《問題意識》
◆「対外的な反対・要求」運動の労働組合と、「内発的要求充足」運動の協同組合の区分はどういう実践的意味を持つか。
◆協同組合は資本主義社会で雇う・雇われる関係を克服したり、資本と労働の対立を廃止するという役割を果たせるのか。
◆マルクスのいう、協同組合運動の「偉大な実験的価値」「大きな功績」の意味は何か。(黒川俊雄『いまなぜ協同組合なのか』に対する批判)
《概要》
●労働組合を「対外的な反対・要求」運動と規定するのは、マルクスの規定を単純化してしまう。
●協同組合も、マルクスによれば資本主義の枠内では搾取関係におかれている。
●協同組合労働が資本と労働の対立を廃止するわけではないとマルクスは指摘している。資本主義の枠内では、協同組合の限界がある。新しい社会の断片に過ぎない。協同組合を社会主義制度への過渡形態とマルクスは見なしていた。ただし社会主義への移行形態として、協同組合だけを優位においていなかった。
●協同組合的社会主義に対するマルクスらの批判は一貫していたが、筆者(黒川)は国家権力獲得のための階級闘争を過小評価している。
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→有田光雄[1996B]と同じ内容のため省略
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《概要》
●黒川俊雄『いまなぜ労働者協同組合なのか』と、それに対する批判(明野進)「労働者協同組合とは何か」(『労働運動』所収)は、いずれも一面的。
●労協の内部では、マルクスのいうように搾取関係は存在していないが、国独資によって労協ぐるみで搾取・収奪されている。
●労協には「雇う・雇われる」関係がないので労働組合は不必要だ、との説は、労協の労働者を労働者階級から切り離し、結果的には労働基本権を否定しかねない。→労協の「特殊性の一面的な肥大化論」。民主的経営でこそ、搾取の有無に関係なく労働組合は必要。労働組合の機能として、経営に対するチェックと、資本とともに国独資に対する闘争を行う。
●労協内部にも資本と労働の対立・搾取関係があるとの説は、協同組合労働の特殊性(現在の社会の改造者)を無視している。労協の労働者は、労働者階級の一般性と、特殊性の二重性から把握されなければならない。
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(※第1節『主人公たちの労働組合運動』を考える――『労働者協同組合における労働組合のあり方』答申批判――」は、『建設一般学習』No.59(1994.5)および、全国生協労働組合連合会『学習・討議資料』No.2(1994.5)所載の同名論文と同一内容)
《概要》
●日本労協連「労働組合問題委員会」答申の労働組合理解が誤っている。
●答申は、労働組合の存在理由を未組織労働者の組織化など外向きの機能にのみ求めているが、労働組合は本来、職場の切実な要求の解決を求めて生まれるものである。また労協内においても労使関係の発生は不可避であり、また経営へのチェック機能が必要である。
労協の労働者は「新しい労働者」像として特殊性が強調されるが、労働者階級の一員であるし、意識も多様である。労働者階級としての共同・連帯と、営利追求の矛盾した二面的性格を持っており、この矛盾こそが団結と運動の原動力となる。「新しい労働者」像は超階級的である。
●労協の「雇われ者根性の克服」と、生協労連の「雇われ者根性の確立」は、本質的には労働者階級の自覚という点で同一なのに、すれ違いの悲劇を生んだ。その原因は、現実離れした「新しい労働者」像に対する反発にあった。労協の労働者も、労働者階級の一員に変わりない。経済的必然性からだけ労組不要論を唱えるのは正しくない。官僚制が発生する余地があるのでチェックを行い、労働者の要求を実現するのに労組は必要である。レーニンの主張も同様であった。
●新しい「協同組合主義」論は、科学的社会主義の考え方そのものに社会主義国崩壊の原因を見出そうとし、また国家変革なしに協同組合部門拡大によって自動的に社会主義ができるという誤りに陥っている。また国家の存在そのものを悪として退けている(性悪説)。
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《問題意識》
◆臨調答申以後、国有林野事業の直傭労働者の雇用縮減が急激に減らされ、直営事業が解体へ向かっている。
◆国土資源の管理主体の構築は、地域の労働者の協同組合セクターとその中核としての労協の確立如何にかかっている。
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《問題意識》
