●まんじゅうを作る機械を見たときに和菓子部門はいやだと思った
「もっとおいしいお菓子を食べたい」という思いから飛び込んだ菓子作りの世界。
いまや年商100億円を超える菓子店「たねや」に吉川さんが入社したとき、従業員はたったの4人。
「たねや」の看板商品栗まんじゅうが15円のころだ。
「和菓子を作りたいと思って入ったんだけど、まんじゅうを作る機械を見たとき和菓子への道はやめたんです」と笑って話す吉川さん。
「機械ではできない洋菓子なら職人としての腕が磨けると思った」と洋菓子部門へ。あくまでも手作りにこだわる吉川さんらしいエピソードだ。

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 工芸菓子はアート

●もっとおいしいものを、もっと技術を
こうして洋菓子職人として活躍していた吉川さんが和菓子の魅力に取りつかれたのは「たねや」を辞めて御菓子司 梅元老舗に移ってから。「あのころが一番楽しかったなぁー」と顔がほころぶ。
「自分の作った和菓子を展示会に出して、評価してもらったんです。そうするともっとおいしいもの作りたい、もっと技術を磨きたいと思うんですね。それで毎日どうすればいいんだろうと考えながら仕事をしてました」
その気持ちは今も変わらない。

●一輪の椿との出会い
「それを見たとき、すごい衝撃を受けましたね」
吉川さんが語る「それ」とは、大阪ニ六会〈千寿堂春欄〈故)箭会長〉当時70歳を超えた職人さんが作った工芸菓子の「一輪の椿」の美しさである。
工芸菓子とは、すべて食用可能な菓子用生地や製菓材料だけを使用して作った観賞用の菓子のことである。高度な技術を駆使し山水花鳥風月などを写実的に表現したそれは、まさに芸術作品である。
「どんなに手間ひまがかかっても、人間の手でしかできないことをやりたい」と語る吉川さんが、その「一輪の椿」をきっかけに工芸菓子の魅力に取りつかれたのも納得できる。
まるでほんものそっくりに作られた工芸菓子は根気との勝負。鳥の羽は一枚一枚、はさみで羽枝を作っていくのだそうだ。
時間がかかるんでしょうね、という問いに「羽を作るのなら一気に作ってしまわないと色がところどころ違ってしまうんです。だから工芸菓子を作るときは、夜も寝られないくらい熱中するんです。でも、この魅力にはまると抜けられませんね」と笑う。
吉川さんは職人でもあり、芸術家でもあるのだ。
工芸菓子作りで一番の苦労は?と聞いてみると
「壊れないように運搬すること」なのだそうだ。

●若い人にお菓子作りの喜びを知って欲しい
「そろそろ自分は菓子作りの技術を若い人に伝えていく年代になった」と語る吉川さんは、愛知中学の体験学習で中学生に菓子作りを教えている。
2日間の実習のうち、1日目は銘菓「びんてまり」を作り、包装し、販売させる。
2日目は洋菓子だ。スポンジを作り、ケーキのデコレーションを教える。「作りたてのおいしさを知って欲しいから」と自分の作ったケーキを持って帰ってもらい家族で食べてもらうのだそうだ。
吉川さんは「若い人が菓子職人を目指してくれることがすごくうれしい。僕はそういう人たちを精一杯応援したい」と語る。

●本当の職人とは
「仕事だけできてもそれは熟練工であって、経営もできなければ職人とはいえない」と吉川さんは語る。
「経営をするんならパソコンもできないと(笑)」
菓子作りにも様々なアイディアや工夫をこらす吉川さんは、ホームページ作りにもいろんなアイディアをお持ちのようで、今後のページ更新が楽しみだ。
取材・編集 におモール事務局




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