アメリカン・フットボールの魅力 1999/02/19

清松みゆき

 僕がアメリカン・フットボール(主にNFL)を集中的に見始めたのは、10年ほど前からです。それよりずいぶん以前、子供の頃からも、このスポーツに漠然とした好意は抱いていました。小学生の頃か、中学生の頃か、記憶ははっきりしませんが、トランプを使ったソロ・ゲームを作ったこともあります。

 現在では、NFLは、僕がもっとも愛するプロスポーツと言って、過言ではないでしょう。

 なぜ、日本ではマイナー・スポーツと言っていいアメフトが、ここまで僕を魅了したのでしょう? 答えはいくつかあります。ここでは、そのうちの大きな2つを挙げてみようと思います。
 そして、あなたもアメフトに興味を持っていただければ、幸いです。

 理由1:きわめてゲーム的である。

 アメフトは、ルールの複雑なゲームと呼ばれます。そして、事実、野球と並んで複雑です。しかし、その基本は、次の1点です。

 ハイリスク・ハイリターンの「パス」を選ぶか、ローリスク・ローリターンの「ラン」を選ぶか。

 4回の攻撃権中、10ヤードの前進を得られれば、新たな攻撃権が獲得できます。その前進の手段が、「パス」と「ラン」です。
 そして、パスは、ハイリスク・ハイリターン。ランはローリスク・ローリターン。この性格の違いがジレンマを発生させる。そこがゲーム的であり、ゲームを愛し、職業にまでしてしまった僕の感性にジャストミートしたわけです。
 残念ながら、日本国内のアメフトは、パスがハイリスク・ローリターン、ランがローリスク・ハイリターンの傾向があり、ジレンマに欠けるきらいがあります。
 プロ化を目指すなら、是非とも、パスオフェンス技術とランディフェンス技術、パッシングQBとディフェンスラインの底上げをはかってほしいところ。
 その基本を押さえた上で、アメフトにはさまざまなバリエーション、トリックプレイが存在します。基本ルールに慣れたところで、選択ルールで幅を広げる。これもまた、ゲームではよく取られる手法であり、僕に親和性を抱かせるゆえんです。

 ゲーム的と言えば、アメフトのルールはきわめて合理的です。時間はしっかりと管理され、反則処理や選手の負傷治療中は、プレイクロックは止まり、ロスタイムへの疑念などは発生しません。
 卑怯、危険とされるような行動は、徹底的なルール管理で反則が規定され、ヤード数という明確なペナルティーで一元管理されています。
 人工的ルールと言わば言え。だからこそ、プロスポーツとして、見ておもしろいのです。

 理由2:とにかく、選手の身体能力が凄い

 NFL選手たちの身体能力は、お化けです。僕の一押しのQB Randall Cunningham は、フィラデルフィア・イーグルス時代、背後から迫ってきたディフェンス(Bruce Smith)を、ボクサーなみのダッキングでかわし、10メートルを越える逆風の中、あの重くてでかいボールを自力で60ヤード投げてレシーバー(Fred Barnett)にパスを通しました(その後、Barnettは独走し、95ヤードのTDとなった)。
 まあ、トップアスリートとは、どこでもこんなものでしょう。しかし、集団としてのトップアスリートの集積具合を見た場合、NFLは随一と感じられるのです(NBAより重量がある分ね)。
 また、選手交代が自由であるため、疲れきった選手のへろへろなプレーを見ずにすむという利点もあります。汗と泥にまみれた姿も格好いいけど、過ぎればただの残酷ショーですしね。

「何で、あんなことができるんや?」

 僕がプロスポーツで見たいのは、この1点です。
 それを1プレイ、1プレイごとに満喫させてくれる魅力が、NFLには存在します。
 プレイごとの切れ目が明白なため、見る側は、適度に弛緩しながら高い緊張を維持し続けることができます。相撲の立ち会いにも似てますね。プレイ(相撲なら取り組み)が終わって、そこから、プレイ休止中に緊張を再度高めながら、次のプレイを待つことができる。相撲より、はるかに回転は速いですが。
 余談ですが、日本国内のプロスポーツでこの思いを満足させてくれるのは、プロ野球(特にイチロー。そして、ライオンズ、ジャイアンツの二人の松井。ひいき目で小久保と吉永)と大相撲、プロレスってことろでしょうか。

 僕はNFLが好きです。ルールの壁を薄いとは言いませんが、せいぜいが野球と同レベル、おそらくは、少し簡単なくらいです。
 つまり、ボードゲーマーなら、楽勝で覚えられる程度です(笑)。
 そんなもん見てれば覚えます。そして、NFLは、継続して見させるだけの魅力を個々の選手が持っています。
 ファイナル・スポーツの称号は伊達ではありませんぞ。


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