映画

大脱走(1963年度作品)

 

  

 

「映画って、こんなに素晴らしいものなのか」と、感動したのが「大脱走」でした。映画館で見たのではなく、テレビの金曜ロードショーで、前編と後編に分け、2週続けての放送でした。

舞台は第二次大戦中のドイツ軍の捕虜収容所。捕虜となった者が力を合わせて脱走するというストーリー展開でした。

前編は、ユーモアに富んだシーンが随所にあり、また、好きな俳優のデビット・マッカラムが出演していたこともあって、「あ、おもしろそう」と、何となく見ていました。当時の自分は、ハッピーエンドになるものだと思い込んでいたのです。まだ、世間知らずだったのでしょう。それが、前編のラストで、アイブスが鉄条網を乗り越えようとしたところをドイツ兵に撃たれるシーンを見て、自分の心の中で衝撃が走りました。

    

「アイブス!アイブス!やめろ!」

 

 

 

 

脱走のため、トンネルを掘るのですが、落盤事故が続きます。トンネル掘りのプロ達も恐怖のどん底に突き落とされ、ダニー(チャールズ・ブロンソン)が閉所恐怖症になって鉄条網を越えようとします。それを必死でなだめて説得するのが、同じくトンネル掘りのプロのウイリーです。「ウイリー落盤だ・・・。生き埋めになる・・・。」と、うわ言を言うダニー。このダニーをウイリーが一生懸命説得するシーンを見て、私は友情と忍耐力を学んだように思うのです。

ウイリー役のジョン・レートンは、確か俳優ではなく、歌手だったと記憶していますが、なかなかの好演でした。

 

 

 

 

   

 

トンネルができて、いよいよ脱走するというところで、私はまだ、「何百人も脱走して、ドイツ軍があわててハッピーエンド」を想像していました。しかし、いざ、出口を開けてみると、森まで届いておらず、6メートルも短いのでした。あわてるマクドナルド。しかし、冷静なヒルツはロープを使ってチャンスに合図して、何とか成功させようとします。

このシーン。私は、いつも思い出します。ピンチになると、「何とか方法がないか」ヒルツ役のマックイーンになって考えるのです。

脱走は、順調に進むかに見えました。しかし、あわてた一人がつまずいて転びます。この音に気づいたドイツ兵が近づいてきます。あたりは真っ暗ですが、ドイツ兵のすぐ横に、つまずいて転んだ男が息を殺しています。このシーンは、私もまさに息を殺していました。もはや、前編のときのような気の緩みなどありませんでした。このへんから正座して見始めていたように思います。

 

 

 

 

これは、私の好きなシーンのひとつです。手前にいるのがデビット・マッカラム演じるアシュレイ・ピット。二人で寄り添うようにいるのがヘンドリーとコリー。更に奥に立っている二人も脱走してきた仲間です。このように、さりげなく民間人を装っている姿が痛快でした。

 

 

 

  

みんなそこをどけろ!」

この映画で、私が本当に衝撃的だったシーンです。大好きなデビット・マッカラム扮するアシュレイ・ピットが、仲間のバートレットを助けるために、ドイツ兵を撃ちます。それを見た、他のドイツ兵が、逃げるアシュレイ・ピットを撃つのです。

ダーン、ダーン、ダーンと、3発。私の大好きなデビット・マッカラム扮するアシュレイ・ピットが撃たれて死ぬのです。このシーンを見たとき、私は取り乱しそうでした。「何で、何で死ぬんだよ?」「そんな、そんなことってあるのか・・・?」今思い出しても泣きそうになります。友達を助けるために命をかけてドイツ兵を撃ち、そして、自分も撃たれて死ぬ。そんなシーンを見せられ、私はどうにかなりそうでした。

映画を見て、泣きそうになったのは、このときが初めてでした。まわりに家族がいなかったら、きっと泣いていたと思います。

 

 

 

 

「ゲシュタポが乗っている。飛び降りるぞ!」「かまわん、思い切り突き飛ばしてくれ!」

 

脱走する仲間のパスポートなどの偽造で活躍したコリンは、目を酷使した結果、目が見えなくなってしまいます。「目が見えなくては脱走させられない」と言うリーダーのバートレットに対し、「俺が連れて行く」と言ってヘンドリーはコリンを連れて脱走します。ゲシュタポから逃れるために汽車から飛び降りるなど、大変でしたが、上手い具合に飛行機を奪って飛ぶことに成功します。

このヘンドリーの行動も好きでした。人柄なコリンを見捨てておけずに、励ましながら脱走させようとします。

 

 

  

 

飛行機が無事離陸し、「よかったな」と、ホッとしていたのですが、エンジンの調子がおかしくなり、あと少しでスイスというところで墜落してしまいます。更に、墜落後、コリンに悲劇が訪れます。ドイツ兵に撃たれてしまうのです。何となく危険を察したコリンが振り返って「ヘンドリー!」と叫ぶのと、ドギューンという音と、同時でした。ほとんど虫の息のコリンにヘンドリーが駆け寄ります。

「すまん、こんなことになっちまって・・・。」

コリンが言います。

「いいんだよ、ヘンドリー・・・。ありがとう・・・。出して・・・。くれて・・・。」

そのままコリンは息を引き取るのです。

このシーンは、何度見ても涙が出てきます。

 

コリン役をしたドナルド・プリーゼンスは、実際に、ドイツ軍の捕虜になって収容所に入れられた経験があることを、後になって知りました。

 

 

 

  

 

この映画を見て、私は、スティーブ・マックイーンのファンになるのですが、やっぱり、オートバイで逃げるシーンはカッコ良かったですね。

 

この映画はテレビから録音して、吹き替えのセリフは、ほとんど暗記しました。私の人生において、この映画ほど影響を受けたものはありません。

「気持ちが沈みそうなときに、ちょっとしたユーモアを言う」ことや、「あきらめない気持ちを持つ」などは、間違いなくこの映画で教えられたものです。マックイーンが、何度捕まえられても、独房の壁にボールを投げてキャッチするシーンは、人生をどのように生きるべきかを教えてくれているように思います。

 

 

スタッフ

製作・監督・・・ジョン・スタージェス

脚本・・・・・・ジェームズ・クラベル

       W・R・バーネット

原作・・・・・ポール・ブリック・ヒル

 

キャスト

ヒルツ(独房王)・・・・・・スティーブ・マックィーン

バートレット(ビッグX)・・・・リチャード・アッテンボロー

マクドナルド(情報係)・・・・ゴードン・ジャクソン

ダニー(トンネル王)・・・・チャールズ・ブロンソン

セジウィック(製造係)・・・ジェームズ・コバーン

アシュレイ・ピット(監視係)・・・デビッド・マッカラム

ヘンドリー(調達係)・・・・ジェームズ・ガーナー

コリン(偽造係)・・・・・・・ドナルド・プリーゼンス

ラムゼイ大佐・・・・・・・・ジェームズ・ドナルド

 

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