鷹巣阿仁部における

  
市日と地域、駅の活性化についての提案

                                         2011年10月6日
    
       山間の村に店が並ぶ、比立内の市日。  2011.7.15

 鷹巣阿仁部の市日の概略
北秋田市と上小阿仁村、いわゆる「鷹巣阿仁部」には、7ヵ所で10日に一度の市日があり、沿線の人たちが買い物に訪れています。
 開催場所と開催日は、内陸線に沿った北秋田市鷹巣(7の日)、合川(9の日)、米内沢(2の日)、阿仁前田(3の日)、阿仁合(4の日)、比立内(5の日)、そして上小阿仁村沖田面(8の日)です。
 市日は県北商友会という商業者の団体が各地元の設置場所の管理者に使用料を払う形で開催されています。現在の県北商友会のまとめ役は阿仁合の庄司魚店の庄司正さんで、会員は約40人。会員の住所は北秋田市のほか、能代、二ツ井、大館、比内、小坂など県北各地に及んでいます。かつてはもっと多くの会員がいたそうですが、しだいに数が減り、市の規模も小さくなっているのが現状です。
 市の規模減少の要因は、人口の減少、自家用車の普及、大規模店舗の展開、消費者の嗜好の変化などが考えられます。市日に店を出す人の高齢化もすすみ、このままではさらに規模が縮小する可能性が高いといえます。

 朝市、市場が観光資源に
 いま、東京・築地の場外市場での買い物が人気を集めています。新鮮で安いこともありますが、市場の持つ雰囲気を味わうことも、楽しみの一つになっています。また、全国で「朝市」が観光客を集めています。これも、値段や品質のほかに、その地域の言葉や人情を味わいながら買い物をする楽しみが味わえるからです。
 こうした朝市に、早くから注目したのが観光業界です。全国的に知られる「函館の朝市」や「輪島の朝市」は、重要な観光スポットになっています。
 一方、地方都市や小さな町に昔から続いている朝市もあります。観光客よりも地元の常連客が相手で、食料品や日用雑貨が中心です。鷹巣阿仁部の市日はこの仲間に入ります。
 都会でも、駅前の賑わいを取りもどそうと、朝市を新たに立ち上げるケースもあります。東京の地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅前では、毎週日曜日に「茗荷谷駅日曜朝市」が開かれています。小さな区画に小さな店が10軒近く並び、懐かしい雰囲気を醸しています。
 地方都市に昔から続いている朝市を、町の観光資源として売り出す動きが各地で起きています。秋田県の五城目の朝市、花輪の朝市などがこれにあたります。観光客が地元客の間に溶け込める雰囲気が人気だと思います。
    
       鷹巣の市日でところてんを売る豆腐屋さん。  2011.7.17

 鷹巣阿仁部の市日の現況
 鷹巣阿仁部の市日の特徴は、一つの団体(県北商友会)に属する商業者が7ヵ所を巡回していることです。しかし、すべての場所に出店する商業者は少なく、何ヶ所かを選んで出店する商業者が多数です。
 市日に出店する商業者の数は場所によって大きく変わります。私が調査した7月後半は例年、店の数が少ないそうですが、以下のような数字でしした。

 前田 (7月13日) 18店
 阿仁合(7月14日) 17店
 比立内(7月15日) 11店
 鷹巣 (7月17日) 43店
 沖田面(7月18日) 19店
 合川 (7月19日)  5店  (同日、早口市日15店)
 米内沢(8月 2日) 19店

 業種で見ると、7月13日の前田の場合、以下の通りでした。

  魚    3店
 乾物・食料品 5店
 八百屋  2店 
 菓子   1店
 梅    1店
 服    1店
 苗・花  1店
 苗・漬物1店   軽ワゴン車で。非会員。
 瀬戸物 1店
 こんにゃく・ところ天1店
雑貨  1店
 種   1店

