クラシック音楽庵 indexクラシック音楽〜陰の名盤・ウラの名盤>ブラームス:インテルメッツォ/モーラ・リンパニー


ブラームス:インテルメッツォ
演奏:モーラ・リンパニー
英EMI CFP 40066 STEREO LP
Intermezzi, Op.117/Pianoforte pieces, Op119/Pianoforte pieces, Op.118
Moura Lympany

(May 28, 2004 by kinji)


 

 これは本当に素晴らしい!リンパニーは日本では一部根強いファンが居るらしく、来日時に合わせて、新旧の録音を含めた幾つかのCDが、東芝EMIや、ワーナーから発売された。

 だけど何故かこのブラームス小品集は、一連からシカとされてしまった不遇の、しかし珠玉の名品集だ。

 ブラームスというと一般的にネクラというイメージがあって、例えばバックハウスのような即物的でさらりとしたアプローチであっても、特有の辛さというか、重苦しさが免れないのだけれど、リンパニーのケースでは、しっとり感はそのままに、重苦しさや暗さはブラームスの音楽への深い共感として昇華し、極めて高品位な哀愁と諦観がこれっぽっちの嫌味もなく、見事に表現されている。

 リンパニーは問題提起型ピアニストとは違う。ブラームスの音符を全て自分自身に取り込み、力まず、そして、噛んで含める様に丁寧に聴き手に与えるだけなのだが、そこには押し付けがましさの微塵もないのだ。

 こういった表現というのは女流演奏家にしばしば見られる特徴だと思うのだがどうだろうか?つまり、母性というようなものと切り離せないような、女流特有じゃないかと思える感触を感じるのだが・・・。

 しかもリンパニーはバックハウスと同様、ピアニストがピアノを弾いているという意識を全く感じさせないのだ!

 そこには自己主張とか自己表現、アーティストの体臭、または技巧や音色が云々という類は全く存在せず、もっと純粋な音楽、否、愛とか或いは究極的な、崇高だが親密なイメージのみがあると思えてならない。

 わたしがこのLPを入手したのは十数年以上も前、通りすがりで立ち寄った、万世橋近くの地下で営んでいる中古レコード屋でだった。リンパニーが演奏している様子を水彩画で模したジャケットがとてもヲサレで、もともとリンパニーは好きな演奏家だったから、見つけたときには「あっ!」と声を出してしまった程だ。

 その後はどこのショップでも見かけたことがないが、もしあれば即ゲットをオススメします。

 


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