研究(数学)
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研究論文リスト
[1] Y.Adachi and M.Suzuki, On the family of holomorphic mappings into projective space with lacunary hypersurfaces, J. Math. Kyoto Univ., 30(1990), 451-458. PDF
[2] Y.Adachi and M.Suzuki, Degeneracy points of the Kobayashi pseudodistances on complex manifolds, Several Complex Variables and Complex Geometry (E.Bedford et al. eds.), Proc. Sympos. Pure Math., 52-2, Amer. Math. Soc., Providence, 1991, 41-51. PDF
[3] Y.Adachi, On the hyperbolicity of projective plane with lacunary curves, J. Math. Soc. Japan, 46(1994), 185-193. PDF
[4] Y.Adachi, A generalization of the big Picard theorem, Kodai Math. J., 18(1995), 408-424. PDF
[5] Y.Adachi, On the relation between tautly imbedded space modulo an analytic subset S and hyperbolically imbedded space modulo S, Publ. Res. Inst. Math. Sci. Kyoto Univ., 33(1997), 385-392. PDF
[6] Y.Adachi, On value distribution of holomorphic maps of C2 to C2, Kodai Math. J., 23(2000), 164-170. PDF
[7] Y.Adachi, Condition for global exsistence of holomorphic solutions of certain differential equation on a Stein domain of Cn+1 and its applications, J. Math. Soc. Japan, 53(2001), 633-644. PDF
[8] Y.Adachi, Nondegenerate entire maps of C2 to
C2, Far East J. Math. Sci.(FJMS), 10(2003), 163-186. PDF
[9] Y.Adachi, On value distribution of nondegenerate holomorphic maps of a 2-dimensional Stein manifold M to C2 and classification of M, Kodai Math. J., 28(2005), 511-518. PDF
[10] Y.Adachi, On a Kobayashi hyperbolic manifold N modulo a closed subset ΔN and its applications, Kodai Math. J., 30(2007), 131-139. PDF
[11] Y.Adachi, On property of complements of an algebraic curve with at least 4 irreducible components in P2, Kodai Math. J., 31(2008), 333-337. PDF
[12] Y.Adachi, A generalization of the little Picard theorem, J. Math. Analysis and Applications, 354(2009), 96-98. PDF
[13] Y.Adachi and S.Kanai, On a Schur stable set of algebraic equations, Far East J. Math. Sci.(FJMS), 33(2009), 101-112. PDF
[14] Y.Adachi, Remarks about Fatou-Bieberbach domains and the algebraic or non-algebraic curves in C
2, Far East J. Math. Sci.(FJMS), 34(2009), 369-376.
[15] Y.Adachi, On the Jacobian conjecture, arXiv.
[16] Y.Adachi, On the holomorphic map of C2 to C2
which preserves a general type polynomial of two variables, submitted.
[論説] 足立幸信、平井悦子、1993 多変数複素力学系の4章:CnからCnへの正則写像について。 PDF
これは同名のRosay-Rudinの論文(1988)のほとんど証明抜きの主要部分の解説である。私は研究によく参照している。例と問題が多い。私はこういう風な自分なりの資料をいっぱい作っている。何かの参考になればと思い、オリジナルな研究ではないがあげておく。
