2004年1月−4月の旧録・再発 |
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「ジャズCDの個人ページ」by K. Kudo
’81年録音。佐藤允彦(P)、高水健司(B)とのトリオ。スタンダードのバラードばかりで全編通している、富樫雅彦のリーダー作としては非常に珍しいアルバム。それでいて中身は甘くなく、一本張りつめたものがあるのはそのパーカッションのシリアスなサポートにあるのか、佐藤允彦のピアノのフレーズやハーモニーにあるのか。古い曲が多いそうですが、ピアノのリハーモナイズはけっこう新しい、それでいて自然な響きをもたらします。優しく奏でられているサウンドだし、温かみも感じられるけれども、リラックスしているようでいて、時に緊張感を伴うような演奏です。よく知っている曲もあれば、そうでない曲もありますが、慈しむように奏でられている感じがよく分かります。5曲目の「ネイチャー・ボーイ」のパーカッションがしっとりと心にしみます。高水健司のアコベも珍しい。(4月21日発売)
’68年録音。ラリー・コリエル(G)、スティーヴ・スワロウ(B)、ボブ・モーゼス(Ds)とのクァルテット。ライヴ盤で、ゲイリー・バートンの曲ないしは合作は全8曲中4曲。ラリー・コリエルの曲もやや多め。曲によっては、当時としては新しいサウンドだったのでは。その中では意外にオーソドックスな4ビートのブルースで攻めているマイク・ギブス作の1曲目、バートンらしい少し冷めた温度感の静かなバラードの2曲目、ヴァイブラホンとギターとのデュオで、速めのパッセージも息の合っている3曲目、カントリー的だったりブルース(ロック)的だったりするギターがなかなか面白いノリの良い4曲目、これまたメロディアスでややテンポの速い5曲目、バートンのソロが静かに展開する6曲目、何とボブ・ディラン作の曲をベースでテーマを弾いています。8曲目は「ダスター」でも演奏された合作で、けっこう自由に爆発している10分台の曲。(3月24日発売)
カーラ・ブレイの’61−99年録音のベスト集。ただし、彼女のリーダー作は傍系レーベルのWATTから出ているので、ちょっとECMベストというのもニュアンスが違うかも。ただし、作曲者としてはECMのいくつものアルバムにクレジットされています。やはり多くのミュージシャンが取り上げるだけあって、魅力的な曲が多く、アレンジもデュオ、トリオなど小編成のものからビッグバンドの作品まで個性的。曲もユーモラスな面もあって、2、4曲目あたりは、軽快なミュージック。反面3曲目のようにストリングスを加えたしっとり方面の曲もあります。印象深いのは大編成の5−6、8−10曲目あたりか。唯一のチャーリ・ヘイデン作は「戦死者たちのバラッド」中の9曲目。ラスト11曲目の’61年の録音は、彼女は参加せず、作曲者としての曲。(3月24日発売)
ECMでは現在唯一の24-bitデジタル・リマスタリングのシリーズ。そしてジャケットデザインや配色もなかなかシャレているデジパック仕様。だんだんミュージシャンは ややマニアックな方向に走っていきます。ミュージシャン本人がECMのリーダー作、サイド参加作から自分のベストと思われる演奏をセレクトしたとのこと 。音は当然ながら良くなっていて、ECMをミュージシャン別に探求してみたい方、あるいは振り返ってみたい方は購入してみる価値はあると思います。この中で、ジョン・アバークロンビーの5曲目「ストレイ」(「Abercrombie Quartet」より)、ジョン・サーマンの2曲目「「ナンバー・シックス」(「Miloslav Vitous Group」より)がそれぞれ初CD化(廃盤からの曲)なのが貴重。ただ、ジャック・ディジョネットも廃盤が数枚ありますが、そこからの曲がないのが少々残念かも。(それぞれ3月24日発売)
’67年録音。ラリー・コリエル(G)、スティーヴ・スワロウ(B)、ロイ・ヘインズ(Ds)とのクァルテット。8曲中マイク・ギブス作が3曲、スティーヴ・スワロウ作が2曲、自作が2曲(うち1作は共作)などの構成。意外にジャズしています。ただ、ラリー・コリエルのギターはロックにも近いし、当時としてはけっこう新鮮なサウンドだったかも。この時のベースはアコースティック。1曲目はやや元気の良い3拍子の曲。その後のECM的な彼の世界を連想させる静かなバラードの2曲目、ジャズしているのにやはり個性的なサウンドの3曲目、8ビートでスマートなジャズロックの雰囲気を伝える4曲目、ギターが過激なフレーズでせまってくるフリージャズにも近いような5曲目、カーラ・ブレイ作のしっとりとしたサウンドのバラードの6曲目、これもジャズロックになるノリが良く流れていく7曲目、ちょっと浮遊感のある落ち着いたバラードの8曲目。(2月25日発売)
