読み語りの楽しみ 一年間
浦安市立入船南小学校
須田 尚
去年1年間、東小の4年生に読み語りを続けてきました。1年間しか一緒に生活しなかった子供たちですが、入船南小に転任した後、東小の子供たちとお母さん方からのメッセージが綴られた冊子をいただきました。そこには、本を読んでもらったことへのうれしさや感謝の言葉がたくさん書かれていました。少し恥ずかしいのですが、何かの参考になればと思い紹介したいと思います。
「勉強がきらいで、本を読むことはもときらいで、なるべく本を読んでほしいと思い、1年生に入った頃から字数の少ない本・楽しい本・おもしろい本・読みやすそうな本と用意してあげていましたが、なかなか全部読み終わるまではいかず、この子は字を見るのがきらいなんだなあとあきらめていました。
4年生になり、娘に「須田先生は本が大好きなんだよ。」と聞かされ娘は本がきらいなのにと思っていました。
何ヶ月かすぎた頃、自分から本が欲しいと言い出してきたのがとてもうれしかったです。」
1年間、いろいろな本を子どもたちと読んできました。私自身、おもしろい本を見つけたり、教えてもらったりしながら少しずつ読み語りをしてきましたが、一年間継続して読み語りをしたのははじめてです。
4月6日の始業式の日から読み聞かせを始めました。
「うごいちゃ だめ!」ぶん エリカ・シルヴァマン え S.D.シンドラー
やく せな あいこ アスラン書房
はらはらドキドキ系です。がちょうとアヒルのちょっとした競争が、狐が現れて命がけの競争になり、最後は仲良しで解決。最初は普通に(?)聞いていた子たちも、だんだん身を乗り出して聞いてくれるのがわかります。
「かたあしだちょうのエルフ」
これは、エルフというだちょうが命がけで仲間を守ったお話。いいお話だからしっかり聞かせたいなあと思ったしまったせいか、子どもたちの反応はいまいちという感じでした。肩の力を抜いて読むことが大事です。
「おさる日記」和田誠 文 村上康成 絵 偕成社
これはちょっと恐い話。「最後のページになったら、先生、少し小さい声で読むからよく聞いてね。」と、前もって話してから読みました。
最後のページ、すっと声を落としたら、あっ、最後のページだとわかったようです。「こんな不思議なことが2度も起こるなんて」という最後のお母さんのせりふで、子どもたちは、世にも奇妙な物語だといっていました。その通りです。
まじめなお話ばかりでは、読み手も聞き手も疲れます。
「むらの英雄」エチオピア民話
上の3つのお話は、子どもたちはこちらで注意しなくてもだんだん集中してきて静かに聞いてくれました。でも、この作品は、途中から最後までずっとわいわいいいながら、一緒に参加しながら(?)読んでいきました。男達が数え方をまちがえたり、「ひょうにやられたおとこ」の話しがエスカレートするたびに、何でだよ、といったり大笑いしたりです。
「ねえ どれがいい?」ジョン・バーニンガム さく まつか わまゆみ やく
評論社
「むらの英雄」は自然に参加型になりましたが、この本は、最初から参加して読むようにできています。
「ねえ、どっちがいい?」と聞いて手を挙げてもらいます。手を挙げやすい質問もありますし、挙げにくい質問もあります。でも、「必ずどれかに手を挙げるんだよ」と(にやにやしながら)確認して話しを続けます。
「ぎゃーいやだ」、「どれもいやー」という声には耳をかさずに進めましょう。悲惨な選択もあれば、さぞかし気持ちがいいだろうなあという楽しい選択もあります。子どもたちの反応を楽しみながら読み聞かせできます。
さて、読み聞かせはしてあげたい。でも「読んであげる時間がなくって」というのは、共通の悩みです。それでも、一度読んであげて子どもたちの楽しそうな顔を見ていると、また読んであげたいなと思ってしまいます。一日の中でゆったりした時間が流れる時をつくりたいなあと思っています。
4月30日 「あらしのよるに」木村裕一作 あべ弘士絵 講談社
校内研で読んだ後、何人かの先生に読んでいただきました。
子どもたちの反応はいかがだったでしょうか。
5月2日 「もこもこもこ」 たにかわしゅんたろう もとながさだまさ
(文研出版)
「海をかえして」 丘修三 長野ヒデ子(童心社)
