバイゼズなどは、最大24MbpsのADSL接続サービスに対応した機器出展された。 なお、UTスターコムとコアクセスは、ソフトバンクBBが運営するYahoo!BBへ機器を納入しているメーカー。
 今年の夏に繰り広げられる、ADSL通信事業者らによる20Mbps超サービスの熱い戦いの準備は整った。


[2003/06/04] 20Mbps超対応のADSLモデムが発表

 開始が待たれる20Mbps超のADSL接続サービスだが、NTT-MEが本日発表したニュースリリースによると、6月12日より20Mbps超に対応したADSLモデム「MN7330」の販売を開始する。
 MN7330は、下り20Mbps超の「G.992.1 Annex I」のほか、下り最大12Mbpsまたは8Mbpsの「G.992.1 Annex C」、下り最大1.5Mbpsの「G.992.2 Annex C」に対応している。そのため、フレッツ・ADSL、イー・アクセス、 STNet、HTNet、TOHKnet、HOTnetが提供する現行のサービスにも対応する。なお、発売開始当初は12Mbpsまでの対応となり、各事業者サービスの開始に合わせて、20Mbps超に対応したファームウェアを提供するとしている。
 また、ADSLチップセットはセンティリアム製を利用しているとのこと。このことから20Mbps超のADSLチップセットはすでに量産体制に入っているとみられ、各社がこぞって製品を発表する可能性がある。
 これまで待たれていた20Mbps超のADSL接続サービスだが、いよいよ動き始めたようだ。MN7330の発売が6月12日になることから、6月中には各事業者のサービスが明らかになるであろう。


[2003/06/02] 相次ぐ超高速チップに期待するもの

 センティリアムジャパンは5月28日、最大24Mbpsや50Mbpsなどの高速ADSL技術に対応したチップセットを販売すると発表した。チップセットの名称は『Maximus』で、独自に開発した「eXtremeDSL MAX技術」を使い、1.5メガの「G.992.2」、8メガ/12メガの「G.992.1」、安定性を高めた8メガ/12メガの「G.992.3」など。さらに、国内向けの24メガADSL技術「G.992.1 Annex I」や、現状では欧米向けの24メガADSL技術「G.992.5」にも対応する。
 今回発表されたのは、局に設置してADSL回線を多重するDSLAM(DSL access multiplexer)に組み込むチップセットであるが、端末側のADSLモデムに組み込まれるチップセットも順次発表されると思われる。
 なお、50Mbpsについては、12Mbpsで使われてる周波数帯域を広げる独自方式となるので、他回線に与える干渉を検証するスペクトル管理での議論が必要。このため通信事業者は,すぐに最大50Mbpsのサービスを提供することはできない。

 話は変わるが、日経マーケット・アクセスは5月30日、国内主要ISPの加入数(3月末)を発表している。
 調査によると、総加入数の1位は@nifty(約530万)で、2位のBIGLOBE(約420万)、3位のOCN(約350万)、4位のDION(約240万)、そして5位のYahoo!BB(約230万)と続く。ところが、DSL加入数(ほとんどがADSLと予想される)でみると、1位はYahoo!BB(約230万)で、2位のOCN(約80万)、3位の@nifty(約50万)となる。すなわち、国内最大の加入数を誇るISPといわれる@niftyも、ことDSL加入数ではYahoo!BBの足元にも及ばない存在だ。

 このようになった要因はYahoo!BBの低価格攻勢に負うところが大きいが、今後の展開を考えると、メタル線が故の局間距離(現時点では、局とユーザー間の距離は約4kmが限界)に関わるところが大きい。
 これまでのISPの勧誘作戦は、局間距離が約4km以内のユーザーを標的にしてきたが、今後は更にユーザー層を広げるためにも、局間距離を伸ばしたいところだ。特にDSL加入率が極端に低い(約10%)@niftyなどでは、そのような技術革新がダイヤルアップユーザーをADSLユーザーに取り込む大きなチャンスにもなる。 
 20Mbps超サービスを可能とするチップセットの『AR7』や『Maximus』には、局間距離を伸ばすための技術も盛り込まれているが、地域格差を少しでも減らし、だれもがADSLを謳歌できる日が来ることを期待したい。


[2003/05/11] 20Mbps超サービスも間近!

