さて、栽培についてである。
実現可能かどうかはさておき、理想的環境というものを考えてみよう。
ほぼ赤道直下であることから、日照は十分あった方がいい。(太陽が真上を通るのである)常に湿った風が通り抜け、時には霧に包まれる。昼間は25℃くらいまで上がるが、夜は10℃以下まで下がる。年間の平均気温25℃。
日本の住宅地でこれを再現するのは無理です(キッパリ)しかし、幸いヘリアンフォラには適応力がありますのでここら辺でご勘弁頂きたい、というラインで折衝する事になる。
鉢
よく言われるように素焼き鉢がいいです。ただ、素焼き鉢でなければいけない、と言うものでもない。プラ鉢でも、テラコッタ鉢でもかまいません。ですが、後に述べるように高湿度を保つ必要があるため、過湿になりやすいため通気がよい方がいいのではないか、というのがボクの考えです。
用土
生きたミズゴケが最良です。とよく言われるが。。。さしてこだわる必要はない。乾燥ミズゴケでもいいだろうし、他の用土でもかまわない。
ただ、根無しの状態では安定がよくないのでこの場合は根回りだけでも生ミズゴケを使う事。あまりミズゴケが茂りすぎると葉を濡らす結果になるので、ときどき刈ってあげる事。ちなみにボクは ベラボン、鹿沼土、赤玉土、バーミキュライト、活性炭等々手元にあるものを適当に混ぜて使っている。
(ネペンテスも含め、植えかえの容易さから全てこれにシフトしつつある)
植え方
ヘリアンフォラは、その水分補給はあまり根に依存していないようである。株分けの際、根無しの状態によくなるが、その後の生育にはなんら影響はない。*
とは言っても「ヘリアンフォラ様」であるからして、あまりギュウギュウに詰めてもよくないであろうから適当に。
* この点について見解の方向修正の意見が当委員より出た。以下それを要約する。
たまに耳にする意見だが、植え替えをすると枯れる。という声を聞く事がある。
しかし、当委員会では他の委員を含めてそのような事は経験していない。これはどういうことか?推察するにそのような株は、根に依存するパーセンテージが強いのではあるまいか? つまりは、あまり湿度の高くない環境におかれたため、根による水分補給に頼るあまり、植え替えの際の根のダメージによりこれがうまくいかなくなり、枯れてしまうのではないか? と言う事。
言い換えれば、新しい根の発根がなければ良くはならない、とも言える。「根なし」の状態になった時は、発根するまで成長が止まる事がある。これを避けて、なるべく根の残るように割り新しい根の発根を促すのはベストであろう。
もちろんその後の環境は湿度の高い(90%以上)ところにおくのは言うまでもない。余談であるが、順化間もない(あるいは済んでいない)株は湿度100%近い環境でないと枯れる恐れが高い。
管理 及び 置き場
さて、ここに柴田先生のギアナ高地での気象データがあります。一部ですが引用させて
頂きます。
Cerro Huachamacari 1810 m
気温 26 ℃ 湿度 52 %
Cerro Marahuka 2290 m
気温 17 ℃ 湿度 55 %
Kukenan 2650 m
気温 22 ℃ 湿度 45 %
これを見て頭を抱えてしまうわけです。なぜなら、気温はともかく、日本でこの湿度の環境下においたらヘリアンフォラはとたんに萎びてしまう。
あるいは常に水の飛沫がかかるような所に生えている映像があったが、まねしたら葉は腐ってしまふであろう。もしくは、湿地で水に埋もれた画像をみて、腰水にしてもよいか、と言うとそういう訳にはいかない、のである。
つまりは、栽培上自生地と一部の環境だけを再現してもそれは意味がない。湿度だけとか、用土だけ自生地と同じにしてもいまくいかない。栽培には栽培のやり方がある、と結論しました。
では、栽培上の目標をどこへ向かせるか? ですが、次の二枚の画像をみて頂きたい。1つはI氏栽培品、もう一つはわたくしの栽培品です。全く同じヘリアンフォラですが栽培環境によってこれだけ差が出ます。どちらがいいか? は言うまでもないでしょう。
よく聞く事に「どれを栽培してみても同じようで面白味がない」という意見があるが、それは違う。ヘリアンフォラの葉には親葉、幼葉の他にこの中間の葉「漏斗葉」(とボクらは呼んでいる)があり、この漏斗葉にも段階がある。確かに漏斗葉の頃は殆どどの種も同じような形で面白味がない、のです。ここを乗り越えて本来の形にもっていくのがヘリアンフォラ栽培の醍醐味があるのです。
栽培テクニックの如何によって同じものでもこれだけ差が出てしまうのです。目標は決まりましたネ?