この2冊は、授業参観の時に読みました。学校全体が少しざわざわしており、子どもたちも少し落ちつかないようでした。もこもこもこはイメージをふくらませながら読むのにあっている本です。もう少しのんびりしたときに読んだ方がよかったようです。
「海をかえして」は、読んでいるうちに子どもたちがだんだん集中してきたのを感じました。
(最初、「百万回生きたねこ」を読もうと準備していたら、「先生、それ、図書の先生が読んでくれた」というので、実は真っ青。うーん、困った! あわてて本棚でこの2冊を引っ張り出してきて読みました。)
5月8日 「せかいいちうつくしいぼくの村」 小林豊(ポプラ社)
「先生が大好きな本だよと」いう話を前にしたあった本です。後書きは後で読んでねといったら、子どもたちからの「ぜひ読んでほしい」という要望で読みました。
村がなくなってしまったという子とは子どもたちには余りぴんとこないようでしたが、大変なことが起こってしまったということは伝わったようでした。
5月16日 「かえるくんはかえるくん」 マックス・ベルジュイス
(セーラー出版)
子どもたちにとっては、なんだか最初にもどったような受け取り方でした。大人にとっては自分探しの中で一回り大きくなったことがわかるのですが……。
5月18日 「でんしゃにのって」 とよたかずひこ (アリス館)
やっぱり切符を落とすところがうけました。読み終わった後、私も子どもたちも、とってもほんわかした気持ちになりました。
5月21日 「かわいい3びきのおかみ」 ユージン・トリビザス(冨山房)
最初は少しやりすぎかなあと思うほどなのですが、最後にお花で解決するので、いい気持ちで終わることができます。
「でんしゃにのって」と同じようにポットの小道具がちょっと気になります。
5月25日「これはのみのぴこ」 谷川俊太郎
どんどん行数が増えていきます。最初は一息で読んで当たり前。それがだんだん一息で読むのが難しくなっていきます。最後を一息で読み終わると、なかなか爽快感があります。教師の自己満足?
ある先生が一息で読み終わったら拍手がきたそうですが、私の場合はそんなことは起こらずちょっとがっかり。
5月28日「八郎」斉藤隆介 滝平 二郎 絵
秋田弁の語り口で読んでいきます。ちょっと思い入れが強すぎるのかなあ。こっちが一生懸命読んだ割には、あんまり「感動していないなあ」なんて思ってしまいます。
6月2日 「ろくべえ まってろよ」灰谷 健次郎
穴に落ちてしまった子犬を、子どもたちみんなの知恵と力で助けるお話です。以前は教科書にあったのですがなくなってしまいました。でも、読んであげたいお話です。
6月12日「大きな木がほしい」
素朴に、こんな木があったらいいなあと思います。小鳥が遊びに来たり、落ち葉が舞い込んできたり、こんな木の上で読書したら極楽だろうなあ。
この後は、ずいぶん日にちがたってしまいました。
7月?日「しらんぷり」梅田俊作/佳子 作・絵 ポプラ社
読み聞かせをするにはとっても「重い」本です。終わった後、腕が痛くなりました。こっちは物理的な重さです。でも内容も、いじめという、重いテーマの作品です。ただ、屋台のおじさんとの対応で、ほっと一息つくことができました。主人公といじめている子どもたちだけの対応だけでは、リアルすぎるのかなとおもいました。4年生ではちょっときついかと思いましたが、屋台のおじさんがいるので読み通すことができました。
2学期も読み語りを続けています。
忙しくて読み語りができないときは、忙しさに負けているなあという気がします。本当は時間がないのではなく、気持ちに余裕がないだけなんだなあと思います。
9月1日「龍の子太郎」松谷みよ子 講談社青い鳥文庫
この日から読み始めました。できるだけ毎日読もうと始めましたが、なかなか続きません。いつ読み終わることやら。
9月3日「やさいのおなか」きうち かつ さく・え 福音館書店
読み聞かせというより、「これなあに」と聞いて答えてもらう繰り返しで、ちょっと楽しむのにいい本です。野菜のシルエットというちょっとした工夫でこんなに楽しめるんですね。
9月7日「きみなんかだいきらいさ」ジャニス・メイ・ユードリー ぶん
モーリス・センダック え こだま ともこ やく 冨山房
