オレンジ化粧水
★熱水抽出の一例として、手軽にできるミカンの皮の化粧水を紹介しましょう。
なお、この実験は「図解 身近なライフサイエンスの実験」西山隆造著、オーム社、1989年刊、を参考にしましたが、大幅に改変しました。
★下の処方は、都立明正高校で、「生活化学」(4単位)の講座を担当していたときの実験プリントをもとにして、家庭用にアレンジしたものです。
[ねらい]ヘチマ化粧水は古くから使われ有名な天然化粧水の一つであるが、原料のへちま水を入手するのは現在では必ずしも簡単ではない。そこで、いつでも手に入る身近な素材であるかんきつ類のナツミカンを使って化粧水を作る方法を紹介する。(ナツミカンと限定するものではない。内果皮の白い部分さえあればよい。)
[りくつ]かんきつ類の内果皮にはペクチンが多く含まれている。マーマレードやジャムの粘り気がペクチンである。食品としては砂糖を加えて煮詰め保存食品とするが、ここでは化粧水を作るのであるから、砂糖を加えないマーマレードのようなものである。ペクチンは酸性で抽出されやすいので、内果皮を酸性条件で煮てペクチンを熱水抽出した液に、エタノールやグリセリンを加えて化粧水とする。
[準備]ナツミカンの皮。ナイフ。まな板。鍋2つ(ホーロー引きの方が金属イオンの溶出がないのでよいがこだわることはない。アルミ鍋よりはステンレス鍋の方がよいかもしれない)。さらし布(ガーゼ2枚重ねくらいでもよい)。
エタノール(薬局で消毒用エタノールとして売っているものでよい)。グリセリン(薬局で手に入る。)
[方法]
@ナツミカン半個〜1個の皮をむき、果皮を細く切って、内果皮(内側の白い部分)をそぎ集める。
果肉の方の白い部分も集めるとよい。
予め準備できるときには、種を一晩小さな器で水につけておくと、ペクチンが出てきてゼリー状になるので、それも加えるとなおよいが、こだわることはない。
A上で集めた白い内果皮を細かく刻み、鍋に入れ、約100mlの水を加え、更に、ナツミカンの果汁を適宜加えて酸性にし(半個分くらい?あるいはナツミカンが酸っぱくなければレモン半個分位の絞り汁でもよい)、穏やかに煮沸する。(目安10分程度沸騰させる)。
B別の鍋に、さらし布(ガーゼ2枚重ね)をかぶせて、ろ過の用意をしておく。菜箸2本を渡して布をかけてもよいし、適当な大きさのザルに布を敷いてもよい。
ここへ、煮沸した内果皮液を注いで、ペクチン抽出液をろ過する。いったんろ過が終わったら、更に残渣の上から熱湯をかけて残ったペクチンを洗い落とし、先の液とあわせて、約200ml程度とする。
C放冷する。冷めたところへ、エタノールとグリセリンの等量混合物約40ml程度を加える。
D基本的には出来上がり。
●Bの段階で防腐剤としてホウ酸を5g程度加えてもよいが、なくてもかまわない(ないほうが気分がよい)。(加えるなら熱いうちの方がよい)。
●好みによっては、香水やオーデコロンなどをたらしてもよい。
●本体は冷蔵庫に保存し、使う分だけを小瓶に分けて使うとよい。
●手が乾燥してざらつく時に塗ると、しっとりして気持ちよい。
●手順に慣れたら、スケールを2倍程度に大きくしてもよいでしょう。
●ここで得られる化粧水は全く「無臭」です。もし、ミカンの香りがあったほうがよければ、少量の外皮を刻んで一緒に煮るか、後から、皮をつまんで皮の油を少し製品に滴下するか、してください。
●もし、ヘチマ水が手に入る場合は、下のようなレシピで「ヘチマ・コロン」を作ってください。
ヘチマ水100ml + (ホウ酸2g) + エタノール・グリセリン液
エタノール・グリセリン液は、エタノール10ml+グリセリン10ml を標準として、適宜1/2〜2倍程度の範囲で調節してください。
加える量が多いと、べたつき感(しっとり感)が強くなります。
余計なこと:
●「ヘチマコロン」という会社名、商品名があるようですが、別に意趣があるわけではありません、悪しからず。
●オー・デ・コロン【eau de Cologneフランス】(「ケルンの水」の意) 香料を加えたアルコール水溶液。もとドイツのケルン在住イタリア人の創製。さっぱりした芳香をもち、香水として明治開化期より流行。[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
●「オー」が「水」、「コロン」は地名です。英訳したら、「water of Cologne」か「Cologne water」でしょうか。
●「ヘチマ」の「水」ですから、本当は「オー・デ・ヘチマ」のほうがいいのでしょうにね。
●ケルン【Köln】ドイツ西部、ライン川に沿う商工業都市。交通の要地。ローマの植民都市として成立、8世紀末大司教区を設置、1814年プロイセンに合併。ゴシック式大聖堂は有名。化粧水オーデコロン(「ケルンの水」の意)でも著名。人口96万3千(1994)。フランス語名コローニュ。[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
●私は「オレンジ化粧水」としましたが、原著では「オレンジコロンをつくる」という題名になっています。
上に書いたような理由で、「オー・デ・オレンジ」(フランス語は全く知りませんが、オードランジュ、くらいになるのでしょうか)ならいいけど、「オレンジコロン」じゃあなぁ、というわけです。
ただ、それだけです。