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1.消費者の変化と食生活
1. 食生活形態の変化
(1)食生活とその変化
1)食生活の3つの領域
(i)「内食」、「外食」、「中食」の概念規定
- 内食=食材の調達(購入)、保管、調理、提供、後片付け、食事に関する一連の作業が家庭内成員の労働に依存→提供者と享受者に金銭のやりとりは発生しない
- 外食・中食=食事に関する一連の作業(あるいは調理という基本的な部分)を第三者(家庭の外部)に依存→「食の外部化」、享受者は提供者(第三者)と金銭のやりとりが発生
- 外食=食事空間を設ける→享受者は食事の購入と消費が同時、中食=食事空間を必要としない→享受者は食事の購入と消費に時間差がある:持ち帰りに便利なように工夫
(ii)「内食」、「外食」、「中食」の区分例
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調理の場 |
食事の場 |
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| 内食 |
家庭内 |
家庭内 |
通常の食事、家庭で作った弁当、ホームパーティ |
| 外食 |
家庭外 |
家庭外 |
レストラン、ファストフードのイートイン |
| 中食 |
家庭外 |
家庭内 |
コンビニ弁当、ファストフードのテイクアウト、スーパーの惣菜 |
2)「内食」、「外食」、「中食」の成立
(i)「内食」生活の成立
高度経済成長期(1960年代):
- 家庭内での調理環境の変化=1)住居のインフラ(電気・ガス・水道)が整備、2)家電製品(炊飯器、冷蔵庫)の普及、3)食品産業の発展(食材、調味料が家庭に常備)
- 家庭外での調理環境の変化=1)商店街の形成(青果・食肉・鮮魚小売店:食料品配荷機構の整備)
- 文明生活と家事の近代化:女性の専業労働力一人で家庭内の食事供給が可能→もっぱら主婦労働にオペレーションを委ねて家庭成員が食べ手にまわる家庭「内食」が成立 →「内食革命」(「第一次内食革命」)
(ii)「外食革命」
- 大都市に人口が集中:都市への新規流入人口=家庭から切り離され単独で流入するケースも多かった:下宿・寮という居住スタイルでの「賄い」=「外食」
- 1970年代:積極的に「外食」生活の楽しさを演出する外食産業が発生:従来の外食は「内食の代替」or「ハレの行事」→国民食生活の豊かさを実現する社会装置=「外食革命」
(iii)「中食革命」
- 食の外部化の受け皿=ファストフードのテイクアウト→コンビニエンスストア(CVS):ドミナント出店=消費者の近隣に店舗、CVSの利点?簡便性(いつでも手軽に利用可能)、1)時間的節約(すでに調理されている)、2)食の移動性(好きな場所での食事が可能)、3)経済性(ワンコインマーケット:500円玉ひとつでおつりがくる)
- 1990年代→消費者の「食」選択に恒常的に中食→「中食革命」
(iv)「第二次内食革命」
- 「第一次」との相違(家庭内)=1)家庭における「お湯」の恒常的供給→食器洗いに便利、2)ガスレンジの複数化、オーブンレンジの普及、冷蔵庫の冷凍機能、電子レンジの普及
- 「第一次」との相違(家庭外)=スーパーマーケット(品揃えの総合性、セルフピッキングによる買物時間短縮、一次加工済み商品=下ごしらえなど台所機能の肩代わり、調味料・冷凍食品の開発供給)
- 現代の食生活は消費者のTPO(Time、Place、Occasion)によって選択可能
(2)食生活変化をもたらす要因
1)家族形態の変化
(i)世帯の僅少員化
