古文単語講座    
 

1999年の2学期につるちゃんが予備校で毎週配布したプリントです。毎週20単語ずつ15週にわたって配布しました。授業よりもプリントのほうが人気があったようです(?)。
なお、古文単語の暗記についての細かい注意は別掲の古文の学習法(古文単語)を参照してください。
※索引はいずれ作成します。

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1「ゆかし」<形>                                

「動詞」から出来た形容詞です。

「行く」→「ゆかし」(行きたくなる気持ち→)見たい・聞きたい・知りたい。

つるちゃんの授業=ゆかし+なつかし?

(例文)ねびゆかむさまゆかしき人かな。『源氏物語』(成長していく様子を見たい人だなあ)

2「なつかし」<形>

「懐く」→「なつかし」(なつきたくなる気持ち→)@心惹かれるさまだA親しみやすい

(例文)いかなる人とは知られずながら、まづ
なつかしく立ち寄るほどに、『奥の細道』
       
(どんな人であるかはわからないけれど、まず心惹かれて立ち寄ったところ、)

3「あてなり」<形動>                             

「漢字を当てて覚える」単語の一例です。

「あてなり」→「貴なり」→高貴だ。=身分が高い。

(例文)世界の男、あてなるもいやしきも、『竹取物語』(世の中の男は、高貴な者も身分の低い者も、)

4「あいなし」<形>

「あいなし」→「愛なし(愛が感じられない)・合なし(気持ちが合わない)」→気にくわない。

「あい」は「あひ」と書かれることもあるのですが、「愛」でも「合」でも構いません。それらを合わせた気持ちということでよいでしょう。さらに「あいなし」は、「あいなく」で「むやみに・わけもなく」の意味となることが多いです。このような単語って結構多いですよね。

(例文)世に語り伝ふること、まことはあいなきにや、『徒然草』
      
(世間で語り伝えていることは、本当の話はおもしろくないのであろうか、)

5「おのづから」<副>

「おのづから」は、「無意識に起こる動作・状況を修飾する副詞」で、「みづから」(自分自身で意識的にする動作を修飾する副詞)と対応させて覚えるとよいでしょう。
そして、「おのづから」の解釈は「@自然とAたまたまBひょっとして」となりますが、@〜Bのどの意になるかは文脈によります。
ちなみに、「ひとりでに」と「ひとりで」の違いがわかりますか?それは「おのづから」「みづから」の違いと同じです。

(例文)物語など見せ給ふに、げにおのづから慰み行く。『更級日記』
    (物語などを見せてくださるので、本当に自然と気持ちが慰められてゆく)

6「やがて」<副>

「やがて」は普通、@すぐにAそのまま、と続けて覚えますが、その差をしっかりつけておくことが大変重要です。
時間が重要な文脈なら「@すぐに」で、状態が重要な文脈なら「Aそのまま」の意になります。
「夜遅く勉強していて〜寝てしまった」の〜にはどちらが入りますか?「すぐに」ではおかしいですね。「勉強していてそのまま寝てしまった」ですよね!

(例文)薬もくはず、やがて起きもあがらで病みふせり。『竹取物語』
       
(薬も飲まず、そのまま起きあがりもしないで病の床に伏している)

7「まめなり」<形動> 

対義語として覚えるとよい単語です。

「まめなり」は、「まめ=真面目」で、「心がこもって実のあるさま」を表します。@誠実だA本格的だ・本気だB実用的だ、の訳があります。ちなみに、「まめまめし・まめやかなり」もほとんど同じと思ってよいでしょう。涙を「まめやかに」流す、とはどういう意味かわかりますか?本気です。嘘の涙にだまされ易いのは、つるちゃんですが。

(例文)まめなるものは北の方にと運び奉り給へば、『落窪物語』
      
実用的なものは奥方の部屋の方へとお運び申し上げなさると)

8「あだなり」<形動>

「あだなり」は、反対に「長続きせず実のないさま」を表します。@浮気だ(心がこもっていない)Aいいかげんだ・はかないB役に立たない・無駄だ、と訳します。「浮気だ」と言っても、妻子持ちのつるちゃんが若い女性と・・・とは限りません。

(例文)露をなどあだなるものと思ひけむ『古今和歌集』
      
(露をどうしてはかないものと思ったのだろう)

9「さうざうし」<形> 

現代語の感覚では間違ってしまう単語です。

「さうざうし」は「騒々しい」と関係ありそうですが・・・無関係です。「本来あるべきものがなくて物足りないさま」と覚えましょう。いつまでもあると思うな、金とつるちゃん。

(例文)権中納言のなきこそ、なほさうざうしけれ『大鏡』
(権中納言のいないのは、やはり物足りないことだ)

10「おとなし」<形>

「おとなし」は「音無し」と関係ありそうですが、元々は無関係で「大人し」でした。@大人びているA思慮分別があるB主だっている・年長だ、と訳します。大人は思慮分別があるはずですが、最近はそうでもない人を見かけます。
「落ち着いていて穏やかだ」の意味があるので、「音無し」が連想され、「物静かだ」の意味でも用いられるようになりました。

(例文)おとなしく物知りぬべき顔したる神官を呼びて、『徒然草』
(おもだっていていかにも物を知っていそうな神官を呼んで)

