ビル・フリゼール(Bill Frisell)リーダー・アルバム

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ジャズCDの個人ページ」by K. Kudo

 

自己のアルバムだけでなく、ポール・モチアン・バンドやジョン・ゾーンとの活動など、八面六臂の活動を続けていたビル・フリゼールなのですが、その独自の音色とフレーズ、どんな音楽でも適応してしまう柔軟性に注目して、興味を持って追いかけてみました。この音楽がジャズかジャズでないかという議論もあろうかと思いますが、それはこちらにおいといて。(なお、クレジットには、ビル・フリッセルと書いてあるときもあります。)

最終更新日: 2008/07/17

ビル・フリゼール Bill Frisell共演・参加作

リーダーアルバム

In Line/Bill Frisell(G)(ECM) - Recorded August 1982. Arild Andersen(B) - 1. Start 2. Throughout 3. Two Arms 4. Shorts 5. Smile On you 6. The Beach 7. In Line 8. Three 9. Godson Song

全曲ビル・フリゼールの作曲。アリルド・アンデルセンは1、4、6、8−9曲目に参加。音色、フレーズ、独特の揺らぎなど、今まで全くいなかったタイプのギタリストだったので、ショックを受け ました。聴いていてなごむような感じ 。多重録音なども使って、おおらかな、ある時は映画のバックを流れるようなサウンド。牧歌的で明るく包み込むようなデュオの1曲目、アコースティックとエレキでゆっくりと進んでいく2曲目、クラシックのような薄暮を流れていくメロディが静かな3曲目、寄り添うように語り合うデュオの4曲目、しっとりとスペイシーな5曲目、まるで風の音のような6曲目、マイルドなエスニックの上を時々斬り込んでくるギターのタイトル曲の7曲目、不安な心を覗き込むような8曲目、メロディアスで牧歌的なサウンドの9曲目。

Rambler/Bill Frisell(G)(ECM) - Recorded August 1984. Kenny Wheeker(Tp, Flh), Bob Stewart(Tuba), Jerome Harris(B), Paul Motian(Ds) - 1. Tone 2. Music I Heard 3. Rambler 4. When We Go 5. Resistor 6. Strange Meeting 7. Wizard Of Odds

全曲ビル・フリゼールの作曲。かなり変則バンドの編成。チューバも参加する必然性も感じられて、それなりのごった煮的な面白さがあります。 けっこうアヴァンギャルドな鋭角的フリーではじまって、彼の意外な側面を見せてくれる1曲目、スペイシーな中にチューバ(けっこうバカテク)のサウンドが何となくマーチ風で印象的で、後半は超現代的ニューオリンズジャズ的音楽ただし浮遊しまくりの2曲目、ほのぼのとした温かいメロディが続く3曲目、次も明るくてメロディが柔らかく包み混むようなやはりニューオリンズ系のような4曲目、低音系2人が目立つ、ややハードな浮遊系ロックとも言える5曲目、ちょっとミステリアス系で個性的な哀愁サウンドの6曲目、内省的で冷たいサウンドが切れ込んでくるような、シリアスな7曲目。

Lookout For Hope/The Bill Frisell Band(G)(ECM) - Recorded March 1987. Hank Roberts(Cello), Kermit Driscoll(B), Joey Baron(Ds) - 1. Lookout For Hope 2. Little Brother Bobby 3. Hangdog 4. Remedios The Beauty 5. Lonesome 6. Melody For Jack 7. Hackensack 8. Little Bigger 9. The Animal Race 10. Alien Prints

個性的なメンバーが集まり、バンドのサウンド もまとまっています。エレキギターの新しい音とフォークギター、バンジョーやチェロ等が混ざり合って、多様性があります。セロニアス・モンクの曲が1曲 (7曲目)ありますが、負けず劣らず個性的なサウンド。暗めで哀愁と妖しさの同居する、ギターもちょっと激しくて印象深いタイトル曲の1曲目、ほのぼのとした、時に表情を変えるサーカス・ミュージックのような2曲目、エキゾチックなバンジョーとチェロの小品の3曲目、スローテンポのファンクでギターが幻想的に飛び回る4曲目、フォークギターでアメリカンな5曲目、浮遊感の高いフレーズの6曲目、チェロのソロからだんだん盛り上がっていく8曲目、アヴァンギャルドでフリーな小品の9曲目、ゆったりとしつつ自由に飛翔している10曲目。