- かつて「4人世帯」が標準→近年では「1人世帯」「2人世帯」が多い。
(ii)「内食」の経済的優位性とその喪失
- 「内食」は世帯人数が多い世帯にとって経済的に優位=調理労働が内製化(世帯員の一部が負担)→対価支出が発生しない
- 僅少員世帯は調理など内製労働に割く人員がいない→経済的優位性がない
2)女性の位置の変化
(i)「内食改革」と専業主婦
- 高度経済成長期:第二次産業が発展→労働需要を満たすために農村から都市へ人口が流入→核家族化→男性は社会的労働に従事し女性は家庭内で家事労働に従事するスタイルが確立→専業主婦層
(ii)「外食改革」と専業主婦
- 低成長期:産業構造が第三次産業へシフト→男子労働偏重が次第に改められはじめる→女性を補助労働力として;外食産業の勃興→パート労働を効果的に活用
- 第I種兼業主婦:家事労働(家庭内)を主、パート勤務(家庭外)を従→1)家事労働の省力化傾向、2)主婦の可処分所得増大
→「食の外部化」促進、1)生活の楽しみとしての外食ニーズ増大
(iii)「中食革命」、「第二次内食革命」と就業主婦
- 女性の社会進出→男子と対等の労働条件が拡大→第II種専業主婦:家事労働(家庭内)を従、職場勤務(家庭外)を主
(3)単身生活者の食生活
1)単身生活者の食生活形態の変化
(1)「賄い」から「外食」へ
(i)「賄い」=食事付きの下宿や寮で生活
(ii)「外食」から「中食」へ
- CVSチェーンの大量出店→「調理食品」の構成比が拡大傾向
2)「中食」ライフの浸透と高齢単身生活者
(i)「外食」割合が多い若年者層
- 高齢単身者は「相対的」に「中食」領域が重要性を増している 1)新しい食形態の萌芽 ・ 高齢単身者にとって、ii)「内食」は買物・調理に対する負担、iii)「外食」は出かける労力や金銭面での問題あり→スーパーの惣菜
- CVSの弁当を自宅に持ち帰る「中食」は好都合
- 電子レンジの普及→高齢者が火を使わなくてすむ→安全性向上
- 日常食の宅配サービス
2.食品消費の変化
(1)主要食品の消費の変化
1)食料費の動向
- 「家計調査」全国約8000世帯の家計支出を集計
- 1世帯あたり食料支出(名目)指数
- 1世帯あたり食料支出(実質)指数:「消費者物価指数」を掛け合わせて実質化=1990年以降減少が著しい
- 1人あたり食料支出(実質)指数=あまり変化がない→食費の節約が進んだのではなく、1世帯あたりの人員数の減少が関係
2)食料費の構成変化
- 「食材向け支出」は減少傾向、「加工食品支出」はほぼ横ばい、「外部型支出」(調理食品+外食)は増加傾向
- 「調理要」郡は減少傾向、「調理不要」郡は増加傾向(食費の65%を占める)
(2)増大する食品、減少する食品
1)主食品:コメ消費は1人あたり60kgから30kgへ
2)生鮮食品
(i)野菜 、果実:減少傾向
(ii)魚介類:減少傾向
(iii)肉類:1980年以降横ばい、豚肉から牛肉へ、近年のBSE問題で牛肉消費低迷
(iv)卵:長期的に安定→近年は漸減傾向に
3)加工食品
(i)肉・魚介加工品、牛乳
1.食品小売業とスーパーマーケット
(1)食品小売業の構造変化とスーパーマーケットの成長
1)食品小売業の減少と単品型食品店(業種店)の後退
- かつては欧米先進国に比べ小規模な商店が多かった(アメリカの2倍以上)
- 1980年代に商店数減少時代に→大規模小売店(スーパー、コンビニ)の成長、中小小売店の後継者不足とコスト増による業績悪化
- 2002年では商店数17%の「各種食品小売店」が食品小売業年間販売額の53%を占める
2)総合スーパーマーケットと食品スーパーマーケット
- 食品スーパー:食品を主体にしたスーパー
