JPU第63回大会についての批判

全郵政との統合を否定し、JPUをストライキで闘える組合に変革しよう!
郵政民営化反対の旗を今こそ高く掲げよう!
JPU組合員の皆さん。周知の様に、現在郵政職場では、深刻な人手不足、サービス労働の蔓延と実質的なその強要、あの手この手による賃金引下げとその結果としての低賃金と生活苦、能力給導入による差別選別の強化、ノルマの押し付け、非正規労働者の拡大による搾取の強化と雇用の不安定化、肉体的・精神的疾病の増大、更には自殺者の増大までも惹起するような、まさに地獄としか言いようの無い状態が現出しています。
そして、これらが、「公社時の人事制度・労働条件等」の実態なのです。したがって、本大会議案で、「人事制度・労働条件等に関する民営化時の制度については、公社時の諸条件を下回らないことを中央交渉の到達点として確認し」「本大会で承認を求めます」と言われても、郵政労働者、JPU組合員は絶対に納得も承認も出来るはずがありません。JPU中央は、承認を求める前に、まず日々悪化する人事制度・労働条件を改善するために、口先だけではなく本当に闘うこと、少なくともその悪化に歯止めをかけるために闘うべきです。
更に、この「公社時の諸条件を下回らない」と言うこと自体極めて疑わしいものです。例えば、「調整手当」は、既に国家公務員の職場では廃止され「地域手当」に変えられています。この地域手当とは、公務員と民間労働者の賃金の格差是正と称して、公務員の基本給の平均4・8%減(ここで言う「平均」とは、若年層では引き下げが行われないが、中高年層ではプラス2%の6・8%が引き下げられることを意味している)を先ず行い、人口5万人以上の都市では民間賃金の方が逆に高くなるので、それを同じにする為に支給されるというものです。したがって、現在の調整手当より地域手当の方が高くなる地域でも、4.8%の基本給の引き下げを前提にしているので、実質的には賃下げになるというものです。
2月の第121回JPU中央委員会では、郵政公社は「民営化まではそれを導入しないことに同意した」とありましたが、これは言い換えれば、民営化後にはそれが導入されるのかという疑問を抱かせるものであります。この点について、5月10日に兵庫県で開催された講演会で、菰田委員長は質疑応答の中で「民営化後も地域手当の導入は無い」と明言しました。ところが、本大会の「付属資料Aのその1」の59頁では「月給制契約社員の給与体系」として、「地域手当」(0%、3%、6%、10%、12%、15%、18%)と記載されているのです。この比率は、まさに現在、国家公務員職場で支給されている「地域手当」と全く同じものです。月給制契約社員には地域手当が導入されるのに、本務者には以前と同じ調整手当が付与されると言うことがあり得るのでしょうか。この付属資料・「民営・分社化における人事制度・労働条件に関する要求書に対する回答」で、郵政公社は本務者においても地域手当を導入することを示唆しているのではないでしょうか。この点について菰田委員長は本大会で答える義務があるでしょう。
更に、この地域手当とセットで「広域配転手当」が国家公務員職場には導入されたのですが、それは、60キロ以上〜300キロまでの配転には、基本給の3%、300キロ以上〜600キロまでの配転には6%の手当が配転後の3年間付与されるが、配転先の地域手当がそれらと同じか、それを超える場合は支給されないというものです。例えば、600キロ先の東京への配転を命じられても、東京は18%の地域手当が支給されるので6%の広域配転手当は支給されないという恐るべきものです。先の講演会で、現在の郵政における「通勤時間一時間半以内」という配転の条件は民営化後も引き継がれるのかと言う質問に「引き継がれる」と菰田委員長は断言したのですが、この点についても大いに疑問です。
国家公務員の職場ですらこのような状態なのですから、民営化が成功しようが失敗しようが、確実なのは「公社時の諸条件を下回らない」というJPU本部の確認にもかかわらず、現在の郵政の職場実態をはるかに超える労働条件の悪化が民営化後現出するだろうということです。
今、「民営化が成功しようと失敗しようが」と書きましたが、その民営化の帰趨も既に極めて厳しいものになっています。本大会議案における郵政三事業の現状分析は、郵政公社のそれの受け売りの全くお粗末なもので、深刻な事態を充分に把握出来ていません。例えば郵便貯金事業については「郵貯残高の減少や利ざやの減少に伴い、資金収支は縮小する傾向にあるものの、金利の上昇や投資信託販売等による役務取引等収益の確保努力により」「堅調な当期純利益が確保される見通しとなっています」と本議案には書かれています。
しかし、最近郵政公社が公表した06年度の決算では、公社全体で9477億円、郵貯では9416億円の純利益を上げたものの、それぞれ対前年比で51%もの減になっているのです。そして、その理由が、05年度には5割近く上昇した株価が、06年度には1%しか上昇しなかったからなのです。