◆「協同組合地域社会」論に対する批判。協同組合理念の中に、社会の諸関係一切を押し込もうとする逆立ちした発想。国家権力の変革なしに社会変革はありえない。また、日本経済の二重構造の下で中小企業が労協化し、経済民主化に立ち上がって国独資機構の民主的変革、参加型の社会主義に尽力すべきだ。
《概要》
●日本の研究者によるモンドラゴン協同組合研究について。
@大谷正夫……1981年に現地訪問。
A佐藤誠……レイドロウ報告での評価と関係なく、モンドラゴンに着目した。
B嶋田啓一郎……レイドロウ報告後最も早くモンドラゴンを紹介した。
C中村耕三……P.デリック『モンドラゴンから学ぶもの』を翻訳。
D石見尚……協同組合共和国(協同組合的地域コミュニティ)建設の中核が労協だと主張。
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《労協法の必要性》
▲公共的なサービスを供給し、地域づくりに貢献するうえで、協同組合や公益団体が中心になる。行政組織との密接な関係を持ち、税制や補助金によって支えられるのは当然。
▲協同組合が公共活動を行う権利と責任を定め、社会による協同組合の公共性の支援を確立するとともに、「協同で仕事を起こす権利」を社会的に保障するための法人格、資格制度が不可欠。
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《問題意識》
◆1970年代後半に日本の倒産企業で展開された自主生産活動について、それが資本主義を克服していくものであるか(体制変革)、雇用問題の解決にどれだけ寄与しうるか(自主雇用)、生産の場でそれがどのような新しい労働者民主主義の諸関係を生み出しうるか(自主管理)。
《結論》
■自主雇用の効果は、倒産後の自主生産開始時点でかなりの割合の労働者が離脱していることから、大きく評価することはできない。しかも、雇用を確保できた分についても労働条件をかなり切り下げざるを得ない。
■自主管理については、連帯と平等に基づく直接民主主義が自主管理の発展の中で自主管理そのものと矛盾する新しい社会関係――ヒエラルヒー的構造と管理の自立化、労働者の原子化、それらを結合する官僚制的関係に変質する。
■資本主義体制とのかかわりについては、資本主義の枠組みに大きなインパクトを与えるものとは言い難い。
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《概要》
●フランスの労働者協同組合法は1978年に制定された。それまでは株式会社形式でしか労協を設立できなかったが、同法により有限会社でも設立できるようになり、労協の発展に寄与した。1985年には協同組合による子会社協同組合の設立が可能となり、1988年には最低2名で設立できるようになった。1992年「協同組合企業の近代化」法によって外部組合員の資本・人数構成比を下げ、労働者参加が強化された。
●フランス生産労働者協同組合法(1978年法)紹介
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《問題意識》
◆モンドラゴン協同組合グループは、ワーカーズコープがビッグ・ビジネスに対抗しうる存在であることを示したが、他方、協同組合のアイデンティティに危機感を持っており、労働の共同体を作るという当初の熱気も色褪せてきている。競争と技術革新を強調し、モンドラゴン原則を一種の理想主義、原理主義と見なす傾向も出ているが、競争的と協同組合的は両立しないのか。
《概要》
●ヨーロッパにおける工業部門のリーダーをめざし競争のためのコストダウンを進めており、労賃低下と失業の恐れあり。二次レベルの協同組合は持ち株会社になりつつある。
●EC協同組合法案を踏まえてバスク協同組合法が1993年に改正された。EC市場の競争激化に対応して財源強化を図るもの。モンドラゴンの中核企業ファゴールは競争激化に対応するため競争性のない部門の切り捨て、輸出や外国での合併、あるいは子会社の設立、新市場開拓とフレキシビリティ追求などを図っている。
●失業雇用給付金は91年以降目立って増加し、赤字が増大。失業手当を引き下げる提案を行い、早期退職の促進を図っている。他方でワークシェアリングやパート化など雇用創出に努めている。給与格差は広がり、1対3から1対6.9へ。意見は対立している。
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《概要》
●サリン・カシマイア著『モンドラゴンの神話』(1996年)の概要紹介と、それに対する批判。
●カシマイアによれば、モンドラゴン協同組合グループは資本主義企業に取って代わる新しい労協モデルとして登場し、民主的な経営決定参加と労働者所有を実現しているといわれるが、理想化されてみられている。一般の労働者組合員を無視しており、また政治的中立主義はバスク民族主義イデオロギーに基づくもの。彼らのいう連帯は、労働組合や労働者階級をないがしろにし、労働者意識を希薄化させて中産階級化の幻想を与えるものだ、という批判。
