ASUS P2B-F でクロックアップ

 

(1)ASUS P2B-Fの緒言
AOpen AX6Bも安定して良いマザーボードでしたが、CPUの抜き差しが多すぎたためか、Slot1ソケットの接触が怪くなったので、新しくASUS P2B-Fを新調しました。数あるマザーボードの中でP2B-F(PLL=ICS 9250BF-08バージョン)を選択した大きな理由です。
 1)SL3CDのクロックアップに挑戦するに最適なFSBが100MHz〜133MHzの間に豊富に存在
 2)IO電圧(標準3.3V)が、いわゆる「喝入れ」状態の3.5V(^^;)
P2B-Fについては、PLL-ICが「IC-WORKS W145H」と「ICS 9250BF-08」バージョンの2種類が流通してますが、後者の「ICS 9250BF-08」には多種多様なFSBが存在します。
PCI CPU外部周波数(バスクロック)
分周比 66 75 83 100 103 105 110 112 115 120 124 133 140 150
1/4                     31.0 33.3 35.0 37.5
1/3       33.4 34.3 35.0 36.7 37.3 38.3 40.0 41.3 44.3    
1/2 33.4 37.5 41.7                      
昨年末の最初の流通時には、FS3のジャンパーピンが半田で「2-3」固定にショートされていたため、鏝入れでジャンパーピンを立てるかH.Oda!氏のSoftFSBを使わない限り、表中の水色の設定しか出来ませんでした。ところが最近流通してるものの中には、FS3にジャンパーピンが立ってるものがあります。もちろんこれをゲットしてきましたが、いくつかのFSBを試した限りでは、FS3のジャンパーもSoftFSBでの設定も可能でした。(P/N M6P410-T0  S/N 93M7329249)
左画像の右端にICS 9250BF-08とFSジャンパー群が見えます。右の拡大画像の上からFS0、FS1、FS2、最も下が問題のすでにジャンパーピン植わってるFS3です(^^)v
P2BFでのTAKA100P2LUとDIMMソケットの間隔 P2BFのICS-9250BF-08とジャンパー群
マザーボードのマニュアルでは、いまだにFS3が「1-2」の設定がありません。いわゆる保証外の隠し設定です。ジャンパー設定とFSBの一覧表です。
クロック PCI FS3 FS2 FS1 FS0
133 33.3 1-2 1-2 1-2 1-2
124 31.0 1-2 1-2 1-2 2-3
150 37.5 1-2 1-2 2-3 1-2
140 35.0 1-2 1-2 2-3 2-3
105 35.0 1-2 2-3 1-2 1-2
110 36.7 1-2 2-3 1-2 2-3
115 38.3 1-2 2-3 2-3 1-2
120 40.0 1-2 2-3 2-3 2-3
100 33.4 2-3 1-2 1-2 1-2
133 44.3 2-3 1-2 1-2 2-3
112 37.3 2-3 1-2 2-3 1-2
103 34.3 2-3 1-2 2-3 2-3
66 33.4 2-3 2-3 1-2 1-2
83 41.7 2-3 2-3 1-2 2-3
75 37.5 2-3 2-3 2-3 1-2
124 41.3 2-3 2-3 2-3 2-3
左上はTAKA100P2LUを搭載した画像ですが、ぎりぎりでDIMMソケットは4本全て使えます(^^)v
Sllot1とDIMM0のソケットセンター間隔が66mmに対して、62mm(TAKA100P2LU)+3.3mm(CPU基板センターからCPUダイ)+1.8mm(DIMM基板センターからRAMチップ)=67.1mmで、約1mm足りませんが、重さでヒートシンクファンがお辞儀するので大丈夫です(^^;)
また最近のマザーボードは対応してるようですが、キーボードのスペースバーでシステムの電源をオンできるキーボードパワーアップ機能も楽ですね。机の上に置いてるフルタワーの最上部まで手を伸ばすのが大変で(^^ゞ
ということで、お気に入ったマザーボードに出会い、バックアップの時間がもったいなかったような全くのノントラブルで換装が終了しました。 (1999/04/30) 
(2)SDRAMクロック耐性チェック
倍率固定でないSL264(PentiumII-233)を使って、L2 Chcheを切った2.5倍速でSDRAMのクロック耐性チェックを行いました。SL264は361MHz(103*3.5)の動作実績しかないので、FSB=150MHz(375MHz)はSDRAMかCPUのどちらの限界か怪しいとこです(^^;)
下表の桝目の中の判定基準は次の通りです。(一部推定あり)
  ○=SoftFSBでFSBが切り替えられて、かつYBENCHがぶじ終了した
  △=SoftFSBでFSBが切り替えられたが、YBENCH実行中にフリーズした
  ×=SoftFSBでFSBの切り替え中にフリーズした
また実験条件は以下の通りです。
 SDRAM種類
  A=128MB  LGS GM72V66841CT7J 9815 KOREA (1998/6/11 神和電機にて購入)
  B= 64MB   SEC KM48S8030BT-GH 807 KOREA (1998/4/28 ファナティックにて購入)
 DIMM Socket
  P2B-FではCPUに最も近いのがNo.0 Socket、最も遠いのがNo.3 Socket
 SDRAM設定
  CL2=2-2-2-8(CAS Latency/RAS to CAS Delay/RAS Precharge Timeは2T、
      Idle Timerは8T)、MA Wait StateはNormal
  CL3=3-3-3-10、MA Wait StateはNormal
結果のクロック耐性は、CL2設定で124MHz、CL3設定にすれば133MHzの実力があることが判り、日本橋に買いに走る必要がなくなりました。さすが喝入れマザーか(^^)v
SDRAM DIMM SDRAM CPU外部周波数(バスクロック)
種類 Socket 設定 100 103 105 110 112 115 120 124 133 140 150
A 3 CL2         ×    
CL3                 ×
B CL2          
CL3                      
B+A 3+2 CL2         ×    
CL3                  
  