公開雑誌などの取り方
電子化して(公開している)雑誌のPDFを出すには、リンク集の日本数学会の会員および数学研究者用から入って、電子ジャーナルをクリックする。つまりここ 例えばJMSJなら、JMSJをクリックし、Project Euclidをクリックし、Search this Journalで例えば著者名でサーチして該当の論文のPDF Fileをクリックする。(2009.3.現在、JMSJは1983年までのものしか見られない。今年度中にEuclidに入る予定だそうだが、古い論文は今のところ J-STAGE->Archives Issuesと進むとよい)直接Project Euclidに行くにはここ
上記で出ないドイツ関係の雑誌の多くはちょっと古いものならここから取り出せる。
フランス関係の雑誌、○○セミナーに関しては同様にここ
arXivについてはリンク集にも書いておいたが、ここ
松本和子氏の労作になる、今のところ大阪府立大学内用の電子ジャーナルの検索ガイド: ここ
研究概要
大学院生時代は、主として解析空間(多変数複素解析関数を考えるべき場)のスタイン性(解析空間が十分多くの関数を持ち、多くのいい性質を持つという性質)の問題に関心を持っていたが(解析空間がいつスタイン性をもつかという問題はいまだに完全に解けていない問題である)、実際の修士論文はヤコビアンで定義される局所可解なL.P.D.E.(線形偏微分方程式のこと)が大域解をもつ条件と応用を述べたものであり、それを25年ぶりに完成させたのが[7]である。これはヤコビアン予想や、特異点解消の新しい理論と関係しているように思われるので、継続して研究を続けている。ヤコビアン予想については、最近になって2変数の場合に解けたと思われるのでarXivに出している[15]
8年半の会社勤めの後、どうしても解析空間のスタイン性の問題をやりたくなり、九大の研究生となって、スタイン空間上の正規域(その空間上の正則関数全体が正規族になる開集合の連結成分)はスタインか?という問題を研究したが、正規域の境界に特異点があるケースがうまくいかなかったので、一旦置いておいて(最近また視点を変えて考えている)小林双曲幾何をやった。数学的力量不足を痛感したので、遅まきながら習作として始めたわけである。
周知の如く、1次元の多様体(多様体とは特異点のない、つまり滑らかな解析空間のことである)は例外的なもの(C*,C,P1と楕円曲線)を除いて小林双曲的(小林擬距離が常に距離になる)という値分布論的に見ていい性質を持つ。ところが2次元以上となると当然小林双曲的であっていいはずのものが、そうはならないのである。つまり小林擬距離が退化する(異なる二点間の距離がゼロになる)集合が存在することがしばしばある。退化集合が解析的で少ない場合、概小林双曲的と言うことにする。それなら大部分の多様体は概双曲的と思われる。従って、その退化集合を調べることは本質的であると思われるが、今までその方面の研究はほとんど無かった。[2]において、一般な多様体においてオーダー1の擬凹状集合になることを示した。1次元の解析集合はそういうものの特別なものである。
[1][2][3]の結果を使って、P2から4本以上の既約成分からなる曲線Aを除いた多様体P2-Aを値に取る有理型写像に関するピカールの大定理を[4]で、モンテルの定理を[5]で示した。[5]の結果は、小林氏による予想(1973)を初めて部分的に(特別な場合に)解決したものである。これらの結果を導くために使った方法は4本以上というのがどうしても必要であった。最近2次元の場合は3本、n次元の場合はn+1本での双曲性の問題は野口潤次郎氏などによりほぼ解決された(彼によれば30年前から問題としていたそうである。長い間かかって考えるのはアホな私だけでないことを知ってもらうために、あえて書いておく)。近頃、私はP2から1本または2本の除外曲線がある場合を研究している。ただし除外したところが一般型になる場合であるが。
多変数複素解析学の主たる研究対象は多変数関数ではなく、多変数写像だと私は考えているが、小林双曲幾何、その目的とする値分布論(関数や写像の値の分布を調べることは、それらに対する最も精緻な理論といえる。具体的には[2],[4],[5])や木塚理論、西野理論等を使って、C2からC2への正則写像の値分布論の結果を[6]で得た。その結果を深め、[8]でC2からC2への非退化整写像を分類し、それぞれのクラスの諸性質を明らかにするとともに、一変数整関数が放物型の整写像に埋め込まれることを示し、放物型よりやや広いクラスの整写像についてピカールの定理とイベルセンの定理が成り立つことを示した。つまり一次元で常に成り立つ定理を二次元に拡張したのであるが、それは整写像を分類することによって初めて可能になったといえる。なぜなら、双曲型の整写像であるFatou-Bieberbach 写像(像も像の補集合も開集合を含む整写像。一変数整関数ではあり得ない)は明らかにピカールの定理やイベルセンの定理は成立しない。単純に拡張しようとすればであるが。一方で一変数整関数は常にそれらが成立するからである。内緒だが、一変数関数の問題は多変数写像に置き換えるといくらでも手頃な問題が設定出来る。多変数関数でやっているとそうはいかない。多変数関数論というのは多変数写像論の道具の面が強いと思っている。
最近知ったのであるが、藤本担孝氏が1971年に一変数の放物型リーマン面の対応物として、境界の容量0のn次元分岐正規リーマン域を考え(一種の放物型空間)、それに対してイベルセンの性質を持つことを示している。上記のイベルセンの定理と藤本氏の定理の関係は微妙である。それと以下に述べるスタイン多様体の分類に対し、こういうとらえ方もあるのだなぁ〜、と思った次第である。ただし、このやり方は放物型/非放物型、という2分類しか出来ないように思われる。ただしこの意味で非放物型なら概小林双曲的か、というのは問題であろう。逆に放物型多様体(非概小林双曲的であるなら余計に)はどういうものがあるかも問題である。