 「24Mbpsサービスが今夏登場」と過去の記事でお知らせしたが、本格的な動きが見え出した。(本来これらの情報は、ADSLモデムなどのハードウェア変更がともなうことから、新規ユーザーの加入控えをそそることもあって、サービス開始の直前まで公開したがらないが、株価対策などもあって展望を明らかにせざるを得ない事情があったものと思われる。)
 まず、売り上げが当初目標の700億円に届かなかったニフティであるが、8日に開催した2003年度事業方針説明会の席上で古河社長 は、サービス開始時期や料金体系の「詳細は後日」とした上で、近いうちにADSLの新メニューに20Mbps超サービスを追加することを発言した。おそらく、使われるADSLチップセットは、前日の7日にサンプル出荷を開始し、第3四半期から量産を予定しているという、日本テキサス・インスツルメンツの 『AR7』の可能性が高い。
 一方、ソフトバンクは9日、2002年度(2003年3月期)における約1000億円の赤字決算を発表したが、席上で孫社長は、Yahoo!BBで24Mbpsサービスを年内に開始することを漏らしたようだ。業界筋によると、最大24Mbpsで年内ないし年明けに開始される予定で、12Mbpsサービスとの価格差は400円程度になると見られている。
 これらの20Mbps超サービスでは、原理上、条件の良い環境でより高速になるもので、条件の悪い環境では大きく変わらないと思われるが、懲りずに期待している。(゚゚ )\☆


[2003/03/21] Bフレッツと対応ISPの料金改定されるが…

 NTT東日本は3月18日、光ファイバ接続サービスのBフレッツを4月1日から料金改定すると発表した。新料金では、NTT東西格差が大きかった最大100Mbpsの「ニューファミリータイプ」が、1,300円値下げされ4,500円となる。また、工事費を半額とする割引料金も実施し、平日の工事費は通常27,100円が13,550円となる。なお、土日祝日の工事体制も整え、料金は通常34,930円が17,460円となる。
 今回の料金改定をまとめると次のようになり、月額料金ではNTT西日本に及ばないものの、工事費が安いことからトータルではNTT東日本が安くなる。(最大100Mbpsの光ファイバ接続サービスをNTT東日本は「ニューファミリータイプ」、NTT西日本は「Bフレッツ・ファミリー100」と呼んでいるが内容は同じ)

費用 ニューファミリータイプ
(NTT東日本)
Bフレッツ・ファミリー100
(NTT西日本)
【新料金】 【旧料金】 【現行料金】
月額費用 月額料金 \4,500 \5,800 \4,300
屋内配線利用料 \200 \200 \200
回線終端利用料 \900 \900 \900

合計

\5,600 \6,900 \5,400
初期費用 NTT工事費 (平日) \13,550
(土日祝日) \17,460
(平日) \27,100
(土日祝日) \34,930
 \27,100
NTT契約料 \800 \800 \800

合計

(平日) \14,350
(土日祝日) \18,260
(平日) \27,900
(土日祝日) \35,730
\27,900

 @niftyは3月18日、NTT東日本の料金改定に合わせて、Bフレッツ対応コースの月額料金を、4月利用分から2,800円から2,000円に値下げすることと、4月1日から5月31日の間に同社を通じて申し込んだユーザを対象に、BフレッツのNTT工事費と、3ヶ月間の@nifty月額料金が無料になるキャンペーンを実施する(6ヶ月間の継続利用が必要)と発表した。なお、NTT西日本では、4月30日までに申し込んだユーザを対象に、3ヶ月間のBフレッツ利用料が3,000円割引になる「いま光(ピカ)割引」も実施されている。
 各ISPが提供するBフレッツを用いた接続サービスは、月額2,900円前後となっており、ほぼ横並びの状態だ。そのため今回の@niftyがきっかけとなり、他ISPにおいても値下げが期待されるところだろう。

