むだな原子力事業予算は削られたか?

2009年12月30日追記へ

 民主党は野党時代の2009年7月に今年度の自公政権の予算についてむだを洗い出すための事業仕分けを行っており、「もんじゅ」の予算を「改善が必要」と結論付けていました。

2009年度予算民主党仕分け結果

 ところが、新政権になって出し直された文部科学省の2010年度予算概算要求では、もんじゅと関連事業に2009年度を27億円上回る436億円が要求されています。そこで、むだな予算を削るため行政刷新会議の事業仕分けが注目されました。

 事業仕分けは、国会議員と民間有識者があたることになりました。3つのワーキンググループが構成され、原子力関係では、第2WGが経済産業省などを、第3WGが文部科学省などを担当することになりました。

蓮舫議員への要請メール

 私は、第3WGの主査の蓮舫参議院議員に、次のメールを10月24日に出しました。
 一昨日のニュースで蓮舫議員が「私達が野党の時代に廃止と仕分けした事業が堂々と要求されているのは問題」との趣旨で答えているシーンを見ました。たいへんな作業だと思いますが、期待しています!
 文部科学省の高速増殖炉関連の予算は7月の仕分けで「改善」と区分けされ、「再開された場合の成果や効果が不透明。個々の事業「もんじゅ」だけではなく、総論として科学技術戦略を見直す中で「もんじゅ」の位置づけを再検討する必要がある。」とコメントされています。(中略)
 「もんじゅ」の位置づけはどう再検討されたのでしょうか? まったく納得できません。
 実験炉、原型炉、実証炉、実用炉とすすむ開発の「もんじゅ」はまだ原型炉です。実証炉は、経産省「新・国家エネルギー戦略」案では2025年頃建設とされていますが、コストを下げるため「もんじゅ」から大幅な設計変更が検討されています。「もんじゅ」は原型炉としては失格したのです。
 「もんじゅ」は、運転再開を目指して総点検が行われていますが、この23日にも、仮設電源のショート?でナトリウム漏えいの検知ができなくなり、運転できる条件(運転上の制限)からの逸脱が宣言されています。このような状態で、運転再開ができるのでしょうか?
 ここは、一度しっかり議論して、安全はもちろん安心も確保できる合意が必要と考えます。ぜひ、よい仕分け結果を出してくださるようお願いします。

「今後とも莫大な経費を投入すべきか」 財務省提示の論点

 仕分けでは、担当官庁から事業の説明が行われた後に、財務省から論点が示されて議論が行われ、その場で結果が公表されます。
 もんじゅに対する財務省の論点は「14年間運転停止しており何ら研究成果が上がっていないにも関わらず、毎年莫大な経費を要している。来年3月に運転再開を目指しているが、今後とも莫大な経費を投入すべきか否か、必要性を検証する必要があるのではないか。あわせて、もんじゅの運転に要する人件費、物件費について、毎年の実績を反映しつつ、経費削減を徹底的に行うべきではないか」というものでした。

「もんじゅ」のあいまいな仕分け結果

 仕分け作業はインターネットで中継もされたので、両事業の11月17日分を見守りました。蓮舫議員は参議院文教委員会の審議と重なったため残念ながら欠席で、仕分け作業全体の責任者である枝野幸男議員を中心にもんじゅの議論が行われました。

「なぜ動かさなくても年間200億円もかかるのか」「合意形成が十分ではない」「そもそも運転再開を急ぐ必要があるのか」「費用と便益を考えて、本当にもんじゅがベストなのか」といった趣旨の質問が民間の仕分け人から飛び、「エネルギー基本計画に位置づけられている」「インドに開発で追い越される」などとの答弁が文部科学省から行われました。

「インドに追い越される」との点に関しては、小林圭二さんが「インドの高速増殖炉は2006年の米印原子力協力合意でIAEAの査察を受ける民間利用施設から除外され、軍事用であることが明らかになっている。」といつも指摘しています。比較することがそもそも不適当です。

 最初に「政治的な課題である」と釘を刺していた枝野議員は「どうしても続けていくかどうかに議論がなる。エネルギー基本計画で決めた話を、実施部局に聞いてもかみ合わない。いっそ原子力機構を資源エネ庁に渡せばどうか」と述べていました。

