有り余る食品、栄養の過剰摂取、運動不足、睡眠不足、強いストレス、健康食品の氾濫など、
現代の強い健康志向とは反対に健康を蝕む身体的、社会的要因が増加しており、
改めて自らの健康を考える必要に迫られています。
同時に、ヒトゲノムの解読は遺伝子情報を利用した新しい創薬の幕開けであり、
病気の診断・予防に新しい時代が始まると言われるほど生命科学は驚くような進歩を遂げています。
これらの科学的知識を基礎にして、私たち一人一人はどのような日常生活を過ごせば自己の健康を維持し増進させることができるのでしょうか。
また、高齢化が進むなかでどのような事柄に注意すれば生活習慣による生活習慣病の発症を防ぎ、痴呆・寝たきりにならずに加齢による老化現象に対処して、
体力・気力を維持し健康な生涯を送ることができるのでしょうか。
これらの個々の問題に対応した専門的教科書は多数ありますが、これら生命科学・栄養化学・健康論・病気の予防と治療などの問題を総括的に、また系統的にわかり易く記述した教科書がありませんでしたので、著者らが本書を作成しました。
本書は以下の4章からなっています。
1章 「人間の体」
ヒトの体の構成と各種器官系の機能に始まり、いのちの設計図としての遺伝子、遺伝子の構造と働き、
さらにゲノム情報が解読された後の健康に関する新しい時代について解説しています。
2章 「健康と食生活」
食品や栄養についてヒトの健康との関わりに重点を置いて解説しています。肥満や生活習慣病と食生活、
さらに活性酸素と健康的な長寿や老化現象との関係に触れています。
3章 「病気を知ろう」
食生活、飲酒、喫煙、運動、睡眠、ストレスなどの生活習慣が健康にとって最も重要な要因であることを強調しています。
生活習慣病としての動脈硬化と心臓病・脳血管障害、高血圧症、糖尿病、高脂血症、
肥満及び悪性腫瘍(がん)について、医師の立場からその予防・治療法について解説しています。
4章 「健康と環境」
健康における微生物の役割、環境に存在する発がん要因、環境ホルモン、ストレスと環境との関係について最新の情報に基づいて解説しています。
以上のように、本書はヒトの生命を中心にした生物学、食品と栄養を学ぶ食品・栄養学、
生活習慣病の予防と治療を中心とした環境科学について、最新の情報が系統的にわかり易くまとめられています。
したがって学生の教科書としてだけではなく、一般の方々にも手頃な本といえます。