 このほか、前田の西根鍛冶店は他の場所での市日には出店しています。
 業種を見ると、昔からの日用品、食料品が多く、季節物として、種、苗、花の店が加わっています。春には山菜やヒヨコを売る店も出店するとのことです。
 鷹巣阿仁部の市日の出店者の特徴は、個人よりも商店の割合が高いことで、規模の小さい市ではすべてが商店ということもあります。このため、市日のボリュームは店の数よりも大きく感じられます。

 会員以外の出店でボリュームアップができる
 県北商友会の会員以外でも、1回200円から500円程度の出店料を払って市日に店を出すことができます。一番規模が大きい鷹巣では、会員以外の店も季節によって何軒も出ています。ただし、会員になるには商友会の承認が必要で、すでに会員が多い業種では、断ることもあるそうです。私が見たところ、八百屋、魚屋、乾物、雑貨屋については、市の規模から考えて、これ以上増やせないと思います。
 しかし、会員以外の出店もできるということは、季節や曜日(市日が週末に当たるときなど)によって、地元の商店会などと協力して、市日をボリュームアップできるということです。駅に近い阿仁合や阿仁前田では、商店会との協力で市日とイベントを連携させることができます。

 市日を賑やかにするために
 市日を賑やかにするためには、観光客を呼び込むことと、若者の参加を呼びかけることがポイントです。
 観光客をすでに呼び込んでいる市を視察すると、どうしても必要な「必須アイテム」があります。それは、食べながら歩ける田舎風ファストフードの店があること、座って休めるベンチがあること、そしてきれいなトイレがあることです。五城目では市の通りの端に大きな休憩・交流施設を作りました(市の雰囲気とはそぐわない感じがしますが)。ファストフードの店は何軒も出ています。花輪では、市の場所を新たに整備して、屋根つきの区割りにしました。ベンチとトイレは真ん中あたりに配置されています。また、市の入口にある旧家「関善」をNPOが管理して、見学と軽食ができる拠点となっています。
 これらと比べて、たとえば鷹巣の場合、規模は五城目に匹敵する、またはそれ以上なのですが、市の通りが主要道路と交差するようになり、また、トイレもわかりにくく、休憩所もありません。ファストフードの店も少ないので、現状では観光客を呼び込むのは難しいと思います。素材はしっかりしているのに、大変もったいないことだと思います。

 秋北中央病院跡地の利用
 鷹巣の場合、現在の位置の場所は街の中心から離れた、わかりにくいところです。また、道路環境も悪いので、場所を移転することが得策です。今考えられる一番の場所は、北秋中央病院の跡地です。
 この跡地は市街地の中心にあり、ここを野外ステージなどを組み込んだ多目的広場にして、市日の「7の日」には、広く一般の出店も募集してボリュームアップした「鷹巣バザール」として、地元商店街と一体化させれば、多くの観光客を呼び込めると思います。現在、用途を検討中とのことですが、市日を鷹巣商店街の活性化に結びつけてほしいと思います。

 内陸線と市日
    
    「4の日」は阿仁合の市日。内陸線を利用して買い物に来る人も多い。
                             2011.7.14

 内陸線の駅から市までの距離では、阿仁合が一番近く、次いで阿仁前田が近い位置にあります。また、鷹巣の市が病院跡地に移転すれば、規模の大きな鷹巣の市日の吸引力が増し、内陸線の利用客に反映すると思います。

阿仁合の市日には、内陸線の比立内から荒瀬にかけての駅から、市日に出かける人たちが乗車します。また、小渕から乗車する人たちもいます。市日は沿線の人たちの楽しみにもなっているようです。
 内陸線でもこの市日をホームページで紹介していますが、市日のボリュームアップと合わせて、積極的に宣伝できると思います。

 これまで述べてきたように、阿仁合、阿仁前田は週末市日のイベント、鷹巣は病院跡地への移転によって、市も商店街も活性化できます。この3地区を市日と商店街の活性化の当面の重点にしていただければと思います。

 鷹巣阿仁部の市日は、明治時代以来、百数十年の歴史を持つ、地域の貴重な文化財でもあります。今ある財産を有効に活用して、地域の活性化を図れるのではないでしょうか。ご検討をよろしくお願いいたします。

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