これは、日本日曜学校助成協会発行「おともだち」誌(キリスト教会で行われる日曜学校の副読本)
1986年4月号に掲載されたものです。
挿絵は山守博昭さんが描かれました。
 日曜日の朝です。
 「くみちゃん。テレビばっかり見ていないで、早くごはんを食べちゃいなさい。もうすぐ日曜学校が始まる時間でしょう。」と、お母さんが、心配そうに言いました。
 でも、くみちゃんはテレビにむちゅうです。だって、テレビではちょうど、くみちゃんの大すきなまんがが始まったところだったのです。くみちゃんが日曜学校についた時には、もう、さんび歌もおいのりも終わって、先生がお話をしていました。くみちゃんは、ペロッとしたを出して首をすくめると、そおっと後ろの席につきました。となりにすわっていたさっちゃんが、小さな声で聞きました。
 「くみちゃん。どうしたの。ちこくだよ。」
 「だって、テレビでまんがをやっていたんだもの。」
くみちゃんは、さっきのテレビのまんがを思い出しながら言いました。そばで、だれかが言いました。
 「しーつ。うるさいよ。」
 次の土曜日の午後、くみちゃんはなかよしのさっちゃんと、公園で遊んだ帰りに教会によってみました。教会では、くみちゃんの受け持ちの中村先生が、おなべでぐつぐつと何かをにながら、きれいなカードをいっぱい広げていました。
 「先生。何しているの。」
くみちゃんが聞きました。
 「あしたはイースターよ。イエスさまの復活を記念する日でしょう。だから、日曜学校のみんなに記念のたまごをあげようと思って、ゆでているところよ。このきれいなセロハン紙につつむのよ。」
 「ふぅーん。このきれいなカードはどうするの。」
 「たまごといっしょにみんなにあげようと思って聖書のおことばを書いていたの。」
 「くみちゃんのもあるの。」
 「ええ。もちろん、ちゃんとあるわよ。くみちやんには聖書のどこのおことばを書いてあげようかな。」
 「みんな、ちがうの。」
 「そうよ。さっちゃんにはどこを書こうかな。あしたを楽しみにね。」
 日曜日の朝になりました。今日はくみちゃんはとても早起きです。だって、今日はきれいなカードやたまごをいただけるからです。お台所では、お母さんがもうごはんのしたくをしています。
 「あら。くみちゃん、おはよう。今日は早いのね。」
 「お母さん。いつもこんなに早く起きているの。」
 「そうよ。みんなが会社や学校にちこくしないようにごはんを作らないとね。くみちゃんも、今日はテレビにむちゅうにならずに、さっさとごはんを食べるのよ。」
 その時、くみちゃんは、はっとしました。くみちゃんがちこくしないために、いつもお母さんがこんなに早くから用意をしてくださっていたのに、くみちゃんは、ぐずぐずとテレビを見ていてちこくばかりしていたことに気がついたからです。
 「そういえば、教会の中村先生も、きのう、みんなのためにたまごを用意したり、ひとりひとりにカードを書いたりしていてくださったわ。」と、くみちゃんは思い出しました。そして思わず、神さまにおいのりしました。
 「神さま。お母さんや先生がくみちゃんの知らないところで、くみちゃんのために用意をしてくださっていることを知りませんでした。それなのにくみちゃんは、テレビにむちゅうになったりして、ちこくばっかりしていました。ごめんなさい。」
 「お母さん。行ってきます。」くみちゃんは元気に教会へ出かけて行きました。
 イエスさまも、私たちの知らないところで、私たちのために、すくいの道を用意してくださっているのです。かんしゃして、イエスさまを信じ、したがって行きましょう。            おわり

これは、日本日曜学校助成協会発行「おともだち」誌(キリスト教会で行われる日曜学校の副読本)1985年7月号に掲載されたものです。
挿絵は知田基雄さんが描かれました。
「パンパカバーン…」  
 高らかにラッパが鳴りひびいた。そのひびきは、谷をこえ、はるかかなたの森にまでとどいた。人々はおそれ、ひれふしていた。そこには、王様の姿をかたどった黄金の巨像が建てられていた。すべての人々は、この黄金の巨像の前にひれふし、おがんでいた。