’76年録音。珍しくアルバムの中にソロ・ピアノの曲が1曲、ハーモニカ・ソロの曲が2曲収められていますが、いずれも独特なフリーです。1曲目のピアノは、しかし、強烈ではあるけれども、ピアニストとしての経験を積んでない人がメチャクチャに弾いているのと境界線はなく、それを強靭な精神力で持たせているような感じもします。2−3曲目のハーモニカは、あの単純な楽器でフリーをやるという挑戦。メロディこそ他の楽器に比べて分かりやすいのですが、これまた彼独自の世界を築き上げています。ただ、メインはやはり収録時間の大部分を占める4−6曲目のアルトサックスでの演奏。晩年の演奏(とは言うものの彼は29歳で没)なのですが、ハードさこそ薄れているものの、間を感じる研ぎ澄まされたソロの鋭さは相変わらずです。(2月18日発売)
’78年録音。ケント・カーター(B、Cello)、オリバー・ジョンソン(Ds)とのトリオ。2in1のCDで、それぞれライヴとダイレクト・カッティング(LP時代)のアルバム。録音日は2日しかずれておらず、各アルバム4曲ずつのうち、2曲(3曲目と5曲目、2曲目と6曲目)は同じ曲で、他に過去のアルバムの再演曲もあります。1曲目はスティーヴ・レイシーの曲で、このバンドにしては珍しくオーソドックスな4ビートの曲。2(6)曲目は無機的な途切れ途切れの音が次第に密度を増し、盛り上がってからまた静かになり、ドラマチックに展開します。ライヴの方は13分台。スタジオの方が静かか。3(5)曲目はやや静かで硬質なガラスのようなサウンド。現代音楽のような響きからカラフルに変わっていく13分台の4曲目、アップテンポのフリーで斬り込む7曲目、ヒヤリとする温度感だけれど緩急自在に展開する8曲目。(2月18日発売)
’76年録音。ケント・カーター(B、Cello)、オリバー・ジョンソン(Ds)、イレーヌ・アイビ(Vln、Voice)。6曲中4曲が加古隆のオリジナル。1曲目のフリーのテーマ、ドラム・ソロを経て三人で一体となり、自由な波の中をハイスピードで進んでいきます。2曲目「祈り」は、硬質なフレーズながらも3人が寄り添うようにサウンドを奏で、タイトル通り叙情的な風景が目の前に浮かび上がる感じ。ドラムスやパーカッションの音からはじまり、パーカッションの音がかなめになりつつ、怒涛のように盛り上がってはちょっと引くフリー全開の3曲目、ヴォイス(ヴォーカル)とヴァイオリンが加わりつつも、内容はこれまた硬派なフリーのままというタイトル曲の4曲目、ゆっくりとした重厚なテーマが印象的でやはりこのままフリーに突入していく情念的な5曲目、水滴がポタポタおちて壁に反響しまくるようなサウンドから自由に発展していく6曲目。(2月18日発売)
’76年録音。沖至(Tp、Flh、Bfl)、クロード・ベルナール(As)、ケント・カーター(B)、オリバー・ジョンソン(Per)。加古隆、ケント・カーター、沖至がそれぞれ2曲ずつ提供しています。1曲目は珍しく4ビートの曲ですが、他の楽器はけっこう自由に飛翔していて、新主流派をさらに自由にさせたような硬質なサウンド。印象に残ります。2曲目は、これぞ、というような本格的なフリーで、ドシャメシャなエネルギーが伝わってきますが温度感はあまり高くないかも。静かなサウンドの中で管楽器のメロディが他の楽器と自然に絡みながら、ゆっくりと流れていく3曲目、無機的で複雑なユニゾンのテーマを持ち、フリーが盛り上がって展開して、ラストもテーマに戻る4曲目、フリーとまではいかずにある程度統制の取れたアップテンポの曲で、けっこういわゆるジャズらしい5曲目、再びハードなゴリゴリのフリーの展開になっていく6曲目。(2月18日発売)
2in1のCD。「津波」は下記のように以前コメントを書いてますので「カフナ」についてこちらは書きます。’78年録音で、ダイレクト・カッティング(LP発売当時)の録音。やはりそれぞれ13分台、14分台の長めの曲になっています。1(3)曲目「カフナ」はソロ・ピアノの曲で哀愁も漂いつつ、メロディアスかつ温度感の低い出だしで、徐々に展開していく曲だけれども、他の曲で使われているモチーフが何回か顔を出していて、ちょっと興味深いです。やや抑制が効きつつも、自在にサウンドが物語性を帯びて変化して行き、それでもちゃんとまとまって着地しています。2(4)曲目は、富樫雅彦作曲の曲をデュオでの録音で、「津波」でも演奏されていた曲。こちらの方はスタジオ録音なので、収録時間もサウンドをまとめ上げて短くなっているような感じです。ヴァージョン違いを比べてみるのも面白いですが、聴く人にやや緊張感を強いる演奏。(2月18日発売)
