セピアのそのあと
 繊細な金色の髪と透き通る華奢な肌。  明晰さ溢れる顔と意思の強い瞳。  紫の法衣にその身を包み、ただ静かに佇む。  シオン。  希代の魔法使いである彼。  法力国家アドビスの異端児にして第一王位継承者。  全ての人から忌避され、不信と不安を投げかけられた彼。  それが我が儘で自分勝手に育つ原因となる。  ただそれは彼の恥ずかしさ、暖かく優しい自分を誤魔化すために過ぎない。  彼は友と愛した者のために全てをなげうつ。  たとえ己が身が滅びることとなっても。  紫苑。  秋風に揺れる悲しげな薄紫の花。  その花言葉は追憶‥‥。  イリアは10年ぶりくらいにイビスの丘を訪れた。  全てを清算するために。 「ニンジンをきちんと食べないと大きくなれないぞ」  上古文字で描かれた魔方陣。  ボクは大きくなったよ‥‥。 「ったく、お前のアタマは飾り物か?」  彼はこの魔方陣で、ディアボロスのいる異世界への門を開いた。  ふふっ、ボクはあれから勉強したんだ。大学だって卒業して、今は大学院にだって行っ ているんだぞ。もう頭の良さじゃまけないもん。 「えへん。つまり頭いーくて  ステキでナイスガイな  シオン様だからこそ!  扱える魔法なんだ!!」  ディアボロスと、そしてイールズオーブァがいる世界へ。  いつだって、自身満々だった。 「いやだい、いやだい、いやだい‥‥」  そこで、ボクとシオンは魔物と人間が共存できる世界を作るために戦った。  ワガママだったなぁ。 「おいウリック、料理つくれ。お前のマズイ料理ばかり食ってたから舌がそれに合うよー になった。責任とれ」  ボクは本当に世界を救うつもりだったのだろうか。ボクだけじゃ何もできなかった。違 う。ボクは何もできなかった。シオンのお荷物に過ぎなかった。  料理はまだ下手だけどね。 「助けてもらってやった。ありがたく思え」  いつだってボクは助けられていた。  それに気づいたのは、もうボクが手遅れだった時だった。  一生、後悔しても始まらない。 「言いたいコトは約30文字以内。4、5行でまとめろ」 「ったく。幼児以下の脳みそだな」 「ウリック語はこれだから困る。翻訳者が必要だな」  イビスの丘に風が吹いた。  ボクの頬を軽く撫でる。  悪かったな。どーせボクは馬鹿だよ。 「シオン、逢いたいよ‥‥」  何年も忘れようとしていたことを呟く。  手に、花束を持って。 「遅い!いったいいつまで待たせるんだ」  言葉がだぶる。  ボクと、シオンの。 「遅くなってごめん。やっとここまで来れたよ、シオン」  そっと花束を魔方陣の中心に供える。  シオンが応えるように、一陣の強い風が辺りを吹き抜けた。 「シオン、また来るよ‥‥」  ボクは踵を返して丘を下ろうとする。  いつまでもここにいたかったけど、ここにはもうたくさんの涙を流した。  次来る時は、泣かないでいようと決心したんだ。  目頭が熱くなる。  あたたかい水が、目尻に溜まる。  溢れそうになっていた。  と、突然風が吹いた。  優しい、懐かしい風が。 「イリア、ただいま」  振り返ったそこには、確かに彼のぬくもりがあったのだ。  ボクは、気がついたらかけだしていた。勢い余って靴が脱げるほど。  彼の残像にぶつかる。  残像は、霧にならずに受け止めてくれた。  すぐにふわっと優しく包み込んでくれた。 「おかえり、シオン!」  ボクは顔をぐしゃぐしゃにしながらも、とびっきりの笑顔でこたえた。  脱げた靴が、いま、地面に落ちていた‥‥‥‥。




あとがき
 瑞城 遼さんのリクエスト、シオン様が登場している小説です。(笑)まったく。どうしていつもこう読みにくい話になってしまうのでしょう。技術的にも稚拙が目立ちますし。性急すぎるっていうの。まったく。(笑)やっぱり最後は自分の願望が出てしまうのもやっぱりですね。・・。ウリックデレラのお話の方がよかったかな。(笑)
背景は白でシンプルにしてみました。こういうのもいいですね♪行間の設定もわかりましたし。れーべるあっぷおめでとうです。(笑)

戻る