君なんて嫌いさといいながら最後はやっぱり仲良し。子どもたちは、内容よりも、ぐるぐるクッキーって何だろうと興味津々でした。
9月9日「アナグマのもちよりパーティー」H・オラム 文 S・バーレイ 絵
小川 仁央 訳 評論社
「わすれられないおくりもの」の続編です。アナグマさんが元気だったときのことがつづられています。アナグマ・モグラ・みんなの気持ちの暖かさが伝わってきます。
9月10日「川」前川かずお こぐま社
これは社会の学習の一環として「読み」ました。全体が、川の始まり・上流から下流まで一枚に続いています。子どもたちに持たせながら一枚一枚続いていくと大喜びです。
9月11日「いいこってどんなこ?」ジーン・モデシット文 ロビン・スポワート絵
もきかずこ 訳 冨山房
この本は、大人の方が切実感を持って読むことができると思います。さて、みなさんは、「いいこってどんなこ?」って聞かれたらなんて答えますか。
9月17日「いじわるブッチー」バーバラ・ボットナーぶん ペギー・ラスマン え
ひがし はるみ やく 徳間書店
おとなしくて、目立たない、フツーの女の子が、どんな気持ちでいるのか分かりますか?そう訴えているようです。いじめっ子なんて、ロケットでぶっ飛ばしちゃえーって、そう思っているかもしれませんよ。
9月18日「わたしのいもうと」松谷みよ子 文 味戸ケイコ 絵 偕成社
さすがに、この絵本を読むときは、子どもたちに前もって心構えを話しました。このお話はとってもつらいお話です。でも、本当にあったことをもとにしているそうです。こんなことが二度と起こらないようにという願いを込めて書いたそうです。作者名を読むと、子どもたちから「あっ、龍の子太郎を書いた人だ。」という声があがりました。「そうです。同じ作者です。同じ作者が、元気に生きるエネルギーあふれる作品も書けば、いじめられて最後には死んでしまう作品も書くのです。」
10月19日「じごくのそうべえ」 たじまゆきひこ作 童心社
あやしげな関西弁で読んでみました。オニのおなかの中での騒ぎは、予想が当たって大喜びでした。
10月?日 「みんなうんち」 五味太郎 さく 福音館書店
科学絵本などを紹介した中に「うんこのできるまで」があり、そのついでに「みんなうんち」も読みました。「ふたこぶらくだはふたこぶうんち」で、どっとうけました。
10月21日に、「龍の子太郎」がやっと読み終わりました。
9月1日からですから、なんとまあ、1ヶ月半以上かかって読み終わったわけです。1日5分から10分ほどずつでした。途中3日4日あいたときもありましたが、子どもたちの「先生また読んで」の声に励まされて読み終わることができました。
最初のうちは、物語の世界に入り込めない子がいましたが、最後の方の、お母さんと山にぶつかって行くところはみんな真剣そのものでした。これが長編を読むよさなんだと思いました。
読み終わった後、自分で読んでみたい人を聞いたら、すいぶんたくさんいました。そこで、後ろの黒板に読みたい人で順番を決めた紙を貼っておきました。普段あまり長いお話を読まない子も、何とか読んでいるようです。
10月?日「マンヒのいえ」 クォン・ユンドク絵と文 みせ けい訳 セーラー出版
違う国について、観光や、主だった文化については情報があっても、案外フツーの暮らしは知らないものです。ここでは韓国のフツーの家族の暮らしの様子が描かれています。(という推薦の言葉がありますが、フツーよりはかなりいい暮らしではないかと思われます。)子どもたちにも、違う国のフツーの暮らしを知ってほしいと思います。
10月26日 「あるはれたひに」 木村裕一作 あべ弘士絵 講談社
授業研究会の時に読んで大うけした「あらしのよるに」の続きです。とうとうオオカミがヤギを食べてしまったのかなと、思わせぶりな表現がいっぱいあり、楽しさを十分味わうことができました。後で手にとった子たちが、さらに続きがあることに気がつき大騒ぎになりました。結局次の一冊も買わされることになってしまいました。
10月31日「やい、とかげ」 舟崎靖子作 渡辺洋二絵 あかね書房