11「うたて」<形・副>

「形容詞の語幹が副詞として使われる単語」で、しっかり語義を理解していないと解釈しづらい単語です。

「うたて」はもともとが副詞で、「ますますひどくなるさま」を表します。@いやで・情けなくA異様で・見苦しくBひどく。
形容詞「うたてし」が後に使われるようになりますが、ほとんど、「あな、うたて。(ああ、いやだなあ)」のように語幹用法で使われます。

(例文)花も散りたる後はうたてぞ見ゆる。『枕草子』
(花も散った後は見苦しく見える)
12「あたら」<形・副・連>

「あたら」は「あたらし(惜しい・もったいない)の語幹から出来た」ものです。この単語は、副詞と連体詞という品詞の性質をしっかり理解していないと解釈を誤るので気を付けて下さい。以前日本女子大で出題されました。
副詞・・・もったいないことに・惜しくも・無駄に
連体詞・・・せっかくの・惜しむべき

(例文)いかが要なき楽しみを述べてあたら時を過ぐさん。『方丈記』
(どうしてつまらない楽しみを述べて無駄に時を過ごそうか)

13「ことわり」<名・動・形動>

「ことわり」は「事割る」で、「物事の白黒を判断する」意の動詞「ことわる」から出来ました。現代の「断る」は拒絶のニュアンスがありますが、古語では「判断」に留まります。それから、「物事の正しい道筋=道理」の意になったのです。さらに、そういう状態、すなわち、「道理にかなっているさま」が「ことわりなり」となります。
「ことわる」・・・@判断するA説明する
「ことわり」・・・@道理A理由
「ことわりなり」・・・当然だ・もっともだ

(例文)末代の僧の知恵・験をいどむはことわりなりかし。『今昔物語集』
(後世の僧が知恵と法力を競うのは当然であるよ)

14「おこなひ」<名・動>

「おこなひ」は現代の行為よりも意味が狭く、「仏道修行」のことです。したがって、「修行」は仏道の時は「修業」と書いていけません。「仏道修をする」から「行ふ」なのです。ちなみに、勤行(ごんぎょう)とも言いますが、こちらは、仏前でお経を読んだりすることで、「仏道修行」よりもやや狭い意味になります。以前福岡大がその差の識別を要求するような選択肢で出題しましたが、良問とは言えません。

(例文)持仏を据ゑ奉りておこなふ尼なりけり。『源氏物語』
(持仏を据え申し上げて勤行をする尼であった)

15「らうらうじ」<形>

今回は五十音図ではうしろのほうになる単語に注目してみました。そもそも日本語では「ラ行」の言葉は少ないのです。辞書を見てごらん?はじめての○レベルです。でも◎でもいいくらいです。

「らうらうじ」は「労々じ・老々じ」で、「経験豊かで物馴れているさま」を表します。さらに、「洗練されて上品だ・優雅だ」の意もあります。つるちゃんもいろいろ苦してきましたが、まだ練とはいきません。さらに、「洗練されて上品だ・優雅だ」の意もあります。

(例文)らうらうじうかどめきたる心はなきなめり。『源氏物語』
物馴れていて才気の働いている心はないのであるようだ)

16「らうがはし」<形>

「らうがはし」は「乱がはし」です。「乱」で熟語を作って覚えます。@騒乱…騒がしいA乱雑…乱雑だ
(例文)皆同じく笑ひののしる、いとらうがはし『徒然草』
(皆同じように笑い騒ぐのは、大変やかましい

17みゆ」<動> 

「みゆ」や「おぼゆ」の「ゆ」は上代の助動詞で受身や自発や可能の意味を持っています。そこで・・・。

「見ゆ」は「見る」に受身・自発のニュアンスを加えて・・・、目に入る・人に見られる・見られると見せるは結局は同じ・姿を見せるは現れるD現れるのは会うと同じ・未婚女性が男性に会うのは結婚・・・だから、
@見える・目に入るA(人に)見られるB見せるC現れるD会うE結婚する、となります。

(例文)「大将に見え給ふな」『源氏物語』
(大将に見られなさるな)

18おぼゆ」<動>

「おぼゆ」は「思ふ」に受身・自発のニュアンスを加えて・・・自然と思われる・人から思われる・自然と思い出す・思い出して語る・その人を見たら誰かを思い出すのは似ているから・・・と広げて、
@思われる・感じるA(人から)思われるB思い出すC思い出して語るD似る、となります。
「思う」と訳すと×になると思っていたほうがよいでしょう。

(例文)「いと興あることなり。いでおぼえ給へ」『大鏡』
(大変おもしろいことだ。さあ思い出して語って下さい)

19「
はづかし」<形>

「現代語と同じ意味も持ちつつ違う意味が頻出」の形容詞です。

「はづかし」は現代語と同じく「@自分が恥ずかしい」の意もありますが、「A(こちらが気が引けるほど相手が)立派だ」の意が頻出です。もちろん、差は文脈です。

(例文)はづかしき人の、歌の本末問ひたるに、ふとおぼえたる、我ながらうれし。『枕草子』
(立派な人が、歌の上の句や下の句を尋ねたとき、とっさに思い出したのは、我ながらうれしい)
20かなし」<形>

「かなし」は「心に痛切に感じるさま」を表します。「いとしいものを見て心に痛切に感じる」「悲しくて痛切に感じる」
「感動して痛切に感じる」ことで、@かわいい・いとしいA悲しいBすばらしい、となります。