今年2月13日、郵政公社はライブドアの証券取引法違反事件で同社の株が下がり、運用損が出たとして、同社に約10億4千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしましたが、この信託銀行を通じた株式等への投資=「投資ファンドの利用」は、「金銭の信託」と呼ばれ、05年度において郵貯では3兆3213億円がこれに投資され、1兆2602億六千万円の利益を計上しています。これは、郵貯の純利益1兆9304億円の約64%にも当たります。「トヨタ以上」と言われる郵政公社の利益構造は、ライフドアの一件が示したようにハイリスク、ハイリターンの極めて不安定なものなのです。(実際、02年の郵政公社発足時には、約2兆6千億円の株の「含み損」を郵政公社は公表せざるを得ませんでした)。従って、今後の景気の動向、株価の動向如何では、一瞬にして、JPU本部の言う「堅調な当期純利益」が大赤字へと転落する危険性を常に抱えているのです。
そして、その景気の不安定要因として、郵政民営化それ自身を上げなくてはなりません。というのは、JPUの2月の中央委員会議案では今年3月の時点で192兆円までに下がると予想されていた郵貯残高が実際には186兆円と対前年比で14兆円も減っているのです。(郵貯残高は、04年度13兆円減、05年度14兆円減で、06年度もこれぐらい減るのは十分予想出来たはずで、大会議案が「計画を大きく超えて」と記しているのは郵政公社の受け売りだからでお粗末そのもの)。3年間で41兆円もの減少というすさまじい郵貯残高の減少には、明らかに郵政民営化と言う要因が関係していると思われ、10月民営化以降この傾向に拍車がかかるなら、郵貯銀行そして民営郵政全体が深刻な経営危機に陥るのは避けられないしょう。それだけでなく、日本経済や世界経済への深刻な影響も考えられます。そうなれば、これまでには無かった業務都合による「整理解雇」という事態が我々郵政労働者を襲うことも十分予想されます。
小泉が開けた郵政民営化といういわばパンドラの箱は、今でさえ、利潤第一、地方の切捨て、サービス低下、公共性の破壊、賃金削減、労働条件の悪化等をもたらしていますが、民営化以降その傾向は強まりこそすれ、弱まることは無いでしょう。JPU組合員に今求められていることは、郵政当局の傀儡、スポークスマン化したJPU菰田体制を打破し、JPUを闘う組合、階級的労働組合として変革することです。JPUと全郵政の統合とは、JPUまたは全逓が全郵政と変わらない御用組合へと堕落した必然的な結果であって、郵政労働者は、この統合に反対すると同時にJPUの御用組合化にも反対しなければならないと我々は考えます。
議案によると、10月22日に、第64回JPU臨時全国大会が開催され、本大会で提案されている規約に基づく組織統合を機関決議し、同じ日に新組織「日本郵政グループ労働組合」の結成大会が開催されます。
何故、臨時全国大会と新組合の結成大会が、同じ日なのか、これでは、新組合の結成大会の代議員が、選挙によって選ばれることは、事実上不可能です。
新組合の組織は、中央本部―地方本部―支部―分会となり、専従役員は、JPUと全郵政から同数となるようにし、「人事調整委員会」を設置し、調整が10年間も続くとなっています。中央本部役員は全国大会で、地方本部役員は地方大会で、支部役員は支部大会で選出されますが、これらの大会の代議員に関する選出規定が新組合の規約にはどこにも無いのです。推測されるのは、新組合において一般組合員による無記名一票投票と言うものが全く無くなるということです。これが、「自由にして民主主義的な労働運動を指標とし行動する労働者の結集体」(新組合の綱領の第一条の文言)の内実なのです。「左右の全体主義を排除し」(同上)というのですが、これでは、右翼的全体主義による非民主主義的支配と言われてもしょうが無いでしょう。JPUにおける全国大会代議員選挙は、兵庫を初めとして、多くの地域で反対派による果敢な闘いが行われJPU本部にとっては、この制度自体が厄介なものになっており、この組織統合のどさくさにまぎれて全国大会代議員選挙そのものを無くし、反対派の発言の場さえ奪ってしまおうとしているようです。
新組合のシンボル・フレーズは「友愛・創造・貢献」ですが、戦前の労働運動における「友愛会」に見られるようにこの「友愛」という言葉は右翼的労働運動、階級協調主義を象徴する言葉で、ストライキを始めとする労働者の大衆的実力闘争を否定することを含意しているのです。その証拠に、民営化に伴う最も大きな変化の一つであるストライキ権(パンドラの箱の最後の希望)が合法的なものとして郵政労働者に付与されるということについて、新組合の規約には何の規定も無いのです。まるで、公務員組合時代のときのように、ストライキが非合法的手段のような取扱を受けているのです。綱領においても、「合法的な手段を持って運動」とか「産業民主主義の原則に立って生産性運動を推進する」等の文言に見られるように、全郵政の綱領そのままに右翼的労働運動であることを臆面も無く示しています。更に、「国の基本政策に対する見解」では、日本国憲法問題や憲法九条問題等についても反動的な見解を表明しようとし、今回の統合が、単に御用組合としての深化だけでなく、帝国主義的労働運動としての深化を促すものであるのは明らかです。
郵政民営化後、驚天動地の労働条件の悪化がドラスチックに進行するのは明らかで、今郵政労働者、JPU組合員に必要なのは、それと闘う、闘える階級的労働運動の創出であります。本大会において、全郵政との統合を否定し、民営化攻撃と断固と闘うことを満天下に示すことで、その出発点としようではありませんか。