●筆者(石塚)は、カシマイアの批判が「旧態依然としている」と反批判。カシマイアが労働者階級の概念を重視していることや、一般組合員労働者の不平・不満を重視することを批判的に捉えている。
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《概要》
●労協の歴史。イギリスの協同組合運動は消費組合と生産組合が利潤分配をめぐって対立し、労働者への利潤分配や協同組合間協同を主張した南部派(オウエン主義者)が敗北。現実の組合活動は細々としていた。その原因は、@イギリス資本主義の展開によって労働者にも海外からの超過利潤が行き渡り、消費者協同組合が勃興するとともに雇用機会も拡大した、A労協の経営・生産・管理の劣悪さ、にあった。
《労協の現代的意義》
◆1.働く意欲のある者に労働の場を与えること。2.大量生産・画一生産の下で管理された反復労働から自立的・個性的・創造的な労働への要求が高まっていること。3.労働者が主人公となる自主管理の思想が強くなり、自由に想像力を生かせるという希望が与えられること。4.大企業の画一的商品でなく、個性的商品や本物を求める要求に対し、小規模の労協の商品生産が適合的であること。
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《問題意識》
◆労働運動の担い手として抵抗の論理を内面化してきた労働者が、自ら工場運営の担い手として秩序形成の主体となったとき、いかなる困難に直面し、それをどのように処理したのか。労働者の意識、行動様式、相互関係を規律していた原理はいかに変化したのか。
→労働者自主管理の、経営原理としての可能性を問う。ひいては、一般大衆が権力を掌握した場合の可能性と問題点にも触れる(経済的危機下の労働者の対抗的戦略という過渡的な問題としてではなく、新たな経営原理を作り出すかという普遍的な視点から労働者自主管理を捉える)。
《概要》
●自主生産において、組合は倒産前の生産管理技法を事実上継承したが、倒産前に持っていた知識は断片的であった。当面する問題解決のために管理技法を身体的に発見し習得していった。
●経営責任には偏りがあり、職場責任者を中心とする男性と単身の女性が責任を負っていた。一方では、一般組合員の間に民主主義的・平等主義的意識が根強く、責任意識は希薄であった。リーダー層は意思決定権限の上位集中化を図ろうとしたが、むしろ必要なのは、民主主義的意識を前提とした責任意識の強化にあったはずだ。
●組合リーダー層の指導力の強さと、組合員の絶大な信頼は、意思決定の集権化をもたらしたが、組織に結合させる役割を果たした。
●組合員には平等主義的意識が強く、機能上の管理・被管理にとどまり、命令・服従の権力関係には至らなかった。
●しかし結局は、新しい独自の秩序を作り出し得なかった。平等や民主主義が責任遂行と切り離された場合、新たな経営秩序を作り出す原理となることはできない。
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《問題意識》
◆現代の危機的状況認識……@科学技術の発達と工業・軍事の肥大化によって人類の生存環境が危機。Aテクノクラートへの権力・財力・情報集中、官僚支配体制。B職場・居住の分離、生産者・消費者の分断、人間疎外を起こす分業の進行。
◆労協の機能として、@人間の生命・健康を守るシステムを作る、A自主管理可能な小規模で分権的な組織、B消費者と緊密な関係を持って計画的な注文生産を行う、C職住近接として、地域の様々な協同組合の複合体(→地域共同体)を形成する、などが求められる。
《概要》
●労協の時期区分。
●第一期(17世紀〜1830年代)……宗教改革後、アメリカ大陸に渡っていった新教徒がコロニーを形成した。生協との共産体とロバート・オウエンらユートピア主義者のユートピアが結びついた。
●第二期(1830年代〜19世紀末)……産業革命後、工場労働者がロックアウトに対抗して自主管理の共同工場を作った。労働組合、協同組合(消費者、卸売)双方から冷遇され衰退。
●第三期(20世紀)……資本主義の行き詰まりの中で、企業の民主的管理が重要なテーマとなり、労働者の工場占拠、自主管理が出現。
●「労働者協同組合に関する略年表」1600〜1969年
《労協の現代的意義》
◆協同組合セクター論は各部門の拮抗を提起するにとどまっているが、そうではなく、一つの地域を協同組合的に作りかえることによって、私企業の市場独占を質的に変えていく、労協が消費者・市民と結びついた協同組合コミュニティを作ることに意味がある。
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《労協の現代的意義》