教科書にある「やい、とかげ」の導入として読みました。でも、文の感じがあまりよくありません。なんだか文体が教科書のものよりたるんだ感じがして、子どもたちもあまり乗って聞いている感じがしませんでした。
これは、少し長いけれど、教科書の文の方がよいです。ただ、絵は、回想の場面だけ色が変わっているので違いがはっきり分かります。
11月6日「ひろしのしょうばい」 ふなざきやすこさく ふなざきよしひこえ
偕成社
教科書の「やい、とかげ」の学習が終わった後、舟崎さんの作品の紹介として、読みました。最初は笑いながらリラックスして聞いていた子たちが、だんだん真剣になって聞くようになりました。最後は、「ひろし」が青森のおばさんのうちにいることでしょうというはなしで終わるので、少しほっとしたようです。
11月13日「そんなことってある?」奥田継夫 文 西村繁男 絵 サンリート
4年生ですから、もうどんな落ちになるのかは途中から予想がつきます。でも、楽しみながら聞いてくれました。
11月13日 「ぼくはイスです」 長新太 童心社
先日3年生の先生方が全校朝会で「キャベツくん」の話をしてくれたので、子どもたちは同じ作者で身近に感じたようです。全校でお話を読んであげるのも、とってもいいことですね。こんなナンセンスなお話をのんびり楽しんでいると気持ちがゆったりします。
大きな絵の中で小さな小さなイスがどこにあるのかを、読み語りの絵を見ながら、大笑いしながら探していました。
11月25日 「くものきれまに」木村裕一作 あべ弘士絵 講談社
シリーズ三作目です。ちょっとマンネリかなと思ったのですが、子どもたちは集中して楽しく読むことができました。
11月26日 「島ひきおに」山下明生・文 梶山俊夫・絵 偕成社
最後がちょっとかわいそうです。子どもたちの表情も、物足りなさそうです。安心して終わる結末の方がよいような気がします。
12月7日 「よーいどんけついっとうしょう」梅田俊作・佳子 作・絵 岩崎書店
1月11日「星モグラサンジの伝説」 岡田 淳 理論社
長いお話を読むことの楽しさを知った子は、もうどんどん読んでいくことができます。
でも、なかなかそこをクリアーできない子もいます。そこで、次はどうなるんだろうという興味を持って聞くことができる本を選びました。お話がどんどんエスカレートしていくので、子どもたちからもっと読んでといつも催促されました。
でも、なかなかうまく時間がとれず、読み終わったのは、2月4日でした。
子どもたちにどんな本が心に残ったかを聞いてみました。
2月3日「鬼がら」たかしよいち・作 斎藤博之・絵 岩崎書店
鬼の話ですが、これまで子どもたちが親しんできた鬼の話とはちょっと違っています。
これまでの話は、「悪くてこらしめられる鬼」か「よい鬼」のどちらかでした。しかし、ここででてくる鬼は、人間の弱い心そのものです。難しい話ですが、簡単に、悪い心を持つと報いを受けると読んでもいいわけです。
2月4日「びりっかすの神様」岡田淳 作・絵 偕成社
読みながら、自分の普段の授業はどうだろうとぎくりとさせられる本です。読んでいる間、よく子どもたちから「びりっかすさん、くるかなあ」という声が聞こえました。これまでもそんな気持ちは持っていたのかもしれませんが、この話を聞いたことで、自分の気持ちをびりっかすという言葉で表現できるようになったのかもしれません。
最後に担任の先生がよれよれのネクタイで登場する場面では、僕の方がぐっときてしまったのですが、子どもたちにどのくらい伝わったのかなあ。
これも延々と読み続けて、読み終わったのは、3月8日でした。
こうして書いてみると、ずいぶん間があいてしまったり、一気に読んでみたりと、いい加減です。でも、一冊でも子どもの心に残ってくれたらいいなあと思っています。
4年生には、もっと長編ものを読みたかったのですが、結局、長編はこれまで紹介したように、3冊しか読むことができませんでした。
「龍の子太郎」松谷 みよ子
「星モグラサンジの伝説」岡田 淳
「びりっかすの神様」岡田 淳
長編3冊のうち、2冊が岡田淳とかたよっています。長いお話で、子どもたちが興味を持って聞いてくれそうな作品ということで、岡田淳を選びました。先生方も読んだ方は多いと思いますが、もし読んだことがない先生は、是非読んでみてください。