(例文)翁をいとほしく、かなしとおぼしつることも失せぬ。『竹取物語』
(翁のことを気の毒で、いとしいとお思いになったことも記憶から消えた)

21「ここら」<副>

「現代語からは想像できない単語」です。

「ここら」は場所とは関係なく、「数量や程度を表す」副詞です。意味は@たくさんA非常に・たいそう。そのほかに同義語として、「ここだ・そこら・そこばく」などがあります。

(例文)「ここらの物語書どもの中に、この物語はことにすぐれて」『源氏物語玉の小櫛』
(多くの物語文学の中で、この物語は特に優れていて)

22「そのかみ」<名>

「そのかみ」は「かみ(上)」が昔を表すので、@当時Aその昔の意です。似た表現に、「このかみ」というのがありますが、これは全く無関係で、@兄(姉)A年長者の意味です。「子の上」でなのです。知らなかったでしょう?

(例文)「そのかみを思ひやりて、ある人の詠める歌」『土佐日記』
(その当時に思いを馳せて、ある人が詠んだ歌)

23「ところおく」<動>

「所」シリーズです。

「ところおく」は「所置く」で、「貴人との距離を置く」意から、「遠慮する」となります。

(例文)人に許され、世にところおかるるほどの身ならずして、『十訓抄』
(人に認められ、世間で遠慮される身でなくて)

24「ところせし」<形> 

「ところせし」は「所狭し」で、@狭いほど沢山だA精神的に窮屈だ・鬱陶しいB堂々としている・大げさだ、の意です。Bの意になるのは、お相撲さんが飛行機の座席に座っている様子を想像してみて下さい。「いかにも窮屈だという態度で振る舞う様子」です。

他に、「ところう(=得意になる)」もあります。所ジョージとは関係ありません…。さぶい?

(例文)なかなか、世に抜け出でぬる人の御あたりは、ところせきこと多くなむ。『源氏物語』
(かえって、世に優れた貴人のご身辺は、窮屈なことが多いことです。)

25「ものす」<動>

「物」シリーズです。

「物」は漠然とした体言を表し、さまざまな単語に返信しました。この二つ以外にも「物語=物を語ること=雑談」などもあります。いずれにせよ、「もの」は「何か、どこか」などというニュアンスです。

「ものす」は前述のような理由から、「何かする」の意になりますが、特に「人物の状態・存在・動作を遠回しに表現する」サ変動詞です。「行く・来・書く・言ふ・あり」等の婉曲表現になります。

(例文)走り井にて、破子などものすとて、『蜻蛉日記』
(水のわき出る泉のところで、弁当などを食べるということで、)

26「ものし」<形>

「ものし」は形容詞で、「不愉快だ・気にくわない」の意です。特に、前述の「ものす(サ変)」の連用形と区別が付きにくいですから、注意しましょう!

(例文)もとよりの憎さも立ちいでて、ものしとおぼしたり。『源氏物語』
(もとからの憎さもわき起こって、
不愉快だとおもっていらっしゃる。)

27「あからさまなり」<形容動詞>  


今回は「現代語の意味で答えることはありえない」単語です。

「あからさまなり」を「露骨だ」の意味で出題することは99.99パーセントありません。
@(時間的に)ついちょっとだA(取り組みの態度が)かりそめだ、の意です。Aは、文脈によっては、「間に合わせに」などとも訳せるので要注意。「明ら様」を連想して「露骨だ」の意で使いだしたのは江戸以降。

(例文)あからさまに、たち出で侍るにつけても、『源氏物語』
ちょっと、外出するにつきましても、)

28「めでたし」<形容詞>

「めでたし」は「めづ(愛づ・賞づ)」で@愛するAほめるB感動するの意。こちらは、平安後期にはすでに「祝福すべきだ」の用例があるので、識別問題とかでは、用として示されることはあるが、解釈として直接「目出度い」と訳させることは、まず、ない。

(例文)藤の花は、しなひながく、色濃く咲きたる、いとめでたし『枕草子』
(藤の花は、しだれた花房が長く、色濃く咲いているのが、大変
すばらしい。) 

29いざ<感> 

「濁点の有無によって意味の異なる語」です。

「いざ」(感)…「さあ」(勧誘・決意を示す)
「いさ」(感・副)「さあ」(わからないことに対するためらい・不安・否定)。打消を伴うと副詞。

(例文)
いざもろともに若菜摘みてむ『後撰和歌集』
(さあ一緒に若菜を摘もう)

30げに<副> 

「げに」(副)…「なるほど・本当に」(前述の内容を肯定する)
「けに」(副)…「異に」で、@ひどくA格別にの意。

(例文)三日、また申の時に一日よりもけにののしりて来るを
『蜻蛉日記』
(三日、また午後4時ごろに一日の時よりも
一段と大騒ぎをして来るを)

31あらまほし<形>

今回は「助動詞を用いて出来た単語」です。

両者ともまず注意が必要です。「あら(ラ変)+まほし(願望の助動詞)」・「あり(ラ変)+つる(完了の助動詞)」のままの場合があるからです。区別の方法は解釈をしてみるしかありません。

「あらまほし」は「あってほしい・ありたい」が原義ですが、形容詞になったら、「理想的だ」になります。お金は「あってほしい」もので、「お金があること」は「理想的だ」ですね??