◆@人間疎外からの回復を、直接生産者による生産手段の所有に求めるということで一つの解決方法を提起している。Aエコロジー、都市、公害、人間の健康、平和という問題について、労協という経済組織を通して解決方法を探っている。B労協が社会組織の原理となることによって国家と人間社会の相克に解決の手がかりを与えている。
◆日本においても、敗戦直後の「生産合作社」とは条件が一変した現在、労協を組織する必要性と必然性は、長期的に見れば次第に熟しつつある。
◆労協の提起している問題は、@既存協同組合の組織改革の必要性、A行政改革・民営化、B協同組合間協同、C労働組合運動の再構築、である。
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《概要》
●日本の農業生産協同組合、林業生産協同組合、漁業生産協同組合、商業・サービス業の協同組合についての現状と課題。
●女性によるフェミニズム運動の一環としてのワーカーズ・コレクティブ運動が近年新たに登場した。ワーカーズコレクティブは、女性の自立に迫る有力な手段と見られており、主婦として、女性としての感覚を社会的に評価させるとともに、それにふさわしい経済的価値を実現する。さらにシャドウ・ワークを解決することにもつながる。
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《概要》
●労働組合の自主経営闘争、自主管理企業について……現代の労働組合の団結力とは、自主生産闘争にいつでも移行できるだけの管理能力が必要。企業内組合の場合は分裂したり孤立しやすいので、企業の枠を超えたネットワークや、地域社会における組織化が必要。
●地域共同体の機能喪失に取って代わる新しい協同活動の組織としてワーカーズ・コレクティブ(コミュニティ・コレクティブ)は有効だが、採算性がとれにくい。法の整備が求められる。
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《労協の現代的意義》
◆ワーカーズ・コレクティブは、@個人が意思決定に参加する余地がある、A意味のある仕事を行う、B相互に信頼と尊厳のある職場である、の3要素を追求する。
◆ワーカーズ・コレクティブを含めた自主管理企業の制度は、既存の資本主義・社会主義にとって、それぞれの矛盾を揚棄するのに避けて通れない一つの社会経済制度になろうとしている。
《概要》
●1970年代以降の西ヨーロッパ諸国におけるワーカーズ・コレクティブ運動と組織形態は、第二次大戦前と大幅に異なる。
@戦前は建設・印刷などの労働集約的な軽工業部門。70年代以降は近代建設業・機械・化学等の資本集約的工業分野、新聞・コンピューター等の高度の専門技術分野、知的サービス業の分野で伸びてきた。
A1980年代以降、産業構造のソフト化、技能・知識集約型への移行に伴い、女性の所有・運営が増加した。
→「未熟練労働を多用する後進的産業」という見方を転換。
●三つのモデル……スペイン・モンドラゴン(コレクティブ型)、イギリス・スコットベーダー型(コモン・オーナーシップ型)、ジョン・ルイス・パートナーシップ(パートナーシップ型;ESOPの原型)。
→資本と賃労働の関係を揚棄し、企業活動と社会的責任が調和した新しい形態の企業創造。
●日本の場合……世界の潮流から見て未発展。しかし、今後発展する可能性あり。
その客観的条件……失業者増、終身雇用・年功序列制維持困難、国の社会保障費が限界。
その主体的条件……若い世代が企業に拘束されるのを嫌う、女性の社会進出増、労働者の経営参加で経営危機を乗り切ろうとする中小零細業者。
●今後の課題……@ワーカーズ・コレクティブのオルガナイザーを作る、Aワーカーズ・コレクティブの意義と機能を認識する、Bワーカーズ・コレクティブの法制化を実現する、CESOPや小企業所有への制度・財政措置。
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《問題意識》
◆労働者協同組合「第四の波」が生まれた諸要因
@機械化・技術革新によって余剰労働力が発生。しかも雇用拡大を企業や公共投資に期待できず自力で雇用を生み出す必要。
A労働の価値観の変化。賃金のためだけでなく自立、生きがい、充実感・達成感のある仕事を求める。
B経営・労働への民主的参加を求める。
◆人間的な働き方を実現するソフトな産業・労働システムが求められるようになった。ハードな構造が通用する時代は終わった。ハードな構造に対応した労働組合だけでは労働者を包みきれない。成熟社会での労働運動は労働組合と労協の二つの翼を持つ必要がある。二つの翼は相互補完的である。労働組合と労協の間での、過去の不幸な誤解と偏見を克服することが、今後の理論的課題である。
