教育分科会 in 徳島 (2001.10.20)

1 印象  笑い

 今回の教育分科会の大きな印象は、笑いだったように思います。それは 気付きの笑い。思いついたことを気軽に言える笑い。代替案の笑い。みん なで今この瞬間を楽しく共有している笑い。認知フレームが転換された時 のあの特有の笑い。ワークショップ形式は昨年に続いて成功だったといえ ると思います。

2 経過1 ゲームでこんちには

 まず、全国アドラー心理学教育実践連絡協議会会長の棗田さんが、全ア教連 の紹介をされました。今年の活動として、「クラよみレポート」を発行し たこと、そこでは、北風さん、林さん、滝口さんの実践報告を中心に編集 していることを報告されました。  次に、4つのコーナーというゲームをしました。  これは、イエス、どちらかというとイエス、どちらかというとノー、ノ ーの4つの選択肢を選んでそれぞれのコーナーに移動し、どうしてえそう 考えたかをインタビューする、子どもたちにも人気のあるゲームです。  「今朝はとてもさわやかだった」「私は学校が好き」「うそをつくこ とはいいことだと思う」等の質問に、それぞれが思うコーナーに移動し、 みなさん楽しそうに笑いながら発言したり、聞いたりしていました。  また、「マラソンで走る距離を男子16キロ、女子12キロというよう に区別するのはあたりまえでしょうか」という質問に、「男女生徒に体力 差があるので区別があってもよいからイエス」に対し、「男子も女子もど ちらかを選択できるようにすればよいからノー」という意見があり拍手が 起こりました。

3 経過2 自己紹介

 参加人数は23名。少人数でしたので、輪になり、順番に最近気になっ ていることを話していきました。  何名かは心の教育相談員やスクールカウンセラーとして学校にはいって いて、そこでの状況を話されたり、多くの方は、教師をしていて、生徒児 童とのエピソードを語ってくれたり、自分自身の生き方としてアドラー心 理学が力になっていることを語ったりしました。また、地域の活動や医師 としての子どもたちや教師へのかかわりをどうしていくか、という問題意 識から参加していただいた方たちもおられました。
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4 経過3 事例その1

 次に、事例を出していただき、みんなで話し合っていきました。  一つ目の事例では、リストカットについてどう対応したらよいか、につ いてでした。  そこでは、ある人がリストカットをすると、友達も続けてリストカット をすることが報告されました。  リストカットという症状に注目せず、これからどうするかについて話を したらよいとか、中学から高校にかけて、本人が課題と感じたことを乗り 越える経過としてみてゆくこともできるのではないかという、意見も出まし た。  また、親との関係として、親を相手役として意思表示のひとつの方法と してリストカットを採用している可能性もあるので、そこで代替案を見つ けるとよいのではないかという、意見も出ました。  さらに、つられてリストカットをする2人目3人目の人達の相手役、目 標は違う可能性がある。教室での他の生徒の注目、教師の注目を得た いことも学校でしているときにはありうるので、無視をせずに話を聞いて いけばよいかも、というような意見も出ました。  事例提供者は、最初深刻な表情でしたが、生徒との距離の取り方につい てヒントを得て、明るい表情になられました。参加者の一人が「みんなリ ストカットの専門家になったね」と発言され、皆がドッと笑いました。

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<教室場面のロールプレイ>
 

5 経過4 事例その2

 次の事例はクラス担任とお母さんとの関係についてのケースでした。  開かれた質問と具体的なエピソードの応答が交される中、なごやかに笑 いあって話は進んでいきました。  お母さんの子育てへの積極的な関心が、子どもへの勉強や生活態度への 期待としてあり、思うように子どもが動いてくれないのでどうしたらよ いか困っているということが、母親の課題として浮かび上がりました。  担任として母親への期待は、子どもの自由闊達な遊ぶ力、生活力を評価 してほしいと考えておられました。  そういう中で、学級懇談会の会話のエピソードをだしていただきました。 会話はいつも、母親の「迷惑をかけていて申しわけない」から始まる、どち らかというと子どもの不適切な面に注目することからはじまり、担任は それが不満でした。  ロールプレイングをして、役を替って会話をしてゆくなかで、焦点は担 任としての私が母親とどう接していくか、という課題にしぼられていきま した。  体の感じを変えるために戸口まで迎えにいく時に踊りをしたり、お母さ んに会いたい、会ってうれしいという「お母さん会いたい作戦」もしてみよう、 という代替案がでて、みんなで笑いながら、会話の構造自体が変わってい くのを実感していきました。  このロールプレイの事例については、後にアドラーネットで「あれでよ かったのかしら?」と議論になりました。つまり、事例提供者を勇気づけ るだけでよいのかという問題提起です。議論の過程で、「子供のよいとこ ろを母親に伝える」という目標の一致について、全体での確認が弱かった こと。事例提供者がどう感じたか、最後にシェアしなかったこと等の詰め の甘さがみつかりました。しかし、事例提供者を信頼し勇気づけることが 基本であるということで議論は落ち着きました。

6 黄柳野(つげの)高校の紹介

 次に、黄柳野高校の浜田先生が実践報告をしてくださいました。  黄柳野高校は、「教育基本法および子どもの権利条約の精神を生かす教 育の場を作りたい」「偏差値や内申点に左右されない人間の教育をしたい」 ということで、全国から寄付を集めて設立した全寮制の学校です。  黄柳野高校の紙芝居部は、今まで長野の地域での活動をしてきました が、今年は沖縄名護の「ジュゴンのくる海」を紙芝居にし、絵、役、音響 など、みんなでする活動を作り上げてきました。  そこで、沖縄に行きたいと生徒たちが言い出し、「旅費を自分たちで稼 いだら行こう」と提案したところ、生徒たちがカンパやバザーなどで70 万円を稼ぎ、実際に行ってきました。沖縄では、教育委員会や保育園など から宿泊のお世話になり、2週間16回の上演を5人スタッフでやりとげ ることができたそうです。  生徒たちの沖縄体験はすごく充実していました。三線を習ったり、沖縄 料理を教えてもらったり、環境NGOのじゅごんの家を訪問したり、保育園 の実習をさせてもらったり、ハンセン氏病施設も訪問を支えてもらいまし た。  自分たちの課題を自分たちで解決し、また沖縄の人々からたくさんの正 の注目をもらい、それが生徒たちの大きな自信となり、とても成長するこ とができました。紙芝居部員の中には、不登校体験者もおり、その成長ぶ りには目を見張るものがあります。

7 最後に また来年

 人数も今年はちょうどよかったので、来年も同じ規模でできたらいいな と思いました。参加者の皆さん、事例を出してくださったみなさん、あり がとうございました。司会役、リード役をしてくださった地元有志のみな さん、全ア教連事務局のみなさん、おつかれさま、ありがとう。

 (報告 池田隆美)
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