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平安の世に、絶世の美女と称される小野小町がいました。
世の男性の注目を一身に浴びていました。 小町を慕う男性のひとりに、 深草少将(ふかくさのしょうしょう)という人物がいました。 小野小町は深草少将に言いました。 「百晩欠かさずに通ってくれましたなら、あなた様を受け入れます。」 深草少将は答えました。 「あなたが私を受け入れてくれるなら、毎夜参ります。」 それから少将は毎夜、小町の館に通ったのです。 そして通った証拠として、榧(かや)の実を差し出したのです。 少将は雨の夜も雪の夜も通い続けました。 九十九日目の夜のことです。 深草少将は、降る雪と発病により途中で行き倒れ、 最後の一夜を前に世を去ってしまったのです。 小町は数えていた榧(かや)の実を館の周りに播きました。 そして夢にしか逢えない人を思い、多くの歌を詠んだのです。
小野の里には現在も榧の大木が残っています。 小町の館は随心院となり、深草少将の館は欣清寺となっています。
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