ラクールオブラクール

 クロード=C=ケニー。
 銀河連邦軍の英雄、ロニキス提督の息子。
 父と同様に軍籍に入り、父と同じ道を歩もうとする新米少年士官。
 階級は士官学校を卒業してまもなく、他の同僚と同じ少尉である。
 ただ、彼が他の卒業生と違ったのは、父に偉大な人物を持っていたということ。
 そのコネで誰もが憧れる、英雄ロニキスが乗る戦艦カルナスで幕僚の末席に座ることが できていた。
「あいつはオヤジの七光でエリートコースを歩んでいるだけさ」
 どこに行っても、彼は有形無形の嫉視と嫌がらせを受けた。
 誰もが羨むような地位も、彼にとっては有難迷惑に過ぎなかった。
 父さんがいなければ‥‥。
 何になれたって?
 今ほどの地位は貰えなかったかもしれないけど、それでも僕は士官学校で優秀な成績で 卒業し、そして相応の地位で自分の実力を発揮できたさ。
 父を疎ましく思う。
 それは、父があまりにも偉大すぎたからだ。
 いや、父を超えたいと思っていたからこそだった。
「オヤジがいなけりゃ何もできないくせに」
 そう言われるのが一番嫌だった。
 ロニキスとて、彼が英雄になる前は、それこそ英雄とは全く無縁な1大佐に過ぎなかっ たのだが‥‥。


「‥‥ロード」
「‥‥クロー‥‥ド」
 ん?誰かに呼ばれていると思って振り向いたら、それはレナだった。
「クロード、ぼーっとしてどうしたの?具合でも悪いの?」
「ん。いや、そんなことないよ。ただ少し考え事をしていただけ‥‥」
 レナ=ランフォールド。クロードが事故によって未開惑星、エクスペルに飛ばされて、 神護の森で偶然、出会った少女。深い海の青色の髪とサファイアブルーの瞳が可愛い、少 し気の強い少女だった。
 そこで、クロードはモンスターに襲われていたレナを助けるのだが、その時使ってしま ったフェイズガンがレナの目には伝説の光の勇者見えたらしい。その後、とんでもない騒 動の後、クロードはソーサリーグローブ調査のためにレナと旅をする。
 セリーヌ、アシュトン、プリシス、ボーマンを仲間にし、ディアスと少なからず確執を 起こした。
 そして今は、ラクールにいる。
 ちょうど、武術大会にエントリーし、明日がその大会当日だった。
「パンフレットによると、4回勝ち抜けば優勝いたいね。順調に勝ち抜けば、決勝でディ アスと戦うことになるのね‥‥」
 子供だったと思う。
 本当に、カルナスにいた頃は、自分で何でもできるつもりだった。
 父さんがいなくても、自分はなんでもできると思っていた。
 それが錯覚であると思い知らされたのは、ディアスのおかげだった。
 恐怖するほどの強さ。
 無情とも言える太刀捌き。
 冷酷な瞳。
 戦っている所を少し見ただけだけど、それでも寒けがするほど、彼の強さを感じだ。
 自分ではけっして届かない、それほどまでのレベルの違いを。
 だからこそ、ディアスと剣を交えてみたかった。
 たとえ、完敗だとしても。
「レナは、僕とディアスが決勝で戦ったら、どっちを応援するんだい?」
 レナのパンフレットをめくる手が止まった。
 やっぱりそうか。ディアスに剣の世話をするくらいだもの。僕なんて眼中にないってわ けか。
 ディアスと戦いたいのは単純に力試しだけじゃなかった。嫉妬といってもいいかもしれ ない。ディアスにだけは、なんとしてでも負けたくなかった。
「そんなの決まっているじゃない」
 決まってるじゃない?そこでレナは言葉に詰まる。
「嘘でも僕って言ってくれないんだ‥‥」
「そっ、そんなことないわよ。クロードにはぜったい優勝してほしい。けど‥‥」
 顔を背けて言う最後の言葉が心に障った。
「わかったよ!もういいよ。そんなにアイツのことが好きなら、アイツと一緒に旅をすれ ばいいじゃないか。ソーサリーグローブの調査だって、強いアイツと一緒の方がはかどる だろうよ」
 言ってから後悔した。レナを傷つけてしまった。目尻に涙を浮かべて、すごく悲しそう な顔をしていた。
「明日は大切な日なんだ!もう自分の部屋に戻ってくれ。僕はもう寝たい」
 つい突き放してしまったけど、これでよかったのだろうか。レナは肩を落として僕の部 屋を出ていった。
 その晩、僕は今夜のことを考えてよく眠れなかった。