 仕分け人の評価結果は、予算要求見送りが2名、予算縮減が7名。7名はいずれも「もんじゅ本体の再開はやむなし」でした。
 しかし、同時に、エネルギー政策全体との中で整理が必要という意見が4名から出されたことを受けて、枝野議員が「議論が十分深まってなかった。結論としては、原子力政策全体の見直しの中でということにさせていただく。私の責任で若干あいまいにさせていただく。」と、とりまとめてしまいました。
 公式な評価結果は「事業の見直し」とされています。詳しくはこちら

 続いて行われる予定であった高レベル廃棄物処分研究についても、責任者である枝野議員が「原子力発電で必ず廃棄物が出て、地中深く埋めなきゃならん。それを全体のコストとしてどう考えるのか。文科省ではなくて資源エネルギー庁が、基本的な所管をしている範囲内。ただ、事業仕分けの性格上、予算要求をしてない役所に来てもらってというのもどうなのか。議論のあり方について国会議員チームの方で整理をさせて頂きたい。」として、17日に議論は行われませんでした。

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11月25日追記

高レベル処分研究の仕分け結果は「予算要求見送り」

 文部科学省の事業仕分け対象事業に、もんじゅとともにあげられていた、同じ原子力研究開発機構が手がける高レベル廃棄物処分技術開発(概算要求額83億円)については、結局、核融合研究とともに11月25日に仕分け議論が行われました。

 財務省の論点は「最終処分地の選定は大幅に遅れていることから、本研究についてもそれに合わせて後ろ倒しを行うべきではないか。当初計画に比べ計画が進まず、目標達成の見通しが不透明。その間、所要経費もかさみ、現在、当初計画を半分程度進める経費だけで当初計画達成のための経費(540億円)を大幅に超過する見込み。今のまま計画を進めればますます経費が膨らみ、莫大な税金投入を要すること、また、そもそも最終処分地選定が遅れていることと考えあわせれば、来年度予算計上を見送り、計画を練り直すべきではないか。幌延には本研究の理解増進のための施設(ゆめ地創館)があり、運営費に約5千万円を要しているが、経費節減の取組みはなされているか。」でした。

 「地層処分そのものの是非は議論しない」と確認したものの、議論は「ガラス固化が難航しているが、技術成立のめどは得たのか」との質問から始まりました。「原子力機構が開発した技術を六ヶ所で事業に供したが、ガラスが詰まった。解決のめどはついている。」との回答に、さらに突っ込んでほしいところですが、仕分け人に望むのは無理でしょうか。
 
 「ガラス固化体はどれくらいのものか」「処分地からの漏れや安全性が一番気になる。そのための研究だが、誰も知らん世界…」との仕分け人の発言に対し、「処分地選定スケジュールの遅れに対して、研究スケジュールの是非が論点」と2度の注意も飛びました。
 
 仕分け人の判定結果は、事業廃止2名、予算要求見送り5名、予算縮減1名(半減)、要求どおり2名、判定不能2名。「もともと地層処分は無理。研究もやめるべき」というコメントを付した仕分け人もいました。詳しくはこちら

 枝野議員は「見送りも半分に達していない状況で判断に迷いますが、経済産業省の全体計画をしっかりと見直した上で可能であるならば見送りの方向で、しっかりと経済産業省と文部科学省、財務省の間で協議していただくしかないという結論。来年度の予算計上の見送りも視野に経済産業省の全体計画を含めて検討していく。」と取りまとめました。

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12月30日追記

文部科学省予算案はどうなったか

 12月25日に2010年度予算案がまとまり、公表されました。その後、文部科学省は仕分け結果に対する意見募集の結果も公表しました。もんじゅと高レベル地層処分研究の部分は、次のとおりです。

2010年度予算案

 矛盾だらけの原子力政策大綱等を省庁間で再確認したら、事業仕分けで指摘された事業の見直しや検討を行ったことになるのでしょうか。特に高レベル研究では、仕分け結果に反する予算案と断ぜざるを得ません。

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