- 総合スーパー:食品に限らず、衣料、日用雑貨、住居関連品など総合的な品揃え(GMS General Merchandise Store)
- 特徴:ワンストップショッピング(総合的な品揃え)、セルフサービス、多店舗展開(チェーンストア経営)
3)コンビニエンスストアの存在
- コンビニエンスストア(CVS):店舗数は小さいが店舗数が多い
- 品揃えの違い:家庭での調理が不要な加工食品、中食(弁当、惣菜)が主体、ファストフードの要素も加わる
- フランチャイズ方式:本部のストア運営ノウハウを加盟店(小規模な独立自営業者)に指導→加盟店は経営指導や情報システム利用の対価としてロイヤリティを支払う
(2)スーパーマーケットの販売政策と仕入れ政策
1)標準化、規格化の必要性
- スーパーの仕入の基本:幅広い商品の大量仕入
- 大量販売→商品調達の計画化と安定的な商品調達先の確保が必要
- 大規模化したスーパー=バイヤーの能力の問題→業務のあらゆる面で規格化・標準化が不可欠
- セルフサービス=プレパッケージ、事前に分量・品質・価格表示が必要→大量生産型の標準化・規格化された商品の品揃えが中心
- 近年は消費の要求が高度化(鮮度・品質へのこだわり、購買単位が小口化)→店内加工が重視
2)小売主導型中間流通の再編成に向けて
2. 外食産業
(1)外食産業の発展とチェーンレストラン
1)外食産業の発展
- 「外食産業」という言葉=1970年代終わりにマスコミが用いる→官庁用語→1980年代終わりに国語辞典に掲載
- チェーンレストラン=1970年代に誕生し急成長:同じ店名・同じメニューの店舗を多数
- “飲食業”の自由化=1969年の経済政策「第二次資本の自由化」→チェーンの仕組みによる外食産業の運営=アメリカの経営手法
2)外食産業の経営手法
- 個人経営:代表的な個人(オーナー・調理人)による経営
- チェーン店経営:多数の店舗で同質のメニューやサービスが必要=i)本部組織と店舗組織が分割、ii)多数店舗の出店に耐えられるコンセプト確定が必要、iii)多数店舗に対応したメニューやサービスの設定=業務の標準化、マニュアル、教育訓練機関のあり方
(2)外食産業のメニュー提案
1)メニューのポジショニング
- 家庭料理:家庭で日々営まれている食事に供される料理
- 大衆料理:ファストフード、ファミリーレストラン、居酒屋=日々同じ料理が大量に製作され大量に販売される。
- 専門料理:専門的な技術を持った調理人によって作成される料理(専門レストラン、高級レストラン)
- 高級料理:特別料理、調理人の余人に代えがたい固有の技術やノウハウが生かされる
2)メニュー作成の3要素
- i)食材、ii)厨房設備(能力)、iii)調理労働(能力)→料理の三位一体説
- メニュー設計の課題:メニューの3要素の内容を決めていく作業
3)メニューの構成論
- 顧客満足を得る=接客サービス+店装の雰囲気+顧客のために用意されるメニューの構成も重要
- 顧客を想定し、それに沿ったメニュー構成が必要+多数メニューの製造工程を見込むことも必要
(3)外食産業の食材調達
1)食材調達ルート
- 業務用(外食産業)問屋:外食産業の食材ニーズに合わせた品揃えをする食品問屋
- 既存の小売ルート:専門小売店、スーパーマーケット
- 卸売市場:1)外食事業者が売買参加者として、2)卸売市場の仲卸業者から購入
- 食品メーカーのルートセールス・配送:食品メーカーから直接ルート配送を受ける
- 産地契約:特定の農家、農業生産法人、出荷組合から調達
2)食材ニーズとセントラルキッチン
- 外食産業固有の食材ニーズ:i)特定料理仕向け→規格が決められている、ii)大量の食材を継続的に使用→特定期間に安定調達が可能か、iii)メニュー販売価格が長期間固定→調達価格が期間内で予算に収まるか
