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今年2月末に退職し、3月からいわゆる「毎日が日曜日」状態にいる。句読点のはっきりしない日々で、あとで思い出せなくなる気がして、備忘録としての日記を書き始めた。日記は「書き込みカレンダー」(作者:カリスト)というフリーソフトを使っている。鐸木能光『パソコンは買ったまま使うな! フリーソフトで作る快適環境』(2003年・岩波アクティブ新書)で知った(この著者は朝日新聞土曜版にフリーソフトの紹介を連載している)。事務所によくある日にちだけのカレンダーで、そこに直接メモを書き込む。日記が続いているのは、時間が十分にあるという理由ではなく、「シンプル・イズ・ベストの典型ともいえるソフト」(著者)を使っているせいだと思っている。ついでに書けば、昭和50年から30年近く続いてきた「能率手帳」は2月末で使うのをやめた。やめたことによりサラリーマン生活に終止符を打ったことを実感した。 最初の一か月は、母が亡くなったり、体調を崩したり、退職がらみの公用(各種手続き)私用(なぜ辞めたのとの問合せ対応)があったりした。で、その一と月を省き4月から7月7日までの100日を振り返ってみる(100日としたのは、百分率を計算しなくてすむためである)。 読んだ本 38冊(購入したもの20冊、図書館で借りたもの18冊)。 大塚英志『「おたく」の精神史―1980年代論』(2004年・講談社現代新書)、『昭和の劇―映画脚本家笠原和夫』(2002年・太田出版)など、おもしろい本に出くわした。 なかでも浅田次郎『蒼穹の昴』(1996年・講談社)は、ぜったいおすすめ本(どういう訳か文庫化されずにいたが、やっとこの10月に全4巻が講談社文庫に登場予定)。 清朝末期、西欧列強の圧力を受け崩壊の危機にある時代、貧農の少年李春雲は宦官に、また梁文秀は科挙の最高峰進士の試験に合格し、…という2人の主人公を中心に西太后、李鴻章、袁世凱など多彩な登場人物で一気に読ませる。「知恵も力も何もいらない。やさしさだけがあればいいんだ。大地も空も時間も、すべて被い尽くすほどのやさしささえあれば…」というフレーズが、なんとも浅田節ですねえ。
観た映画 27本(NHK衛星、有線ムービープラス19本、ビデオ7本、映画館1本)。レスリー・チャン主演「楽園の瑕」(1994年)は究極の映像美ともいえる香港映画、もう一度大画面で見たい。タイトルだけ知っていてやっとめぐりあった往年の名画「サンセット大通り」(1950年)。クリント・イーストウッド主演・監督「スペース・カウボーイ」(2000年)など。 この「スペース・カウボーイ」は、小林信彦が週刊文春に連載の「人生は五十一から」の単行本化第3弾『出会いがしらのハッピー・デイズ』(2001年・文藝春秋)のなかで「1年に映画を1本しか観ない人にお薦め」とあったので、テレビで放映されるのを待っていた。 古い衛星が故障して、スペースシャトルで修理に行くことになったが、衛星が古すぎて誰も直せない。そこでかつての宇宙飛行士候補クリント・イーストウッド演じるフランク。かれは宇宙飛行士候補のテストパイロットチーム「チーム・ダイダロス」のメンバーであるトミー・リー・ジョーンズ、ドナルド・サザーランド、ジェームス・ガーナーという年をとり、ますます渋く頑固になった連中とともに、自ら宇宙に乗り出して修理することに、という物語。クリント・イーストウッドは1930年生まれ、かれが70歳のときの、高齢者にがんばれとエールをおくった作品である(出来はまずまずだったが…)。 映画ではないが、4月に乱歩賞作家でもある野沢尚の原作・脚本の「砦なき者」(役所広司主演)を見た。テレビドラマなどめったに見ることがないのに、どういう風の吹きまわしだったか。6月にその野沢尚(44歳)自殺。 医療機関での受診 14回(呼吸器系内科 1回、皮膚科 1回、歯科 12回)。 じつは私は原因不明・治療法なしという難病をもっている。このため日常生活に今のところ何の支障もないが、仕事は卒業した。