Before We Were Born/Bill Frisell(G)(Elektra/Musician) - Recorded August 1988. Arto Rindsay(G), Hank Roberts(Cello), Kermit Driscoll(B), Peter Scherer(Key), Joey Baron(Ds) - 1. Before We Were Born, Some Song And Dance 2. Freddy's Step 3. Love Motel 4. Pip, Squeak 5. Goodbye 6. Hard Plains Drifter 7. The Lone Ranger 8. Steady, Girl

レーベルを移籍して、ちょっと音的にハードになった部分はあるんじゃないかなという気がしますが、多分マイペースなのでしょう。6曲目はジョン・ゾーンのプロデュースで、ネイキッド・シティ的凝縮アプローチが面白いです。

Is That You?/Bill Frisell(G)(Elektra/Musician) - Recorded August 1989. Wayne Horvitz(Key), Joey Baron(Ds), Dave Hofstra(Tuba, B) - 1. No Man's Land 2. Someone In My Backyard 3. Rag 4. Is That You? 5. The Way Home 6. Twenty Years 7. Chain Of Fools 8. Hello Nellie 9. The Days Of Wine And Roses 10. Yuba City 11. Half A Million 12. Hope Andfear

プロデューサーがウエイン・ホービッツというので、サウンドはそれほど急進的なものではないにしても、やはりネイキッド・シティに近いものがあります。ハードなギターの音が出てくるかと思えば、アコースティックで、心の琴線に触れるメロディもあったりします。

Where In The World?/Bill Frisell(G)(Elektra Nonesuch) - Recorded October 1990. Hank Roberts(Cello), Kermit Driscoll(B), Joey Baron(Ds) - 1. Unsung Heroes 2. Rob Roy 3. Spell 4. Child At Heart 5. Beautiful E. 6. Again 7. Smillin' Jones 8. Where In The World? 9. Worry Doll 10. Let Me In

個性的ではあるものの、そのバンドのサウンドにおいて独特の間(ま)が、またいいと思います(でも数量的には売れないだろうなと思いつつ)。特にセッション・アルバムでは、ほぼエレキギターだけになるので、やはりアコースティックのギターやその他弦楽器は自身のアルバムです。

Live/Bill Frisell(G)/Kermit Driscoll(B)/Joey Baron(Ds)(Gramavision) - Recorded October 27, 1991. - 1. Throughout 2. Rag 3. Crumb/No Moe 4. Have A Little Faith In Me 5. Pip, Squeak/Goodbye 6. Hello Nellie 7. Strange Meeting 8. Hangdog 9. Child At Heart 10. Again 11. When We Go

自己名義初の、スペインでのライヴ・アルバム。大部分の曲が、以前録音した自己のCDの曲の再演奏なので、聞き比べてみるのも面白いかも。全体的に、演奏にのって熱くなるタイプのライブではないですが、ライヴならではのスリリングで面白いところも多いです。

Have A Little Face Faith/Bill Frisell(G)(Elektra Nonesuch) - Recorded March 1992. Don Byron(Cl, Bcl), Guy Klucevsek(Accordion), Kermit Driscoll(B), Joey Baron(Ds) - Billy The Kid(1 to 7) 1. The Open Prairie 2. Street Scene In A Frontier Town 3. Mexican Dance And Finale 4. Prairie Night(Card Game At Night), Gun Battle 5. Celebration After Billy's Capture 6. Billy In Prison 7. The Open Prairie Again 8. The "Saint-Gaudens" In Bostom Common "Col. Shaw And His Colored Regiment"(Except 1) From Three Places In New England 9. Just Like A Woman 10. I Can't Be Satisfied 11. Live To Tell 12. The "Saint-Gaudens" In Boston Common(Except 2) 13. Noe Moe 14. Washington Post March 15. When I Fall In Love 16. Little Jenny Dow 17. Have A Little Faith In Me 18. Billy Boy