- 原料素材としての品質管理(温度、物流、在庫など)が大切
- セントラルキッチン(CK):地域または本部で一部または全部を調理→i)品質のバラツキを最小限に、ii)効率的な店舗への食材調達、iii)店舗で必要な食材、消耗品、備品をCKで揃えて店舗に一括納品
- CK機能のアウトソーシング(外部委託)を行う企業もある
3. コンビニエンスストア
(1)コンビニエンスストアの発展とHMR
- HMR=Home Meal Replacement:家庭内調理の代替→「ファストフード」
- 三便配送=一日三便の配送体制:1988年ごろから始まった→製品の製造から販売までの時間が短縮でき、使用可能な食材が増加した。
- CVSの機能=「即時消費性」の高いものを販売する:冷蔵庫代わり(清涼飲料のPETボトル普及)→台所代わり(中食の充実)→母親代わり(クリーニングや宅配の取次ぎなど多様なサービス)
- HMR商品の配送体制:図2−4(ベンダー=商品を供給する工場)
(2)マーケティング政策
1)顧客層
- 顧客層:20〜30代の男性、男女比2:1、郊外店舗=自家用車で来店する男性、都心型店舗=女性の比率5割
- 利用者の7割が中食を購入、うち7割は週3回以上中食を購入、へビーユーザー(週4回以上利用)が1/3
2)店舗政策
3)商品政策
- 中食の売上比率は20〜30%
- 「個食化」に対応
- チェーン本部の商品政策によって「品揃えの幅」(商品アイテムの数)「品揃えの深さ」(各商品のバラエティ:ポテトチップスなら「しお」「のりしお」「九州しょうゆ」「エスニック」など)が違う
4)価格政策
- 客単価=600〜700円
- 売れ筋商品の価格帯=300〜400円
5)顧客層の拡大
- CVSに対する需要=「おつまみ」から「食卓の一品」へ
- 地域密着型の経営が必要:子どもから高齢者までをターゲットに
(3)商品開発と技術開発
1)ターゲット
- ターゲットの細分化(Market Segmentation):顧客層を(年齢・性別などで)細かく分けてそれぞれに対応した商品を用意する
2)売れ筋商品
- 定番商品はほぼ全国共通→顧客は主食については保守的→奇をてらったものは売れない
- 商品開発の基本=基幹商品(売上の核)の改良を繰り返し高品質化、毎日食べても飽きないものを作る
3)商品ライフサイクル
- 売場活性化のために新商品の投入も必要→商品のライフサイクルを短くする=ヘビーユーザーを飽きさせない工夫+新しい顧客層の獲得
4)消費者の健康志向への対応
- 商品の経時劣化の克服→CVS最大の課題
- 健康志向の高まり→消費者は添加物の使用に敏感
5)店内調理の開発
- 店内調理→商品の経時劣化に対して有効→「できたて感」
- 設備投資や店内スペースなど解決すべき問題が大きい
6)冷凍弁当の開発
- 冷凍弁当→賞味期限が長い(通常6ヶ月程度)
- 冷凍弁当のメリット:添加物使用削減、集中的な大量生産(スケールメリットの享受)、労働コストの安い遠隔地で生産が可能、工場での労賃低減(夜間・休日生産の必要なし)、配送回数の低減(貯蔵性が高い)、商品の廃棄ロスがなくなる
7)「瞬間調理食品」の開発
- 「瞬間調理食品」=素材と調味料を同一の容器に入れた商品・電子レンジで加熱
- 解決すべき問題:使用食材が制約される・生産コストが割高
- 包材の技術開発で品揃えが広がる可能性
4.卸売市場
(1)卸売市場とは
- 卸売市場:生鮮食料品などの卸売のために「卸売市場法」に基づいて開設され開場されている市場→最終消費者に販売する小売市場ではない