 王様は、自分の権力が強くなり、まわりの国々をおさめるようになってくると、その力をさらにしめすために自分の姿をかたどった黄金の巨像を作らせた。そして、すべての国々の大臣たちを集め、ラッパの音を合図に、その巨像をおがむことを、お命じになった。
 「人々よ。よく聞け。王様のご命令だ。ラッパの音が鳴りひびいたら、王様の黄金像にむかって礼拝をささげるのだ。もし、ひれふしてこの像をおがまない者がいたら、だれでもようしやはしない。ただちに、真っ赤にもえる火の中に投げこまれるのだ。」人々は、これを聞いて、おそれおののいた。
 ちょうどきょうが、その合図のラッパの鳴りひびく日であったのだ。王様は、高いところからこの様子をごらんになって、満足そうなご様子であった。
 その時、数人の家来たちがかけこんできた。
 「王様。むほんですぞ。うらぎり者ですぞ。」
 「いったい、どうしたと言うのだ。そうぞうしい。うらぎり者だと。」
 「はい。王様。あなたの家来のシャデラクと、メシャクと、アベデ・ネゴの三人の若者です。かれら三人は、今まで王様からあんなに大事にしていただきながら、王様をうらぎり、黄金の像をおがまないのです。」 
 「なんだと。日ごろ忠実なあの三人の若者が、うらぎり者だと。まさか……。よもやうそではあるまいな。ただちに三人をここにつれてまいれ。」 
 「うそではございません。すぐに引っとらえて、ここにつれてまいります。」
 王様の前につれてこられたシャデラクと、メシャクと、アベデ・ネゴの三人は、おそれる様子もなかった。王様は言った。
 「シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴの三人よ。おまえたちは、私の建てた黄金像をおがまないというが、ほんとうか。私に忠実であったおまえたちのことだ。よもやそのようなことはあるまい。今、ここで私の黄金像にひれふすのだ。そうすればよし。しかし、もし私の黄金像をおがまないなら、おまえたちは真っ赤にもえる火の中に投げこまれるのだ。」
 三人の若者は、胸をはって王様にいった。
 「王様、あなたはまちがっています。私たちの神は、ご自分以外の者を神としこれをおがむことをおゆるしになりません。 私たちは、いかに王様がおおせられても、これだけはできません。どうぞもえさかる火の中に投げこんでください。
 きっと、私たちの神は、私たちを火の中から救い出してくださいます。」
 これを聞いた王様は、くちびるをふるわせて、いかっていった。
 「いつもより、火を七ばい熱くせよ。この三人のぶれいな若者たちをしばって、火の中に投げこんでしまえ。」
 「さあ。早くせぬか。どんどん火をもやすのだ。」
 「王様。これ以上はむりでございます。まわりがとけてしまいます。」
 あまり火を熱くしたので、三人を火の中に投げこもうとした兵士たちも、いきおいよくもえるほのおに焼き殺されてしまった。シャデラクと、メシャクと、アベデ・ネゴの三人もしばられて火の中に投げこまれてしまった。
 その時であった。王様は、おどろいた様子で、急に立ち上がるとさけんだ。
 「火の中に投げこんだのは三人ではなかったのか。」
 「王様。なにをおどろいていらっしやるのですか。ご命令どおり、三人でございます。」
 「なにを言っているのだ。私には四人の人が見える。しかも、火に焼かれていない。元気に火の中を歩きまわっているではないか。ああ、おそろしいことだ。なんと四人めの人は、まるで神様のようではないか。
 私はまちがっていた。自分を神のようにしようとしたが、これは悪いことだったのだ。
 神様、おゆるしください。三人の若者よ。早く火の中からここへ出てきてください。」
 王様がそういうと、三人の若者たちが火の中から出てきた。人々は口々に言った。
 「かみの毛も、着物も、こげていないぞ。」
 「神様が助けてくださったのだ。」
 王様は、その場にひれふすと、いった。
 「なんということだ。王である私の命令にそむいてひどいめにあわされても、正しい神以外には、どんなものをもおがまないこの若者たちを、神は救われたのだ。これからは、私も、この神に仕えていこう。」
 それから王様は、この三人の若者を大臣にとりたてて、良い政治を行うようになった。おわり
                     (旧約聖書ダニエル書三章より)