アメリカン・ミュージックに取り組んだアルバム。なるほど、トラディショナルやカバー曲その他いろいろな曲が入っています。例えば9曲目がボブ・ディラン、13曲目がソニー・ロリンズ、14曲目が「ワシントン・ポスト・マーチ」、18曲目がアメリカ民謡。全てビル・フリゼール流に料理されています。意外にギターがハードな部分も。編成もクラリネットやアコーディオンを加えたクァルテットということで、かなり風変わり。まるである種の映画音楽を聴いている雰囲気になります。と思ったら、1−7曲目は「ビリー・ザ・キッド」というバレエ組曲とのこと。ただ、4曲目のようにフリーなアプローチも入っています。8、12曲目も組曲らしいです。曲によってサウンドカラーがいろいろ変わります。11曲目のマドンナの曲も自由度が高し。

This Land/Bill Frisell(G)(Elektra Nonesuch) - Recorded October 1992. Don Byron(Cl. Bcl), Billy Drewes(As), Curtis Fowlkes(Tb), Kermit Driscoll(B), Joey Baron(Ds) - 1. Is It Sweet? 2. Strange Meeting 3. Jimmy Carter(Part 1) 4. Jimmy Carter(Part 2) 5. This Land 6. Dog Eat Dog 7. Amarillo Barnados 8. Monica Jane 9. Resistor 10. Julius Hemphill 11. Unscientific Americans 12. Cartoon 13. Rag 14. Tag

こちらは前作と違って、ほぼすべてビル・フリゼールのオリジナルですが、アルバムから受ける印象はだいたい似たような感じです。カントリーだけでなく、アメリカの昔の音楽を一まとめにして、自分のフィルターを通して再構築してみました的サウンド。長調の曲も短調の曲も味があります。ほのぼのとしたカントリー・ミュージック的な雰囲気の曲もある反面、ギターはロックギターのようなけっこう目立つトンガッたフレーズや、揺らぎのあるエフェクター・サウンドで自己主張をしている場面もあって、うまくバランスをとっています。そんな中で変わった編成のホーンの絡み方が印象的。ゆったりした曲に混じって、ユーモラスなサウンドの曲や、9、11曲目のようなスリルあるリズムの、スピーディーな曲もあったりして飽きさせません。

Music For The Films Of Buster Keaton, Go West/Bill Frisell(G)(Elektra Nonesuch) - Kermit Driscoll(B), Joey Baron(Ds) - 1. Down On Luck 2. Box Car 3. Busy Street Scene 4. Go West 5. Train 6. Brown Eyes 7. Saddle Up! 8. First Aid 9. Bullfight 10. Wolves 11. New Day 12. Branded 13. Eats 14. Splinter Scene 15. Cattle Drive 16. Card Game 17. Ambush 18. Passing Through Pasadena 19. To The Streets 20. Tap Dancer And Confusion 21. Devil Suit 22. Cops And Firemen 23. That A Boy! 24. I Want Her

バスター・キートンのサイレント映画に音楽を付けてしまう2枚の企画の1枚目。映画と音がシンクロしているそうで、できれば映画を見ながら音楽を聴いてみたいものだと思いました。もちろん映画抜きでも、音楽として(ビル・フリゼールが好きならば)楽しめます。

Music For The Films Of Buster Keaton, The High Sign/One Week/Bille Frisell(G)(Elektra Nonesuch) - Kermit Driscoll(B), Joey Baron(Ds) - 1. Introduction 2. The High Sign Theme - Help Wanted 3. Target Practice 4. The Blinking Buzzards 5. Good Shot - Swearing In - Shooting Gallery 6. Chase - Cop 7. The High Sign Theme - At The Home Of August Nickelnurser 8. Chase - Caught 9. The High Sign Theme 10. One Week Theme - The Wedding 11. Reckless Driving 12. Construction 13. Oh, Well - The Piano 14. Fight 15. Oh, Well - Bath Scene 16. Housewarming Party And Storm 17. One Week Theme - Aftermath 18. Here Comes The Train 19. Oh, Well

バスター・キートン集の2枚目。曲だけ聞いていると、70年以上昔の映画用とは思えないほど音が新しいです。いつものビル・フリゼール・サウンドと言われれば、そうなんですが。ただし、上記2枚のCDはよく国内盤として(CD生産はドイツ)発売されたと思います。

Quartet/Bill Frisell(G)(Noneshch) - Ron Miles(Tp), Eyvind Kang(Vln, Tuba), Curtis Fowkes(Tb) - 1. Tales From The Far Side 2. Twenty Years 3. Stand Up, Sit Down 4. Convict 13 5. In Deep 6. Egg Radio 7. The Bacon Bunch 8. Prelide 9. Bob's Monster's 10. The Gallows 11. What? 12. Dead Ranch 13. Coffaro's Theme