- 多数の出荷者と多数の買い手が集まって商取引や集分荷活動を行う
- 野菜・果実・水産物・食肉・花き・漬物など加工品
- 産地卸売市場=漁港など水揚げ地に立地(下関など)、消費地卸売市場=消費地に立地(東京築地など
- 1)中央卸売市場=重要な都市・周辺地域に生鮮食料品を供給:農林水産大臣の認可
- 2)地方卸売市場=中央卸売市場以外で施設規模が政令で定める規模以上:都道府県知事の認可
- 3)その他卸売市場=上記以外の卸売市場:都道府県知事へ届出
(2)卸売市場の組織、仕組み、機能
1)卸売市場の数
- 市場数(1998年):中央卸売市場=87、地方卸売市場=1484
- 取扱金額の比率:中央卸売市場=55.0%、地方卸売市場=42.8%
2)構成員
中央卸売市場
- 開設者:都道府県または人口20万人以上の市→施設整備、市場全体の業務・事務
- 卸売業者:出荷者から集荷した商品を販売する→農林水産大臣の許可が必要
- 仲卸業者:卸売業者から購入した商品を仕分け・調整して業務用として販売→開設者の許可が必要
- 売買参加者:小売・加工業者・外食業者など→開設者の承認が必要
- その他:買出人(小売・加工業者・外食産業者など)、関連事業者
地方卸売市場
- 開設者:民間でも可→都道府県知事の許可
- 買受人:中央卸売市場では仲卸業者と売買参加者
3)取引の仕組み
- 卸売市場での取引=
- 出荷者と卸売業者:出荷者から委託集荷、卸売業者が買付
- 卸売業者と仲卸業者・売買参加者:セリまたは入札、相対または定価売り
- 仲卸業者と買出人:相対取引
4)卸売市場の機能
- 集分荷機能=全国の出荷者から商品を集荷し小売業者などに公正な価格で分荷
- 価格形成機能=セリの場合は公開の場で価格が決定される
- 代金決済機能=代金決済は当日、現金主義→卸売市場の信用力
- 情報処理機能=生鮮食料品の生産・消費に関する情報が集中
(3)卸売市場流通
- 卸売市場経由率=青果74.2%(野菜82.7%、果実62.8%)、水産物67.6%、食肉15.5%、花き81.9%(花き以外は減少傾向)
- 市場外流通の増加→加工品を中心に(生鮮食料品を一次加工して流通させる)
- 市場間価格の平準化=卸売市場間の価格差がなくなってきた→流通の広域化により情報も広域化→市場間競争により価格が平準化
- 流通の広域化:スーパー台頭による流通の大型化・産地の大型化
(4)卸売市場問題接近への視点
- フードシステム=川上(産地)・川中(市場)・川下(小売)を一つのシステムとして捉える
- 流通は生産者・産地主導型から消費者・消費地主導型へ転換した:消費の質的変化(個性化・多様化)+産地サイドは消費ニーズに対応した生産(多品目少量生産へ)→マーケットセグメント(Market Segmentation:市場細分化):多様な消費・小売ニーズに対応
(5)卸売市場の課題
- 今後も生鮮食料品流通チャネルのリーダーとしての機能を果たしていくことが求められる(佐藤和憲)
- 卸売市場の総合化:取扱品目の総合化・流通コスト削減への取組を期待
- 物流機能の強化:取引時間に物流業務が集中→整理が必要
- 情報化の推進:生鮮食料品の生産・消費に関する情報が集中→処理体制が遅れている
5.食品卸売業(略)
6.生協の共同購入(略)
イントロダクション(略)
1.魚介類および魚介加工品の流通と消費
(1)魚介類などの商品特性と消費形態
1)魚介類の商品特性
i)栄養的価値
- 日本人1人1日当たり消費エネルギー(2001年)=2,619kcal:たんぱく質13.2%、脂質28.8%、炭水化物58.0%
- たんぱく質の内訳=動物性55.%(畜産物57.7%、水産物42.3%)、植物性44.4% ・ 魚介類は動物性たんぱく質の重要な供給源
