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Maple林の花園(1)Schur stable set
Robust Stability (1) (多大の感謝をN氏に捧げる。)
2年前から、友人でフリーの応用数学者K氏と、係数が複素変数xの多項式である2変数多項式
W^n + a_n-1(x)W^(n-1) + ・・・・+ a_0(x) = 0 ・・・(1)
の解が全て|W|<1となるx-平面の開集合D(Schur stable set と名づける)の性質などを調べて、一応論文にした。今のところ投稿中に過ぎないが。係数を多複素変数の多項式で考えると、容易に擬凸状開集合になることが分かる。一変数の時はDの連結成分はは単連結であったから更に多項式凸状開集合になることが予想される。それはそれで面白く、その他にもある種のEdge定理が成立したり、色々面白い研究対象と私は思うけれど、そしてそのうち研究したいと思っているけれど、平面上に絵が描けない。そこで絵が描けるHurwitz stable setについて、ぼちぼちやっていこうと思っている。
都合上、今までの Schur stable set をD(S)とし、(1)の解が全て左半平面(Re(W)<0)となるx−平面上の開集合をD(HL)、(1)の解が全て右半平面 (Re(W)>0)となるx−平面上の開集合をD(HR)とし、図示する時はこれからD(S)は黒で、D(HL)を赤で、D(HR)を青で表示することにする。
先ず手始めに簡単な多項式で絵を描いてみた。(1)が
W^3+ (1/2)*x*W^2 + 5*x*W + x^2 = 0 ・・・(2)
のDである。横軸は実軸、縦軸は虚軸である。有る程度広い範囲でDを求めたが結局D(HL)だけが表示された。
Robust Stability(2)
今回はD(S),S(HL),S(HR)の関係をちょい調べてみました。それぞれは空集合になり得ます。3つとも空集合ってこともあるはずです。証明というかそういう例は作っていませんが。それぞれが存在する条件を調べることは研究課題かもしれません。定数項の絶対値が>=1なら確かD(S)は空集合だったと思いますが。
(4)の場合は3者が出てきて、お互いに共通部分を持ちません。それでD(S)にD(HL),D(HR)が含まれる絵を描いてみました。D(HL),D(HR)は決して共通部分は持ちませんから、D(S)のplotはは○を+に変えました。4次式にしましたが、3次式でダメかどうかは知りません。
W^4 + 0.6*x^3*W^3 + 0.25*W^2 + 0.06*x*W + 0.01*x^2 = 0 ・・・(6)
x = a + b*i としたとき、-5 <= a <= 5, -3 <= b <= 3 の範囲で調べています。図はplotする点が無い所は省かれています。
番外編
匿名希望さんから、質問があったので、それについて。
どういうことかと言うと、C^2のなかの単位球面S:|z1|^2 + |z2|^2 = 1上のz1,z2の2次形式
W = x + yi = |z1|^2 +z2*conjugate(z1) + 2i|z2|^2 (conjugateとは共役複素数のこと)
はSからWへの写像であり、その像は(x、y)平面上の領域になり、どうも 20x^2 + 16xy + 8y^2 -36x -24y +15 = 0で表される楕円で囲まれた図形になるそうです。何故かは全く知らないし、なんか資料を教えてくれたのだけれど、あほくさいので見ていません。ここではその図形をMapleで描くことをまずやってみました。やっぱり図を先にみてもらいましょう。
Robust stability(3)
前回の番外編のことですが、私は境界の楕円の方程式を近似的に求めました?が、その後、匿名希望氏はイデアルの概念を使って理論的に求めることに成功したそうです。まずは目出度し目出度し。
ところでこの問題は球面S^n上の2次形式の値域を求める問題ということになると思いますが、それは表現論と言うか、広く言えば関数解析の問題と思います。面白い問題でしょうし、面白いと思う人はどんどんやっていただいたらいいのですが、私はおつき合いする気は全くありません。実の多様体上の話は興味はありません。数学はいくらでも面白い問題はあるのであって、自分が面白いと思えば自分でやるに限ります。頑張って下さい。
