バファローズvsホークス(2000/07/02)観戦記 2000/07/03

清松みゆき

 

思い立ったが……

 球場で試合を直接見る。僕のようなひねたプロ野球ファンであっても(笑)、やはり、一番楽しいのはこの生観戦に尽きる。
 実は、ここのところ、「一人寂しい」土曜日が続いていた。妻が、子供二人を連れてお出掛けしてしまうためである。いや、不仲なのではない、妻が自分の用事で外出しなければならず、その間に子供二人の面倒を見ることを、僕が断固拒否しているからである。何しろ、妻の用事というのは「RPGのGM」である。おめーが遊んでるのに、何で、俺が子供の面倒見にゃならんのだ!
 で、「野球でも見にいくかあ」と呟いたら、「かってにどうぞ」ときたもんだ。日程調べたら、GS神戸ないし大阪ドームで、土曜日観戦が可能なのは、07/01、バファローズ戦(大阪ドーム)である。
「じゃ、7月1日、行くからね」
「あ、その日は、プレイヤーの都合が悪くて、キャンペーンお休みなんだ」
 はい? だが、一度思い立ったら、中止する気にならないのが人情である。行くったら行く。絶対行くんだ。
「はいはい、ご自由に」
 ここで、僕は失策をおかした。ひょいと智矢を持ち上げ、「お前も行くか?」と聞いてしまったのである。
「うん」
「栞理ちゃんも行く!」
 げっ。
「お母さんは行かないから」
 げげっ。
 俺に、子供二人の面倒見ろと?
「だって、高いお金払って、子供二人押さえつけながら、よくわからない野球見なきゃいけなくて、そこまでしてあげても、結果しだいじゃ、お父さん、不機嫌になるだけでしょ!」
 はう、言葉もない(笑)。何しろ、妻は、家庭の平和のためにホークス勝利を祈り続けている毎日である。月曜日が安息日になっているほど。
 つーわけで、子供二人抱えての観戦となった。土曜日にこだわる意味がなくなったので、観戦日は07/02に決める。07/01は、珍しいTV中継があるからね。見る機会をなるべく減らしたくないのである。

読みがはずれて……

 というわけで、当日。子供二人を連れてJRに乗る。大阪駅までは妻が同行。そこから、別れて自分はショッピングだそうだ。
「3時間15分ぐらいがメドかな。4:15に大阪ドームで待ち合わせよう。試合が終わってなかったら、終わってからということで」
 と、待ち合わせを決めて僕と子供二人は環状線へ。大正駅で降りる。車中、智矢の服(親ばか日記を参照してくれ)を見て、「お、これいいなあ」などと言っている若者あり。少し、嬉しい。
 大正駅でぞろぞろ人が降りる。ありゃ、意外と多いな? 去年の日本一で名を上げた上に、今年も首位に立ったということもあるだろうが、これは読みがはずれたかも……。何せ、ビジターでも三塁側から埋めてしまうらしいからなあ。おかげで、智矢にあんな服着せてもへいちゃらなんだが。
 大正駅から大阪ドームまでの道中、暑さに参る。智矢が途中でだっこちゃんモードになっちゃうし。
 内野自由席券を買って入場。目算では、三十分も前なんだから、ちゃかちゃか適当においしいところを3席確保できるはずだったのだが……。
 あちゃあ、不安が現実になってかなり人が多い(結局、24000人という発表だった)。田淵監督時代のへろへろホークスの球場風景しか知らなかった僕にはとても信じられない光景。こりゃ参ったね。結局、選手からは遠い(顔がわからん)、通路からも遠い(出入りしにくい)、応援団は近い(うるさいんだよ)、ホームランは来ない(内野席なんだから当たり前だ)、死角はある(レフトフェンス際がまったく見えない)の最悪に近い座席になる。
 湯上谷
 湯上谷試合前練習の湯上谷、便利屋らしく(笑)、一塁と二塁でノックを受けていた。