(例文)烏帽子・直衣の姿、いとあらまほしく清げにて『源氏物語』
(烏帽子・直衣の姿が、大変理想的できれいで)

32ありつる<連>

「ありつる」は「あった」という意味で、連体詞では「先ほどの」の意です。
では「ありし」はどうでしょう?これも、「あった」ですが、連体詞では「以前の・例の」になります。両者の違いは、「ありし」>「ありつる」で「ありし」の方が昔を表します。

(例文)ありつる花につけて卯の花薄様に書きたり『枕草子』
(
先ほどの花に結びつけて卯の花色の薄様の紙に書いた)

33まもる<動> 

今回は「意外な意味を持っている単語」です。

「まもる」は「目守る」で@じっと見守るA世話をする、の意。古文の場合、「守る」は「もる」です。

(例文)うち笑みてぞまもり居給へる『源氏物語』
(にっこり笑ってじっと見つめて座っていらっしゃる)

34むすぶ<動>

「むすぶ」は「掬ぶ」と「結ぶ」があって、「掬ぶ」は水を掬う、の意。「結ぶ」には「@形作るA約束する」などの意もあります。

(例文)山寺なる石井に寄りて、手にむすびつつ飲みて『更級日記』
(山寺にある石で囲んだ井戸に立ち寄って、手で掬っては飲んで)

35たまのを<名>

@命
A短いもののたとえ
B(「玉の緒の」で)紐に関する語を導く枕詞

本来、「玉を貫き通す紐」のことで、そのことからB「紐に関する語を導く枕詞」として使われることがあります。また「霊(たま)」との関連から@「命」の意で使われ、そこからA短いもののたとえとしても使われるようになりました。

(例文)われ待ち見んと絶えぬ玉の緒『増鏡』
(私を待って逢おうと思って絶えないでいる)

36ほだし<名>

@束縛する

「罪人などの手足にはめる刑具」の意から、@人の身の自由を束縛するもの、の意になりました。

(例文)ほだし多かる人の、万にへつらひ、望み深きを見て、『徒然草』
(束縛の多いひとが、何かにつけてへつらい、欲望が深いのを見て、)

37つとめて<名>

@早朝
A翌朝

副詞「夙に」(朝早く)と同じ語源からできた語で「朝早いころ」の意。そこから、「前夜に何かあった翌朝」の意でも用いられるようになりました。両者の使い分けが大切。

(例文)冬はつとめて。雪のふりたるは、いふべきにもあらず。『枕草子』
(冬は早朝がよい。雪が降っている早朝は言うまでもなくすばらしい。)

38ひがごと<名>

@まちがったこと・誤り
A悪事

「ひが」は「僻」で「道理に合わない間違ったこと」の意。@Aの違いは文脈による。「空言・虚言(うそ)」と間違わないように。

(例文)ひがごとのあるやうに見えつれば、「所違へか」とて、『源氏物語』
(間違いがあるように見えたので、「場所違いか」といって)

39もとすゑ<名>

@上と下
A根元と枝葉
B歌の上の句と下の句

文字通り「本と末」で、@の場合は物理的な上下のこと。Aの場合は抽象的な使われ方もします。Bはもちろん文脈で和歌に関わる内容とわかる場合です。

(例文)はづかしき人の、歌の本末問ひたるに、『枕草子』
(こちらが気がひけるほどの立派な人が和歌の上の句と下の句を尋ねたときに)

40つと<名>

「つと(副詞)」@すぐに
「つと(名詞)」@土産

ひらがなで表記されるとどちらかわからないので気を付けましょう。
副詞は「夙に」と同類です。ちなみにこれは現代語ですよ。
名詞のほうは「苞」で、「食品などの藁包み」のことで、そこから「みやげ」の意味ができました。

(例文)都のつとに語らん。『徒然草』
(都への土産話に語ろう)

41すさまじ<形>

現代語では程度が甚だしいことを表しますが、本来は「期待はずれ・時期はずれ」なものに対する不快感を表しまました。

(1)興ざめだ・つまらない
(2)殺風景だ・荒涼としている
(3)冷淡だ・つれない
使い分けは…「期待はずれ」→(1)興ざめだ・つまらない(3)冷淡だ・つれない
         「時期はずれ」→(2)殺風景だ・荒涼としている・興ざめだ

(例文)梨の花、よにすさまじきものにして、ちかうもてなさず、『徒然草』
(梨の花は、実に興ざめなものであって、身近に鑑賞せず)

42うるはし<形>

「きちんと整っているさま」を表します。美しさを表すとは限らないので注意が必要です。

(1)端正で美しい
(2)きちんと整っている
(3)正式だ・本格的だ

(例文)荒畑といふものの、土うるはしうも直からぬ『枕草子』
(荒畑というものの、土もきちんと整っておらず、平らでない所)

43こころにくし<形>

「こちらが妬ましく感じるほどに相手がすぐれているさま」を表します。

(1)奥ゆかしい

この訳の丸暗記ですべていけます!

(例文)人々しく覚えて、心にくく思ふ『宇治拾遺物語』
(一人前らしく思われて、奥ゆかしく思う)

44なめし<形>

これも一発です!こんなゴロあわせはいかが?「なめんなよ!無礼者!」???