 NTT西日本の料金体系は何ら変わっていないが、@niftyを通じて申し込む場合には、キャンペーンの恩恵を蒙ることができるので、年間費用は相当変わってくる。下記は、@niftyユーザがADSL(12Mbps)からNTT西日本 Bフレッツファミリー100に乗り換えた場合に、年間費用がどの程度変わるかをシミュレーションしたものだ。(NTT東日本の場合は年間で2,400円プラス)

費用 【新料金】
@nifty+
NTT西日本 Bフレッツファミリー100
【旧料金】
@nifty+
NTT西日本 Bフレッツファミリー100
@nifty+
eAccess ADSL
(12Mbps)
月額費用 @nifty月額料金 \2,000
(3ヶ月間 無料)
\2,880
(6ヶ月間 \980)
\3,280
(ADSL利用料含む)
Bフレッツファミリー100利用料 \4,300
(3ヶ月間 \1,300)
\4,300
機器使用料等 \1,100 \1,100 \500
NTT回線使用料 \173

合計

\7,400
(3ヶ月間 \2,400)
\8,280
(6ヶ月間 \6,380)
\3,953
初期費用 NTT工事費等(NTT契約料含む) (NTT契約料) \800
(平日に限り
工事費無料)
\27,900

(設置済)

ブロードバンドルータ
(
NetGenesis SuperOPT90)
\17,000 \20,000

(不要)

合計

\17,800 \47,900 \0
年間費用 初年度(初期費用+月額費用×12) \91,600 \135,860 \47,436
2年目以降(月額費用×12) \88,800 \99,360 \47,436

 ADSL(12Mbps)に対する年間費用の負担増が、旧料金では初年度で約8.8万円、2年目以降で約5.2万円だったのが、新料金では初年度で約4.4万円、2年目以降で約4.1万円に縮まってきている。
 これをどう評価するかは人それぞれであろうが、ADSLの3Mbps弱でそれほど不満を感じない、しがないサラリーマン稼業の筆者にとっては、3つの大きな課題もあって乗り換えの動機に至らないのが事実だ。


[2003/03/14] IP電話は固定電話を駆逐するか?[4]

 3月3日に佐川急便にてニフティから大きな封筒の「モデム回収キット」が届き、「モデム返却手順」とともに、新品の大きな封筒とニフティへの着払い伝票が入っていた。「モデム回収キット」に、試験サービス で使用したレンタルモデム一式とスプリッタを入れて、10日以内に着払い伝票で返送して欲しいとのことだ。 (後日談になるが、返送期日も過ぎようとしている3月13日に、ニフティから「モデム回収キット誤送付についてのお詫び」が届き、「レンタル機器返却手順書」の変更がなされている。)

 筆者宅ではこれからも使う予定もなく、箱から出して見ただけで、試験サービスにも参加しないで保管していたモデムキットの一式を返送した のは言うまでもない。(3月8日返送済)

 「IP電話は固定電話を駆逐するか?」との大それた命題を掲げたが、残念ながら結論を見出すこともなく終わることになるようだ。なぜならば、IP電話によって大きな恩恵を蒙る人と、恩恵を蒙らないユーザー間の差が大きく、一概に結論づけられないことに起因する。(今春から始まる各社の商用サービス料金と固定電話との比較はこちらが詳しい。)
 また、現在のADSLサービスは、日経インターネットの小松原氏が問題提起するように、伝送品質という大きな不安要素が あるのも事実で、今後の改善いかんでIP電話の行く末も変わると思われる。

 そしてもう一つの大きな問題は、現時点ではIP電話から固定電話への発信はできても、固定電話からIP電話への直接の発信ができないことだ。固定電話からIP電話へ発信するためには、電話交換機が「050」で始まる電話番号を固定電話から受け取ったら、そのあとの4桁の番号に従って、各社のゲートウェイに振り向ける電話交換機の改修工事が必要となる。この工事が全国で完了するのは今年の夏と言われているが、改修工事の費用をどこが負担するのかも決まってなく、工期もままならない状況だ。受益者負担が原則 であるが、その場合は通話料に加算されることになる。(片方向サービスの課題と対処はこちらが詳しい)

