― 檀信徒から僧侶まで ―



 仏教の念珠の起源は、明らかに古代インドのバラモン教の念珠に由来しています。しかし、釈尊(しゃくそん)
の時代に仏教で使われていたかどうかは不明です。わが国へは、聖徳太子のとき、百済から渡来して来ました。
念珠について説いた漢訳経典としては、東晋(とうしん)(四、五世紀頃)の『仏説木患子経(ぶっせつもくげんし
きょう)』が最初のようです。その後、唐代に入ると多くの漢訳経典に取り上げられます。参考までにその一部を
紹介しますと、阿地瞿多(あじくた)訳『陀羅尼集経』(だらにじっきょう)(六五四年)、義浄(ぎじょう)訳
『曼殊室利呪蔵中校量数珠功徳経』(まんじゅしりしゅぞうちゅうきょうりょうじゅずくどくきょう)』(『数珠功徳経』
七一〇年)、善無畏(ぜんむい)(輸波迦羅(ゆばから))訳『蘇悉地羯羅経(そしつじからきょう)』(七二六年)、同
『蘇婆子童子請問経(そばこどうじしょうもんきょう)』(七二六年)、般若三蔵(はんにゃさんぞう)訳
『守護国界守陀羅尼経(しゅごこっかいしゅだらにきょう)』(七三〇年)、同『諸佛境界摂真実経
(しょぶつきょうかいしょうしんじつきょう) 』(『摂真実経』)、金剛智(こんごうち)訳
『金剛頂経瑜伽中略出念誦経(こんごうちょうぎょうゆがちゅうりゃくしゅつねんじゅきょう)、不空ふくう)訳
『金剛頂瑜伽念珠経(こんごうちょうゆがねんじゅきょう)』、同『金剛頂経一字頂輪王一切時処念誦成仏儀軌
(こんごうちょうぎょういちじちょうりんのういっさいじしょねんじゅじょうぶつぎき)』
『金輪時処軌』(きんりんじしょき)などがあります。
これらの経典からもわかるように、密教に関係する陀羅尼(だらに)経典や儀軌(ぎき)経典に比較的多く
取り上げられています。三密行を基本とする密教経典が念珠について説くのはまったく当然とも言えます。



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