ii)消費経済的価値
- 2002年の1世帯当たり年間の購入金額=魚介類10万4千円(11.1%)
2)魚介類の消費特性
i)商品の多様性
- 魚介類の商品数が多種多様な要因=i)魚種の多さ、ii)保管・貯蔵技術の発達、iii)不可食部分を除去して消費に便利な形態を追加(練り製品、缶詰)
ii)鮮度志向と生食志向
- 鮮度志向=その日のものをその日に消費、魚=新鮮のイメージ
- 生食志向=そのまま食するのが最もおいしい、刺身=美食
(2)魚介類などの購入先と流通特性
1)魚介類などの購入先
i)購入店舗
- 食品スーパー31.8%、総合スーパー23.7%、専門店18.4%
- スーパーの比率が高い理由=スーパーの品揃えの総合性、ワンストップショッピング
ii)購入頻度
- 消費者の年齢階層別魚介類の購入頻度:高齢化とともに購入頻度が上昇する
2)流通特性
i)消費地市場と産地市場
- 消費地の卸売市場:全国各地の魚介類を集めて、小売業者を通じて消費者に提供
- 産地市場:全国各地の水揚げ地に存在→魚介類の消費特性=そのまま消費+加工用+飼料など非食用があるため ?コールドチェーン
- 最も高鮮度で提供する方式=活魚、活貝
- 魚介類の一般的な流通方式=鮮魚状態→コールドチェーンが重要
(3)魚介類などの加工、保管、流通
1)魚介類の加工
i)伝統的加工
- 塩干品、練り製品、缶詰、節類(かつお節など)、漬物、佃煮
ii)調理加工
- 原魚状態で消費者が購入するケースは少ない=切り身加工・盛り合わせ
2)魚介類の保管
i)産地保管
- 冷凍技術の発達:産地において保管設備が整備されている
ii)消費地保管
- 産地価格と消費地価格の調整のために行う(産地で安いときに多く買い付けて消費地で保管し、需要に合わせて小売する)
- 輸入魚介類の保管は増加
3)魚介類の流通
i)輸入品の増加
- 経済水域問題:経済水域の設定によって漁船の操業が制限
- 漁業生産コスト問題:過酷な労働条件→高齢化・後継者不足
ii)流通の変化
- 市場外流通の増加:輸入品は国内産地市場を経由しない、国産品でも産地市場を経由せず直接加工業者や消費地の流通業者に渡るものがでてきた
- 消費地市場を経由しない流通が増加→切り身、盛り合わせなどの加工品増加が原因
2.食肉および食肉加工品の流通と消費
(1)食肉などの商品特性と消費形態
1)食肉の消費量
- 日本では牛、豚、鶏肉で食肉購入金額の97%を占める
- 1人あたり年間消費量=
- 1975年:牛肉2.5kg、豚肉7.3kg、鶏肉5.3kg、合計15.1kg
- 2000年:牛肉7.6kg、豚肉10.6kg、鶏肉10.2kg、合計28.4kg
2)牛肉の商品特性
- 68%は輸入牛肉、32%は国産牛
- 和牛:農耕用の在来和種と外国種を交配して食用に改良されたもの→霜降り=赤身の間に細かい脂肪
- 乳用牛:牛乳生産用のホルスタイン種:i)牛乳生産の後に廃用となった雌牛、ii)乳用雄牛を肉用に肥育
3)豚肉の商品特性
- 56%は国産
- 飼料効率=体重1kg増やすために→牛10〜11kgの肥料、豚3〜4kg
4)鶏肉の商品特性
5)食肉の消費形態
- 内食向け→牛肉33%、豚肉42%、鶏肉31%(2001年)
(2)食肉などの購入先と流通特性
1)購入先
- スーパー60%
- 購入先決定の理由:牛肉=品質、豚肉・鶏肉・食肉加工品=安全性
2)牛肉・豚肉の流通
- 食肉は流通段階で形態が変化:生産者段階=生きている肉畜、小売段階=カットされた精肉
- 生産者=肉畜→と畜場=枝肉(頭・四肢・内蔵・皮を取り除く)→部分肉(ヒレ・ロースなど)→精肉
