人類の夢と希望詰め込まれた人口都市、ガルド。  実質的には夢の島となんら変わりのない見捨てられた廃都。  だが、そこには100万単位の住民が存在する。  人類の夢と希望のゴミから生まれてきた廃棄物。  ガルドの外から見れば、ガルドはゴミにしか見えないだろうが、  しかしゴミには無限の可能性が詰まっていた。  小さな発明家にとっての、未知の希望が・・・。  ガルドには小さな探偵社があった。  どのような依頼も、  どのような難問も簡単に解決してしまう万能の探偵社。  たとえば、3日前から家出中の猫の捜索なんかお手のものだし、近所の犬に埋められた おばあちゃんの入れ歯だって簡単に発見できる。なぞなぞが解けずに明日の学校へ行けな いと駄々をこねている小学生でも、10秒のうちに依頼人の悩みを解消することが可能だ った。 「なんていたって、うちにはすごいスタッフがいるんですから」  所長の明日香は胸を張って言う。もちろん、彼女の後ろに控えて、明後日の方向を向き ながら頭を抱えているのが、彼女の言う優秀なスタッフ、勇基と戒だった。 「勇基ちゃんは何でも知っているんだから。それに、戒君は能力者なんだって。学芸会の 手品の出張もできるのよ?」  明らかに勘違いしていたが、この際はかえって大正解だった。明日香を所長とする探偵 社が扱える事件といったら、その程度のものだろう。 「勇基ちゃん、私も勇基ちゃんみたいな仕事をするのっ」  勇基にとって耳を疑うようなことを明日香が言いだしたのは、戒を連れ帰ってきてから 3日後のことだった。 「はぁ?」 「だーかーらー、私も仕事がしたいのっ!勇基ちゃんの仕事を手伝いたいのよ!!」  自信満々に胸を張る明日香と、気分がよかったのが急速に頭が痛くなる勇基だった。 「仕事ってなぁ、俺がどんな仕事しているかわかっているのか?お前なんかが手伝えるよ うな仕事はないんだよ。それどころかかえって足手まといだ」 「む〜〜〜。どうしても認めてくれないのねっ。じゃあ私だけで仕事しちゃうから。勇基 ちゃんが『なんでも屋』なら、私は探偵社を作るからねっ」  この瞬間から、明日香を所長とする探偵社が誕生したのだった。  探偵社の所員は、始めは明日香と犬、猫、鳥だけだった。まずは張り紙と宣伝活動をし て・・・と思っている間に不幸にも(?)依頼が飛び込む。それは近所の子供の飼い猫が 失踪したことだった。初仕事に張り切って取り組む明日香だったが、依頼は日が暮れるま で猫を探しても見つからず、けっきょく、日没とともにその探し猫は依頼人の下に帰って きたらしい。2日目、3日目と依頼は来なかったが、それでも新しい所員が募集に応じて くれた。明日香に淡い恋心を抱く、自称、『明日香ファンクラブ』の面々だった。  『明日香ファンクラブ』の加入を知って驚いたのは勇基だった。4日目、明日香に変な 想いを寄せる連中から明日香を守るために戒を監視役として探偵社に送り込む。『明日香 ファンクラブ』の面々の働きによって依頼も数件ほど舞い込み、探偵社は順調な滑り出し をみせていた。  5日目。特に大きな事件なし。引き受けた依頼のうち、川の中になくしてしまった指輪 の捜索(主に戒が解決)と学校の某男子の恋の手助けをするも失敗。  6日目。老人ホームへの慰問の途中にレオニードが探偵社の噂を聞きつけ入社志願。そ の一報を聞きつけた勇基が慌てて探偵社にかけつけて、レオニードを追い出すために探偵 社の一員となる。  7日目。レオニードの活躍(?)によって『明日香ファンクラブ』の面々が探偵社から 追放される。影にはファンクラブの存在を嫌う勇基の存在があったと思われる。大人げな い。  8日目。レオニードが突如として行方を晦ませる。勇基は歓迎パーティを開くも、レオ ニードはまた数日後にはふらっと現れると思われる。こうして、現在の探偵社の枠組みが できあがったのだった。 「さぁ、今日の仕事は地上げにあっている教会の警護よっ!」  ロケットランチャーを肩に担ぎ、鉢巻きをきゅっと締めて明日香は意気込んだ。 (勇基っ、これってどういうことなんだ?) (いや、俺の仕事ができないから、かわりにやってもらおうと思ってな) (危険じゃないのか?) (大丈夫だよ。その辺のチンピラが相手だから俺とお前がサポートすればなんとかなるだ ろ) 「二人ともなにブツブツ言ってるの?さぁ、はりきっていくわよ!」 (いくら相手が相手だからって、本当にこんな準備でいいのか?)  不安に思いながらも、どうせ勇基の問題だしと構わずに明日香の後を続く戒だった。  どっかーん。  地上げ屋の雇ったちんぴらどもに包囲されている教会が突如として爆砕した。  なにが起こったのか。どんな卑劣な脅しにも屈しなかった教会の神父様に業を煮やした 地上げ屋が遂に強行手段に訴えた‥‥のではなかった。  勇基が頭を抱えている。戒が空を見つめている。明日香は‥‥ロケットランチャーを肩 に担いだままに姿勢で固まっていた。  明日香の額から一筋の汗が垂れる。  教会が爆砕した原因はもうおわかりだろう。ちんぴら共に向かって撃とうとしたロケッ トランチャー、しかし、明日香は前後逆に構えていたのだった。  結果、ロケット弾は明日香の意思とは全く逆の方向に出撃する。  粉々になった教会の大黒柱に、神父様が下敷きになって気絶していた。  地上げ屋が帰っていく。  辺りにものすごく寒い風が一陣、吹き抜けていった。  こうして一つの悪が滅んでいった。しかし、まだ世界には数多くの悪が残されている。 負けるな明日香、がんばれ明日香、たとえ今回の事件で勇基に怒られたとしても、世の中 には君の助けを待っている人がいるのだ。                                 つづく‥‥‥‥。 「つづくじゃないの〜〜〜!」  教会を破壊した明日香の功績によって、探偵社は即日解散させられたのは言うまでもな い。

あとがき
なんなんでしょ。(笑)いったいどうしてこんな話になっちゃったのかな〜と思う のですが、続きます。(続くなっ。(笑))次は戒君ですかね。勇基ちゃんが寝込まない ように気をつけないと。(笑)けっきょく、どういう話だったんでしょうね。

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