ながなが書きましたが、ここから各論です。(^^;
まずは湿度
湿度は最低ライン。ほぼ100%を保つ。ヘリアンフォラは、根からの水分補給にはあまり頼っていないようです。葉から水分を得ている。ですので十分な湿度の中に置いてあげる必要がある。湿度不足の時には、場合によっては数時間で不可逆的なダメージを受ける。(新芽をいためると下手すると枯れる)具体的には、密閉した環境が必要になってくる。かと言って、葉を常に濡らした状態にしてはいけない。湿度100%以上の環境では葉に結露する場合が出てくるが、これはよくない。湿度100%を保ちながら葉は乾いている。これが理想です。特に夜は葉を濡らしてはいけない。水やりは朝のうちにすませるべき。
腰水は。。
しない方がよい。根を常に濡らした状態にするのは控えるべき。根は通気を欲している
様である。
日照
出来うる限り当てた方がよい。が、密閉環境のため温度との兼ね合いが出てくる。
人工灯はどうか? というと、例えばいくら明るい蛍光灯の点った屋内にいたとしてもそこからたとえ曇天であっても屋外へでたとしたら、目には野外の方が明るく感じるはずです。「おてんと様にはかなわない」のである。補助的に考えたほうがよく、人工灯のみでは本来の育成は望めない。
理想的なことを言えば、終日日に当たるところがいいでしょう。ですが現実的に密閉した容器をそんなところに置けば、40℃を軽く越えてしまいます。これではたまりませんので、午前中、もしくは3.4時間くらい日があたるくらいの場所を選びます。
最近は蛍光灯もいろいろな種類が出ていますので「トルゥーライト」や「PG3」や高出力管などで補強するのもひとつの方法です。
水やり
過湿な環境ですので鉢内はあまり乾きません。鉢の上に生ミズゴケをおいて、これが乾かないくらいのローテーションでいきます。ただ、あまり葉に水がかかるのはよくない
気温
日本の気候は、秋から春までは誠に都合がいい。ケース内に置けばなんら問題ない環境を作る事が出来ます。問題は「夏」です。
ヘリアンフォラは冷房装置は要らない、と言うのが最近の栽培家では通説らしい。果たしてそうであろうか? ボクの私見では、答えはYesでもあり、Noでもある。
枯れなくとも良い、というのであれば(特に交配種は)冷房は要らない。高湿度を保ったケース内に入れて高湿度を保てば大丈夫です。しかし、これも条件が付き、夜冷え込む事が必要。少なくとも、昼よりも5度ほど下がる事が条件。これは屋内では難しい。よってケースは屋外に設置しなくてはいけない。この方法ならば多少葉の大きさは小さくなるが、枯れる事はない。
しかしである、秋から初夏まで調子よく成長してきたヘリアンフォラは、夏の暑さで調子を崩し、下手をすると幼葉に戻ったり、漏斗葉になったりする事もある。こうなるとまた最初から、と言うことになりかねない。夏は毎年やってくるのである。
さて、閑話休題、ヘリアンフォラ栽培の醍醐味は、その特異な葉の育成にある。例えば「ギアナ高地特産の珍奇植物を所有できればもう、それで満足」とおっしゃる方には失礼ながらこのPageの存在は無意味であろう。もう一つ、その種本来の育成を見せるには根気がいるのである。ネペンテスなら入手して1.2カ月で袋を付け始める事もあろうが、ヘリアンフォラは環境が変わるとその環境に慣れるまでかなりの長期を要するのである。もともと成長の早い植物ではありません。
種類にもよるのであるが、半年から1年かかるものもざらにある、と言うことを肝に命じて頂きたい。「どれを栽培してみても同じで面白くない」と仰る方には、大変失礼ながら「もっとがんばりましょう」
では、夏の暑さにどう対処するか? 手っ取り早いのは冷房です。日中は30℃くらいで平気だが、夜間は26℃程くらいまで下げる。これができればヘリアンフォラは始終ご機嫌で野生味あふれる成葉を出し、でかいネクターキャップ(蜜線)を見せてくれる事でしょう。がしかし、冷房装置の風は実は乾燥機と同じなのです。水を加えてやる必要があります。加湿器(超音波式をチョイス)を冷房と連動させ、湿った冷風を作ります。こうすれば最高26℃、湿度ほぼ100%の環境を曲がりなりにも作る事ができます。当方では、ドリンク用の冷蔵庫(4面ガラス)と超音波式加湿器を使用しています。
ちなみに高山性のネペンテスにもこれは併用できます。言うまでもありませんが、これがベストと言うわけではありません。
もっとお金をかけたい場合。
まず、温室設置の場所に井戸を掘ります。そしてその井戸水で水冷式のクーラーで冷却すれば、湿った風が得られる事でしょう。あまった水を温室の屋根へあげれば、温室全体を冷やせます。
もっともっとお金をかけたい場合。軽井沢あたりに温室と別荘を建てて引っ越しましょう。(^^;
秋と春は、さほど心配なく過ごせるでしょう。冬の寒さ対策は、夏に比べればずっと楽で、パネルヒーターに水をのせておけば温度、湿度とも得る事が出来ます。最低15℃くらいに設定しておけばネペンテスにも安心です。ネペンテスがいなければ、10℃以下でもいいでしょう。ですが通年成長させた方がヘリアンフォラも大きくなるので、うちでは15℃の設定になっています。
それでは、作者のヘリアンフォラにおける師匠I氏の栽培環境を拝見してみよう。