「わああああぁぁあああああああああああ」
 大きな歓声が闘技場にこだまする。
「やりました!初出場の少年剣士がまた勝ちました!すごい、すごいです。これで決勝進 出です!今、我々は歴史が刻まれる時に運良く居合わせることができたのかもしれないの です!」
 場内の雰囲気に飲み込まれて興奮するアナウンサーの声が伝わると、場内はより一層、 歓声の渦が大きくなる。それは今、ちょうど破竹の快進撃で優勝候補一角のウォーゼ=デ ュラハンをクロードが倒した所だった。
「きゃー、クロード、素敵ですわ♪」
「おっけー、おっけー。この調子でディアスなんかやっつけちゃえ」
各所で黄色い声が沸き上がる。セリーヌとプリシスだけど。
ふぅ。しんどかった。
額に滲んだ汗をぬぐって、勝利の味をかみしめる。
次はディアスか。
兜の緒を締め直して、リンクを後にする。この直後に、ディアスの決勝進出がかかる 準決勝第2試合が始まるのだった。
「さぁ、次は本大会で緒戦から圧倒的な強さで勝ち上がってきた、優勝候補ダントツで筆 頭のディアス選手と、こちらも優勝候補の○○選手です」
興奮覚めやらぬままにもう一つの準決勝のゴングは鳴ったが、しかし、クロードで盛り 上がっていた会場がわずか数秒とたたないうちに一気にしんと盛り下がってしまった。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「おおっと、いきなりKOです。強い、強すぎる。同じ優勝候補でもここまで差がある か。ディアス選手、相手をものともせず、たった一振りでやっつけてしまいました。いや いや、寒気がするほどの強さというのはこういうものなのでしょう。こんな化け物と戦わ なければならない選手が気の毒です。ええっと、次は期待のクロード選手との決勝戦です が、さすがに厳しいか」
「ありゃりゃ。クロードもかわいそうに。あんなの相手に勝てるわけないじゃん」
「ちょっと、ボーマン先生!戦う前から私たちがそんな気持ちでどうするんですの。はっ、 そうよ。ボーマン先生仕込みの毒薬をディアスに盛れば・・・」
セリーヌがとんでもないことを提案する。
「いいねぇ、あたしも手伝ってあげるよ。う〜ん、薬は無理だから、改造で強くしてあげ よっか。うふふふふ・・」
 プリシスが不気味に笑う。
「改造。それはいいアイデアですわね。ところで、どんな改造をするんですの?」
「あ〜しゅとん。(はぁと)あんたのギョロとウルルンを貸してよ。クロードに付ければ 100人力だよ」
ぐいっと逃げ出そうとしていたアシュトンの襟首をつかむ。
顔を真っ青にして逃げようとしていたアシュトンはじたばたするが、もうどうしようも なかった。
「おい、お前ら。どーでもいいがそんなことしている暇なんてねぇぞ。もう決勝戦が始ま るみたいだぞ」
ボーマンの冷静な指摘に、アシュトンがほっと胸をなでおろした。


「れっでぃーす、あん、じぇんとるまーん。さぁ、最強の武具と使い手を決めるラクール 武術大会も、いよいよ決勝戦を残すのみとなってしまいました。この試合の勝敗によって ラクールオブラクール、今年のラクールナンバー1の武器屋と戦士が決まるのです。
この名誉ある決勝戦の場に勝ち進みことができたのは、まったくの無名、若輩の身なが ら、並み居る強豪を苦闘の末に次々と打ち破った期待の新星、クロード=C=ケニーと、 戦前からの強さは本物だった。というか、その強さはもはや反則級、優勝候補ダントツの 筆頭、裏マーケットでの優勝オッズ、歴代最高の1.001倍はダテじゃない、ディアス =フラックです」
 リンクの上の審判に合図されて、クロードもディアスも中央へ進む。ちょうど、一太刀、 その間合いで両者にらみ合う。
「約束どおりここまでたどり着いたみたいだな」
 切先を制して、ディアスが話しかける。
「約束?」
「なんだ。レナはお前に伝えていなかったのか。ここ、武術大会の場で決着を付けようと」
 クロードの腕が震える。こうやって、話しているだけで、ディアスの威圧する強さが伝 わってくる。こうやって普通に話しているだけなのに。
「まぁいい。今ここで宣言しても何も変わりはあるまい」
“カン!”