(3)SL3CDのクロック限界を探る
まずはFSB=115MHzの575MHz設定にてYBENCH実行中にフリーズ。L2 Chcheを切ってもやはりフリーズ(^^;)。後述しますが原因はCPUコアの限界のようでした。
オーソドックスにCPUコア電圧とL2 CacheのON/OFFによる駆動限界を探りました。コア電圧の変更には、メンディングテープによるマスキング法により行いました。
判定基準は上のSDRAMクロック耐性チェックと同じで、実験条件は以下の通りです。
 SDRAM=B+A
 SDRAM設定=CL3(3-3-3-10)、MA Wait StateはNormal
CPUコア電圧 L2 Cache CPU内部周波数(括弧内はバスクロック)
500 515 525 550 560 575 600 620 665 700 750
(100) (103) (105) (110) (112) (115) (120) (124) (133) (140) (150)
2.0V ON         ×        
OFF         ×        
2.2V ON         ×      
OFF         ×    
2.4V ON         ×      
OFF         ×  
上の表から以下のことが言えます。
 1)デフォルト(CPUコア電圧=2.0V)では、CPUコアのクロック限界は560MHz辺りである。
  L2の耐性アップと関係のないCPUコア電圧アップで、L2 ONでの動作限界が上がる。
 2)L2 Cacheのクロック限界は300MHz(600MHz/2)辺りである。
  定格4nsに対して動作限界3.3nsまでの余裕率は20%となる。
 3)CPUコアのクロック限界はコア電圧に大きく依存し、2.4Vにて665MHzまで駆動可能。
  ただし放熱のためのしっかりとした冷却が必要。
デフォルト状態のクロック限界は、CPUコア<L2(560<600)となり、CPUコアの560MHzで制限されていた。CPUコア電圧を2.4Vまでアップすると、L2<CPUコア(600<665)となり、L2の600MHzで制限されることになる。(CPUの個体差は大きいですが、皆さんのは如何でしょうか?)

予想はしてたものの純空冷での限界はここまででした。これ以上大きなクロックアップを狙おうとすると、L2ごと冷やすような液体窒素冷却などが必要かもしれません(^^;)
結果はチョット不満足ですが、夢にまでみた600MHz超え、それもL2 OFFであるものの665MHz(133*5.0)を見れたのが大きな収穫でした。ヽ(^。^)ノ       (1999/05/03)

以上の結果から、真夏に備えて安定最重視の575MHz(115MHz*5)を常用に設定。
もちろんSoftFSBを使わなくてもジャンパーピンで設定の起動デフォルトです(^^)v
以下は旧環境560MHzと新環境575MHzでのLL点の「よね指数」です。
なお、あまり効果が見込めそうもない熱伝導シートと銅版はすでに外してます(^^ゞ
 測定点 Start End Temp Time  Index   実験仕様
  LL   30.0 33.9  3.9  282.5 0.0138  560MHz  2.2V(V.core)
  LL   30.0 34.1  4.1  286.9 0.0143  575MHz  2.2V(V.core)
                                     (1999/05/04)
  