CDの曲の大部分は、すでにTVアニメや映画等のBGMや挿入歌として発表されたものらしいのですが、ドラムとベースが今回はメンバーにいないのも特色です。このような曲が使われているTVアニメというのも見てみたいものです。

Nashville/Bill Frisell(G)(Nonesuch) - Recorded September 1995 and October - November 1996. Viktor Krauss(B), Jerry Douglas(Dobro), Ron Block(Banjo), Adam Steffey(Mandolin), Robin Holcomb(Vo), Pat Bergeson(Hermonica) - 1. Gimme A Holler 2. Go Jake 3. One Of These Days 4. Mr. Memory 5. Brother 6. Will Jesus Wash The Bloodstains From Your hands 7. Keep Your Eyes Open 8. Pipe Down 9. Family 10. We're Not From Around Here 11. Dogwood Acres 12. Shucks 13. The End Of The World 14. Gone

これはもう、完全にカントリー・ミュージックを演奏していますね。カントリーのミュージシャンを起用したりしています。それでもここに載せます。ただし、ギターを聴けば、ビル・フリゼールと、すぐわかります。

Gone, Just Like A Train/Bill Frisell(G)(Nonesuch) - Released 1988. Viktor Krauss(B), Jim Keltner(Ds, Per) - 1. Blues For Los Angeles 2. Verona 3. Godson Song 4. Girl Asks Boy (Part 1) 5. Pleased To Meet You 6. Lookout For Hope 7. Nature's Symphony 8. Egg Radio 9. Ballroom 10. Girl Asks Boy(Part 2) 11. Sherlock Jr. 12. Gone, Just Like A Train 13. The Wife And Kid 14. Raccoon Cat 15. Lonesome

ベースは実はカントリー系、ドラムはロックの超有名セッションミュージシャンという面白い取り合わせ。このようなトリオでの演奏にもかかわらず、からっとした曲や重厚な曲や、様々な独自の世界を展開しています。ECMであった「ルックアウト・フォー・ホープ」の再演が印象的。

Good Dog, Happy Man/Bill Frisell(G)(Nonesuch) - Released 1999. Greg Leisz(Steel G, Mandolin), Wayne Horvitz(Org, P), Viktor Krauss(B), Jim Keltner(Ds, Per), Ry Cooder(G) - 1. Rain, Rain 2. Roscoe 3. Big Shoe 4. My Buffalo Girl 5. Shenandoah (For Jonny Smith) 6. Cadillac 7. The Pioneers 8. Cold, Cold Ground 9. That Was Then 10. Monroe 11. Good Dog, Happy Man 12. Poem For Eva

いわゆるジャズ色はありません。むしろロック(ウエスト・コースト寄り)とカントリーの中間を行くようなゆったりしたアコースティック(エレクトリックも入っていますが)中心の曲が多く続きます。あえて言うならば、ジャズファンはがっかりしてビル・フリゼールのファンは狂喜するアルバム。ウェイン・ホーヴィッツはアヴァンギャルドなアルバムでも共演していた仲ですが、ビルの嗜好に合わせてか、ここではサウンド自体がアメリカの乾いた青い空を予想させるような、明るいゆったりとした、ある意味でジーンズが似合うようなサウンドに包み込まれています。私はけっこうハマりました。ライ・クーダーの参加した曲も他の曲と同じように流れていくので、特に彼の参加ということにはこだわらなくてもいいかと思います。(99年6月23日発売)

Ghost Town/Bill Frisell(G, Banjo, B, etc)(Nonesuch) - Released 2000. - 1. Tell Your Ma, Tell Your Pa 2. Ghost Town/Poem For Eva 3. Wildwood Flower 4. Creep 5. Variation On A Theme 6. Follow Your Heart 7. I'm So Lonesome I Could Cry 8. What A World 9. My Man's Gone Now 10. Outlaw 11. When I Fall In Love 12. Big Bob 13. Winter Always Turns To Spring 14. Justice And Honor 15. Fingers Snappin' And Toes Tappin'