(1)無礼だ

(例文)宮なめしとおぼすらん『紫式部日記』
(宮様は無礼だとお思いになっているのだろう)

45あぢきなし<形>

「思うようにならないことに対する不満とあきらめの気持ち」を表します。文脈によっていろいろな訳ができるので、選択式では微妙になります。

(1)おもしろくない・にがにがしい
(2)かいがない・つまらない
(3)けしからん

(例文)おろかなる人の目を喜ばしむる楽しみ、またあぢきなし『徒然草』
(愚かな人の目を喜ばせる楽しみも、またつまらない)

46はしたなし<形>

「はした」は「中途半端だ」の意、「なし」は形容詞を作る接尾語。「なし」には否定の意味はないので注意。
「中途半端な態度」の意で(2)(3)に広げ、「中途半端どころではない」で(4)の意を覚えよう!

(1)中途半端だ
(2)体裁が悪い
(3)つれない
(4)(風雨が)激しい

(例文)たびたび行きけれども、いとはしたなくもてなして『十訓抄』
(何度も行ったけれども、大変つれなく応対して)

47わろし<形>

古典における善悪の判断は、「よし→よろし→わろし→あし」で表します。その中の「よろし」と「わろし」が重要です。
「よろし」は「悪くない・まあまあ」で「OK」のことです。GOODではありません。同じように「わろし」は最悪ではありません。

(1)よくない
(2)見苦しい

(例文)手のわろき人の、はばからず文書き散らすはよし『徒然草』
(文字のへたな人が、遠慮せずに手紙を書き散らすのはよい)

48めやすし<形>

「目安し」で「見た目の感じがよいさま」を表します。反対語は「見苦し」です。

(1)感じがよい

(例文)のどやかにてものしたまふけはひ、いとめやすし『源氏物語』
(静かにしていらっしゃる風情は、大変感じがよい)

49めざまし<形>

文字通り「目が覚めるほどだ」の意で、プラスマイナス両方に使います。

(1)すばらしい
(2)気にくわない

(例文)あはれもすこしさむる心地してめざまし『源氏物語』
(しみじみとした趣も少しさめる気持ちがして気にくわない)

50こちたし<形>

「言痛し・事痛し」で覚えましょう。「言葉が多い・物事が多い」です。

(1)多い
(2)(多くて)わずらわしい
(3)仰々しい

(例文)こちたく追ひののしる御前駆の声に『源氏物語』
(仰々しく大声で追い立てる御前駆の声に)

51しどけなし<形>                                            
(1)だらしない
(2)無造作だ・くつろいだ感じだ

「乱れてだらしない感じ」を表す語ですが、プラスイメージでとって「くつろいだ感じ」も表します。

(例文)郡司のしどけなかりければ、いましめんとて、『宇治拾遺物語』
(郡司がだらしなかったので、罰しようということで、)

52あはれなり<形動>

(1)しみじみと感じるさまだ

「心にしみじみと感じるさま」を表し、場面に応じて、感動・賛美・悲嘆・同情・愛惜・情趣などの意味になります。「趣深い」とか「かわいそうだ」と決めてかかるのは危険です。いろいろな訳の可能性があります。
さらに、「あはれ」の形で、名詞(情趣)、感動詞(ああ)があるのであわせて覚えましょう。

(例文)あはれなるもの。孝なる人の子『枕草子』
しみじみとするもの。親孝行の子供)

53さらなり<形動>

(1)もちろんだ・言うまでもない

「いふもさらなり」「いへばさらなり」の略された形。内容が問われることがあります。

(例文)大かはらけをぞまゐらせしに三度はさらなる事にて、七八など召して、『大鏡』
(大杯を差し上げたところ、三杯はいうまでもない事で、七八杯も召し上がり)

54おろかなり<形動>

(1)いい加減だ・粗略だ
(2)並一通りだ
(3)愚かだ・劣っている

「疎か」の意が中心で、「愚か」ではあまり出題されません。「いふもおろかなり(=言い表しようがない)・おろかならず(並一通りでない)」の形で使われることが多いです。類義語「おろそかなり」にも注意。

(例文)わづか二つの矢、師の前にて、一つをおろかにせんと思はんや『徒然草』
(たった二つの矢を、師の前で、一本を粗略にしようと思おうか)

55ときめく<動>

(1)<男性>栄える<女性>寵愛を受けて栄える

「時勢にあって栄える」意。男性はそのまま「栄える」ですが、女性は男性の庇護を必要としたから、「寵愛される」になります。「ドキドキ」する必要はありませんよ。

(例文)かくあやしき男の、いかでときめき給ふらむ『宇津保物語』
(このように卑しい男が、どうして栄えなさっているのだろう」)

56こうず<動>

(1)疲れる
(2)悩む

「困ず」で本来は悩み苦しむ意ですが、ほとんど「疲れる」の意で出題されます。

(例文)困じにけるにや、ゐるままにすなはちねぶり声なる『枕草子』
疲れてしまったのだろうか。座ると同時にねむり声である)

57やつす<動>

(1)姿をみすぼらしくする・目立たないようにする
(2)出家する

「服装や容姿を質素にする」意。自動詞は「やつる」ですが、「仕事やつれ」とはちょっと違います。

(例文)御車もいたうやつし給へり『源氏物語』
(御車もひどく目立たないように質素にしなさった)

