トゥドゥマリ浜は西表島西部、浦内川河口にある美しい弓なりの浜で、通称月が浜と言います。この浜の海岸林を切り開いて、リゾートホテルの建設が進んでいます。計画通りにリゾートが完成すると、西表の全島民が宿泊できるほどの規模になるのだとか。
沖縄の一般的な砂浜は、サンゴなど生物由来の砂浜ですが、トゥドゥマリ浜は岩石由来の砂浜で、県内唯一の鳴き砂の浜です。砂の組成も影響して、沖縄県内でもここでしか見られないという生きものたちが多く生息しています。
とりわけトゥドゥマリ浜の南端に河口を持つ浦内川では、なんと 360種もの魚類が見つかっています。この種類の多さはもちろん日本一! 世界でも有数の種類の多さだと言います。しかし、一生を淡水域だけで過ごす魚は、わずか一種類。残るすべての魚類が、必ず汽水域や海を利用しているのです。そして、ホテルは浦内川が海に届くまさに首根っこに建とうとしています。
熱帯の生物は一般的に種類が多く、一種類の個体数は少ないと言われていますが、浦内川の魚も例外ではありません。個体数が少ないということは、わずかの環境異変に対して、とても脆いといえます。
地史的な時間スケールで安定的に存在してきたこの空間に、いきなり巨大な人工物が出来たら生態系はどのように変わってしまうのでしょうか。音や光、取水・排水の影響が心配されています。また、現在でさえ手を焼いているゴミが倍増することへの不安もあります。
海岸林の中には14〜15世紀頃のものと思われる石垣や貝塚などの遺跡も見つかっていますが、これもコテージ群のためにつぶしてしまうそうです。これだけの自然・文化遺産があれば、リゾート開発ではなく、もっと他の利用法があるのではないでしょうか。
※本文は「世界の環境ホットニュース(GEN) 306号」 2004年1月16日掲載文より一部加筆修正したうえで転載したものです。なお、オリジナルはつぎのURLから見られます。http://www.melma.com/backnumber_90715_1309815/
※2008年追記 このリゾート開発は、まずホテル部分がホテル ニラカナイとしてすでに営業を開始していますが、ほかの施設はまだ手つかずの状態です。今ならまだ差し止め可能な状態と思われます。 |