本題に戻りますが、2回目でいくつか仮説とゆーか、問題を立てました。そのうちの(3)についてやってみます。結論的に言うと,D(HL)もD(HR)も一般には連結成分は1つではありません。まあそりゃぁ〜そうでしょうが、大の大人で連結と予想した(要するに当てずっぽうで,予想とは言い難いと思いますが)人がいたのにはたまげました。証明は出来なくても事実と反対の予想を立てるというのは、恥ずかしいことというか、このへんのことが全く分かっていないんでしょう。その人によって私がこういうことに関わるようになったのですが。
2つの多項式の積のD(HL)(D(HR)でも同じこと)はそれぞれのD(HL)の共通部分になりますから、まず1次式でどうなっているか見てみました。
W - x^2 + 1 = 0 (8)
で絵を描いてみましょう。
Robust stability(4)
前回の連結成分が3個になった絵を見て、連結成分は1個と予想した人がメールで、「Plotする部分を広げて描いてみました。非常にいびつな形をしています」とお馬鹿なことを言ってきたので、ネタが出来ました。その絵は
Robust stability(5)
Robust stability(解の存在範囲を左半平面とする)は工学的意味があるようである。私は工学的意味はどうでもよく、複素解析的な値の分布に興味を持って調べており、要するに結果が出て論文に書ければ一応満足である。お金の援助はどこからも受けておらず、今年Mapleの研究者用というのを神戸大の白川先生のご厚意で斡旋して貰って、約20万円で自費購入している。だから好き勝手にやらして頂く。ということで、解の存在範囲のしばりを自由にしてやってみる。何せ実験数学であるから、とにかく手足を動かさなくてはならない。
まず円環領域にしたらどうなるか。(円とすれば必ず単連結領域になり、証明もしています。[13] Theorem 1.6 です)。 多分穴が空くか、空かない場合もあるか、でしょう。とりあえず、穴の空く場合。
方程式:(W^4 + (x + 0.01 * I)*W^3 + (x - 2/3)*x*W^2 - 0.01)*(W - 0.5 + x) = 0, (1)
で解が全て円環 0.1<|W|< 5/7 に在るxの領域は
Robust stability(6)
前回円領域とあいまいな言い方をしましたが、[13]の主要な結果は原点を中心とする任意の半径の円領域で成立します。R>0として、W' = RW という全平面の座標変換をすると
|W|<1 は |W'|< R にうつるからです。大雑把に言えば。ただし、単位円と左半平面は1次変換でうつりますが、1次変換はリーマン球の座標変換ですので、方程式がちょっと変わります。多項式が有理式になるという程度で、単位円を制限域とした主要な結果は多分成立すると思いますが。
まず簡単な話から始めます。前回は安定域が多重連結領域になる例をしめしましたが、この場合の例は当てずっぽうにやるとなかなか作れず、大抵単連結領域が出来ました。そんな例では面白くないので(1)の式で、制限域を 0.2<|W|< 5/7 としてみましょう。当然空いていた穴が大きくなりはみだして次のような図になります。
Robust stability(7)
論文[13]のConjecture 2.7でSchur stable set D_Sの連結成分の数はWの次数がm、xの次数がnであれば、高々mnであろう、となっています。今回はそれについて考えてみます。当たり前のことですが、xを決めると高々m個のWが決まり、その一つのWを決めるxは高々n個あるのですから、予想は正しいのです。もっと言うと、1個でも |W|<1 の範囲に解を持つxの連結成分の数は高々mn個なのは当たり前のことです。でもうちょっと考えるとD_Sの連結成分の数は高々m個です。よく考えれば当たり前のことです。実際にm個になる例は、[13]のExample2.3, 2.11, 2.13 がそうです。この論文執筆時に何を血迷ったかというと、Example 2.6の図にだまされたからです。
つまり、方程式、W^4 + (x^4 + 2x^3 + x^2 + x + 0.1)W^3 + 0.7W^2 - 0.3 = 0,
のD_Sは次のような図を採用していたのです。