58よも<副>

(1)まさか

「まず起こり得ないだろうという予測」を表す。「よに(決して)」との違いに注!。

(例文)大庭平太にはよもしかじ『保元物語』
(大庭平太にはまさか及ぶまい)

59いつしか<副>

(1)早く
(2)いつもまにか

意志・願望を伴う(1)の意が頻出。まだおこっていないことには(1)、すでにおこっていることには(2)と区別して下さい。

(例文)いつしか御崎といふ所わたらむ『土佐日記』
早く御崎という所を通り過ぎたい)

60さすがに<副>

(1)そうは言ってもやはり
(2)何と言ってもやはり

「或る状況を認めつつも、それとは別の意見を主張する」語です。「そうは」の指示内容が問われることがあります。
また、指示するものがないものが(2)です。

(例文)ことともおぼさず。さすがに、常は見えたてまつる『大和物語』
(<帝は>何ともお思いにならない。そうはいってもやはり<女は>いつもお逢い申し上げる)

61なかなか<副>

(1)かえって
(2)なまじっか

「なかなか」が中途半端なさまを表すので、「中途半端だから〜ない方がましだ」の意で用いられます。文脈で「かえってどうなのか」を考えさせる問題が多いので注意しましょう。

(例文)髪のうつくしげにそがれたる末もなかなか長きよりも、『源氏物語』
(髪の可愛らしい様子に削がれた先もかえって長いよりも)

62なべて<副>

(1)総じて・一般に
(2)ふつう・並一通り

「並べて」からできた副詞なので、「異なるものを同じように扱うさま」を表す。「なべてならず」の形で使われることが多いです。

(例文)なべてならぬ法ども行はるれど、さらにそのしるしなし『方丈記』
並々ならぬいろいろな修法が行われるけれど、全くその効き目はない)

63にほひ<名>

(1)色の美しく映えること。

嗅覚よりも視覚が中心です。

(例文)いみじき絵師といへども、筆限りありければ、にほひなし『源氏物語』
(りっぱな絵描きだといっても、筆の才能には限界があるので、きわだった美しさはない)

64たより<名>

(1)頼みとするもの(2)手段・便宜(3)ついで・機会(4)縁・つて(5)音信(6)配置

「頼みとするもの」から(5)まで広げましょう。(6)は続けるのはきびしいですね。(3)(4)が頻出です。

(例文)このわたりにたよりあらば、おはしまさせ給へ『宇津保物語』
(このあたりについでがあるならば、いらっしゃって下さい)

65まかる<動>

(1)退出する
(2)地方へ下る
(3)死ぬ
(4)参ります
(5)〜いたします

本来は貴人のいる場所から身分の低い所へ「退出する」意でしたが、次第に「下る」意が薄れて、「貴人のもとからどこかへ出かける」意で用いられるようになり、さらに動詞の前に用いて「まかり〜」で丁寧表現をとる用法もできました。入試では謙譲語として出題されますが、取り扱いは要注意です。

(例文)人のもとにしばしばまかりけれどあひがたく侍れば、『後撰和歌集・詞書』
(人のもとに時々参りましたがなかなか会えませんでしたので)

66つかうまつる<動>

(1)お仕え申し上げる
(2)して差し上げる
(3)〜し申し上げる

「仕へまつる」のウ音便。それで(1)は説明がつきますね。その「仕える」の意味がなくなって(2)となりました。(2)は貴人のために何かをして差し上げる意で多くは「歌を詠んで差し上げる」意に使われます。

(例文)この和歌はつかまつりたりと思ひ給ふる『源氏物語』
(この和歌は<うまく>お詠み申し上げたと思います)

67そうす<動>

(1)(天皇・院に)申し上げる

絶対敬語と呼ばれるもので、必ず「天皇・院」が相手だと決まっています。「啓す」は「皇后・皇太子など」に申し上げるときに使われます。主語が天皇なのではないので注意して下さい。

(例文)「びんなきことをも奏してけるかな」と思ふ『大鏡』
(「不都合なことを帝に申し上げてしまったものだなあ」と思う)

68やさし<形>

(1)つらい
(2)恥ずかしい
(3)優美だ
(4)感心だ

難しいですが、「やせるほどの思い・人目を気遣ってやせ細るさま」で覚えましょう。(1)(2)と(3)(4)の二つに分けるのわかりやすいですよ。(3)の意味が頻出です。

(例文)声いと若やかに愛敬づきやさしき所そひたり『源氏物語』
(声が大変若々しく魅力があり優美な所も備わっている)

69かしこし<形>

(1)畏れ多い
(2)利口だ
(3)すぐれている
(4)程度が甚だしい

(1)は「畏」で、(2)〜(4)は「賢」で覚えます。(4)は「いみじく」と同じように連用形で使われることが多いです。

(例文)男はうけきらはず呼び集へて、いとかしこく遊ぶ『竹取物語』
(男は誰彼区別せず呼び集めて、大変盛大に管弦の遊びをする)

70かたはらいたし<形>

(1)その場にいたたまれず、苦々しい
(2)気の毒である
(3)体裁が悪い
(4)笑止千万だ

「傍ら、にいたまれない」から出来た語。「気の毒で見ていられない」「そばにいて恥ずかしい」で(2)(3)と広がる。(4)が後に「片腹痛し」を連想して出来た語。

(例文)御前にて申すはかたはらいたきことには候へども『今昔物語集』
(御前で申し上げるのは体裁が悪いことではございますが)

