共生への道
──その解決のロゴス
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共生への道−その解決のロゴス−
みんなで歩めばこわくない
日本図書刊行会発行 近代文芸社出版
四六版304ページ, ¥1800+税
ISBN4:8231-0475-7
1999年11月発行
買い方
この度(02.12.1)目出度く廃刊になりました。しかし、我が家に在庫がう〜んとありますので
足立幸信
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目次
一章 共生の神学について
二章 哲学と科学について
三章 進化論について
四章 資本主義と社会主義について
五章 地球環境の問題について
六章 大衆社会と民主主義について
七章 共生主義について
八章 教育について
九章 総まとめ
自著解説
この本は共生学の教科書として書かれた。教科書であるから、問題点と思えることを網羅的に扱っている。ただユニークな教科書である。
先ず一章は共生の神学についてである。日本人はそうでもないが、世界全般を見渡すとき、自分の信じる宗教にこだわり、共生の障害になっていることが多い。ここでは普遍神学とでもいうのか、宗教を原罪の克服ととらえている。そして原罪を個人的な原罪と社会的な原罪とに分けて考え、前者は反省を重ねていくことによって克服できることを筆者の経験に基づいて言明している。そしてそれを克服することが先決で、それから後者の原罪ーーこれこそ共生を阻む悪玉で、一筋縄ではいかないので皆の衆の力が必要なのであるがーーの克服に衆知を結集して立ち向かうべきことを呼びかけている。この原罪を二つに分けて考えることは、今後重要になるかもしれないと、数学者でエッセイストの藤原正彦氏は指摘している。
ではどうやったらいいのかを、問題点をあげながら一章では簡単に例示している。しかしそうは簡単にはいかないので、後の章で歴史的背景などや、論争点などを詳しく説明している。ちょっと難しい内容を含むが、共生を志す人はこれくらいの基本的知識を持って、共通の土俵に立とうではないか、というのが問題を錯綜させないための必要条件であると筆者は考えている。
二章は哲学と科学についてであって、両者の歴史を振り返りながら、結局哲学は現代の難問である共生ということに答えようとせず、科学は技術と一体化し、状況をますますややこしくしていく傾向があるが、これからおこる、おこりつつある本物の科学に期待を寄せている。
三章は進化論についてであって、ダーウィン流の進化論を進化のマイナーなプロセスを説明するものに過ぎないとし、池田清彦流の構造的進化論を主に解説している。進化論を否定するにしても、肯定するにしても、構造的進化論からいえば単なる解釈の相違で、どっちに考えても矛盾しないことが明らかにされる。
四章は資本主義と社会主義についてであるが、資本主義が社会主義に勝ったと言えるかもしれないが、その資本主義も市場原理と共生原理をバランスさせる共生主義というものに脱皮していかないと将来は危ういと説く。
五章は地球環境問題についてであって、一通りのことを述べているが、環境をダメにしたのも科学技術なら、環境問題にメスを入れたのも科学であることを指摘している。
六章は大衆社会と民主主義についてであるが、大衆社会になり、そこに民主主義が根付くまでには大変な時間と犠牲を払っており、これから市民を中心とした自由で充実した市民福祉社会(福祉国家とは違う)にしなければならないことを述べている。
七章の共生主義については、今後の問題とすべくアウトラインを述べるにとどまっている。議論の巻き起こることを望むものである。
八章の教育については、比較的古い文献に基づいているため、やや陳腐な議論に終わっているが、競争でなく学び合い競い合うことを生涯かけて行い、自己実現することを個人のあるべき姿とし、そしてそこで培ったものを社会的原罪の克服(共生の実現)に向けるべく、皆で力を合わせようと説いている。
筆者は数学者であり、論理的に、時には数学も織り交ぜて、しかし直感的に分かるように話を進めているが、それをたどりつつ自分なりに考えながら読むと三日位かかるしんどい本ではある。しかしこれから指導的立場に立とうとする若い人、指導的立場にある30〜50代の人に訴えようとして、筆者は三年半、渾身のアホぢからを振り絞って書いたのである。この本を読めば、100冊の本を読んだことになるお得なおすすめ本である。
読者の書評、意見
大山智徳氏(美学・芸術学・数理社会学者 mixi-HN あみと様)