- 流通ルート:i)食肉卸売市場(卸→仲卸)→小売・飲食店、ii)産地の食肉センター→農協連合会→スーパー・生協・外食産業、iii)産地のと畜場→地元の小売店、iv)食肉加工業者・食肉問屋→スーパー・専門店・飲食店
- 第三者機関による格付け:「極上、上、中、並」=枝肉の背脂肪の厚さ・外観・肉質、歩留等級(皮下脂肪の厚さ、A,B,C)、肉質等級(脂肪交雑、肉の色沢、締まり、きめ、1〜5)
3)鶏肉の流通
- 鶏=家禽、生きている鶏=食鳥、処理施設=食鳥処理場
- 流通経路:
- 食鳥処理場→消費地の荷受・卸売業者→スーパー・専門店
- 食鳥処理場→スーパー・大口需要者(直販)
4)輸入食肉の流通
- GATTウルグアイラウンド→1991年に牛肉の輸入自由化
- 輸入食肉の原産国:牛肉=アメリカ・オーストラリア、豚肉=アメリカ・デンマーク・カナダ・メキシコ、鶏肉=中国、タイ、ブラジル、アメリカ
- 米国産牛肉=穀物による肥育:肉質柔らか、豪州産牛肉=牧草による肥育:肉質かため
- 輸入食肉=加工食品・外食産業が中心
(3)食肉などの加工、保管、流通
1)用途別加工の多様化
2)食肉などの保管と取り扱い
- 細菌汚染を受けやすい→温度管理と衛生保持が重要
- 熟成→肉を柔らかくする
3.野菜・果物の流通と消費
(1)野菜・果物の商品特性と消費形態
1)野菜消費の変遷
- 自給率:野菜=1960年100%、2004年83%、果実=1960年96%、2004年44%
- 家庭用冷蔵庫→1975年頃:3ドア(野菜室つき)
2)生きている野菜と果物
- 呼吸する青果物→品質低下につながる→冷却処理が必要
- トマト=つい塾・老化の防止、キュウリ=成熟抑制、ブロッコリー=開花・黄化の防止、アスパラガス=生長抑制
- 水分の蒸散→品質低下→湿度を保つことが大切
3)カット野菜
- カット野菜→衛生・品質管理=洗浄・包装・低温流通などの技術が必要条件
4)こだわり野菜
- 有機野菜→農林水産省の有機農産物ガイドライン(1996年)、CODEX委員会(国際食品規格委員会)
(2)野菜・果物の品質と鮮度
1)品質構成要素
- 安全性:農薬・重金属・微生物などに汚染されていないか、遺伝子組み換え食品は安全性が不透明
- 栄養性:日本食品標準成分表の数値
- 嗜好性:味、香り、肉質、色、形状 ・ 生体調整機能:「生活習慣病」の予防につながる可能性
2)品質決定要因
- 「氏」=品種
- 「育ち」=土壌、肥料、栽培法、気象条件
- 「ころ合い」=食べるころ合い・収穫のころ合い
- 「たて」=掘りたて、もぎたて
(3)野菜・果物の流通技術
1)検査・選別
- 等級(形・色)=秀・優・良・格外
- 階級(大きさ)=LLL、LL、L、M、S、SS、SSS
2)予冷
- 予冷=収穫後・出荷前に冷却して品質保持期間を長く保つ
3)包装
i)外装
ii)内装
- 小袋包装品:スーパーの販売形態に適応
- MA包装:呼吸抑制による鮮度保持を目的としたプラスチックフィルムの密封包装
4)エチレンと鮮度保持
- エチレン:i)成熟・追熟ホルモン(バナナの追熟)、ii)老化促進ホルモン(鮮度保持に悪影響)
5)貯蔵
- T.T.T.(Time、Temperature、Tolerance)=青果物の最適温・湿度条件下で貯蔵した場合の品質保持期間(シェルフライフ)
- 貯蔵適温=ほとんどがO℃、なかには10℃前後(キュウリ、ナス、ピーマン、オクラ、カボチャ)→熱帯原産=低温に弱い→低温障害に注意
- 常温貯蔵・恒温貯蔵(?冷蔵、?MA貯蔵:低酸素・高二酸化炭素)
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