ビル・フリゼールによる多重録音のギター・ソロ・アルバム。曲によってバンジョーの音色もあるのが彼らしいところ。カヴァー曲もありますが、オリジナルの方が多い構成です。彼特有のアメリカの田舎を感じさせる牧歌的(フォーク的)、あるいは不思議な浮遊感のある雰囲気が目の前に広がっていきますが、何と言えば良いのだろうか、インプロヴィゼーションはあってもいわゆるジャズ的なアプローチではありません。そして派手な演奏でもありません。優しく語りかけてくるような感じ。この空気感もいい。 こういうホンワカしているサウンドも、確かに彼の世界には違いないと思います。ギター・ミュージック。ジャズというよりも、彼の演奏自体が好きかどうかがこのアルバムに対する判断の分かれ目になってくるのでは。(00年5月24日発売)

Blues Dream/Bill Frisell(G)(Nonesuch) - Released 2001. Greg Leisz(Steel G), Ron Miles(Tp), Billy Drewes(As), David Piltch(B), Kenny Wollesen(Ds, Per), Curtis Fowlkes(Tb) - 1. Blues Dreams 2. Ron Carter 3. Pretty Flowers Were Made For Blooming 4. Pretty Stars Were Made To Shine 5. Where Do We Go? 6. Like Dreamers Do (Part One) 7. Like Dreamers Do (Part Two) 8. Outlaws 9. What We Do? 10. Episode 11. Soul Merchant 12. Greg Leitz 13. The Tractor 14. Fifty years 15. Slow Dance 16. Things Will Never Be The Same 17. Dream On 18. Blues Dream (Reprise)

ブルースの曲が多いアルバム。とは言うもののフツーのブルース(聴いた事はありませんが)ではない感じ。何たって全曲オリジナル。曲によりホーンセクションがいい味を出していて、やっぱり彼独自のダークな、あるいは 時によって明るい世界を表しているようなサウンド。メンバーといい、サウンドといい、やっぱり彼の曲とギターを聴くためのアルバムかな、と思います。ブルースばかりではなくて明るいカントリーの世界が表出している曲も何曲もあります。全部で18曲あり、カラフルな世界を堪能。ジャズ度はほとんどなしですけれど、なぜかジャズやブルースを感じる部分があるのは、やっぱり彼のキャラクターによるものかも しれません。ただ、少々聴く人を選ぶので、やっぱり彼のファン向けか、と思います。(01年3月23日発売)

Bill Frisell(G) With Dave Holland(B) And Elvin Jones(Ds)(Nonesuch) - Released 2001. - 1. Outlaws 2. Twenty Years 3. Coffaro's Theme 4. Blues Dream 5. Moon River 6. Tell Your Ma, Tell Your Pa 7. Strange Meeting 8. Convict 13  9. Again 10. Hard Times 11. Justice And Honor 12. Smilin' Jones

異色のトリオの組み合わせによるアルバム。全12曲中10曲がオリジナル。どこか聴いたことがある曲が多いと思ったら、このアルバムのオリジナル曲はすべて再演曲とのこと。彼の前のアルバムの同じ曲と聴き比べてみるといいかも。このような強力なベースとドラムスとの組み合わせでも、結局はビル・フリゼール流の牧歌的だったり哀愁が漂ったり、カントリー調だったり、時々盛り上がったりする世界になってしまっているのが面白い。デイヴ・ホランドは誰とでも合わせられるのですが、エルヴィン・ジョーンズは抑え気味の演奏が多く、ややミス・マッチ的な楽しさがあります。そんな中でも6、8曲目あたりは本領発揮。5曲目の「ムーン・リバー」はホンワカと聴かせます。 なかなか興味深い取り合わせのサウンド。(01年11月21日発売)

The Willies/Bill Frisell(G)(Nonesuch) - Released 2002. Danny Barnes(Banjo, G, Harmonica, Pump Organ), Keith Lowe(B) - 1. Sittin' On Top Of The World 2. Cluck Old Hen 3. Everybody Loves Everybody 4. I Want To Go Home 5. Single Girl, Married Girl 6. Get Along 7. John Hardy Was A Desperate Little Man 8. Sugar Baby 9. Blackberry Blossom 10. If I Could I Surely Would 11. Cluck Old Hen(Reprise) 12. Cold, Cold Heart 13. I Know You Care 14. Goodnight Irene 15. Big Shoe 16. The Willies