 ちょうどこの瞬間、決勝戦のゴングが鳴り響いた。
「はっ!」
 この瞬間を待っていたといっていい。クロードは戦前から、ディアス相手に奇襲攻撃を 仕掛けてイニシアチブを取ろうと決めていた。まだ何事かを話していたディアス。不意打 ちされる格好になったが・・・、
“ギンッ!ギリギリ・・・”
 油断はしていてもさすがはディアス、ぎりぎりのところで抜刀し、そしてクロードの剣 を受け止めた。火花が散る。じりじりと、押し合いの力勝負になった。
 歯を食いしばって押し倒そうとしていたクロードに、ディアスはとんでもにセリフを 吐く。
「レナは貴様なんぞには渡さんぞ」
「なっ・・・」
 その予期しないとんでもないセリフにクロードは一瞬、動揺し、その隙を突かれて押し 返されてしまった。態勢が崩れる。
「聞いていなかったのか?この決勝戦でどちらがレナを守るのに相応しいか決めようでは ないかと。ふはははは、まぁいい。どうせ今宣言しても遅くはあるまい。レナは貴様なん ぞにはやらん。悔しかったら、私に勝ってみせるのだな。まぁ、私は負けるつもりなどこ れっぽっちもないが」
 勝ち誇った笑みで空破斬を放つ。強烈な真空波は地面を削ってクロードに襲いかかる。
「ひゃっ!」と泡を食って寸前の所でクロードは回避する。標的を外した真空波はそのま まリンクを突き抜け、場外の観客席の壁にぶちあたって、壁が粉々に砕けた。
「おおっと、いきなりディアス選手の必殺技が炸裂だ!クロード選手は紙一重でかわすこ とに成功したが、しかし、必殺技の威力は怖い。あの分厚い壁がまるで豆腐のようだ。観 客にまで被害が出ている模様です」
 こっ、こわ〜。あんなの喰らったら真面目に死んじゃうぞ。
 額に汗が落ちる。
 やっぱり、棄権した方がいいのかな。
 とにかく、間合いを取って直撃だけは避けるようにする。
「空破斬、空破斬、空破斬。ほれほれ、どうした。逃げているばかりではレナは守れない ぞ」
 容赦ない連続攻撃がクロードを追い詰める。
 まったく、好き勝手言いやがって。
 でも、まったく反撃する隙というものがなかった。
「空破斬!」
 しかたないのでこっちも同じ技で反撃する。しかし、
「ふん、その程度で空波斬と言えるか。本物の空波斬はこのようにやるのだ。空波斬」
 クロードの放った技は、ディアスの技の前でまったくの無力だった。相殺するどころか 思いっきり力負けして、こちらの空波斬だけが力尽きて消滅し、ディアスのはまったく変 わらない威力でクロードに迫ってくる。
「くっ。なら、兜割!」
「巧い!クロード選手、ディアス選手の必殺技を跳躍してかわし、そのままの勢いで必殺 技に持ち込んだぁ!ディアス選手、攻撃後の硬直で無防備だぞ。どうなる。逆転か?」
 渾身の一撃がディアスを襲う。しかしやっぱりディアスというだけあるか、明らかに避 けるタイミングは逸していたが、ギリギリの所で直撃だけは避ける。肩口に、うっすらと 血が滲んだ。
「疾風突!」
 手追わせたクロードを戦うに足る相手と思ったか、瞬時にディアスは反撃に打って出る。
 神速の突きが、着地してしてやったりと笑むクロードの表情を刹那にして凍りつかせた。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「油断したな。まだまだ甘い。しかし、私に手傷を負わせたのはこの程度では済まさない ぞ。朧月」
 華麗とも言える連続攻撃がクロードを乱舞させる。残像が見える必殺技はクロードを玩 具のように弄んでいた。クロードの悲鳴が一段と増す。