◆労協の発展に、失業対策としての過大な期待を寄せることは筋違い。構造的失業をなくす闘いは国の全体的な構造政策に向けられるべき。
◆労協の意義は、労働組合が工場閉鎖と闘う上での重要な戦略を提供すること、また生産における自主統制の技術向上、責任と規律の学習の場を提供すること、さらに労働組合運動と市民・生活者運動を結び付ける重要な媒体。
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《概要》
●労働者生産協同組合が政治的に公認される機会は明治から昭和にかけて三度あったが、社会変革と恐れる偏見によって阻止された(特に農業関係)。
@明治期。産業組合法案中の製産組合が貴族院によって阻止される。また農商務省の官僚が製産組合の提唱に反対した。
A大正10年、第3回国際労働会議において、日本の小作人が広義の労働者と認められたが、同会議から出された共同耕作促進勧告決議が農林省によって無視された。
B第二次大戦後の農協法制定時、生産共同体の案に対して米占領軍が拒否。
●他方、日本にある家族制度、部落共同体、企業共同体などの人間関係が、個人の自立心を鈍らせ、労働者による近代的な生産の協同組織に違和感を抱かせる。
●九州大学・沢村康教授は、日本の協同組合研究者の中で、協同組合の中に労働者生産協同組合を最初に積極的に位置づけた(『協同組合論』1954年)。
●農業共同経営は、個別農民の共同作業から全面的な共同経営に発展したものと、無一物から集団経営を始めたものと二種類ある。前者の場合、和を保つのが難しく、長期的な収支見通しを立てないと経営の存続は危うい。
●社会主義国の集団経営(ソ連ソフホーズ)は、農民の自主的運営を保障しないと官僚化してしまう(スターリン主義批判)。
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《労協の現代的意義》
◆労協の特徴は、物の市場向け生産やサービスの収益事業自体や消費財の購入が目的ではなく、人間としての働き方すなわち他人に雇用されて働くのではなく、自立した働き方をすること自体を目的としている。協同組合運動が市場原理への追随の中で見失ってきた人間の働き方を主題としている点で、また物から人間への発想の転換という観点から、協同組合運動に新しい要素が入った。
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《概要》
●日本の新しい労協は6つのタイプに分けられる。@倒産企業の労働者による自主生産、A中高年雇用・福祉事業団、B生協女性組合員の事業、Cオルタナティブ市民運動、D身障者自主企業、E農産漁村における地域起こし共同生産。
●新しい労協に見られる共通点……@第3次産業が中心、A労働の目的は、社会への働きかけ、B内部運営は直接民主主義、Cシャドウ・ワークを担い、社会的にその意義を承認させる、D地域社会の必要とする事業によって積極的に貢献する。
●労協の今後の課題……@労協が産業複合体となる、Aセンター機能の集積、B労協の法制化、C金融組織・制度の設立。
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《概要》
●「協同労働」には4つの形態(共同施設型、共同経営型、包括契約型、混合型)があるが、法的裏付けはされていない。日本の法制では業種や職能別の協同組合法になっていて、機能別ではないから、「協同労働」は既存法ではなく新しい法律にするほうが良い。
●労協を社会的に認知し、法人格を与えることによって、日本の協同組合運動の活性化や地域の自力更生、アジア諸国との交流に役立つ。
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《概要》
●労協法の理念・目的、定義・種類、労協法の定款と認可、非営利団体としての共有資本の蓄積(税制)、ナショナルセンターと基金制度創設について提案している。
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《概要》
●日本はワーカーズコープの発展国である。1993年現在、農事組合法人(6694組合・46858人)、企業組合(2337組合、16369人)、労協連・非法人(72組合・6883人)、W.N.J系非法人(152組合・4285人)、計9255組合、74395人。数的にはイタリアに及ばないものの、スペインと同水準のワーカーズコープ大国であるが、法制の不備が目立つ。
●日本は農村型ワーカーズが主流で、都市型ワーカーズはポピュラーにならない。理由は、
@都市型ワーカーズが大衆化しない理由……法制化されていない、地価が高い、業界での競争が激しい、小資本で新規事業開拓は難しい。