 

中村、いきなりやってくれるのう

 いよいよ、プレーボールである。
 全景こんなふうにしか見えない席だった。
 バッター柴原先頭打者柴原。
 柴原が出塁するも、本間が凡退(最近、調子落ちてんな)、吉永にいたっては投ゴロ併殺とイヤな流れになって、バファローズの攻撃。
 ただのショートゴロが内野安打になる。「平下って速えーなー」と後ろで声が上がるが、あれは、井口が悪い。何をのんびりした送球してんだか。1塁判定の前に、俺はやばいと思ったぞ。で、斎藤和がストライクが入らない。あげく、1死1・2塁から苦し紛れの球を「ぶんぶん中村」に3ランを浴びる。おいおい、不機嫌な俺に子供の面倒見させるつもりか?(笑)
 結局、さらに四球から1点を献上していきなり4点のビハインドである。
 中村対策何とかならんのか? あれだけ振り回してくるバッターに正直にストレートでストライク取りにいっちゃな。的場も若い。

反撃開始とタコ応援団

 2回3回と、ともに四球でランナー出すなどありながら無得点。何となくゲームが落ち着いてきた。こうなると、逆転への予感が走り始める。怖いのは、いきなりぼこぼこと大量失点することだが、それがなければ、打線はいつかは点が取れる。特に、山村のようなまとまりのよいタイプには、ホークス打線、悪くない。
 で、4回。四球で無死1・2塁が、松中内野ゴロ、ニエベス三振で2死1・3塁となる。バッター秋山。
 はたらけ、はたらけ、あ・き・や・まぁ〜。とコールが始まる。
 だから、応援団は嫌いだ。バカの集団が、わけのわからんことをほざきやがる。
 秋山、ちゃんと働いてるやろ!
 確かに、2000本安打を意識してか、今年は本塁打は少ない。今までわずか2本だ。だが、下位にあって、貴重なタイムリーを打ち、打線を繋ぐ役目を果たしている。チームで3番目の打点を稼いでいる人間に何言いやがる。
 そして、彼ら応援団には、秋山の守備での貢献はかけらも目に入っていないのだろう。柴原・秋山の右中間がどれだけ固い守りを見せてきたか。上がった打球はスタンドインでさえなければ、ほとんどスイープしてのけている。
 そういうことを知っているなら、絶対に出てこない台詞だ。何、勘違いしてやがるんだ。
 と、怒りを覚えながら見ていたら、やってくれました。追撃の3ラン。チャンスを逃しかけていただけに「せめて1点」と思っていたんだけどね。バックスクリーンに叩きこんでくれるとは。
 手のひら返すように、秋山コールを始める応援団。うるさい、てめーら、黙っていろ。

逆転、小久保さまさま

 せっかく、1点差に詰め寄ったのも束の間、斎藤和がまたまたコントロールを乱して失点。田之上がマウンドに上がる。あーあ、また、先発で勝てなかったよ。
 秋山
 柴原
 ニエベス投手交代のあいまに、柔軟体操をする外野三人。

 田之上が何とかかんとか凌いで、2点差を追撃する5回の攻撃。うまくチャンスを作るが、本間・吉永の不調コンビが凡退して2死1・3塁。バッター小久保。
 今年の小久保は、本当に頼りになる。ここで、きっちりタイムリーだよ。痺れたねえ。これが4番の仕事だよ。ホームランばかりが野球じゃない。
 そして、松中が逆転3ラン。傍目のヒーローはこの松中ってことになるだろうが、実際には小久保だ。追撃したのに離され、それをさらに追いかけようとして作ったチャンスが潰えかけるという最悪に近い展開。これを、一気にひっくり返してのけた。松中のホームランは、その勢いに乗って生まれたものだ。ただの1単打、ただの1打点じゃないんだよね。本当に重みのあるヒットであり、得点だった。
 これで、勝つ確率はかなり高くなったなと、僕は、ほくそ笑んだのである。

