『If I have no you …』





どうしてだろう。
ただ自分の気持ちを伝えたいだけなのに。
涙が溢れて、止まらなくて。
断られてしまうことを怯えているのかな?
やだな、俺ってこんなに弱かったっけ?

ニノの事考えるだけで、チクチク胸が痛くなる。
俺の胸の奥の、その奥の、また奥の方で。

チクチクチクチクチクチクチクチク…

痛いよ…。苦しいよ…。
まるで胸の奥に針を刺されているみたいに。
刺されて、刺されて
沢山刺されて。
刺された分、ニノへの想いがつのっていく。
きっと今の俺の胸、針いっぱい刺さってる。
だってもう、ニノの事しか考えられないんだもん。
ニノしか見えなくて、ニノの声しか聞こえない。

もうおかしくなっちゃったよ。
俺、ニノじゃなきゃ駄目になっちゃったよ。
ニノの所為で、ここまで弱くなっちゃったよ…。









でもニノは俺じゃなくてもいいんだよね。
寧ろ、俺以外なら誰でもいいのかな?
相葉ちゃんとか、大ちゃんとか。
それとも俺の知らない誰か?
女の子?

(ねぇ、俺じゃ駄目なの…?)

言いたくても言えない言葉飲み込んで。
喉の奥で支えてるそれを水と共に流し込む。


「ニノ…。」


ニノの事だけ考えていれば、夢の中で会えるかな?

夢でもいいや。
会えればそれでい。
自分の中で絡んで取れない物も、
その時だけ忘れて。



夢の中で一緒に笑えれば…。

十分かな…。




















「愛してる」

一番簡単で、短くて
でもこの世で一番気持ちのこもっている言葉。
言うことは簡単。
でも難しいのは、その「愛」を相手に伝えることだと思う…

それが出来なくて、皆躊躇うのかな。
自分の気持ちが伝えきれずに、傷付くのが怖いのかな。

強いふりして、じつはすごく弱い俺だから、
松本への想い否定し続けている。
否定することで、今は自分を保っていられるから。
一度でも肯定してしまったら、
どこまでも弱い自分になってしまいそう。
今までの「俺」が「俺」で無くなってしまいそう。


「俺は…松本なんか…愛していない……っ」


自分に言い聞かせるつもりで呟いたのに、
おかしいな。
何故だろう。


瞳から涙が溢れてくる…


慌てて目を擦ってももう手遅れ…
流れ出て止まらない涙は
ただひたすら俺の指を、手を濡らす。






「っんで…なんでこんなに好きなんだよ……っ」




















夢の中で俺は一人で笑ってた。
隣には誰も居ない。
空しいから笑うのを止めたいのに。
笑いは止まらなくて。
そのうち喉が痛くなって、声が出なくなったのに
それでも止まらない。
目の前に広がる青空の前で一層空しさが増す。


「ニノ…何処居るんだよ…」


そんな俺の掠れた声が、青空に消えていった。




















『ニノ…何処居るんだよ…』


不意に自分の名前を呼ばれて驚いた。
しかし周りを何度見渡しても居るのは楽屋のソファーで眠っている松本一人。
早まる鼓動を聞きながら、そっとその整った顔を覗いてみると。


松本の瞳は濡れていた。
その白い肌には暖かな涙が流れ、
真っ赤な唇は絶えず単語をはき続ける…


『ニノ………ニノ……………』


俺の胸が急に痛み出した。
でも、それが決して不快な物では無いことを俺は知っている。
さっきまでの悲しい痛みとは違う。

嬉しい痛さだ。


『ニノォ…っ』

「なんだよ…松本…。」


そっと、手を握って言ってやった。




















とうとう真っ暗になってしまった…
一人のまま。
一番会いたい人に会えないまま。

一人は嫌だ…やだよニノ…


「ニノォ…っ」


誰が居るわけでもないそこで、名前を呼び続けた。


『なんだよ…松本…。』


ふと、誰かの声がした。
風と同じくらい優しくて
太陽と同じくらい暖かい声。

その瞬間に真っ暗だった空間に太陽が現れた。
優しい風が、大好きな香りを運んできた。


(この香り…ニノのだ……。)


太陽が大きくなっていく。
風も強くなっていく。


『起きろよ、おい…。』






ニノだぁ……




















松本が目を開けた。
焦点の合わない瞳で必死に俺の顔を探している。


『ニノ…。。何処…?』

「此処に居るよ。」


ずいっと顔を松本に近づけて、
未だに流れ続けている涙を舐め取ってやった。


『…っニノ?』

「…愛してるよ。…ずっと前から好きなんだ。」

『………ん…?!』


ようやく目が覚めてきた様子の松本は遅めに返事を返した。


「俺が、お前のこと好きだって言ってるの。分かる?」

『…分かる…。』

「…お前は?俺のこと好き?」

『……好き…。』

「そっか。」




















『そっか。』


ニノはそう言ったきり黙ってしまった。

胸の奥の針が抜けていく…
一本ずつ…一本ずつ…
ニノが抜いていってくれている…
針の数だけニノの事想っていたけれど。
それを全部取ってしまったのに、
ニノへの気持ちは変わらないの。
不思議。

そんな事考えてたら、
無意識のうちに涙がまた溢れてきた。


『ぉいっ;泣くなよ…;』

「っんなこと言ったって…泣きたくて泣いてるわけじゃ…ない…っ」


流れ出る涙。
でもニノは、枯れるまでずっとそれを舐め取ってくれていた。


『お前、昔から変わらず泣き虫だな。』

「うるっ…うるさぃっ…」


あはははって笑うニノの声は高く、澄んでいて。
夢の中では一人だった俺の隣に、
今はニノが居る。

夢の中では意地悪なニノは出てきてくれなかったけど、
今は隣に居るんだね。







一緒に笑ってくれるんだね。




















ニノ…大好き…。



     松本…愛してる…。






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あとがき兼言い訳

以前、BBSで沙弥香様が「Unrequited love」でニノ潤を両想いにっ!
と、おっしゃっていたのであえて題名を変えて続編書いてみました。
長いです…;すみません…;
最後まで読んでくれている心優しい方々に、
感謝カンシャです…;;