(4)P2BMONでヒートシンク温度分析
P2B-Fを選択したのは、FSBの選択肢が多いのとI/O電圧の喝入れもさることながら、ハードウェアモニターのP2BMONが使えるのも大きな理由でした。温度のグラフと3系列表示するものとしては他に例を見ません(Winbond W83781Dを使用のマザーボードでは使える可能性あり)
従って、マザーボード装着以外の2本の温度センサーが使用可能ですが、P2B-Fのパッケージには1本しか添付されてないので、TWO TOP日本橋店で1本購入(\480)しておきました。
画像はヒートシンクとCPU基板に装着した状態です。
      M/Bコネクター  P2BMON表示
 LB点    JTCPU      CPU1
 KB点    JTPWR      CPU2

温度センサーの取り付け位置

P2BMON実行時の画像ですが、X軸が経過時間、Y軸がセンサー温度で、青がマザーボード、赤がヒートシンク(LB点)、緑がCPU基板(KB点)の温度変化が表示されてます。また、監視電圧についても表示され、Core 2.22V、IO 3.5Vが読み取れます。
このグラフは575MHz環境にて、P2BMON起動後1分後にYBENCHを実行した時の温度変化を示してます。約5分のYBENCH実行中は温度上昇して、終了後は徐々に下降するカーブが一目瞭然に読み取ることができます。ここで注目して欲しいのは、温度が上昇するに従って、CPUダイの後頭部のCPU基板(KB点=緑)とヒートシンク(LB点=赤)の温度が離れていくことです。この現象は、CPUダイとヒートシンクの熱結合、もしくはヒートシンクファンでの熱放出が不充分なことを表しています。つまり、この差が小さいほど理想的な冷却が行われてると判断できます。

YBENCH実行時のP2BMON温度経過グラフ

このように有意義な、P2BMONの入手先とWindowsNTでの使用方法をご紹介します。
【P2BMONの入手先】
 H/W Monitor for P2B series P2BMON10.LZH(NiftyのIDのない方は入れません)
 Windows95/98での実行はこれだけで簡単ですが、
 WindowsNTでの実行には以下のファイルが必要です。
 GIVEIO.SYS(directio.zipの中)とLOADDRV.EXE(may95.zipの中のtomilinsn.zipの中)
【WnindowsNTでの使用方法】
 1)GIVEIO.SYSをwinnt\system32\drivversにコピーする。
 2)LOADDRV.EXEを起動した窓にwinnt\system32\drivvers\giveio.sysと記入し、
  Installボタンを押す。
 3)コントロールパネルのデバイスを開いて、スタートアップボタンで自動に設定したのち、
  開始ボタンを押すとP2BMON.EXEが起動できるようになります(¨;)
                                        (1999/05/05) 
  
(5)MTLBenchで耐久性試験
クロックアップの締め括りは耐久試験です。いくら速くても、大きな負荷で落ちるマシンなんて危なっかしくて使えないということで、高負荷での耐久試験を行いました(^^;)
使用したアプリケーションは、素数算出&三角関数算出&30MBのデータを読み書き&2D描画をマルチスレッド(5スレッド同時実行)しながら、指定回数ループする、一定の負荷を掛けた状態での耐久性(熱暴走などの)チェック用のMTLBench ver0.99αです。(1600*1200 24bit)
とりあえず、100ループで恐る恐る実行してみましたが、約70分後にぶじ終了しました(^^)v
下はMTLBench実行時のP2BMONでの温度監視データです。温度センサー取付位置は、前のYBENCH実行時と同じですが、X軸・Y軸の数値が違うので注意願います。
データはケースを閉めて十分な暖機運転を行い、ケース内温度がほぼ飽和した時点から、MTLBenchを実行すると同時にP2BMONでの温度監視をスタートしました。実行中の温度上昇勾配に変化がありますが、実行するスレッドにより差があり、40分手前以降から終了の70分までは、2D描画が実行されてましたがこれが一番厳しいようです。
ここでもやはりCPU基板とヒートシンクの温度差はありますが、意外だったのはCPU基板の温度上昇にヒートシンク温度が追随しすることです。すなわち、CPUからヒートシンクへの伝熱にロスはあるものの、それなりに伝わってる証明でもあります。(伝わったものは、ヒートシンクとファンの性能によってケース内に放熱される。)