 技が終了し、クロードはどさっと倒れ込んだ。誰の目にも、勝負は決まったかのように 見えた。吹き飛んだクロードはぴくりとも動かなかったし、ディアスは剣を鞘に納めた。
 とことことディアスは自分が出てきた闘技場入口へ向かっていった。
「ワン、ツー、スリー・・・」
 審判のカウントが始まる。実況は悲痛な声でクロードが立ち上がることを希望したが、 誰の目にもクロードに立ち上がる力が残されていないことがわかっていた。
 ゆっくりと場内が静まっていく。ただ、カウントを取る審判の声だけが響く。
「セブン、エイト、ナイン‥‥」
 ここで一つ区切りを置いて、そして審判はラストコールをした。
「テン!
 勝者、ディアス=フラック」
「わぁあああああぁぁぁああああああああ!!!」
 勝利の宣告に、場内は最高潮に盛り上がった。絶叫するアナウンサーがクロードの健闘 とディアスの勝利を讃え、そして救護班が動かないクロードに駆け寄っていった。
「あ〜あ、負けてしまいましたわ」
「相手が悪すぎだよ。僕が戦わなくてよかった」
「卑怯だよあいつ。あたしが出ていたらけちょんけちょんにしてやったのに」
 セリーヌ、アシュトン、プリシスががっかりして言う。レナはこの場所にいなかったけ ど、同様の感想だろう。レナはクロードのことを必死で応援していた。ただ、声援は届か なかったみたいだが。ボーマンがぽつりと呟く。
「おい、クロードが立ち上がったぞ」
 そうなのだ。クロードは駆けつける救護班の手を払って、剣を杖がわりにして立ち上が った。
「っはっ、はっ、はっ、はっ・・・・」
 体力はこれっぽっちも残っていない。目もかすむ。それでも、譲れないものというもの があった。最後の力を振り絞って、闘技場を去ろうとしていたディアスに向かって叫ぶ。
「ディアーーーーーーーーース!逃げるつもりか。僕はまだ戦えるぞ」
 冗談か?と思ったのはディアスだった。ディアスはクロードの挑発にも、負け犬の遠吠 え程度としか思わず、無視して影に入って行こうとした。
「空破斬!」
 その空破斬がディアスに直撃・・するわけもなく、紙一重で余裕にかわす。しかし、頬 をうっすらと傷つけるのには十分だった。
「ほぅ。いい度胸だ。そこまでして死にたいのか」
 クロードにやっと笑う。
「へへっ、いつまでもスカしていると、そのうち足元をすくわれるってことを教えてやろ うっていうんだ」
「勝負は決まった。レナは私のものだ」
「馬鹿言っているんじゃねぇよ。レナは景品なんかじゃない。ずっと、一緒に旅をして来 たんだ。レナは僕が守る」
 ぴしっと剣を突きつけて言い放つ。
「ふっ。大口を叩くのは私に勝ってからにしてもらおうか」
 ぐっとディアスは構えた。
「ケイオスソード」
「双破斬」
 剣と剣が激突する。ディアスは絶対的な技量で、クロードは気迫でぶつかる。今度は力 負けせず、どちらも受け止め、そして弾いた。
「たっ!」
 このままではジリ貧、残り少ない体力では勝負にならないと思ったクロードは最後の大 博打に打って出る。なんと、剣をディアスの方に放り投げてきたのだ。
「くっ・・!」
 予期せぬ攻撃に慌てて避けるディアス。しかし、完全に避けきったかと思うと、逆に高 笑いする。
「阿呆か。剣を捨ててどうやって戦うつもりだ」
 クロードは突進した。素手で。ディアスに隙を作るしか勝ち目はなかった。その一瞬を 狙っていたのだ。それが、今、目の前にある。
「流星掌!」
「ぐふっ」
 クロードの狙いの一撃が炸裂する。ついに、ディアスの片膝を付けさせることに成功し た。
