クラシック音楽庵 index>クラシック音楽〜陰の名盤・ウラの名盤>シューベルト:弦楽四重奏曲「死と乙女」/ザグレブ弦楽四重奏団
(May 30, 2004 by トスカノーノ さん)
| ザグレブ弦楽四重奏団のシューベルト「死と乙女」を、ぜひとも認定していただきたく思います。おそらく60年代初期の録音と思われますが、演奏が素晴らしい。 聴き始めは縦線重視のかっちりした演奏と思いきや、主題が移ろいゆくごとに粘っこさが出てきます。それでいて終始鋭い切れは失われれず、まるで表現主義の絵画でも見ているかのような独特の美が味わえます。この美しさは痛いです。 傑作は緩徐楽章で、これほど起伏の激しいへヴィなシューベルトも珍しい。それはまるで、もしこの曲がハード/ヘヴィ系のロック・バンドにカヴァーされたらこうなる、みたいなプロトタイプを見る感じです。 後半二楽章も相変わらずヘヴィで、小学校の音楽の授業でしかシューベルトを聴いたことのない人(クラシック・ファンを自称する人でもこの系統は意外に多いのでは?)は驚愕すること必至です。 私はこれを聴いて目覚めました。「シューベルトはハード・ロックだ」。考えてみると、かの「グレート」シンフォニーだってそう。あれはあの時代において、最大限の交響曲の巨大化でした。 とにかく、一般的なシューベルト像を破壊する実にへヴィな名演です。東欧という地域は、歴史的にみても終始圧迫を受けつづけた地域柄からか、一筋縄ではいかない屈折した感情を剥き出しにした演奏家が時々出てきます。 本や雑誌ではほとんど話題になりませんが、珍しいレコードではないようで、中古店ではよく見かけます(当時国内でも廉価盤で出回っていたらしい)。一般的には東欧、それもザグレブとシューベルトはなかなか結びつかないようですが、考えてみると、近代のオーストリアと東欧諸国は密接に関係していたわけで、少なくとも我々日本人よりはよっぽどシューベルトに近しいはずなんですね。実際、地図を見ると驚きます。ザグレブは、オーストリア/ハンガリーとすぐ目と鼻の先! |
クラシック音楽庵 index>クラシック音楽〜陰の名盤・ウラの名盤>シューベルト:弦楽四重奏曲「死と乙女」/ザグレブ弦楽四重奏団
Copyright (C) 2004 K.Takatsu. All rights reserved.