『キミが足りない』






このまま時が止まってはくれないだろうか。

「今」を「永久」には出来ないだろうか。

ずっと手に入れたかった人が、腕の中に居る。

ずっと欲しかった言葉が今、発されている。


『ニノがね…好きだよ?』


俺もだよ、と言うより早く身体が先に動き出す。
細い肩を抱き寄せて、細い腰に腕を回して。
同じ男とは思えない程、否、寧ろ其の辺の女よりも細く白い身体を抱き締めた。
フワッ…と松本から香る香りは俺と同じの様で、少し違う。
一晩を共に過ごして、俺の身体に染みついたお気に入りの香水、松本に移ったけれど。
其の香りは俺のとは少し違う、ほんの少しだけ甘い香り。
同じ物でも付ける人によって変わってくるとは本当なんだ、なんて妙に納得しながら絹の様にしなやかな髪に指を絡ませる。
弱く引いたり、そっと涜いたり。
弄るたびに見え隠れする紅い痕がやけに生々しくて、妖艶で。
昨日の情事を思い出させる。
初めて二人、一つに成れたあの瞬間を思い出させる。


「俺だって…好きですよ…。。」


髪を涜いていた指で、紅く松本の身体に残っている其れをそっと撫でる。
触れるたびに、昨日の甘い夢が蘇ってきて。
今でもまだ信じられない。
互いに求め合った夜が。
其れくらい嬉しかった。


『ニノ…。』


細い腕が俺の首に回される。
俺を見上げる其の瞳は、此奴の名前通り潤んでいて。
誘っているようにしか、見えなかった。


『ッん……?!』


思わず、口付ける。
触れ合った其れは重なるだけでは勿体なくて。
強めに吸い上げて、ほんの少しだけ開いた隙間から自分のを押し込んで。
何が起こったのかまだ理解していない松本のを、広くはない其処から探り出す。
奧に隠れていた其れを絡め取って、吸い上げたりして。
其れこそ喰らいそうな勢いで。
松本の呼吸なんて全く無視して其れを続けていると、苦しいのか剥がそうとしてくる。
でも其れさえも無視して。
更に強く抱き締めて、更に深く絡めて。
腕の中で大人しくなるまで、散々口付けた。










「…なんて初めての甘い夜から早ウン年…。」


今更あの頃を思い出して懐かしがるなんて…どこまで俺は飢えてるんだろうな。
何にって、そりゃ松本さんにですよ。
コンサートとドラマ平行してやっている今、二宮和也大分精神的にキちゃってる訳ですが。
まぁツアーが始まれば松本さんとは顔をもちろん合わすから、「会えないから淋しいんだよー!!」っというのとは違うけれど。

折角久しぶりにあったのに冷たい態度であしらわれて、ちょっとでもボディータッチをしたなら慎サマ顔負けの鋭い視線で睨まれて。
仕方ない…と思って離れてみれば、翔くんや大野君や相葉ちゃんや…とにかく俺以外の奴とラブチュッチュしやがって。
俺には催眠術かけたって絶対に絶対に…もう一回…絶対にやってくれないようなことをやってあげちゃって。
なにか気に触るようなことやっちゃったかなぁ…?なんて自分の行動を省みてみても、最近よい子な俺には思い当たる節なんてなくって。
もう一体なんなんだー!!って思っちゃうだろ?


「はぁ…あの時は素直で、でも泣き虫で…すんごく可愛かったのに…。。」


『どういうことだよ、「あの時は」って。』


後ろから、ポンっと手を置かれたと同時に冷たい声が降りかかった。
…そういえばここは楽屋じゃないか。。
しかも今はレギュラーの番組の撮影前で。
きっと今の俺の顔はどんどん引きつっているに違いない…。
聞き違うはずのない声。後ろに立っている奴は確実にアイツ。

(ヤバイ…聞かれてた…。。)

出来れば気付かないふりをしたかったけれど、そんな勇気あいにく持ち合わせていない。
俺はゆっくりと、軽く震えながら後ろを振り返った。




そこには

俺より引きつった顔をして笑っている


松本様がいらっしゃった。






『二宮君疲れてるかな〜?と思って夜のお誘いをしようと思ったけど、どうやら必要ないみたいv』


松本様は恐ろしいくらい綺麗に笑って、俺の前から去っていった。








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あとがき兼言い訳

最近松本さんはニノ以外にはとっても懐いてるように見えるんですよ、私には。
もっとニノにも懐いてあげてください…夜以外でもね(変態)