 ところで、NTT Comより「ISP5社のVoIP相互通話共同実験の検証結果について」という興味深いレポートが、3月6日に発表されているので紹介しておきたい。
 このレポートは、ISP5社(OCN、@nifty、BIGLOBE、Panasonic hi-ho)のADSL会員向けに実施した、NTT ComのVoIP基盤ネットワークを利用した約4万人のIP電話試験サービスにおいて、ISP間相互通話の品質面および運用面について、約1万人から回収したモニタのアンケート調査をまとめたものだ。
 発表された結果の概要は下表となり、以降に考察してみた。

音声品質 IP電話から一般電話へ書けた場合 一般電話と同等以上
一般電話と携帯電話の間
携帯電話と同等以下
57.4%
28.0%
14.6%
IP電話同士 一般電話と同等以上
一般電話と携帯電話の間
携帯電話と同等以下
61.4%
25.2%
13.4%
トラフィック動向 実験前と実験中の電話利用時間の変化 増えた
変わらない
減った
37.4%
60.4%
 2.2%
IP電話同士の通話を行ったことがあるか ある
ない
10.1%
89.9%
利用動向 本格サービス開始後の利用動向 利用したい
どちらともいえない
利用したくない
70.9%
17.3%
11.8%
利用したい理由 一般電話への通話料が安い
無料通話ができる
サービス品質に満足
「050」番号がもらえる
92.4%
87.4%
21.3%
20.5%
今後IP電話を利用していく上での心配点 盗聴
個人情報漏えい
音声品質
迷惑電話
49.1%
47.3%
43.1%
33.0%
  1.  音声品質は、概ね問題のない範疇であるようだが、1割強が「携帯電話と同等以下」と答えているのが気に掛かる。
  2.  試験サービス期間内は、IP電話同士のみならず国内一般電話への通話が無料であったのにかかわらず、「電話利用時間が変わらない」との回答が約60%だったのが意外だ。携帯電話やメールの普及もあって、必要最小限の利用しかしていない固定電話の運用を象徴してるのか。
  3.  本格サービス開始後も通話料が無料のIP電話同士の通話について、行ったことがあるモニタは約1割と少なく、「無料通話ができる」ことが今後も利用したい理由として圧倒的なことから、提携ISP網の拡大・拡充が今後の課題として提起された。
  4.  本格サービス開始後も「利用したい」と答えたのが約70%と、IP電話の将来は順風で意気揚々のようにも見えるが、約4万人の試験サービスにおいて約1万人から回収された回収率25%のアンケート結果であることに注意したい。事実、筆者にもアンケート調査依頼があったが、利用していなければ有効にならないアンケート形式なので、現在利用してなく今後も「利用したくない」の回答を有効にできれば、結果が大きく変わると思われる。

 いずれにしても、IP電話が固定電話に取って代わるためには、まだまだ課題が山積するも事実だ。ただ、はっきりとしてるのは、IP電話が普及すればするほどに、ベストエフォートの名の下にないがしろにされてきた、伝送品質の 問題がクローズアップされるのは火を見るよりも明らかで、その結果としてADSLサービスの伝送品質の向上が期待できることだ。


[2003/02/23] IP電話は固定電話を駆逐するか?[3]

 2月20日にニフティよりメールが届き、「@niftyフォンの試験サービスは、予定通り2月28日にて終了するので、本格サービス開始後も引き続き利用するか?」の旨を、意思確認用Webで手続きをして欲しいとのこと。
 本格サービスに移行後の料金は下記の通りで、モニター移行特典の終了後は、基本料280円とIP電話端末機器のレンタル料380円の月額合計660円と、会員および提携ISP間の通話以外の通話料金の合計になる。(我が家はTAタイプだが、ADSLモデム一体型の場合は、ADSLモデムレンタル料が500円なので、IP電話端末機器のレンタル料は実質280円となり、月額合計は100円安くなる。)

