インターネットマガジン「近未来」
エッセイその52(2005年7月19日)

うそつきの分類

掛谷英紀



 この頃、私の人間不信はかなりひどい。昔、「平気でうそをつく人々」という本が ベストセラーになったが、マスコミ報道や政府資料を分析する機会が多くなって、実際に そういう人を目の当たりにすることが多くなった。正直、ここまでひどいうそを平気でつ けるもののかと驚愕することも少なくない。もちろん、これを以って世の中みんな嘘つき だと言うつもりはない。私の直接の知り合いは善良な市民がほとんどである。この2つの 相矛盾することに対して、次のような整理の仕方をするとよいと思っている。

(A)自分からランダムにアクセスした相手の9割は善人である。
(B)相手から近づいてくる人の9割は悪人である。

 マスコミは報道を通じて、官僚や政治家も政治を通じて我々に有無を言わせずアプ ローチしてくる人間たちであるから、当然後者と考えられる。私の経験を整理してみると、 この2つの法則は経験則としてはかなり上出来である。

 では、平気でうそをつく人たちの心の構造はどうなっているのか。最近、平気 でうそをつく人々を色々見てきた経験上、次の3パターンに分類できるように思われる。

 では、この3種類の人々を見分けるにはどうすればよいか。答えは簡単である。 うそをついている人々に、それがうそであることの動かぬ証拠を提示すればよい。 そのとき、相手がどういう反応をするかで、どの分類に属する人か見分けることが できる。

 まず、軽度の確信犯の場合、こちらの提示した証拠の信憑性を確認するための 質問をいくつか浴びせにくる。その質問群にきっちり答えることができれば、相手の 意見を変えられる可能性もある。

 次に、強度の確信犯の場合、逆にこちらを嘘つき呼ばわりする。それに対して 更なる論証を進めると、今度は「論理ばかりで人の心情を理解していない」だとか、 「理屈ばかりで気持ち悪い」だとかいったレッテリングを始める。

 最後に、愉快犯の場合であるが、彼らは感情的なレッテリングはしない。なぜ なら、それをすると議論を傍で見ている第三者を敵に回す可能性が高いからである。 彼らはあくまで自らの利益増大を冷徹に求める存在なので、その目的を達成する ため、第三者の支持を失わないようにあの手この手の 策略を使う。論戦においては、論点を摩り替え話題をずらしたり、自らのうそが重要 なものではないかのように見せたり、自らのうそは第三者が提供した情報に誤りがあっ たからで自らに非はないと責任逃れをしたり、あらゆる手を講じて「論戦での勝利」 を掴み取ろうとする。そのことを知らずに下手に論戦を挑むと、とんだ落とし穴に はまる危険があるので、彼らと議論するときは十分注意してかからなければならない。

 今後、うそつきと議論をする機会があるときは、この分析方法を利用すると、 議論の対策が立てやすいと思うので、是非この知識を実戦で活用していただきたいと思う。