介護労働研究会
介護保険法が成立する前の1997年、ホームヘルパーの予備調査をしたことから
この勉強会が始まりました。 勉強を続けるほどに、"介護はジェンダー問題" との
思いが強くなり、次々と介護労働(ケアワーク)に関するアンケート調査を実施し、
それらをまとめて出版したり、介護問題の講演会を開催したりしてきました。

介護労働研究会はこの1年、介護問題研究会と合同で勉強会を開いてきましたが、
今年度(2009年度)は、介護問題研究会に合流します。

2008年度は介護報酬の改定もあって、スタート時の制度の実質的な後退を押し留めようと、
介護保険のあり方に焦点をあてた活動で、介護問題研究会との合同開催が続きました。


介護労働の問題としては、
  ・介護の仕事を分析し職務評価すること
  ・介護労働者の社会的評価を高めること
  ・尊厳ある働き方を実現すること
  ・外国人労働者参入の介護労働(介護の仕事内容および労働条件)への影響
  ・中高年の介護労働市場への参入優遇政策にかかわる問題

など、取り組むべき課題は多いですが、介護問題研究会の中で適宜、
時宜に応じてやっていきたいと思います。



介護労働研究会、介護問題研究会は、介護保険制度全般についての勉強会、例会を
重ねる中で、介護保険の受給者、介護労働に従事する人、ともに、
改正のたびに不安定な状況におかれることを痛感してきました。

このたびの見直しに対しても、介護保険制度制定当初の理念に立ち返って見直しを
考えてほしいと、意見書制作に取り組み、舛添要一厚生労働大臣ほか
各担当部署に送りました。


2008年6月12日の勉強会では、日本で介護士として働くことを希望しているフィリピン人に
日本語を教えている岩崎広平さんに話を伺いました。
以下お話を聞いた時点で感じたことをいくつか。

介護労働者の労働条件の悪さが介護職離れを起こしている日本の現況があるが、
こうした状況のまま、海外から介護労働者を受け入れることによる介護労働市場への
悪影響も考慮されなければならない。

また、海外から来た介護士が失望する事態も考えられる。フィリピンも、フィリピンより先に
日本に来ることになったインドネシアも、いわゆる発展途上国であり、
自国で選択できるほど十分な仕事や雇用の場がなく、お金になる仕事として海外で
「介護」をするということで、「介護士」という職種があるわけではない。

カナダやオーストラリアへは介護職というより、メイドとして働きに出ることが多いといわれる。
日本が結んだフィリピンやインドネシアとの経済連携協定では、個人の家庭へ入る
ホームヘルパーの受け入れではなく、 特養や老健などの施設での受け入れであるため、
すぐには問題にはならない.かもしれないが、訪問介護でメイド扱いされることは
我が国の介護士間でもっとも忌避されていることである。

高齢者を大事にするホスピタリィティに富むといわれるフィリピン介護士が、
日本の介護保険制度の下でどのように受け入れられるか心配でもある。

 介護労働者の労働条件の悪さに、私達はこれまで「介護の仕事とは何か」を問うてきた。
海外からの介護士がこうした問いのあり方に、何らかの影響を及ぼす可能性もある。
今後介護労働を考えて行くうえで、身近な問題に焦点をおきながらも、
より幅広い見地から問題を見ていくことも一層必要だろう。


       

10月24日の勉強会は、9月の「高齢社会をよくする女性の会」の全国大会(静岡)での
「誰が支える!介護労働」分科会について報告。人材をどう確保するかがテーマで、
パネリストのケアマネが現場の状況を「見直し以後、例えば情報公開のための
ファイル作りなど本来の業務以外の仕事が増え、辞めた職員の補充はパート。
少ない正規職員の業務量が増大、労働時間が増え、負担になり辞めて行く」と報告。

介護保険制度が出来たときの厚労省老健局長だった堤修三さんは、「こんなはずではなかった。
改正が複雑すぎる。財務省からの締め付けも大きい」「人材確保には長期的な観点から考え、
仕事を継続できるような給与体系など新たなシステム作りがいる。
この点からも介護報酬についての議論がもっと必要」といった話でした。

介護職の人材に関しては、「高齢社会をよくする女性の会(東京)」から
「介護職の今の給与に3万円上乗せ」の時限立法化への緊急提言が出され、
これについてや、この夏の厚労省告示「国家公務員の福祉職俸給表なども参考とすること」
といったことについて意見を交換しました。
今、介護職の人材不足が社会のホットな問題です。皆さんもご意見を!




  ケアワークの職務評価について

2007年7月24日の介護労働研究会では、同一価値労働同一賃金を実現するための職務評価について、
京ガス男女賃金差別裁判で自分自身や男性同僚との職務評価を用いて勝利和解をした
屋嘉比ふみ子さん(いこ☆る会員)をゲストに向かえてお話を伺いました。

男女間差別賃金や、正規非正規間の雇用形態による差別賃金を是正し、客観的な賃金制度を
確立するにはどうしたらいいかを考えることを目的としたものです。
女性職ゆえに低いケアワークの賃金を、適正に職務評価することで是正していこうとするものです。
その試みとして、職務評価のやり方に関しての基礎的なワークショップも行いました。

ケアワークの職務評価をするには、まず仕事内容の分析をして、評価基準を定める作業をしていく
必要があります。国際基督教大学の田中かず子さんは「ケアワークの専門性は感情労働である」と、
調査データーを通して考察されており
(女性労働問題研究会編「女性労働研究」47号)、
アメリカでは感情労働についての先駆的な分析がなされているようです。
こうしたことも参考にしながら、ケアワークの職務評価について勉強していきたいと思います。

 今年4月に参議院で、社会福祉士法・介護福祉士法の一部改正が可決され、准介護福祉士が
新たに設けられました。介護職員の人材不足の現状から、フィリピンなどからの外国人介護職員を
就労しやすくするために設置されたものといわれています。

介護職員の労働状況の現状を放置したままで介護福祉士から低く位置づける准介護福祉士制度を
新設するのは、ケアワークの労働状況改善とは全く反対の方向です。
同一価値労働同一賃金のための職務評価はますます重要な課題になってきています。




   (大阪府ジャンプ助成事業) 〜介護保険下における〜『利用者とホームヘルパー』
介護労働研究会が1年越しで取り組ん だ
アンケート調査の結果報告書です。
利用者とヘルパーへの同時アンケートは
今までに例がなく画期的なこと、と介護労働の
専門家からも高く評価されています。(A4版 170頁 )
冊子『利用者とホームヘルパー』
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玄場 絢子    e-mail  r67pp12@leto.eonet.ne.jp