○ 今年、第13回を迎えた『学校図書館のつどい』は、会場をオリンピック記念青少年センターに代えたが、例年にも増しての盛況となった。
○ 午前の講演では都留文科大学の福田誠治氏を迎え、「図書が支える考える学力−フィンランドの教育から」と題し、フィンランド、イギリス、日本等の教育のあり方を比較しながら、お話いただいた。厳密で詳細な分析に基づいた講演内容を再現することは難しいが、印象に残ったいくつかの点を報告したい。フィンランドの教育で特筆すべき点は、16歳まで試験がないこの国で、子どもたちが熱心に勉強するということである。「試験がないのになぜ子どもたちは勉強するのか」この質問を、フィンランドの人は理解できないという。さらに、競争型学力の限界はすでに世界規模では明らかとなった事。
日本では、勉強するほど勉強嫌いとなり、日本の先生は無理やり勉強させる名人といえるという事。文科省は競争型か協力型か、どちらの学力観に立つか中途半端な立場である事。などを明らかにしてくださった。現実の中学生像と重なり、今の混迷する日本の教育をきちんとした立ち位置に戻すには、この先生のお話から出発したいと強く思える貴重な提言であった。
○ 午後の実践報告は、静岡県三島市の元司書教諭山田夕さんと司書である草茅祐子さんを迎え、司書配置から10年の三島市の現状をお話いただいた。息の合った絶妙のトークで、司書教諭と学校司書が協働して、学校図書館をめぐる様々な困難を克服し、学校図書館をどう根付かせていったかのお話であった。お話から、司書の立場を保障するために司書教諭がするべきことが強調され、それに答える学校司書の専門性が垣間見え、学校図書館の発展を支えられ力が何かを知るための貴重な提言であった。「あせらずゆっくり、長い目で見た前進」ということばが、楽しい実践や、調べ学習の定着へもつながっていった。が、司書を置く行政があり、優秀な司書が入り、それでもしかし、山田先生が三島におられなかったら・・・と思うと、日本の学校図書館の置かれた貧困な現状が改めて胸にしみる。
○ 午後の交流会は、お二人への質問「セキュリティーの問題」の続きから、図書基準に達するために廃棄を禁止される現実、地域開放についてなど、学校図書館が直面しているいくつかの課題について、問題提起や各現場での報告が出される形となった。外国での地域開放の意義と日本での違い、学校図書館に関するこれからの課題等も様々に提案され、交流会が単なる交流ではなく、学校図書館のあり方を探る場となり、従来の「つどい」とは違ったあり方が見えたと評価できよう。
○ この「つどい」の参加者の顔ぶれや内容の変化に、学校図書館への社会的認知度の高まりや、期待の大きさが見て取れるように思える。しかし、議論ができたからこそ、学校図書館を担うべき司書の待遇、権限、力量の不十分さが強く印象付けられたことも事実である。ここで出された課題をどう切り取り、どう参加者一人ひとりのものにしていくのか、どう学校図書館のあり方への提言としていくのか、さらに大きな課題を突きつけられたように思える。
最後に、講師をはじめ多くの方々のご協力により、無事に会が成功したことに感謝いたします。