ことのは工房子どものいる生活第2章>(5)


(5)胎動

初めての胎動‥‥それは、感動すべきものだと思っていた。が、残念ながら実際には、どちらかというと気持ち悪いものだった。 妊娠中期に入ったある日(記録がないから定かではない)、「?」お腹になんともいえない感触があったのだ。まるでお腹の中の臓器が意志を持って動いているような感じ。そしてそれは、翌日になって確実に「あ、これがきっと胎動だ」とわかる反応となってやってきた。

小さな小さな生命体が、少しずつ我がお腹の中で育ち、大きくなっている。胎動は、赤ちゃんが外界に対して自己主張を始めた瞬間でもある。しかしそれは、今まで100%自分の身体は自分のもの、と思っていたのを、根底からくつがえされるような感覚だった。何かしら(当たり前だが)別の生き物が自分のなかにいる。それはまるで‥、そう、誰かも本の中で書いていたが、まさしくエイリアンのような感じだった。

だが、そのエイリアンは、実はかわいい我が子である。まだ胎動を感じた最初の頃は、夫に「ほらほら」といっても、さっぱりわからないようだったが、やがて後期になると、さわらなくても、お腹の肉がボコン、と盛り上がり、その盛り上がりがズズズ‥と移動していくさまが見て取れるようになった。もうこれはすごいとしか言いようがない。迫力があった。「おっ蹴ってる蹴ってるー」。夫も、この様子には少なからず驚き、喜んでいたようである。

ちなみに我が家では、お腹の子どもをなんとなくぴー吉と、呼んでいたのだが、このエイリアンぴー吉が動いたり、お腹が張ったり、というのを体感しながら、次第に「そいつがお腹の中にいること」を認めていった‥といったらヘンだろうか。いや、やっぱり、ハハは単なる宿主で、お腹の子は授かりもの、一時的に我が家にやって来る神様からの預かりものかもしれない。


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