  サービス開始後料金 モニター移行特典
初期費用 500円(初期登録費用)

無料

月額費用 280円(基本料) 2003年3月から6ヶ月間無料
通話料金 会員および提携
ISP間の通話:無料
 
国内通話:8円/3分 2003年3月分国内通話無料
国際通話:地域ごとに
異なる(例:米国 9円/1分)
国際料金一覧
 
IP電話機能付き
端末機器の
レンタル料
780円/月
(ADSモデム一体型:ADSL
モデムレンタル料を含む)
 
380円/月
(TAタイプ)
 

 月額660円(560円)が安いか高かは、日常の電話の使い方で大きく異なるが、筆者宅の子供達はもっぱら携帯電話を使っていることもあって、固定電話を使うのは我々夫婦だけなので、1ヶ月の通話料は平均すると約1000円程度 だ。また通話先も、会員および提携ISP間を経由する電話もほとんどなく、たまに使う市外通話を含む国内通話と携帯電話の通話のみだ。携帯電話への通話が約300円なので、IP電話で安くなるのは国内通話の約700円 だ。(緊急電話や携帯電話、PHSなどへの通話はIP電話サービスの対象外)
 従って我が家では、約700円の国内通話料金をいくばくか安くするために、IP電話の契約料の660円を支払うことになり、シミュレーションするまでもなくIP電話に加入すると、反対に経費増 になるケースだ。

 もっとも筆者宅では、月額が安いか高いかの前に、IP電話の設置環境に問題があって試験サービス中に1回も使わなかった口で、本格サービスを利用しない意思表示をしたのは言うまでもない。(^^;)

つづく


[2003/02/08] 24Mbpsサービスが今夏登場!

 約2年前に本格的に普及し、短い間に細切れで速度アップしてきたADSLだが、どうやら最後の到達点になるであろう速度アップが今年の夏頃に実施されそうだ。

 ADSLの速度を振り返ると、
  2001年春 1.5Mbpsサービスで普及の本格スタート
  2001年秋 新規格の8Mbpsサービスが登場
  2002年夏 8Mbpsサービス拡張の10Mbpsサービスが登場
  2002年秋 新規格の12Mbpsサービスが登場
 約1年半で1.5Mbpsから8倍の12Mbpsになり、モデムの規格も1.5/8/12Mbpsの3種類が存在する。その間にDSLサービス加入者数は、総務省のDSL普及状況公開ページによると、2001年3月末の約7万人から2002年9月の約422万人と約60倍に急増した。(2002年12月末現在で約565万人で、日本の所帯数が約5000万とすると普及率は1割を超えた。)

 新しい規格は、最大24bpsの「G.992.5」と日本向け仕様の「G.992.1 Annex I」で、どちらも1月31日に開催されたITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の会合で同時に確定した。「G.992.5」はソフトバンクBBが、「G.992.1 Annex I」は東西NTT、イー・アクセス、アッカ・ネットワークなどが採用する予定だ。どちらも5月にも正式に勧告化される予定で、今年の夏には24Mbpsサービスが登場すると思われる。

 詳細は不明だが、懲りずに期待している。(゚゚ )\☆

つづく


[2003/01/02] IP電話は固定電話を駆逐するか?[2]

 各社が鎬を削るIP電話ユーザ獲得戦は日増しに激しくなってきた。その背景には、このままヤフーBBの独走を許すと、後で逆転を図るのが難しくなることもあって、熾烈なユーザの囲い込み になっている。

 逆転が難しくなる理由は、ダイアルアップ接続ならモデムはISPによらずに使えるが、ADSLでは事業者ごとに異なっているの で、事業者を乗り換えようとすれば、レンタルであれば返却しなくてはいけないし 、買い取りであれば新たに購入しなくてはならないことに起因する。また、NTTの局舎内での配線変更工事 なども必要で、タイミングにより乗り換え前後のISPがともに使えない、常時接続の空白期間が数日間発生する。
 このように、ADSLではダイアルアップ接続と異なり、事業者の乗り換えに多大な経費や手間が掛かるため、いったん他事業者に加入したユーザを自社に乗り換えさせる のが大変難しくなってくるので、IP電話を餌にしたユーザ獲得戦が激しくなる所以だ。