トリオといってもジャズ・ミュージシャンではなく、フォークやカントリー系のミュージシャンとの共演です。自作の曲が半分ぐらい(3−4、6、10、12−13、15−16曲目)で、フォークやブルーグラス系の曲がやはり半分ぐらい。当然のことながらジャズ色はないのですが、ミディアムからスローなテンポの曲が多く、ほのぼのとした牧歌的なサウンド。短調の曲でも、時々感じるエキゾチックさはややあるものの、ごく自然な展開です。ナチュラルに流れていくギターのフレーズや音色などは、まさに近年のビル・フリゼール的な世界。ジャズではなくても何をやってもワン・アンド・オンリー。 ただ、これこそ本当に彼に心酔した人が聴くべき音楽です。こういうカントリー的な香りのあるところに足を踏み入れるのもいいかも。(02年6月26日発売)

Richter 858/Bill Frisell(G, Electronics)(Songlines)(輸入盤)- Recorded July 20, 2002. Hank Roberts(Cello), Jenny Scheinman(Vln), Eyvind Kang(Viola) - 1. 858-1   2. 858-2   3. 858-3   4. 858-4   5. 858-5   6. 858-6   7. 858-7   8. 858-8

(05/05/14)全曲ビル・フリゼールの作曲。編成も面白い。抽象的な8枚の絵画を元に音楽を作り出す作業でしょうか。1曲目でいきなり楽器の騒音が聞こえてきて徐々に落ち着いたメロディが鳴り出していく、という手法が使われてます。まさに抽象絵画の音。各パートの旋律が交錯していき、現代音楽のような複雑な響きでせまる2曲目、クラシックのようなはっきりしたメロディでたゆたうように流れていく3曲目、チェロの憂いを帯びたラインを中心に盛り上がっていく4曲目、弦楽器のピチカートから、綾織り的にアンサンブルが発生する5曲目、小刻みな弦の震えで不安感をあらわすような6曲目、日曜の静かな朝の雰囲気からエキゾチックな民俗音楽的に変身する7曲目、落ち着いた絵柄を表現するような色彩のサウンドの8曲目。

The Intercontinentals/Bill Frisell(G, Loops, B)(Nonesuch) - Peleased 2003. Sidiki Camara(Calabash, Djembe, Conga, per, Vo), Vinicius Cantuaria(G, Vo, Ds, Per), Christos Govetas(Oud, Vo, Bouzouki), Greg Leisz(Slide G, Pedal Steel G), Jenny Scheinman(Vln) - 1. Boubacar 2. Good Old People 3. For Christos 4. Baba Dream 5. Listen 6. Anywhere Road 7. Procissao 8. The young Monk 9. We Are Everywhere 10. Yala 11. Perritos 12. Magic 13. Eli 14. Remember

5曲を除いてビル・フリゼールのオリジナル。タイトル通り、ブラジル、マリ、ギリシャ出身のミュージシャンなども参加しながら、アメリカ大陸をこえたワールドなサウンドでせまってくる曲が多いです。もちろん、アメリカ風なサウンドも。曲によって、アフリカの明るいリズムが見えてきたり、中近東風のサウンドが漂ってきたり、ということはありますが、基本的なメロディラインは淡々としたビル・フリゼールそのものが自然に出てくる感じの曲。また、個々のインプロヴィゼーションで表現しているというよりは、メンバー全員のフレーズの集まりで、ゆったりと時間の流れとともに聴かせてくれるような雰囲気。さらにジャズとは遠ざかって、どこの地平に行こうとしているのでしょうか。でも、これもジャズかも 、と心の隅で思います。(03年4月9日発売)

Unspeakable/Bill Frisell(G)(Nonesuch)(輸入盤) - Released 2004. Hal Willner(Turntables, Samples), Tony Scherr(B), Kenny Wollesen(Ds), Don Alias(Per), The 858 Strings: Jenny Scheinman(Vln), Eyvund Kang(Viola), Hank Roberts(Cello),   Steven Bernstein(Tp), Briggen Krauss(Bs), Curtis Fowlkes(Tb), Adam Dorn(Synth, Additional Editing) - 1. 1968   2. White Fang 3. Sundust 4. Del Close 5. Gregory C. 6. Stringbean 7. Hymn For Ginsberg 8. Alias 9. Who Was That Girl? 10. D. Sharpe 11. Fields Of Alfalfa 12. Tony 13. Old Sugar Bear 14. Goodbye Goodbye Goodbye