’78年録音。邦題「津波」。東京でのデュオのライヴ。曲は2曲で、それぞれが31分、16分と長尺なフリー・インプロヴィゼーション(1曲目はクレジットでは富樫の作曲)。2人ともクールでシャープな印象があって、その瞬間瞬間で構築されていく世界は見事。1曲目は静かな場面からはじまって、冷めた雰囲気を基調に場面場面でふつふつと情熱が地の底から湧き上がってくるような真剣勝負のやりとりを聴くことができます。個々の掛け合いをどうこう言うよりは、潮が満ち引きしていくかのようなインプロヴィゼーション。2曲目のタイトル曲は激しさも持つインプロヴィゼーションですが、富樫のビートを基調にして、こちらも緩急自在な展開です。 こういうライヴのフリーで、2人の呼吸がピッタリと合っているところがスゴいかも。(01年10月24日発売のものを再掲載)
’51年録音。1−7曲目は、J.J.ジョンソン(Tb)、ソニー・ロリンズ(Ts)、ケニー・ドリュー(P)、トミー・ポッター(B)、アート・ブレイキー(Ds)とのセクステット。8−10曲目は、エディー・”ロックジョウ”・デイヴィス(Ts)、ビッグ・ニック・ニコラス(Ts)、ビリー・テイラー(P)、チャールズ・ミンガス(B)、アート・ブレイキー(Ds)とのセクステット。2月17日と6月2日、そして9月29日のライヴ録音。公式版では 今回はじめての登場らしいです。音質的には改善がはかられているとはいっても、今ひとつの感じがします。ビ・バップの時期の急速調な演奏をはじめとして、当時の雰囲気を残す演奏が繰り広げられていて、エネルギーが伝わってきます。特に1−7曲目は今考えるとスゴいメンバー。「ムーヴ」が3ヴァージョン(1、7−8曲目)、「ハーフ・ネルソン」が2ヴァージョン(2、5曲目)にありますが、アルバム中半分弱の曲はマイルス・デイヴィスのオリジナル。他のアルバムに入っている同じ曲と比べてみるの も面白いかも。8曲目以降はより自由な、というよりはジャム・セッション的な要素が強い感じがします。内容が内容なので、マイルスを追いかけている人向けか。(2月11日発売)
’97年録音。Jacques Bernard(B)、Jean-Sebastian Simonoviez(Ds)とのトリオ。彼女のオリジナルは11曲中7曲。欧州特有のセンチメンタリズムがあり、曲によっては淡く繊細なメロディを聴くことができます。1曲目は映画音楽のような切ないサウンドの展開。スタンダードをアップテンポのノリで爽やかな2曲目、しっとり感の高い哀愁系のささやきが聴こえるタイトル曲の3曲目、タイトルどおり幻影にとらわれるような4曲目、ワルツで明るくピアノが歌っている5曲目、「アローン・トゥゲザー」も彼女らしくちょっとひねった展開の6曲目、かわいらしく澄んだメロディでせまってくる7曲目、ビル・エヴァンス作の曲をけっこう辛口で料理しているような8曲目、ほんの少し硬質な、優しさをたたえたバラードの9曲目、女性らしい渋さのある10曲目、ソロで心象風景が綴られる11曲目。(1月21日発売)
’89年録音。アル・フォスター(Ds)とのトリオ。一連のチャーリー・ヘイデンのモントリオール・ライヴの初日にあたる作品。テナー・トリオでの全4曲を67分と、どれも長尺な演奏。もったりしたヘイデンのベースと、円熟味を増して時にメロディアス、時に饒舌なジョー・ヘンダーソンの味のあるサックスの対比が面白い。1曲目「ラウンド・ミッドナイト」はどことなく沈んだ、それでいて都会的な色合いの夜景をもたらしてくれます。2曲目「オール・ザ・シングス・ユー・アー」はサックスがメロディを唄いつつも、時おり アドリブの奥深いところへ彷徨っていき、ベース、そしてドラムスとソロで引き継いでいく19分台の曲。3曲目はヘイデン作のきわめて自由な広がりと展開を見せる彼らしい14分台の曲。4曲目は延々20分におよぶチャーリー・パーカー作のノリの良い曲。(1月21日発売)
’90年発売。アラン・ホールズワース(G)、フランク・ギャンバレ(G)、ジミー・アール(B)、フレディ・ラヴェル(Key)、スティーヴ・タヴァローニ(Sax、EWI)、トミー・ブレックライン(Ds)。フランク・ギャンバレがプロデュースとアレンジを担当し、アラン・ホールズワース以外のメンバーで録音してからアランが後からギターの音を重ね合わせて録音したとのこと。こういう録音でもスゴ腕の2人のギタリストがそれぞれの個性でバリバリとギター(場面によってアランはシンタックス)を弾きまくっているので、ハード・フュージョン・ファンにはたまらない内容。曲もオリジナルは少なく、ランディ・ブレッカー、マイケル・ブレッカー(というよりも3曲がブレッカー・ブラザースの作品)、チック・コリア、ウェイン・ショーター作と、けっこう楽しめて、うれしいラインナップ。2−3 、5曲目のように、ベースはエレクトリックながらビートは4ビートというものも。3曲目はアコースティック・ギターも出てきます。ラテンっぽい曲もあってカラフル。(1月21日発売)
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