めざせ !! 317は甲田さんの誕生日
『ルヴァン』に学ぶ、カンパーニュづくりの秘訣


カンパーニュ。
そのどっしりとした存在感のあるパンに、一種憧れのような想いを抱いてしまうのは私だけではないでしょう。
パンづくりに携わる者にとって、何か特別な想い入れを込められるパンとして、カンパーニュはその代表格であることに間違いないと思います。

自家製の酵母を育てているとどうしてもつくってみたくなるパンのひとつなのですが、なかなかこれが難しくって、つくる度に「なんかちがう・・・。」
いろんな本からレシピを拾って試してみたけれど、自分のイメージの中のカンパーニュにはちょっと遠い焼き上がりになってしまうのです。

どうしても、本格的なカンパーニュが焼けるようになりたい!
この想いを叶えてくれたのが『ルヴァン』の甲田さんです。
「仕事に入ってみる?」
何事にもオープンマインドの甲田さん。昔、時々調布の工場にお邪魔して、いろいろと教わったことを思い出します。

久々の『ルヴァン』研修。
究極のカンパーニュをめざして、いざ富ヶ谷へ!!
カンパーニュ比較の図 左が『ルヴァン』のカンパーニュ。右が私の焼いたものです。
皮の厚さ、内層の様子、味、香り、口当たり・・・。
全てにおいて、明らかに雲泥の差。

果たして、この差を縮めることができるのでしょうか・・・?



秘伝〜その1〜
生地づくり 生地はあくまでも柔らかく、ミキシングはしっかりと カンパーニュに使う粉は中力粉。(もちろん国産小麦です。)
普通ならせいぜい60%くらいの吸水です。
ところがここに、70〜71%の水を入れるのです。
当然、生地はどろどろの状態。
はたしてこれでパンがつくれるのだろうか、と心配になってしまうくらいの柔らかさです。
粉と塩、酵母種を入れたら全体がまざるまでミキサーを回します。
そしてここがポイント。
ミキサーを止めて、そのまま置くこと30分。
これは「オートリーズ」と言って生地の自家分解を促す工程です。
この後、再びミキサーを回して生地を捏ねます。
薄〜い薄〜いグルテンの膜がぴら〜っときれいに伸びるまで、30分近くかけてミキシングします。
カンパーニュの場合、ややオーバー気味になるまで回すのが良いとのこと。
番重にあげた生地はデロ〜っとしてなんだか頼りない感じ。



秘伝〜その2〜
発酵方法 一次発酵は1時間半。
そして二次発酵が約3時間。

分割時の生地を見ると、もう少し置いても良いんじゃないかと思ってしまうくらいの発酵状態です。
やわやわの生地をそっと丸めて、ベンチタイムは30分。
再び、生地を切らないように慎重に丸め直してバヌトンへ納めます。

ゆったりと大きな気泡を抱く内層は、二次発酵によって生まれます。
30℃のホイロで約3時間。じっくりと長い時間をかけて、充分に発酵を取ります。
手前はチーフの鈴木さん。パンに対する真摯な姿勢に感動しました。



秘伝〜その3〜
焼成法 最後は窯の力が決め手になります。
二次発酵を終えた生地をスリップピールに並べ、それぞれに丁寧にクープを入れたらいよいよ窯入れです。
上火240℃、下火258℃。スチームを2回。たっぷりと蒸気をあげます。
火力も最強にして、まずは外皮をガシッと焼き固めるのだそうです。
その後はやや温度を下げて、じっくりと中まで火を通します。
1.2kgのカンパーニュは、窯入れ後1時間15分ほどでこんがりとみごとに色づき、風格のある姿で窯から出てきました。
バヌトンからスリップピールへ生地を移します。 クープは素早く、丁寧に。

何から何まで、今迄自分がやってきたことと全然違っていて、”目から鱗”の半日でした。
『ルヴァン』のみなさんはとっても親切で、忙しい中、私の質問のひとつひとつに真剣に答えてくださったことを心から感謝します。
ホントにみなさん、どうもありがとう!!

とかく職人の世界は秘密主義に陥る傾向があるようですが、伝統技術の継承と言う意味でも『ルヴァン』のこうした姿勢はとっても大切だと思います。
自分たちの仕事に自信があるからこそ、またそれができるのだとも思います。
同じ志を持つ者同士、切磋琢磨ができる関係って素敵だし、大事にして行きたいことですね。



かくして『ルヴァン』での研修を終えた私は、帰宅後、早速「究極のカンパ」に挑戦です。
生地づくりから、今迄とは全く違う感触に感心しながらのパンづくりは、初心にかえった気分でとっても新鮮。
いつものワクワクが、更に大きくふくらんで「いや〜、パンって、ホンットに面白い!!」と痛感しました。

家庭用オーブンの限界もありますが、明らかに変わったパンの表情を感じて頂けると思います。
是非是非、みなさんも「究極のカンパーニュ」に挑戦してみてください!!


二次発酵終了の生地 柔らかい生地は綴じ目が開くこともなく、バヌトンの中でゆったりと成長します。
クープを入れるのもワクワクの一瞬 クープを入れるとスーッと生地が開き、大小不揃いの気泡が顔を覗かせます。


内層にも変化が! 究極の(に一歩近づいたと思う)カンパーニュ

勉強の甲斐あって、こんなに表情が変わりました。
パンづくりの面白さに、あらためて開眼させてくれた”カンパーニュ”。
さぁ、冷蔵庫にレーズン種があったら、早速カンパに挑戦してください!




このページのトップへもどる  「パンがとりもつE関係」へもどる ホームページへもどる
「いい日Eパン」からここへ来た人は
このウィンドウを閉じてもどってください。