[9]は今まで多様体はスタインであるかどうか議論され、そうであると分かると基本定理A,B が成立する、ということでそれ以上の議論はなされなかった状況に対して、その上にどんな写像が存在するか否かで分類する、自分で言うのもなんだが画期的論文である。一次元の開リーマン面は色々細かく分類されている。そしてそれは一次元スタイン多様体なのであるから、なぜ今まで二次元のスタイン多様体が細かく分類されなかったか、むしろ不思議である。分類学はその分野の基本であり、物事を詳しく見ていこうとするのに必要である。とは言え一変数における分類が何に役立ったのかは今のところよく知らないが。結局一変数関数の高次元化は多変数関数ではなく、多変数写像であるという新しいパラダイムに立ったから可能になったのである。二次元スタイン多様体の自明でない例を、開リーマン面の直積で考える点も新しい営みである。実際各種の類が空でないことや、包含関係がシャープであることを示すことに使っている。この分類論で未解決の問題もある。
各種の類の定義自体に、西野利雄氏をはじめ、山口博史氏、鈴木昌和氏などによる独特の深い(深すぎる?せいか世界的にはあまり問題にされていない。京都という世界における田舎?は別として)値分布論(値分布論というとネハンリンナ理論の高次元版を連想する人が多いと思うが、1次元の場合、アールフォルスの被覆面の理論もあったが、高次元になるともっと色々ありの、要するに一筋縄では立ちゆかない世界と私は思っている)を使っている。2次元の分類を一般次元に拡張することは、定義のみなら可能である。多項式のシステムを考えればよいのであるが、それは一般な正則関数のシステムについて藤田収氏によって研究されているからである。ただし2変数における西野理論の対応物はあまり出来ていない。多項式のシステム(n+1変数の多項式をn個考える)の詳細な研究すらほとんど為されていないはずである。しかし藤田氏の3編の論文を見ると、大体の準備は出来ている。
[10]は小林擬距離の退化集合について丁寧に見直し、退化集合の様々な例をあげ、特に退化集合が全体に一致する場合はどういうときか、という問題を提起している。
[11]は[1]を学会で発表したとき(P2から4本以上の曲線を除いたとき、特別な場合を除いて退化集合は曲線になるということ。この曲線は非双曲的曲線であることを[3]で示した)野口氏から私の言う一般な場合と一般型になる場合の関係について質問を受けたことの解答である。飯高氏、酒井氏の一般型の定義は全く分からないので、気になりながらも長い間ほったらかしにしていたが、ふと、すでに分類位はもうされているのではないかと検索したら、酒井氏によって2次元の一般型でない場合はどういう時かという分類がなされていた。上記の特別な場合を調べてみたら、一般型ではなかった。そこで一般型と概小林双曲的な概念が一致することが、上記の条件の下に一致することが示せた。
[12]はn次元のピカールの小定理は普通Cnからある種の多様体への正則写像が代数的に退化するという定式化がなされるが、写像の定義域を任意次元のコンパクト多様体から超曲面を除いたものでそれ以上有理型写像としても延長できない正則写像を考え、ターゲットはPkの相対コンパクトな領域で、その極限的小林擬距離の退化集合がPkの超曲面Sに含まれるとき、写像の像はSに含まれるというものである。ちょっと写像に普通は満たされる条件を付けなければならないが。ピカールの小定理において、定義域がCnということは本質的でなかったというお話。
[14]はAをC2の既約な双曲的曲線(その定義については興味のある方は[6]のPDFで見て欲しい)というものとすれば、C2−Aは一般型であることを示し、2次元のFatou-Bieberbach領域(C2と双正則でC2に一致しないもの)は双曲的曲線を除外しないことを示した。双曲的でない曲線や直線を除外するFatou-Bieberbach領域の例は色々知られている。既約成分が3本以上の曲線を除外するものが無いことは、ピカールの小定理(M.Green-西野)より分かる。Buzzard-FornaessのFatou-Bieberbach領域に関する論文の系として、超越的なC2内の複素直線でC2の自己同型で決して代数的直線に写らないものが存在することが分かっている。このことは以前から西野一門で問題とされていたことであった。私はC2の超越的な双曲的曲線はC2のある自己同型で代数的曲線に必ず写るであろうと予想していたのであるが、決して写らない例を示した。私はこういうディーテイルにも色々と興味を持っているのであるが、そういうものを細かいことだと片付ける人もいる。人それぞれなんである。神(数学)は細部に宿り給う、という言葉もあるにはあるが。
[13]は金井真一郎氏が関心を持っているロバスト・コントロールシステムの研究が、工学的要請から変数を実数区間で考えたり値域を複素平面で考えたりとちぐはぐなので、全て複素のカテゴリーで考えた。大体はこのHPのコンテンツのMaple林の花園(1)に書いてあるようなことである。この関連で、高次元化して考えること(全て代数的なカテゴリーでやっているのでルンゲの問題と関連していると思っている)や単位円内に代数方程式の解が全ておさまるという制御条件を一般化することなど、やることはいっぱいある。ヒマを見つけてやっていくつもり。
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