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チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団
LP:RCA Victor(JP) SHP-2390

(Nov 19, 2004)


 

*** これはダーク・ホースだ! ***

■ はじめに

 ヤフオクまとめ買いの中の一枚。
 驚いたことに、内袋も外袋も無く、裸のレコード盤が直にジャケットに放り込んであったが、まあ、ジャンクだからね(笑)。

■ ところで

 この盤は1965年頃のもので、それはようやく電蓄が普及した頃でもあり、わざわざ「どんなステレオ電蓄でも、これまでにない素晴らしい音が聞けます」などと記載されている。ダイナグルーブ(DYNAGROOVE)という方式のレコードだそうで、色々な特色が述べてあるのが面白い。

 しかし当時はクリスタル・カートリッジという7グラム前後の重い針圧と、磨り減ったサファイア針で酷聴された盤も多く、残念ながら当盤もそれに該当するのか、A面(第一楽章、第二楽章)のコンディションは良くなかった。特に第2楽章が歪っぽいのが残念だ。

 しかしB面は良い状態で、かなりのHi-Fiサウンドであることがうかがえたので、CDは流通してるかなと調べてみると既に廃盤らしい。もしxrcdシリーズで復活してくれたら3千円超でも買う!かもしれない(笑)

■ 気が付いた事

  1.  ジャケットのデザインがヲサレだ。

     一時、CD化された時のジャケットにも使われていたが、白地に物憂げな女性の顔のデッサンで、サインがE.Karlinとなっている。検索してみたらEugene Karlin(ユージン・カーリン?)という画家がヒットしたが、その人かどうか不明。情報キボンヌ(笑)

  2.  分離の良い録音だ。各パートが次々と繰り出される様は、まるで万華鏡を覗いているようで楽しい。

■ ざっくばらんに言えば

  1.  例えて言うならば、頑丈な四輪駆動車で、道であろうとなかろうと、ガンガンと強引に進むイメージだね。まあ、それはミュンシュの指揮した演奏全般に言える事なのかも知れないが、私は彼を多くは聴いてないので断言は出来ない・・・。チョット聴きには胸のすくような快演ともいえるかな。でもそれだけではないのは後述する。

  2.  第1楽章だが、始まりは殆ど右側からの音だけが攻めてくるようだが、これは程度の差はあるにせよ他の盤についてもいえることなので、元々がそういうオーケストレーションの曲なのだろうか?

     それにしても力強いベースが心地よい。また、基本的にはざっくりとした表現のようだが、その中に時折、さり気無く粘りを効かせた表現を混ぜるところがにくい。

  3.  第2楽章は、力強いが決して品位を失わないチェロは印象的だ。

  4.  第3楽章になると録音の良さも手伝って、ミュンシュの真骨頂ともいえる強引なサウンドが、心行くまで堪能出来る(笑)

  5.  終楽章は、この曲の最重要ポイントである一発銅鑼をハッキリと鳴らしているが、これは高得点だ(笑)

     そして、基本は強めの音でざっくりなのだが、この最終章の最終部分では、低弦群がまるで悪魔か死神がねっとりとまつわりついてくるような終わり方をする・・・。その辺で鳴っている、という第三者的表現ではなく、リアルな程にすり寄って来るんだ・・・。

■ 総括

 ミュンシュは大きい音の人なだけ、というイメージだったが、この録音を聴くとそればかりではないことが判る。

 先に「万華鏡のように楽しい・・・」と書いたが、実際、フレーズの変化する時や音階の移り変わっていく時、色が変わり、光が変わるのだ。それは例えば通り過ぎる雲によって日差しが遮られたり現れたりして、あたりの相がスゥッと変化するような感覚に似ており、私はこういう表現に弱いのだ(笑)

 アッチェランドや、その後に続く大きな減速といったテンポ・ルバートなどを指摘して、古いタイプの演奏へと分類するのは簡単かもしれないが、荒々しい中にも微妙なニュアンスの変化を含ませた味わい深さのあることを知ってしまうと、結構ハマる。

 「チャイコフスキー:悲愴」のベスト盤の中にミュンシュが挙げられたのを私は見たことが無いが、もっと注目されてもいい演奏だと思う。ウラの名盤としても良いのだが、間隔は長めながらも断続的に流通しているようなので通常の聴盤記としておこう(笑)
 

 

 


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