71つれなし<形>

(1)冷淡だ(2)平気だ(3)何の変化もない。

「つられない」つまり「他からの影響を全く示さないさま」を表します。
 
(例文)いささか何とも思ひたらず、つれなきもいとねたきを『枕草子』
(少しも何とも思っていず、平気なのも大変腹立たしいので)
 
72ありがたし<形>

(1)めったにない・珍しい(2)生きることが難しい

「有り難し」で覚えましょう。(1)は賞賛するときにも用います。
 
(例文)御かたち・心ばへ、ありがたくめずらしきまでめづらしきまで『源氏物語』
(御容貌・気だてが、めったにないほどすばらしく珍しいまでに)

73あきらむ<動>

(1)明らかにする(2)明るくする

「明らむ」で覚えましょう。

(例文)ここもとの浅きことは、何事なりともあきらめ申すさん『徒然草』
(身近なつまらないことは何事であってもはっきりと説明し申し上げよう)

74おくる<動>

(1)遅れる(2)後に残される・先立たれる(3)劣る
(2)の「先立たれる」が頻出です。「送る・贈る」もありますがいいですね。
 
(例文)十ばかりにて殿におくれ給ひしほど『源氏物語』
(十歳ほどで殿に先立たれなさったころ)

75かる<動>

<四段>(1)狩る(2)借る 
<下二段>(1)枯る(2)離る

それぞれ掛詞になることが多いので注意しましょう。
現代語では発想しにくい「離る」が頻出です。

(例文)今はとて宿かれぬとも『源氏物語』
(もうこれでとこの家を離れたとしても)

76ながむ<動>

<眺む>(1)物思いにふけって遠くを眺める。
<詠む>(1)詩歌を吟じる

「眺む」は「物思いにふける」ことが中心で「遠くを眺めている」かどうかは文脈によります。心情語として取り扱って下さい。「詠む」は「長く声をのばしてよむ」からです。
 
(例文)昼はつれづれとながめ暮らして『源氏物語』
(昼はすることもなくぼんやりと物思いにふけって過ごして)
 
77ねんず<動>

(1)祈念する(2)こらえる

「念ず」は「精神を一つに集中する」ことです。「合格祈願」も「忍耐」も精神集中から!

(例文)いま一声呼ばれていらへんとねんじて寝たるほどに 『宇治拾遺物語』
(もう一度呼ばれて返事をしようとこらえて寝ているときに)

78ののしる<動>

(1)大声で騒ぐ(2)評判である(3)勢力が盛んである

現代語のように「罵声を浴びせる」意で用いられることは少ないです。とにかく「大声を出す」か「騒ぐ」ことを言います。さらに「世間で騒がれる」のは(2)(3)となります。
 
(例文)何事にかあらん、ことことしくののしり『徒然草』
(何事であろうか、大げさに大声で騒ぎたてて)

79みいだす<動>

(1)外を見つめる(2)見つけだす
平安貴族の女性は家に閉じこもっていたので、「部屋から外を見つめる」ことが多かったのです。(2)は現代語と同じですが、どちらになるかは文脈によります。

(例文)梅の香をかしきをみいだしてものし給ふ『源氏物語』
(梅がよい香りに咲いているのを部屋から見つめていらっしゃる)

80おどろく<動>

(1)はっと気づく(2)目を覚ます

現代語の「びっくり」とは違って、必ずしも心臓がびくっとするとは限りません。(2)の意味になるためには「眠っている」ことが文脈でわかる場合です。
 
(例文)寝入りたるほどに門たたく音におどろかれて『蜻蛉日記』
(すっかる寝込んでいる時に門をたたく音に思わず目を覚まして)
 
81いそぎ<名>

(1)準備
(2)急用

もちろん(1)が頻出です。知らないと思いつかないですよね!

(例文)御八講(=法事)のいそぎを、さまざまに心づかひせさせ給へり『源氏物語』
(八講会の準備に、いろいろ心遣いをなさった)

82こころづくし<名>

(1)気を揉むこと・物思い

古文では「心尽くしの料理」のような意味はありません。心が尽き果てることです。

(例文)漏り来る月の影見れば心づくしの秋は来にけり『古今和歌集』
(漏れてくる月の光を見ると物思いの限りを尽くす秋が来たのだなあと思われる)

83けしき<名>

(1)様子・顔色・態度・機嫌

「内部のものが外に現れた部分」のこと。今でも「機嫌が顔に出る」と言いますね。

(例文)「これらこそあるべきことよ」とて、御けしきなほり給ひて『大鏡』
(「こうあるべきことだよ」といって、ご機嫌がおなおりになって)

84わざと<副>

(1)わざわざ
(2)格別に
(3)正式の・本格的な

現代語のような「故意に」という悪いイメージはありません。つるちゃんのギャグは「わざとらしい」のではなく、受験生のために「わざわざ」準備したものなのです・・・。

(例文)人のもとにわざと清げに書きて遣りつる文の『枕草子』
(人のところへ、わざわざきれいに書いて送った手紙の)