「へんっ、剣と剣の戦いに慣れすぎなんだよ。僕の母さんなんて素手でラティさんと互角 だったんだからな」
 関係ないと思いますけど。
 とにかく、局面は最終段階に近づいていた。どちらも、体力に乏しくなり、次の一発で お互いに決めにかかった。
「私を本気にさせたようだな、いいだろう。奥義を使って貴様をこの世から消してやる」
「けっ。それはこっちの台詞だ。負けてから泣いて詫びても遅いんだからな」
 両者、気合を込めて必殺技の態勢にかかる。
「朱雀衝撃破!」
「バーストナックル!」
 両者ともに闘気を炎に具現化させて勝負する。ディアスは火の鳥に見えるほど、強大な 炎を。逆にクロードは未熟な分だけ、拳に闘気を集中させて炎を繰り出した。
『くらえーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!』
“どっかーん”
 モロに正面からぶつかり合った攻撃は、大爆発を起こして終結した。


「んっ・・・んん〜」
 目が覚めた。
 良い目覚めだ。
 チュン、チュンと雀の鳴き声が聞こえる。
 今日もいい一日になりそうだった。
「・・・・・・・」
 って、そうだ!ディアスとの決闘は!?
 がばっと起きる。
「きゃっ」
 レナの驚いた顔がそこにある。
「レ・・ナ・・・・?」
 そうか。思い出した。僕は・・負けたのか?
「よかった気づいて。クロードったら、まったく無茶するんだから・・・」
「ディアスは?」
 レナの安心した表情より、今は彼の方が気になった。
「ディアス?ディアスならクロードより1時間早く気づいて、そして旅立っちゃったわ」
 そうなのか。一応、相討ちということだったのだろうか。
 ほっと胸をなでおろした。
 レナを守れたんだ。
「そういえば、あれだけやられたのに、どうして体が軽いんだろう」
 経験上から言えば、全治数週間というくらいの深手のはずだったけど・・・。
「レナが治してくれていたの?」
 きっと、寝ずに看病してくれていたのだろう。レナの顔に疲労の色が見て取れる。
「ありがとう」
 にこっと微笑んでお礼を言う。レナが顔を赤らめる。
「クロード・・、その・・ディアスと最後に戦った時に言った言葉・・聞いていたから・ ・・・」
「えっ?あ!」
 クロードも顔を赤らめる。
「今度、恐いお兄さんに攫われそうになったら、助けに来てね」
 当然だとも!
 そう言いたくても、どうして言葉が出ないのだろう。
 それでも、心は通じているはずだった。
 二人とも見つめ合って、そして目と目の距離が近づいていく。
「クロード、気がついた?」
 せっかくのお楽しみシーンも、不意の闖入者によって邪魔される。二人は、慌てて離れ て、クロードは布団を被り、レナは部屋の隅に置いてある椅子に座った。
「あれ、二人ともどうしたの?まぁいいや。クロード。ディアスとの決戦、ちょーカッコ よかったよ♪」
 プリシスだった。彼女の無意識の意図的な行動によって、ギリギリの所で彼女にとって の最悪な事態は避けられる。
 二人がちゃんとした『儀式』を終えるのは、まだしばらく先のことになりそうだ。




あとがき
またもクロードとディアスがモメてます。(笑)こまりものですね。いっつも私はこうなってしまうというか。一応、クロ×レナを注文されたんですけどね。なって・・ないですね。(おい)す、すみません。私のレベルではこの辺が精一杯なんです。次はがんばりましょっと。

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