A労協連もW.N.J.(ワーカーズ・コレクティブ・ネットワーク・ジャパン)も、理屈先行的性格が強い。経済業績での評価が二の次となっている。
B農事組合法人や農村女性のワーカーズ普及の理由……日本農村の協同の風土の上に成り立っていること、用地や原料を入手しやすい条件があること、農産加工の伝統技術があること。
Cさらに、意識や理屈の基層にある日本的労働観、農民的労働観と、それに基づく日本的な人間関係が、農村型ワーカーズを成立させている基本的な要素。この労働観は、地域社会を大切にする価値が意識的・無意識的に伴っている。自分たちの利益だけでなく、グループ以外の地域の人々の利益も考慮して活動し、地域の人々もワーカーズを支援する。
●都市型ワーカーズは、家計や家庭生活との両立可能な仕事、という動機はあっても、地域社会の動機が薄い。
●日本の都市型ワーカーズが大衆性を持つためには、欧米のワーカーズを外見的に模倣するのではなく、まず日本の農村型ワーカーズを研究し、そこから現代ワーカーズの実践指針を引き出すべき。
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《概要》
●農村型ワーカーズコープは、農業のほか林業・漁業でそれぞれ存在し、法人化されているものだけでも合計14603組合に上る。法人格を持たない任意団体の形態は、統計的に把握できない。
●農業の経営主体として、1970年代以降生産組織や事業体が関与することが多くなった。協業経営体のうち法人化されている農事組合法人は1975年以降増加し、1990年代に6700に至った。
●協業形態は有利性を持つ。生産費のような経済面も有利だが、仲間作りや学習会の開催、後継者の組織的な確保、都市と農村の組織的交流、地域社会での助け合いなど社会生活でも有利。
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《概要》
●レイドロウ報告は日本の労協運動に大きなインパクトを与えた。「労働が資本を雇う」という意味での「第二次産業革命」の可能性を伸ばすことが求められている。
日本における労協運動は、「雇用・失業問題と事業団運動」(中高年雇用・福祉事業団)、「『新しい働き方』とワーカーズ・コレクティブ運動」(ワーカーズ・コレクティブ)、「労働争議と自主生産・自主経営闘争」の三つに類型化される。
《労協の現代的意義》
◆@従来の労働組合運動の枠外にあって、労働組合運動への問題提起をなしうる運動。
A労働者が自主的に経営に関与し、新たな経営形態を創造すること、さらに労働者像・労働観の変革にもつながる。
B競争主義的秩序に対抗し、協同の原理をオルタナティブとして提起する労働・社会運動である。
→労協運動は、協同組合運動と労働組合運動を媒介し結節する位置にある。
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《問題意識》
◆労働組合による自主経営闘争は、経営への不関与・抵抗が不可能な状況において、新たな労働と経営のあり方を労働組合運動の中に正当に位置付けようとする試みであり、労働組合や協同の原理に対する理論的な問題を提起している。
《結論》
■労働組合による自主経営闘争が緊急避難的段階から恒常的発展的段階へと移行していく過程で、自主経営闘争に新たな意味付け(新しい労働運動になりうる、中小企業の経営・労使問題への示唆を与える)を行い、労働者協同組合を志向するようになった(=職場秩序、労働規律・経営能力等の自己形成)。
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《問題意識》
◆労協の基本性格として、所有権・管理権だけでなく「労働権」を重視する。資本主義社会において労働は「構想と実行の分離」だが、労協においては労働者が「統制と意思と所有」を手中にするため、労働概念を回復できる。資本主義企業においては労資関係があるが、労協においては「労働協同関係」となり、労務管理から労働の自立的統制(管理)への変革をもたらす。
◆「自立と協同」が未成熟な社会で国家権力が移行すると、国家による社会の吸収になり兼ねない危うさがある。
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《問題意識》
◆資本制的競争関係に取り巻かれた中での労働組合の自主経営闘争は、継続が難しい。
《概要》
●大分地連傘下のタクシー自主経営企業三社はいずれも労働組合(地連)の指導と財政支援によって経営の安定化、組織機構の整備、賃金水準の向上を図ることができた。今後は、人材育成(それも労働者協同組合を展望しうる)が課題となろう。
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《概要》