新聞の死亡欄は死因と年齢だけ見るが、日記を始めてからこの病名で亡くなった著名人は3人。4月、半年振りに呼吸器内科。X線写真後診察。病気の進行は見られないとのことで、次回予約なし、何か変化があれば来られたしとのこと。うれしい放免だ。仕事をやめた後、ある目的をもったNPOをつくりたいと考えていたのだが、この持病のために動けなくなりまわりに迷惑をかけてはと、設立準備を逡巡している。 葬儀出席 2回。近所に住む伯父(91歳)、元上司(68歳)。 病気見舞い 1回。隣人。 鯛ちゃんの「お泊り」 28回。 わが家から1kmの距離に、娘夫婦が住んでいる。仮名とするが、鰆ちゃん(さわら=女5歳)、鯛くん(たい=男2.5歳)、鱒ちゃん(ます=女1歳)の三人。娘婿が新年から変則勤務となり、24時間勤務の日が週に2日ある。この日はうち一人をジジ・ババで24時間預かることにした。子育て支援である。たいていは鯛くん。これが手に負えない。乗り物が好きなので、室内ではジムニーのビデオや有線の交通情報のチャンネルを見せたり、JRや山陽電車の線路のそばや明姫幹線の歩道を自転車で走ったりして、お守りをしている。鰆ちゃんの場合は、保育園に迎えに行った帰りに図書館や遊園地へ寄り道する。室内ではブロードバンドのディズニー・ワンダーランドを見せたり、本を読み聞かせたり、絵を描く相手をする。 鯛ちゃんと 散策 自宅周辺を30分〜45分、22回。 遠出 1回。息子と娘夫婦とからリタイヤ記念に旅行をとすすめられ、箱根・鎌倉1泊。 神戸三宮へ、Y市長を囲む同期の集まりなど、数回でかけているが、そのうち神戸三宮へ出るのを遠出と称するようになるかもしれないね。 ネットの楽天フリマで古本販売 6回(小林信彦の本20冊、同文庫本31冊、植草甚一の本・雑誌12冊、寺山修司の本8冊、山田風太郎忍法帖文庫14冊、山口瞳男性自身シリーズ27冊)。廃品回収に古本200冊を出したのを反省し、紙のリサイクルから中味のリサイクルへと古書の販売を開始した。 本コラム「紙ヒコーキ往来」の連載 12回。 ボケの進行 5回。 その1。デジカメを400万画素のものに買い換えようと、ネットのオークションに参加。17500円で落札したものの、この日立HDC-401は大失敗。静止しているものを写してもぶれる。まともな写真が1枚も撮れない。その2。ホームページビルダー8のバージョンアップ版を購入。ビルダー8をさらにバージョンアップする版、と勘違い。5000円の無駄。その3。ホームページが故障し、部分修復なるも、アクセスカウンターの設置がどうしてもできない。半年前はちゃんとできたじゃないか。その4。山口瞳男性自身シリーズ全27冊をネットで売却するのに、シリーズ22の「還暦老人ボケ日記」が見当たらず、全巻そろえるため古書店に注文したが、間もなく見つかった。1200円の無駄よりも文字通り「還暦老人ボケ」にショック。その5。加古川社会保険事務所から健康保険料未納のため任意継続打ち切りの文書。納入期限より6日遅れて納付していた。滞納の警告もなく、突如の打ち切りに怒り心頭(社会保険事務局批判をいずれまとめて記述するつもり)。その6。このコラムを書こうとして、返信の必要なメールをいくつも発見。申し訳ない。ボケの進行はきりがないから、このへんで…。 作った俳句 1句のみ。母の骨おさめ亡父と呑む新酒。 作った短歌 1首。一平方米にみたぬわが墓予定地に夏のコスモスまつすぐに伸ぶ さて、3月から新たに始めたのは、ビデオショップへの出入り、歯科治療、孫のお泊り、散策、古本のネット販売、本コラムの連載である。2001年3月、定年にあたり毎週の時間割を組んだことがあるが、以上のことはそのプログラムにはまったくなかった。それにしても朝5時半起きの勤め人から翌日の起きる時間を気にしなくてもいい日々へ。この解放感の享受こそ「百日白書」に特筆すべきことであった。(2004.08.09)
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