 筆者はニフティ(ISP)+イーアクセス(ADSL事業者)のユーザだが、 例に漏れずこちらでも@niftyフォン(IP電話)無料モニターの募集が12月2日から始まったので、詳細仕様が不明で不安だった ものの、無料ということもあってとりあえず申し込んでいた。下記に到着した様子をまとめてみた。

 お待ちかねの2002年12月18日にニフティから のメールで、電話アダプタを19日、登録内容通知書を20日に発送する旨の連絡があった。

 翌21日には、大型マザーボードのパッケージほどもある箱で、右のNEC製の電話アダプタ(正式名称はVoIPテレフォニーアダプタ IV-110SN)が佐川急便にて到着した。箱の中にはAC電源アダプタ、LANケーブル、モジュラーケーブル、電話アダプタの縦置きスタンドやマニュアル類一式が同梱されていた。 特に電話アダプタのマニュアルは詳細で、100頁を超える「ユーザーズマニュアル」に「スタートアップマニュアル」と「簡単接続ガイド」が付属する年が入った立派なものだ。

 どうでも良いことだが、送り状のご依頼主の欄には、「アッカネットワークス発送センター 発送代行:(株)富士ロジテック ニフティ株式会社」と書かれていて、中にNEC製モデム、筆者はイーアクセスのユーザ で、 入り乱れた5社がどのような関係にあるのか興味津々でもある。

 また22日には、ニフティより朱色のスタンプで「重要」と押された封書で、設定用のユーザIDやパスワードなどが記載された登録内容通知書が届き、いよいよIP電話を使用する機材が整った。

  さて、いざ使ってみようとマニュアルを見たところ、電話アダプタの接続仕様は次のようになっていた。入力ポートは2つで、1つはスプリッタの電話用ポートに接続し、もう1つはモデムのLANポートに接続する。また、 出力ポートも2つで、1つは電話機に接続し、もう1つはPC(PC複数台接続ではハブ)に接続する。

 言葉では簡単だが、そもそも筆者宅のADSLモデム接続はこのようになっているので、現状を維持しながら電話アダプタを設置すれば、 下の(a案)のようにな り、1階と2階の間に更に約20mのモジュラーケーブルを2本敷設する、とんでもないものになってしまう。

 (a案)はとても現実的な方法と言いがたいので再考してみたが、やはり(b案)のように、1階のMJ(モジュラージャック)の近くにスプリッタ、ADSLモデム、電話アダプタと電話機を集合し、1階から2階へはLANケーブルに張り替える 方法が最適のようだ。

 しかしこのようにすると、少々のリンク速度を犠牲にしてまでも使い勝手を優先した設置環境に、大きな3つの課題が発生する ことになる。もっとも、2階から電話線を引き込んでMJを新設すれば全てが解決するのは分かってるが、ここまで経費を掛けてまでやる気になれないのも事実だ。

 このようなことで、IP電話の機材はすでに整っているが、考えあぐねているうちに年が変ってしまった。ここまでくれば、重い腰を上げるのは、このテーマが完結して結論が出てからでも遅くないと考えている(^^;)

つづく


[2002/12/21] IP電話は固定電話を駆逐するか?[1]

 1890年(明治23年)12月16日に東京〜横浜間で日本初の電話が開通して112年が経ったが、家庭へのインターネットの普及にともない、通信事業はいま大きく変貌しようとしている。その背景には、常時接続が基本のADSL回線で世界中のWebサイトを無料でネットサーフィンができるがごとく、ADSL回線を利用したIP電話(※)が登場してきたことにほかならない。

