絶えず周囲を見回し、『何か』の兆しを探し続けた。
逃げ惑う群集。
それを追い、建物や街路樹を傷付ける魔操騎兵。
それを止める兵士達。
崩れた家屋。
街路樹への落雷。
雨のヴェール。
空を覆う雨雲。
広場を挟んだ向かいの屋根。
領主官邸の白壁と三階部分に開かれた調印式の会場。
何処にも兆候と解るモノは存在しなかった。
突如視界を漂白する程の雷光が厚い雲の中で轟く。
「――ッ!!」
Episode08-D『竜と少女』より
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