(04/10/12)今までと趣向を変えて、Hal Willnerのキャラクターが前面に出てきたサウンドだと思います。Hal Willnerの曲や彼との共作も多く、曲によってはストリングス(ビル・フリゼールのアレンジ、なかなか面白い)やブラスが加わります。のどかな感じは奥へ引っ込み、リズムのはっきりしたサウンドで、ちょっととらえどころのないエキゾチックさの曲も。1、4、8曲目のリズムやサウンドは何となく懐かしい。ただ、ギターもロックのギターのような弾き方が目立つので、基調はロックの方に求めた方がいいのかも。そのギターは2、6、9、12曲目などに顕著。5曲目はHal Willnerとのデュオ、10曲目はプラス・ストリングス。13曲目は前半はフリーに近いアヴァンギャルドで、後半はロックビート。14曲目はのどかさと浮遊感が同居。(05年5月25日発売)

East/West/Bill Frisell(G, Loop)(Nonesuch)(輸入盤) - Recorded December 9-12, 2003 and May 8-11, 2004. Viktor Krauss(B), Tony Scherr(B, G), Kenny Wollesen(Ds) - (West) 1. I Heard It Through The Grapevine 2. Blues For Los Angeles 3. Shenandoah 4. Boubacar 5. Pipe Down 6. A Hard Rain's A-Gonna Fall   (East) 1. My Man's Gone Now 2. The Days Of Wine And Roses 3. You Can Run 4. Ron Carter 5. Interlude 6. Goodnight Irene 7. The Vanguard 8. Prople 9. Crazy 10. Tennessee Flat Top Box

(05/09/06)CD2枚組で、それぞれカリフォルニアとニューヨークでのライヴの録音。Bill Frisellの作曲は1枚目で3曲、2枚目は1曲と3人のフリー・インプロヴィゼーションが3曲。ベーシストのみメンバーが違いWestではエレクトリック・ベース、Eastではアコースティック・ベース(ややジャズ寄り)。両者のサウンドの違いはあるものの、まったりしていて時々そのまま、時にロック的に盛り上がるような、強烈な、のんびりした個性のビル・フリゼールのギターの印象が強いです。アメリカーナ路線とでも言うのでしょうか。ジャズの曲もあるにしても(East1、2曲目)、彼のまったり路線は崩れず、やっぱり4ビートでも強い個性。渋めの雰囲気の曲と、本当に牧歌的な明るめの曲と分かれます。West2曲目のブルースがけっこう個性的。 (06年4月26日発売)

History, Mistery/Bill Frisell(G, Loops)(Nonesuch)(輸入盤) - Released 2008. Ron Miles(Cor), Greg Tardy(Ts, Cl), Jenny Scheinman(Vln), Eyvind Kang(Viola), Hank Roberts(Cello), Tony Scherr(B), Kenny Wollesen(Ds) - 1. Imagination 2. Probability Cloud 3. Probability Cloud Part 2   4. Out Of Body 5. Struggle 6. A Momentary Suspision Of Doubt 7. Onward 8. Baba Drame 9. What We Need 10. A Change Is Gonna Come 11. Jackie-ing 12. Show Me 13. Boo And Scout 14. Struggle Part 2   15. Heal 16. Another Momentary Suspision Of Doubt 17. Probability Cloud (Reprise) 18. Monroe 19. Lazy Robinson 20. Question 21. Answer #1   22. Faces 23. Sub-Conscious Lee 24. Monroe Part 2   25. Question #2   26. Lazy Robinson Part 2   27. What We Need Part 2   28. Waltz For Baltimore 29. Answer #2   30. Monroe Part 3

(08/07/16)CD2枚組。8、10−11、23曲目以外はビル・フリゼールの作曲。曲数も多く、短めで、同じ曲の別テイクが多い。短調的というかミステリアスな浮遊感のある曲が割と多く、その中に明るい曲が何曲か。ある種アメリカのメランコリックな過去の情景を見ている雰囲気。ストリングス系の弦楽器が混ざっていたり、ドラムス、ベースは基本的にジャズ畑の人ではないので、ジャズと言うより、やはりビル・フリの世界が広がっていると言うしかない世界。淡々と進んでいって、それでなおかつ心の奥深くに入りこんでくるようなメロディやサウンドを持っています。カントリーとも言えず、やはり唯一無二のサウンドですね。他者の作曲のものは、ちょっとまわりの曲とはサウンドが違います。11、23曲目は案の定というか、4ビート。

 

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