85こころおとり<名>

(1)予想していたより劣っていると思われること。幻滅を感じること。

(例文)こころおとりせらるる本性見えんこそ、口惜しかるべけれ『徒然草』
幻滅される本性を人に見られることは、残念であるに違いない)

86はかばかし<形>

(1)しっかりしている
(2)はっきりしている

「はかどっているさま」を表します。

(例文)はかばかしき後見しなければ『源氏物語』
しっかりした後見人がいないので)

87うつくし<形>

「肉親への愛」→「小さいものへの愛」→「優れているものへの賞賛」と変遷した語です。

(1)かわいい
(2)りっぱだ

(例文)うつくしきもの。瓜に描きたる児の顔『枕草子』
(かわいいもの。瓜に描いた子供の顔)

88いたづらなり<形動>

(1)無駄だ
(2)はかない
(3)ひまだ・何もない

「力を尽くした後の空虚感」と覚えましょう。例えば、お金のためだけに一生懸命働いても「無駄だし、むなしいし、何にも残らない」ような気持ちになりますよね。

(例文)<水車は>つひに回らで、いたづらに立てりけり『徒然草』
(結局まわらないで、無駄にたっていた)

89こまやかなり<形動>

(1)きめ細かい
(2)詳しい
(3)色が濃い
(4)情が濃い
(5)にっこりする

物理的に細かいだけでなく、繊細な美しさを表します。それが、色や人情などにも用いられ、まれに「笑う」様子にも使われます。

(例文)鈍色のこまやかなるが、うちなえたるどもを着て『源氏物語』
(鼠色の濃い色の着物で着馴れてしなやかになったものを何枚か着て)

90あない<名>

(1)来意を告げること。あいさつ。
(2)事情を尋ねること(説明すること)。事情。

「案内」ですが、平安時代初期は「ん」の表記が無かったことから、「あない」と書かれます。意味は「ご案内します」の意だけではないので注意しましょう。「この辺の土地は不案内だから」と言いますよね。

(例文)変はらぬ姿今一度見え、かくとあない申して『大鏡』
(変わらない姿お見せして、こうだと事情を申し上げて)

91おきつ<動>

(1)命令する・指図する
(2)取り決める

「掟つ」で覚えましょう!「おきて」が動詞になったものです。受験生の「掟」を守りましょう!

(例文)人をおきてて高き木にのぼせて『徒然草』
(人を指図して高い木に登らせて)

92あらまし<名>

(1)予定
(2)期待
(3)概略

ほとんど(1)しか出題されません。「まし」が推量系の助動詞なので、「あらまし」は「そうあるだろう・そうありたい」という気持ちを表すのです。(3)は主に現代語で使われる意味ですね。

(例文)御幸は御あらましばかりにて、まことにはなかりけり『古今著聞集』
(院のお出ましはご予定だけで、実際にはなかった)

93このかみ<名>

(1)兄

「年上」の「上」ですが、想像しにくですね。ちなみに、「そのかみ」は「その当時」の意味です。

(例文)御このかみ右の大臣に聞こえ給ふ『宇津保物語』
(御の右大臣に申し上げなさる)

94つま<名>

(1)端(2)軒先(3)きっかけ・端緒

とにかく「端っこ」のことを言います。さらに抽象的なものをあらわすのか(3)です。

(例文)御湯などをも御覧じ入るるつまとやなる『夜の寝覚』
(御湯などを口になさるきっかけとなるだろうか)

95やうやう<副>  

(1)だんだん・次第に

「漸く」の音便形で、「漸次(ぜんじ)」と同じ意味です。

(例文)翁やうやう豊かになりゆく『竹取物語』
(竹取の翁は次第に豊かになってゆく)

96いかで<副>

(1)どうして<疑問>
(2)どうして<反語>
(3)なんとかして

まず、「意志・願望・命令」を伴っていないか確認して、伴っていたら(3)にしましょう。そして、「推量」を伴うときは(2)又は(3)で、文脈によります。

(例文)いかで人より先に聞かむ『枕草子』
(なんとかして人より先に聞きたい)

97うしろめたし<形>

(1)気がかりだ

「後目痛し」で覚えましょう!「後ろの視線が気になる」です。

(例文)いとはかなうものし給ふこそ、あはれにうしろめたけれ『源氏物語』
(大変頼りなくしていらっしゃるのは、しみじみと気がかりだ

98みそかなり<形動>

(1)ひそかにするさま

「み=ひ」で、そのままです。同様の単語には、「わたり=あたり」「まいて=まして」などがあります。こういうものは暗記に苦労しませんね!

(例文)みそかに寮にいまして『竹取物語』
ひそかに役所にいらっしゃって)

99おもて<名>

(1)顔
(2)面目

「おもてをあげ〜い」です。ついでに「面起こす(=名誉となる)」「面伏す(=面目をつぶす)」も覚えましょう!

(例文)平家に矢一つ射かけて、それをおもてにして参らん『平家物語』
(平家に矢を一つ射かけて、それを面目にして参上しよう)

100なやむ<動>                                               

(1)<精神的>難儀する・苦しむ
(2)<肉体的>病気になる
(3)<動詞の連用形に付いて>〜しにくい

古文では(2)が頻出です。

(例文)身にやむごとなく思ふ人のなやむを聞きて『枕草子』
(自分が大切に思う人が病気になるのを聞いて)

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