MTLBench Ver.0.99α実行時のP2BMON温度経過グラフ

  
(6)総括
SL3CDを純空冷でどこまで安定して使えるかを見極めるのを課題として、臨床実験を重ねてきましたが如何だったでしょうか?
結果としては、真夏のクーラーのない部屋で数十分のレンダリングに耐えるためには、定格15%アップの575MHzあたりが限界と判断しました。また、この限界を上げるためには、CPUの発熱そのものを下げることと、L2キャッシュの駆動限界を上げるのが必須と思われます。
インテルのロードマップでは、年末には0.18μmプロセスでL2キャッシュ内蔵のCoppermineが登場することになってますが、どこまで限界が上がるのか期待しながら待つことにしましょう。

最後になりましたが、実験に使用させていただいた素晴らしいアプリケーションを提供していただいた作者各位殿に、謝辞を申し上げるとともに今後の更なる活躍を期待しながら、本シリーズの筆を置くことにします。ありがとうございました。_(_^_)_
 SoftFSB Ver.1.6-B5/WCPUID Ver.2.4d    H.Oda!氏    http://www.h-oda.com/
 YBENCH Ver.2.05/MTLBench Ver.0.99a  Yone氏      http://www.lares.dti.ne.jp/~yonet/
 P2BMON  Ver.1.00                               T.T氏         HGB03316@nifty.ne.jp
長らくお付き合い願いました読者の方もありがとうございました。m(__)m 
                                                                                  (1999/05/08)
  
(7)MTLBenchで耐久性試験の追報(^^;)
このシリーズも終結のつもりでしたが、クロックアップ後の耐久性試験に最も適切と思われるMTLBenchがバージョンアップされたので追報をアップします。今回のデータは、5/12にアップされたMTLBench Ver.0.99β1で、計測方法は前の「MTLBenchで耐久性試験」と同一です。

MTLBench Ver.0.99β1実行時のP2BMON温度経過グラフ

P2BMONのグラフで明らかなように、比較的滑らかな温度上昇カーブになっています。
今回のバージョンではスレッドの割り込み間隔が最適化されたので、前のバージョンのようなLoop後半で厳しい2D描画だけがまとめて実行されなくなったのと計測時間が約20%短縮したので、マシンにはだいぶ優しくなりました(^^)v (喜こぶべきことなのか(笑)) 
(1999/05/15)

 
MTLBenchVer.0.99β3にアップされたので追報です。計測方法は前の「MTLBenchで耐久性試験」と同一です。ただし、ハードウェアとしては次の点が異なります。
 1)マザーボードはP2B-Fですが、故障のため新品に変わったので、個体差の範囲で
  CPUコアとIOに供給される電圧が低くなっています。
 2)ケースの電源が変わって、CPU真上から吸気するタイプから、電源側方から吸気して
  ケース外に排気するようになりました。(排気能力は新しいのが高いと思われる)
 3)ヒートシンクファンは再度組みなおしてます。

MTLBench Ver.0.99β3実行時のP2BMON温度経過グラフ

しかし、CPU基板(緑)とヒートシンク(赤)の差が大きいのが気になります。
可能性としては以下のケースが考えられますが、
 1)ケース内の空気流等の改善効果で、ヒートシンクの冷却能力が高くなった。
 2)CPUとヒートシンクの熱伝導効率が悪く、ヒートシンクにCPUの熱が伝わってない。
2)の可能性が高いような気がするので、ケースを開けてチェックしてみます。 (1999/06/13)

 
CPUとヒートシンクの固定を再確認後に測定しましたが、CPU基板(緑)とヒートシンク(赤)の差が大きいパターンは変わりませんでした。ここまできてふと気付いたのは、マザーボード温度(青)がMTLBench実行中にほとんど変わってないことです。そういえば、新しいケースの電源は、ケース内温度によってファンの回転数を制御するインテリジェント機能付きだったことを思い出しました(確かに温度上昇するに比例して煩くなる)。どうもこの仕業は、ケース内の空気流等の改善効果により、ヒートシンクの冷却能力が高くなったのが要因のようです。ヽ(^o^)丿 (1999/06/15)

MTLBench Ver.0.99β3実行時のP2BMON温度経過グラフ再取得

 
MTLBenchの正式版Ver1.0がリリースされたので再計測してみました。
CPUへの負荷としては従来のβ版と大きな差はないようです。
なお、新規にリリースされた正式版にて、「真夏の耐久選手権」と銘打ったベンチマーク大会が催されます。マイマシンの健康診断も兼ねてのご参加をお勧めします。 (1999/06/27)

MTLBench Ver.1.0実行時のP2BMON温度経過グラフ再取得






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