古紙配合率の偽装問題を考える

 年賀ハガキでの偽装発覚に端を発した古紙配合率の偽装問題。業界全体で長年、多くの製品で偽装が行われ、再生紙100%をうたったコピー用紙が実は10%程度だったなど深刻なものでした。
 古紙偽装が行われた背景には、コピー用紙などには高品質の古紙が必要であったこと、中国の需要を背景に古紙の値段が上がったことなどがあげられましたが、特定調達品目検討会(大学教授などで構成。事務局は環境省)は中国の需要増以前から偽装が始まっていることなどを上げて言い訳に過ぎないと指摘しています。

 グリーン購入法に基づく基本方針でコピー用紙の判断基準は「古紙パルプ配合率100%」とされています。そこで、環境省は2008年6月までの緊急避難措置を認めるとともに、7月以降にどうするか特定調達品目検討会で検討を行いました。審議の過程で検討された新しい判断基準案は、

@ 古紙パルプ配合率100%かつ白色度70%程度以下であること。ただし、配合されている古紙パルプのうち30%を上限として、環境に配慮された原料を使用したバージンパルプに置き換えてもよい。
A 塗工されているものについては、塗工量が両面で12g/u以下であること。
B 製品に古紙パルプ配合率、白色度及び塗工量が記載されていること。環境に配慮された原料を使用したバージンパルプが配合されている場合は、古紙パルプと環境に配慮された原料を使用したバージンパルプの合計の配合率が記載されていること。

というもので、古紙配合率100%以外のものを認める案でした。
 
ところが、6月27日に開かれた特定調達品目検討会で最終的に決まったのは、「古紙パルプ配合率100%」というもとの基準でした。製紙メーカー側が、古紙配合率100%コピー用紙を政府の必要量供給できると回答したため、基準を引き下げる必要はないと判断したそうです。
 しかし、製紙メーカーの古紙配合率100%用紙の供給可能量は政府の必要量を上回るものの年間5〜6万トンで、自治体や民間を含めた国内全体のグリーン購入需要(年間約30 万トン程度)を満たせていません。自分たちさえ調達できればとよいとばかりに基準を決めた環境省の判断は正しかったのでしょうか。

新しい判断基準は?

 2008年12月に毎年行われている基準見直しの中で新しい判断基準案が示され、パブリックコメントに付されました。
 新しい判断基準案では、古紙に加え、森林認証材、間伐材、未利用材等、環境に配慮した原料についても限定的に利用することができることとし、さらに、環境配慮の指標である白色度及び坪量(紙の単位面積当たりの重量)を加えた総合評価指標を導入するというものです。古紙配合率は70%〜100%の範囲とし、配合率70%で50点、100%で80点の評価点が与えられます。これに森林認証材パルプ及び間伐材パルプの合計配合割合(最高30 点)、白色度(漂白が少ない)(最高15 点)などの評価点を加えた合計点が80点を上回れば対象製品として認められることになります。

 1993年から活動している古紙問題市民行動ネットワーク(日本消費者連盟に事務局)は、5月16日に「持続可能な紙の生産・消費に関するNGO共同提言」を行っています。

第一部:偽装事件への対応に対する提言(略)
第二部:紙の生産・消費についての提言
《3》 国は温暖化対策、循環型社会形成のために、わが国全体の紙の消費の総量削減を環境行政として真剣に進めるべきである。リサイクルや新規資源の環境配慮基準だけを議論せず、まず、徹底した紙の消費削減を進めなければならない。
《4》 グリーン購入法などの紙の購入基準について、紙の消費量削減を明確に規定した上で、引き続き古紙の利用を最大限行うべきである。バージンパルプの利用にあたっては、国内産材を優先し、合法性証明を取得していると同時に、製材・合板工場からの端材、建築廃材、人工林からの間伐材や林地残材の「廃残材・間伐材原料を使用したバージンパルプ」を対象とする。コピー用紙の白色度は、65%以下とし、他の用紙の指標とする。
《5》 古紙配合率など法の求める実績確認は調達者である国の責任で実施すべきである。調査の結果、違反が見られた際には業者に指導するとともに速やかに公表し、悪質な場合、偽装を行った企業の法的責任を速やかに問えるよう同法および関連法を整備することが必要である。また、今後、製造・販売する再生紙で偽装が行われないようにするためには、古紙・バージン原料の投入量に関する情報を、製品、工場、会社単位で公開させることが必要である。

 新たな判断基準案は、おおむねこの提言に沿っていると考えますが、白色度は75%(程度)を下回るところから加点するなど、提言よりも甘いものになっているのではないでしょうか。

グリーン購入制度のあり方は?

 グリーン購入制度では、事業者の示した仕様が正しいことを前提としており、偽装は制度の根幹を揺るがす問題です。
 グリーン購入制度でも罰則規定を設けるべきという意見もあります。しかし、公正取引委員会が景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして製紙メーカー8社に排除命令を出した(4月25日)ことなどを踏まえ、特定調達品目検討会では、既存の他の制度との連携によって対応可能とされました。
 また、チェック・検証をどのように強化するかも検討されました。ただし、過度な対応は、社会コストの増加を招き、環境物品の市場への普及の障害になるおそれがあるともされており、議論は簡単ではありません。
 今後のグリーン購入制度の強化策として、特定調達品目検討会は

@ 製品への必要事項の表示を徹底させるとともに、その表示方式の改善により、不適正な表示を行ったものとして責任追及が可能となる仕組みとすること
A 判断の基準等への適合状況調査によるグリーン購入制度の信頼性の確保及び抑止効果の観点から、一定量のサンプルに対し調査を行い、不正事案については公表を行う等の対応を実施すること

を提案しています。特定調達品目検討会は、古紙パルプ配合率などの確認・検証方策も示しています。

 環境省は、グリーン購入法の対象18分野237品目について来年度から4〜5年かけて基準を満たしているかどうかを調べる「エコテスト」を実施する方針を固め、来年度の予算要求を行うと報道されています。

(2008年12月16日)

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