 (※)IP電話とは音声をパケットと呼ぶ一定の単位に分割してIP網に流す通話方式で、通常の交換機ベースの電話網に比べてネットワークの構築コストが安いため、通話料金を大幅に低く設定できる特長を持つ。現在提供されてるサービスには、IP網と固定電話網を組み合わせるものと、IP網オンリーのものがあり、また利用するIP網についても、通常のデータと混在させるケースと、音声専用IP網を構築して提供するケースがある。
 品質やセキュリティなどの面では、IP網オンリーが有利とされるが、常時接続環境が前提条件となるとともに、現状ではIP電話から固定電話に着信できても、逆の固定電話からIP電話への着信ができない課題がある。この着信の問題を解決するために、総務省は11月25日に9月中に申請のあった通信事業者5社へ、IP電話の識別をするための「050」ではじまる合計700万番号の割り当てを開始した。

 IP電話で草分け的な存在は2001年4月にサービスを開始したフュージョンであるが、爆発的な需要喚起の起爆剤になったのは、つい最近サービスを開始したヤフーBBのBBフォンであろう。日本全国およびアメリカ(本土)へは一律3分7.5円、またBBフォンどうしなら無料。初期費用や月額費用などもヤフーBBの加入者であれば一切無料という超低料金システムで爆発的な加入者を集めている。

 では、ヤフーBBに対抗する他ISP (Internet Service Provider)の動きはどうなのだろうか? 下記に、最近のIP電話に関わる主な出来事と、提携関係を図式化した「IP電話を巡るISPの相関関係」で整理してみた。

  1. (11月14日) NTTコム、So-net、ニフティは3社連合の結成を発表
     3社のIP電話に加入する会員間での通話が無料になるサービスを2003年3月より開始する。
     
  2. (11月15日) メガコンソーシアム4社は相互接続で同意を発表
     プロパイダ連合「メガコンソーシアム」の幹事会社である、NEC、松下電器産業、日本テレコム、KDDIの4社は、IP電話の相互接続で同意した。 会員間での通話が無料のサービスを2003年4月より開始する。また、メガコンソーシアムの会員企業(10月末時点で54社)に呼びかけるとともに、会員以外のプロパイダなどとも積極的に相互接続の検討を進める計画。
     
  3. (11月20日) 3社連合にNEC、松下電器が参画し5社連合に!
     メガコンソーシアム4社のうち、通信キャリア系の2社を除くNECと松下電器産業が、NTTコムなど3社連合の接続実験にも参画を決定し、3社連合とメガコンソーシアムの2社が入り混じった5社グループが誕生。(11月21日の日本工業新聞の記事より)
     
  4. (11月27日) イー・アクセスとISP11社の連合を発表
     イー・アクセスのADSL回線を利用するISP11社は、IP電話事業の共同展開で合意した。イー・アクセスはIP電話機能内蔵のADSLモデムを供給し、11社のIP電話の会員間であれば無料で通話できるようにする。また、通信キャリア系ISPの日本テレコム、KDDI、TTNetの3社は、自らが構築するIP電話用の中継ネットワークを相互接続する。




     
  5. (12月20日) NTT東西地域会社もIP電話事業に参入
     NTT東西地域会社は、ADSLサービス「フレッツ・ADSL」とFTTHサービス「Bフレッツ」のユーザ向けに、IP電話に対応した端末機器を2003年3月より順次提供を開始すると発表した。NTT東西地域会社はIP電話を提供しないが、フレッツを利用するISPがこの宅内装置を利用してユーザにサービスを提供できるようになる。

 今回はプロローグとして、IP電話におけるヤフーBBの先行と追撃する他ISPの動きについて整理してみた。この記事を執筆する間にも、NTT東西地域会社も参入のニュースが飛び込び驚いた。どうやらIP電話のグループは、ヤフーBB、ヤフー対抗連合、NTT東西地域会社の三つ巴戦の様相を呈してきたようだ。
 次回のテーマはまだ考えてないが、何回かのシリーズでもって、タイトルの「IP電話は固定電話を駆逐するか?」を皆さんと一緒に考えてみたい。

つづく

 

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