そして、勝利の公式

 せっかく、打線が逆転したのに田之上がぴりっとしない。で、「係長」渡辺正が登板。まあ、確かにあの風貌はサラリーマンだわ(笑)。残業手当山ほどもらっとけな。
 んでもって、きっちり訪れる2死満塁・バッター中村の絶体絶命。ハラハラさせてくれるぜ。結局、フェンス際まで飛ばされたもののライトフライ。全打席全球ホームラン狙いというのは、こういうときには、逆に助かる。そりゃあ、グランドスラム喰らえば一挙に逆転だけどさ、同点タイムリーでランナー2人残しだって、同じくらいイヤなもんなんだよ。
 むろん、プロ野球はエンターテイメントであるから、中村の個性として、その姿勢は尊重する。けれど、それは、チームの勝ちを犠牲にしていることも事実。兼ね合いは難しいが、僕は、小久保の姿勢のほうを支持するね。
 この大ピンチを凌いだところで、7回表には追加点。あ、勝っちゃったなとこの時点で思う。3点差あれば、よしんばローズ・中村に連続ホームラン喰らってもまだリードしている。何より、たかだか2点ビハインドで松本登板など、バファローズ梨田監督もまた、この時点で勝負を投げてしまっていた(ファン怒るぞ)。
 吉田−篠原−ペドラザが1イニングずつの無失点リレー。ちなみに、僕は、これを「方程式」と呼ぶのにどうも違和感を感じてしかたない。どちらかと言えば、「公式」と言ったほうが、用語として正しくないかな? 「終盤リード+吉田+篠原+ペドラザ=勝利」の、どこに未知数があるんだい? どれについて解くべきなんだい? しょせんは、ナガシマ語で、日本語ではないってことだね。
 かくて試合終了。時計を見ると予定を1時間オーバー、お互いに四球が多かったなあ。
 4番サード4番・サード・湯上谷。もちろん、守備固めで打席はなしだったんだけど(笑)。

あれこれと最後に

 子供連れの観戦はやはりしんどい。すぐにお菓子や飲み物を欲しがる。あげくに、栞理が「自分もメガホン叩きたい」などとのたまう。さらに、いいところで、「トイレ行きたい」ときたもんだ(苦笑)。すいません、通路際のご夫妻。何度も何度も前を行ったり来たりして。m(__)m

 ちらりと触れたが、応援団はうるさいだけ。絶対に不要だ、あんなもん。放っておいても、盛り上がるときには盛り上がるんだ。降板していく相手投手にサヨナラ・コールなんて、最悪だ。
 1日置いた今日でも鼓膜が痛い。難聴になったらどうしてくれる(怒)。

 本間の調子が、かなり落ちている。当てにいくよくないバッティングになっている。きっちりとスイングしないとね。

 篠原の球速がガタ落ち。それでも、中村を内野フライに仕留めるキレは残っていたが、でも、休ませたいと、ひしひしと思う。
 一方で、ペドラザは絶好調。ずっとこの調子でいてくれな。

 妻と合流後、大阪ドーム内のビア・レストランで食事。ここからでも観戦できるんだよね。僕らの座っていた席より、よほどいいアングルだ。次は、こっちにしようかな?
 で、食事中に、何かの少年野球大会の開会式が始まったのでタダ見を決めこむ。あまりの没入ぶりに、妻に、「本当に野球、好きなんだねえ」と呆れられる。
 その風景が、僕自身の少年時代を思い出させたのは確か(いや、こんな立派な球場で試合したことはないが)。観戦するだけでなく、実際にプレーしたいなあ……。

 応援団がうるさかろうと、席が悪かろうと、生観戦はやっぱり最高だ。また、機会があったら行ってみようと思う。
 今度は、子供抜きで……。と思っていたら、
「お父さん、また、連れてってね」
 はううっ。お母さん、何とかなりませんか?(笑)


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