生活保護制度は日本の社会保障の根幹をなす制度であり、憲法25条の理念を実現する制度です。しかし、ホームレスの人の増加や餓死事件などに見られるように最後のセーフティネットとしての役割が果たせず機能不全に陥っているのではないかとの指摘がなされています。昨年6月から社会保障審議会福祉部会に「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」が設けられ、保護基準をはじめとする生活保護制度全般に関して現在議論が行われていますが、生活保護制度改革に際しては生存権を保障し自立を支援する制度としての役割を果たすためには何が必要かという観点で議論がなされるべきです。生活保護の在り方は社会そのもののあり方が問われるものであり生存権という最も基本点な権利に関する問題であることから拙速な結論は避けるとともに、制度の在り方や基準額の議論は財政的な問題からの視点でなされるべきではないと考えます。専門委員会の議論がなされている中、突如保護費の国と地方の負担割合を2:1にするという案が厚生労働省から出されましたが、このようなことが行われたなら保護の抑制に拍車がかかり、生存権保障という任務を生活保護が果たせない事態に陥ることは容易に予想され、絶対に行われるべきではありません。
昨年12月の「中間とりまとめ」で老齢加算の廃止、母子加算の見直しなどが打ち出されましたが、保護の現状への根本的な検討抜きに加算の是非に関する議論だけが先行したことには疑念を持たざるを得ません。また、保護基準の見直しについても、低所得世帯が生活保護基準以下の生活であるにもかかわらず生活保護を受けられないこと自体が問題なのであって、そのことを理由に保護基準を下げるのは本末転倒であり、漏給を見逃さない対策こそが求められているのです。
生活保護は生活に困窮した時にスティグマを感じることなく利用でき、自立を積極的に援助する(=すなわち、入りやすく出やすい)制度であるべきです。その意味で自立を妨げている現行の資産保有などの規定を改善するとともに、扶助の内容についてもその観点から充実が図られることが必要です。
また、ホームレスの人や稼働能力のある人の保護からの排除に見られるように実際の運用面でも本来の制度の趣旨や実施要領に反した取り扱いが全国的に行われており、これは単に個別の実施機関や個人の問題ではなく、制度の根本に関わる問題として捉えなければなりません。誤った運用の早急な是正はもちろんのこと、そのような運用を生み出す背景も改革していく必要があります。
生活保護制度が最後のセーフティネットとして正しく役割を果たすための改革へ向けた議論と取り組みがなされることを強く求めるものです。
2004年2月28日
生活保護改革を考える神戸集会
|