●労協では労働者が「企業の主人公になる」という原則。→労協の労働者は企業における従属した存在ではなく、所有権・管理権・労働権を持つとともに自己責任を持つ。「新しい労働者」像が必要。
●労協においては、雇う・雇われるという従来の労使関係を超えて、労働者相互の対等な「労働協同関係」となる。
●労協の内部問題については「企業の主人公」の立場で内在的に処理しうるので、労働組合運動としては外に視野を広げて、社会変革に向けて様々な運動に参加する。
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《問題意識》
◆「社会的経済」の意義:計画経済が破綻し、市場経済が過剰・失調する現代は、経済システムの変動期・転換期であり、その中で社会的経済は「友愛」を価値原理とし、注目されている。「社会的経済」論のキーワードは、「社会に媒介される経済」「環境」「福祉」。大きな視野を持ち、経済の目的・方向性を明らかにするのに貢献しうる。
◆社会的経済の中心的実体は協同組合・共済組合・非営利組織。公共セクターでもなく、資本主義セクターでもない、自立的な独自のセクターとして発展してきた。
◆今後の社会的経済に求められる機能……@社会の転換期の課題を捉える、A経済的機能と社会的機能の統合を目指す(=公正な富の分配、福祉)。
《労協の現代的意義》
◆失業者、不安定労働者が増加しており、就労機会の確保が必要。労協は「集団的自己雇用」形態であり、失業者・不安定労働者を組織する労働組合との連携が求められる。
◆労働組合に対しては、就労機会保障のための事業活動を位置づけるという問題提起。また日本労協連における「よい仕事」とそのための労働協同関係を実践的なプロセスとして捉えることが重要。労働者の絶えざる自己変革と、労働協同関係のしくみの改善によって実現する。
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《問題意識》
◆「よい仕事」を実践的にどう定義するか。協同労働を「よい仕事」と結合させてどのように把握するか。「よい仕事」と「協同労働」を包括して、社会政策論に何を提起するか。
《概要》
●労協の歴史は「よい仕事」の探求を掲げる一連の課題との格闘の歴史であった。「よい仕事」は、ICAの新原則とも通底する。「よい仕事」実践のための基本的枠組みは、現場主権、全組合員経営、地域社会との関係である。これらの結果として良質なサービスと製品を供給しうる。これは杉村芳美のいう「良い仕事」の条件とも一致する。
●労協の実践過程では、人間関係の応答・共感が不可欠の要素。→資本主義市場とは区別された市場経済領域の存在が示唆されている。=「編集された市場」
●労働の場や機会の確保だけでなく、協同労働が「よい仕事」にとって不可欠。協同労働は「よい仕事」の実現に向けた労働のしくみ。これは労働の権利に新しい地平を持ち込む(=労働観の変革)。協同労働を通じて「よい仕事」をする権利を保障する→協同労働の法的認知が不可欠。
●雇用労働では構想と実行の分離、すなわち労働の非人間化。こうした雇用労働への批判から協同労働論は所有・管理・労働の結合を基盤として、構想と実行の再統合すなわち労働の人間化、労働概念の回復、労働主体の自立も実現する。雇用労働は貨幣との引き換えを目的とする「抽象性の世界」であるのにたいし、協同労働は労働の具体性を目的とした「具体性の世界」である。
●社会政策上の課題……雇用労働の相対化と協同労働の社会的創出を正当に位置付ける必要があり、そうでなければ失業問題への対応も不十分。雇用調整助成金制度は一時的。部分的な雇用の保存でしかない。
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《概要》
●イギリス労協運動の経緯、現状(経営、事業所数、産業別分布)。援助機関(CDA、ICOMなど)。思想的背景(社会的経済、ポスト産業社会論)。80年代後半移行、労協運動が停滞減少をみせている。
●問題点……他の企業に比べて不利な状態。国民経済の中で周辺的な位置におかれている。経営管理の面では、民主的意思決定は時間がかかるし、意見の一致を見ることは不確定。協同組合はビッグ・ビジネスと対等の専門的技量を手に入れにくい。財政の面では、協同組合は利益を生むか否かのジレンマがある。また資金調達でも不利。
●今後の課題として、職業訓練教育、外部(労働組合運動など)との密接な協力関係が必要。
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《問題意識》
◆季節労働者を中心とした不安定就業労働者による主体形成は、雇用創出のみならず地域振興の担い手になることも意味している。ここで、企業組合の活動は労働者の主体形成をなす上で重要な条件を提供している。
《概要》
