TKは、中学高校の六年間、麻布学園という私立の中高一貫校に通っていた。
麻布学園といえば、名だたる進学校であると同時に、その非常に自由闊達な校風で知られる。 制服も校則もない。生徒が自発的に行動を起こしてゆく姿が印象的である。
そんな麻布が一年で一番盛り上がるのは、文化祭だ。
毎年五月の三日から五日にかけて執り行われるこの半狂乱ともいうべき祭りでは、 生徒のみならず、来校者、そして教師も、それぞれのスタンスで楽しんでいる。
ここが麻布学園正門である。東京メトロ広尾駅から、人波に乗って歩くこと約十分。 元麻布の閑静な住宅・大使館街に、突如として現れる祭りの空気。
左右のボードも、垂れ幕も、すべて生徒の企画・設計・制作を行なっている。というか、 教師は金を出すだけで基本的に何もしていない。
正門をくぐって少し行くと、すぐに中庭の入り口にたどり着く。中庭にはステージがあって、 最初から最後まで、常になんらかのイベントを行なっている。すこし定点観測してみよう。
この写真は討論企画だった。小泉政権について何か語り合っていたが、すべてボケだった。 「髪型が問題なのだよ諸君!」と叫んでいた。
そして脱ぐ。脱ぐのは麻布生の基本的なボケであり、ツッコミは逆に「脱がす」である。 脱げば面白いというのは間違いである、と大人になってから彼らは気づくのだろうが、この場では脱ぐだけで十分おもしろい。
ちなみに、彼らの髪の色にも注目。
台詞は事前にある程度決まっているのだろうが、所詮高校生、大抵は棒読みになるか、アドリブになるか、 乱闘になるか、どれかである。どちらもなかなか味わい深い、ステージ企画独特のにおいである。
これは「アザブイシックス」というアイドルグループであるらしい。 ヒップホップダンスを披露してくれた。
なかなか練りこまれた動きは切れがよく、見ていて飽きない。この日に向けてさぞかし練習を積んだのだろう。
中庭では他にも、ミスコンとミスターコンテストがあって、その二人が結婚するパフォーマンスがあったり、 夕刻には延々とフォークダンスが繰り返されたり、常に熱い空気が充満している。
男子校なのにフォークダンス? と思ったあなたは、甘い。一番上の写真を見返して欲しい。 実際、来校者の多くは女子高生(及び女子中学生)なのであり、現地はセーラー服の洪水なのである。
次のページで、構内に潜入する。