一言で言えば、精神の伸びやかさを感じさせる好著である。読了感がさわやかでいい。 フィロソフィー(愛知)の体現者という意味での哲学者でもおありなのであろう。話題は神学から哲学、科学、教育、環境、民主主義、そして共生主義へと拡がる。
労働価値説への疑問(p184)、民主主義と市場主義万能主義への批判(p241),「人間の自己理解という特殊な冒険に出あおうという、何か特殊な呼びかけに気づくようになること、それが学ぶということである。」(p261)、「テラスのいすに座って庭の草木を眺めながら、考えるともなしに数学の問題を考えたりしているとき、何とも言えず幸せである。」(p266)そして、「著者が自己実現できているなあと自覚できるようになったのは40才を過ぎてからである。」(p267)、教育での初等教育における自由研究の重要性(p287)、学問は大学のみの時代ではなくなったという指摘(p291)等、目から鱗である。
もちろん、遺伝構造の数学的記述など(pp118-119)数学者としての隠しきれない知的な好奇心も顔をのぞかせる。
さて、私見によると著者は著書やミクシィ上での日記・コメント上でのソフトな語りが馬頭観音さんの魅力の1つをなしているが、実は、この文体、優しさは猛烈な精神的な危機を克服されたあとたどり着いた一種の「告白」だと確信した。
一見、多様な読書日記のようなエッセイでありながら、私はこの書の核心は創造性と表裏一体をなす狂気と闘いうる強烈な精神力と論理力、そして、精神的などん底においても失わずに持ち続けた他者への愛に満ちた地獄めぐりのあとの至福の時へ至る書だと感じた。
小泉貴奧氏(現在アメリカに留学中のマイミク。知的好奇心と善意のかたまりのような若者)
まえがきで少し身構えたが、読んでみると非常に明瞭に鋭く纏まっており、所々鏤められる著者の性格が表れる本音のようなものも垣間見る事ができ、親しみやすく、そして楽しく読ませて頂いた。
確かに宗教的側面を伴う内容であるのでそれだけで毛嫌いする方もおられると思うが、非常に論理的に構成されており、大局的な視点から読んで頂ける事を切に願うものである。
通常語られる個人的原罪のみならず、それを社会的原罪までに発展させている著者の功績は讃えられて呵るべきであろう。加えて広い視野で見渡される宗教観、人間観を読む事ができる第一章は特に素晴らしい。
ただ、本題である共生学についての第7章に多少物足りなさを感じたので、次巻に期待したく思う。
人類という種とその文化をさらりとおさらいし、現在我々が抱える問題点を明示しその解決に向けて第一歩を踏み出し始めた本書は、共生学の入門書として最適なテキストである。
水野貴之氏(世の中を幸せにするプロジェクトリーダー)
何と、我々が到達したのと殆ど同じ、新しい世界のイデオロギーを提唱しており、かつ、そのアプローチも極めて正しく進めている教科書である。全員読むべし。また、この本を読んで、我々は「聖書」を作ってはいけない事を学んだ。思考せよ。(GREE(ソーシャルネットワーク)に所属している人に書いたオススメ文より。)
青空ベンチ氏(HP:青空ベンチより)
哲学、宗教、環境問題、資本主義、教育と様々な観点から、共生する為には何をしなければいけないのかが書かれている。ただ扱うテーマが多すぎるためかクリティカルヒットみたいなことはなく、ある意味安心して読めた。個人的には若干物足りなさを感じるが、これから哲学等を学んでいこうとする人には入門書としていいのではないだろうか。
拓川居士骨氏(楽書き帳書き込みより)
共生への道 楽しんじょります
雨の休日は読書ができ好きです
妻君の邪魔が入りにくくて
これまでの感想は デカルト のバカ ですです。
大田靖氏(阪大D3、数学)
まだ私の知識不足のため、内容についての意見を述べられる段階ではありませんが、とかく自分自身の興味や研究活動のみに走りがちの数学界の中で、先生のような多種多様な考えを持つ人に出会えたことに驚きと喜びを感じております。
藤原正彦氏(お茶の水大、数学 & エッセイスト)
第一章はなかなか独創的な視点と思いました。第八章はやや陳腐で、第一章の「冴え」が感じられませんでした。個人的原罪と社会的原罪の見方は、今後、重要になるかもしれません。
米谷文男氏(京都工繊大、数学)
世の総合認識を試みられている意気を感じます。なかなかよく整理されていて読みやすく勉強になりました。通に過ぎる見も見られますが大略了解。でも共生の姿と道標がまだ見えませぬ。
稚気堂堂愛すべし。30年前を彷彿とさせます。
夏草の 生ゆるままにて 秋の風 (踏生)
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