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『にんじゃにんじゅろう』

舟崎克彦・作
飯野和好・絵
学習研究社
2004年3月出版
1冊 23×19cm(B5)
本体1200円

「にんじゃにんじゅろう」見参!
足利結佳

 「にんじゃにんじゅろう」の表紙を見た瞬間、「今度はそうきたか」と思った。飯野和好さんといえば「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズの股旅もの(しかも浪曲風に読まなければならない)、忍者ものでは「くろずみ小太郎旅日記」シリーズ、「知らざあ言って聞かせやしょう」の歌舞伎名台詞絵本等、最近は時代ものが多いからである。
 昨今の日本語はカタカナ文字が氾濫し、何を言っているのか、書いているのか分からないものが多い。この状態に危機感を感じる人が多かったからか、ここ数年空前の日本語ブームである。その旗手はといえば勿論「声に出して読みたい日本語」やテレビ番組「にほんごであそぼ」で有名な齋藤孝明治大学教授だろうが、絵本の世界では飯野和好さんもその一人といえるのではなかろうか。今回は舟崎克彦さんとコンビを組んで、いい味を出している。
 さて、今回の主人公は忍者学校に通う男の子、にんじゅろう。忍者の家の一人息子である。
 我々の世代で忍者ものといってすぐに思い出すのは「隠密剣士」の霧のとん兵衛、「仮面の忍者 赤影」、テレビまんがの「サスケ」などであるが、手裏剣を投げるまねやら、走り方をまねしたりしたものだ。忍者には何かワクワクさせられるものがあるように思う。
 にんじゅろうは忍者学校で様々なことを学ぶ。
 
「……「ぬき足」「さし足」「しのび足」といって、音を立てない歩き方。
 合いことばのいろいろ。
 のろしの立て方。
 水のある場所の、さがしあて方。
 どうぶつの鳴きまねなんかも、おぼえなけりゃいけない。」

  「今日もきょうとて、わらじのあみ方を教わっての帰り道」にんじゅろうは変な気配を感じる。家に帰り玄関で合言葉を言うが返事がない。「父上…、母上…。」と呼びかけるが、やはり返事がない。そこでにんじゅろう思案し「そうじゃ…!」ぽん、とひざを打つ。

「父上と母上は、せっしゃのにんじゅつのうでまえをたしかめようと、たくらんでおられるにちがいない。」

 そう考えたにんじゅろうは、忍者学校で学んだ技を駆使して両親を座敷牢へと落とし込む。ところがまかないに行ってみると、そこにはがんじがらめに縛り上げられ、猿轡を咬まされた両親が…。
 スピーディーな展開に、時代劇風の言い回しが読者を引き付ける。「せっしゃ」「ござる」といった忍者言葉は誰でも一度は言ってみたい台詞ではないだろうか。
 したがって、この本を小学校で読み聞かせをすると、読み方がついつい時代劇がかってしまう。文章の中には「かまち」や「からかみ」「あわせ」といった子どもたちには少し分かりにくい言葉や表現が出てくるが、全体の話の流れが面白く勢いがあるので、さして問題はないようだ。子どもたちも実に楽しそうに聞いてくれる。読みながら、ふと「ひょっとしたら若い世代のお母さん方も分からない言葉がたくさんあるのかもしれない」と思ってしまった。
 巻末に「にんじゃ親子夜なべ問答」、「忍者絵巻」の付録つきでますます楽しめる。

(『子どもの本棚』2005年1月号掲載)

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