― 檀信徒から僧侶まで ―



経典には念珠(数珠)の珠(たま)(顆)の材料として、さまざまな材質をあげています。例えば義浄訳『数珠功徳経』
には鉄・赤銅(しゃくどう)・真珠・珊瑚(さんご)・木患子(もくげんじ)(ムクロジ科、せんだんばのぼだいじゅ)
蓮子(れんし)・因陀羅子(いんだらし)〔帝釈青(たいしゃくせい)〕・金剛子(こんごうし)・水精(すいしょう)・〔水晶〕
菩提子(ぼだいし)をあげています。『蘇(そ)悉地(しつじ)経(きょう)』(巻中・供養次第法品第十八)では、菩提子や
蓮花子(れんげし)などのほかに土珠(どしゅ)・牙珠(げしゅ)・赤珠(しゃくしゅ)・摩尼宝珠(まにほうじゅ)・草子(そうし)
多羅樹子(たらじゅし)Sなどをあげています。『陀羅尼(だらに)集経(じっきょう)(巻第一)では金・銀・赤銅・水精
瑠璃(るり)S・沈水(じんすい)・壇香(だんこう)・青蓮子(せいれんし)・瓔珞子(ようらくし)<の名を出しています。
なお、三部・五部を説く経典では、諸仏・諸菩薩の所属する部族に対応して用いる念珠の材質を区別しています。
例えば、先の『蘇悉地経』では、仏部は菩提子、観音部(蓮花部)は蓮花子、金剛部は魯梛羅叉子(ろならしゃし)
〔金剛子〕を用いることを最上と説き、『摂真実経(しょうしんじつきょう)』(巻下・持念品第八)や『略出念誦経
(りゃくしゅつねんじゅきょう)』(巻第四)は、仏部は菩提子、金剛部は金剛子、宝部は金・銀・水精など諸宝
蓮花部は連花子、羯磨部(かつまぶ)は種々雑多な色の宝珠(ほうしゅ)の念珠を用いることを説いています。
さらに、『略出念誦経』は、毎日四時(しじ)に各部に相応した四種の数珠を持ち、四種の念誦すなわち音声念誦
金剛念誦・三摩地(さんまじ)念誦・真実念誦を作(な)すことを説いています。ここからも、念珠(数珠)が念誦に
通じていることがよくわかります。 また、行法(ぎょうぼう)における念珠の執り方も五部の諸尊(しょそん)
に対応して異なっており、例えば、『摂真実経』は、仏部を持念(じねん)する場合には右手の拇指(ぼし)〔親指〕
と頭指(ずし)〔人差指〕とで、金剛部では右手の拇指と中指(ちゅうし)とで、宝部は右拇指と無名指(むみょうし)
〔薬指〕とで、蓮花部は右拇指と無名指と小指とで、羯磨部は右拇指と余の四指とで念珠を執持(しゅうじ)する
ように説いています。


数珠玉の素材と製造




写真は『星月菩提珠』原産地は中国海南島や雲南省で取れます。
菩提珠の中でも一番の人気のあるものです。他に、鳳凰の眼のような
模様がある鳳眼菩提、金剛菩提珠(インド菩提)や高野菩提珠
高級品としては天竺菩提珠が有名です。いずれにしろ釈尊が菩提樹の
木の下で悟りを開かれたので、仏教とは非常に縁のある木実です。
また実ではなく木そのものを材料とする物も多く、他では貴石類も
好まれています。







木の場合は、このような板状の
材料を刳り貫いて作ります。
(黒壇と高野杉)



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