蛙を殺す事
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時は平安中期。

ある朝、安倍晴明(あべのせいめい)が、広沢の僧正(そうじょう)に会うため

遍照寺を訪れた時の事です。

若い僧たちが晴明に言いました。

「式神を使うそうですが、容易く人を殺す事ができますか?」

晴明は答えました。

「容易くは殺せません。気力を込めれば殺せるでしょう。

虫などは容易く殺せますが、生き返らせる術を知りません。

ですから殺生の罪を犯すことになるので無益なことです。」

ちょうどその時、五、六匹の蛙が庭に出てきて、池の方へ飛び跳ねて行きました。

「もし、おっしゃってることが本当なら、

試しにあれを殺して見せてはくれませんか。」

若い僧たちがそう言うので、晴明は答えました。

「罪つくりな御坊方ですね。しかし私の術の力を試そうとしているのですから、

殺してみせましょう。」

そう言うと晴明は、草の葉を摘み切り、呪文を唱えて蛙の方へ投げました。

すると草の葉は、蛙の上にかぶさり、

その途端に蛙は真っ平にへちゃげて死にました。

これを見ていた僧たちの顔色は変わりました。

晴明のことをとても恐ろしく思ったのです。

晴明の邸の中に誰もいない時は、式神を使い、格子戸を上げ下ろししたり、

門を開け閉めしたりしていたということです



参照、「宇治拾遺物語」
晴明、蛙を殺す事


遍照寺跡に立つ石碑 一条戻り橋
広沢の池のほとり、遍照寺跡

現在の遍照寺は別の場所
一条戻り橋

式神を隠していた場所


安倍晴明 あべのせいめい
921〜1005
平安中期の陰陽師
摂関家、有力貴族に重用された





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