●釧路建設厚生企業組合における労働自主編成の実践とは、現場労働者によって労働過程上の条件改善が行われており、また賃金について現場労働者に合意の機会があること。また、労働者間での承認と相互批判の姿勢も見られる。
→個々から労働の意味が問い直されている。さらに労働の社会的意義も自覚。
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《概要》
●釧路建設厚生企業組合は、雇用保障の事業としての性格から、中高年労働者にとって技術的・体力的に無理のない就労へ推移していった。このことは、労働者は管理に参画する条件となった。
●成果分配、人員配置、道具管理の自主編成によって、管理と労働の矛盾が認識される。
●労働者は労働の意義を捉え直すとともに、その意義に適合的で、しかも労働しやすい労働へ向けた自主編成に取り組んでいる。
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《問題意識》
◆労協運動の特質を把握するうえで、全日自労との連続性と違いを明らかにする(現象的な区別だけでなく、事業体の形態を規定する論理の違い)。
◆地域における住民運動、労働運動、協同組合との連携・協力関係はどうか。
◆制度上の公共的な位置づけ、公共事業における行政との協力関係はどうか。
《概要》
●労協連の展開過程で、全日自労「民主的改革」路線からの連続性は、就労の確保と労働の改善であった。他方、全日自労と区別されるのは、1986年に労協形態を全面的に位置づけた時期以降で、就労の確保・労働の改善に加えて資本形成も併せて追求した(→非営利で公共的内容の労働への改善にふさわしい組織形態の選択)。
●北海道の事業団運動は、住民運動や全日自労の要求の成果である積寒制度の担い手として位置づけられていった。また、事業団自身の事業実績も重要な要素であり、それぞれの企業組合の実績如何で制度の延長・改善・拡張が実現したりしなかったりという結果を生んだ。
●釧路企業組合は地域の建設季節労働者の冬期生活保障と就労保障の点で共闘関係が作られ、運動体相互に課題の共有化を模索した(住民の生活に役立つ就労事業の点で共有化)。
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《問題意識》
◆労協が「労働者が労働と経営の主人公になる」ことを通して社会の必要に応える事業を行うことを期待されているが、「労働者が労働と経営の主人公となる」ことはどのようにして実現されるのか。先行研究(富沢、黒川)では、労働者の変化の過程、主体形成の分析が欠けている。
→労働者主体形成の具体的内容と過程を解明する。
《概要》
●土木部門においては、現場労働者間で個々の労働者の状況に合わせて就労日数の調整や作業配分が行われた。そこには「無理のない労働」を続けるための職場の協同関係が意識化されている。分配面でも、作業量ではなく仕事のまじめさに比重をおき、平準化を図っている。
●ビルメン部門においては、家事とパート労働の両立を続けられるよう、作業配分を行うとともに、作業内容の改善(病院を清潔にする)がリーダー主導で行われた。職場の協同関係と作業内容の改善が"働きがい"として意識された。
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《概要》
●日本労協連の労協法第一次案に対する批判。
●組合員の法的身分、労働者としての法律適用、社会保障制度、報酬の法的性格、事業利益および組合員の所得に適用される税制について、何も述べていない。
●マルチステイクホルダーは、消費者と労働者の対立があるため、ヨーロッパにおいてはほとんど存在しない。複合組合員に基づいて作られた「協同組合的システム」はあるが、これは協同組合ではなくシステムである。この形態は、労協の中で労働者を少数にしてしまう。
●自己資本獲得の手段を厳しく制限しているが、資本が不足する恐れがある。様々な資本獲得方法を考えてよいのではないか。
●その他、条文の細目についての疑問(省略)
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《労協の現代的意義》
◆日本では労働者生産協同組合が発展していないが、ヨーロッパ(南欧中心)では発展している。最近特に失業者が増えている中で、労協は雇用の問題にも解決を示しているとして注目されている。
《問題意識》
モンドラゴン協同組合について
◆生産品が今後も売れ続けるか(競争激化のため)。
◆労働運動が盛んなバスク地方で、ストも多発しており、協同組合はこれに耐えられるか。
◆協同組合創設時の理念とエネルギーを次世代に受け継いでいけるか。
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