日の出と日の入り


 8月ももう終わり。まだまだ東京では「真夏日」も続くでしょうが、さすがに秋風が立ってきました。

 そこで、今回は「秋の日は釣瓶(つるべ)落とし」という言葉の意味を探ってみましょう。

 下のグラフは、2005年の「東京における日の出・日の入りの時刻と、昼の長さ」を、理科年表2005からグラフ化したものです。

 昼間の時間の長さは、きれいに対称形に変化していますが、日の出の時刻や日の入りの時刻は、長くなっていく時と、短くなっていく時で同じ形のカーブになっていません。

 上のグラフは「夏至の近く」を拡大したものです。夏至というと「一年中で一番昼間が長い日」ということで、日の出が最も早くて、日の入りはもっとも遅い日、というイメージを持つ方も多いと思います。

 ところが、グラフからわかるように、日の出がもっとも早いのは夏至より少し前にあり、日の入りがもっとも遅いのは夏至より少し後に来ます。

 差を取った「昼間の長さ」は確かに長いのですが。7月の末頃までは、日の出も日の入りも、そう大きな変化はありません。ところが、最初のグラフで見てもらうと、夏至を過ぎて以降、日の出が遅くなる曲線はゆっくり変化していくのに対して、日の入りが早くなるほうの曲線は、変化が大きいことがわかります。その効果が、9月ころになると強く意識されるようになってきて、日の出のことは余り意識していないのに、夕方がすぐ暗くなってしまう、ということは強く意識に上るのです。夏至の頃に「7時」の日没が、9月には「6時」、10月になると「夕方5時」には暗くなってしまうわけです。

 この感覚、5時には闇、というのが「秋は暮れるのが早い」「ああ日が短くなったなぁ」という感じを生み出しているのでしょう。

 

 一方、これから向かっていく「冬至」のあたりではどうでしょう。下のグラフを見てください。

 夏至の近辺より出来事がクッキリしています。冬至は日の出がもっとも遅い日でもなく、日の入りが最も早い日でもありません。日の入りがもっとも早くなる時期を過ぎてから冬至になります。そして、日の出がもっとも遅くなるのは、年を越して翌年の1月中旬頃までです。その差としての昼間の長さは、冬至の時に一番短くなります。

 冬至を過ぎても、まだ春が近づいているという実感はありません。1月上旬には、日の出が朝7時近くです。普通のサラリーマンでも、家を出るときに、「暗いなぁ」と思うでしょう。1月の半ばを過ぎる頃から、日の出が早くなり始めます。朝が明るくなるのです。何となく嬉しい気分、明るい気分になってきます。東京の平年気温が最も低いのも1月下旬から2月の初めにかけて。まだまだ寒い日々ではあるのですが、春の予感に心が少しばかり「ほどけて」くるのです。2月には6時半くらい、3月にはいると6時前になります。

 一方、夕方は、1月には4時半に日が沈んで5時には真っ暗になっていたのが、2月には日の入りが5時半くらい、「日脚が伸びたなぁ」という実感が湧きます。春はもうそこまで来ている、という感覚、心楽しいものですね。

 

 こんなことを頭に浮かべながら、今年の冬へ向かってゆくことにしましょう。

 

BACK