久しぶりに、「お気に入りCDの紹介」
実は私、ムラビンスキー&レニングラードフィルの演奏が好きです。
亡くなった指揮者で、生で一番聴きたかった指揮者誰かと尋ねられたら、
迷わず「ムラビン」と答えます。
もちろん、ショスタコーヴィチやチャイコフスキーの演奏も良いのですが、
私の持っているムラビン&レニングラードのCDでの一番お気に入りは、
ブラームス交響曲全集です。その中でもとりわけ、3番が好き。
私がレニングラードフィルの何処が好きかと言いますと、もちろん
名手ブヤノフスキーの率いるホルンセクションも良いのですが、
何と言っても【弦】セクションです。
分厚い音で、縦の線がビシッとそろった弦セクションは、あの強力な
金管セクションに全く引けを取らず、それでいて歌心も十分備えている
私好みの音です。だから弦セクションが大活躍するブラームスの演奏も、
気に入っているのでしょう。
ところで、今日一枚のCDを購入しました。
昼食後にフラッとCDショップに入った私は、先日発売になったばかりの、
小林研一郎&チェコフィルのマーラー交響曲7番を買おうと思い、CDを
手にしました。(チェコフィルも、相変わらず好き)
ところがレジに向かう途中、平積みにされたCDが目に入りました。
「ムラビンスキー&レニングラードフィル衝撃の初来日ライブ!」
CDは2種類ありまして、【ベートーベン交響曲4番・他2曲】と、
【ショスタコーヴィチ交響曲5番】です。
「なんだよ〜またタコ5かよ〜」と、通り過ぎようと思いましたが、
手にとって見ると、かの金子健志氏が「過去のムラビン&レニングラードの
数多いタコ5で、演奏・録音共にベスト1に選ばれることになると思われる」と、
絶賛しているではありませんか。
録音会場は東京文化会館《1973年Live》で、録音はNHK。
NHKで失われたとされていたマスターテープが発見され、しかも保存状態が
非常に良かったそうで、今回CD化となったそうです。
さんざん迷ったあげく、今日はムラビンを選びました。ごめんね、コバケンさん。
解説で金子健二氏も書いていますが、レニングラードフィルというと、
【炸裂する金管】というイメージが非常に強いですね。しかし、どうやら当時の
ライブでは様子が違っていたようです。ムラビンスキーは金管セクションがオーバー気味
になると、すかさず手で制するそうでして、バランスを非常に大切にしていたようです。
確かに強力過ぎる金管セクションですが、【炸裂する金管】というイメージは、メロディア等の
ソ連における録音の、マイクバランスの悪さも一つの要因となっているようです。
今回のCDは、音源がNHKの録音ですので、大変期待できます。

ということで、仕事をとっとと切り上げて帰宅し、さっそく聴いてみました。
「これは当たりだぞ!」
久しぶりに、良いCDに出会った気がします。
力強く、美しい弦、バランスのとれた管セクション、そして何より打楽器がカッコイイ。
特にスネアが良いですなー。四楽章のホルンソロも、本当に美しい音色です。
(個性的なので、好みは分かれるでしょうが・・・)
さすが名手ブヤノフスキー(使用楽器:ライスマン)。
元N響の主席ホルン奏者・安原氏はブヤノフスキーからヴィブラートの手ほどきを
受けたそうです。以前私が教わった経験のあるホルンの先生は、山本昭一氏という方の
弟子でした。その山本昭一氏は安原氏の弟子です。ということは、私はブヤノフスキーの
「ひひ孫弟子」ということになりますなー。ウヒヒ!俺のヴィブラートはブヤノフスキー譲りだぜい。
話を元に戻します。
まず一楽章。冒頭からレニングラードの弦が聴かせてくれます。
バイオリンからコントラバスまで、非常にトレーニングされている演奏です。
ピアノが入りホルンの低音での旋律が始まると、もう大変。
非常にスムーズに加速して行きます。
トランペットの「テカテカテカテカ」の部分では、また弦(特に低音)が
聴かせてくれますぞ。
二楽章も素晴らしいです。二楽章は力強い弦と
勇ましいホルンがGood!良いアンサンブルを聴かせてくれます。
三楽章の弦は緊張感がビンビン伝わってきて、あの有名なチェロの旋律前後は、
何か迫り来る物を感じますぞ。
四楽章は前半から、かなり早いテンポ。それでも弦セクションは縦の線が乱れない
ところが驚嘆です。トランペットソロの部分でもその凄さは聴き取れます。ぜひトランペットの
裏で弾いている弦を聴いてくださいな。
フィナーレは、ムラビンスキーお決まりのテンポですが、ラッパもきっちり吹いてます。
High Bでのクレッシェンドも期待通り。High Cも、きっちり最後までのばしてます。
High C→High B→High Aと下がってきたその後の和音も、今までのレニングラード
の録音では考えられない、美しいハーモニーです。イケイケではなく、最後まできちんと
コントロールされています。
演奏終了と同時の「ブラボー」とすさまじい拍手が、一段と気分を盛り上げてくれます。
新幹線のグリーン車に乗ろうとしているムラビンスキー夫妻の写真も良い。
これで1,980円(国内盤)はお買い得です。
レニングラード・フィルの演奏で、ハーモニーがこんなに美しく録音されているのも
少ないのではないでしょうか。弦と管打、そして指揮者が一体となっていて、美しさ
迫力とも素晴らしです。よくぞ録音してくれた、NHK。受信料払っている価値を
初めて感じたカモ。
近頃疲れている人が多く、【癒し系】と呼ばれる物が流行っていますねー。
確かに私も、疲れて家に帰ると「静かな音楽でも聴いて寝るかなー」と思ったりします。
それも一つのリフレッシュの手段です。
しかし、今日のタコ5は【癒し系】とは全く違うパワーを与えてくれた気がします。
「よっしゃー、いっちょ頑張るぞ―!」って感じでしょうか。
昔、友人が「俺、勉強する前にホルストの惑星(火星)聴くねん。気合入るぞ。
お前も聞いてみな。」と、私に話していた事をふと思い出しました。
「このクソ暑いのにショスタコなんて・・・」と。お思いの方々!
「暑い時には熱いお茶」と同じです。
暑い夏に是非、このムラビン&レニングラードのタコ5をお試しあれ。
ドミトリー・ショスタコーヴィチ
交響曲第五番ニ短調Op.47
エフゲニ―・ムラビンスキー
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
1973年5月26日 東京文化会館《Live》
音源提供:NHK/NHKサービスセンター
販売元:キングインターナショナル
製作:Altus(ALT−002)