サン=サーンス ワルツ形式のエチュードOp.52-6
- ペトロフ(A&E<92>)(6:10)◎ ジャケット
技巧のキレが抜群。力強く、音楽的な表情の付け方も上手い。(個人的には)理想的演奏とも言える。特に終盤に出てくる最後のテーマにおける右手と左手の重音パッセージのキレとスピードは見事。これほど鮮やかに弾いている人はあまりいない。スケール感というか、緩急・強弱の幅も大きく、その意味ではフランス的というよりロシア的かも(偏見かな)。
- リベッタ(VAI<2000>L)(5:35)◎
全体的にテンポが速めでアゴーギクや強弱等の表情付けも大きめだが、テクニカルなキメどころはビシッと決めており、かつ歌心にも溢れている。
よい意味でのヴィルトゥオーゾ的演奏。
終盤の重音のパッセージもペトロフ以上のスリリングなまでのスピードだが十分に弾けている(左手の部分が多少不明瞭になっている?)。
ライヴなだけに小さな傷はあるがそれでも十分にお薦めできる。
演奏後は当然のごとくBravoの嵐だが、その気持ちもわかる。
(どうでもいけどチッコリーニが彼のことを"the most talented instrumentalist of his generation"と言っているのは、自分自身の演奏からすれば確かにそうかも(笑)。)
- デュシャーブル(EMI<79>)(6:03)○-◎
例によって音が明晰で歯切れが良い。隅々まで一点の曇りがなく、明るく照らされている感じ。悪く言えば陰影が少ない。ワルツらしい洒落たリズムの揺らしも少なく、やや機械的な感じもするがそこが彼の持ち味だろう。技巧も特にメカニカルの面で優れている。
- M.ユージナ(Melodiya>)(7:11)○-△
ゆったりしたテンポだが、リズムのとり方などにツボを抑えているためか、それほど間延びしか感じはない。むしろ落ち着いて十分に歌わせようという余裕のある雰囲気。技巧的にもモタついた感じがしないのは手練手管か。終盤の重音パッセージも無難にこなしている。眼を見張るべき技巧はないが、恰幅のよい演奏と言ったらよいか。
- M.Rahkonen(Finlandia<93>)(7:11)○-△
全体的にやや遅めのテンポ。
1音1音に芯があって明晰なのはよいが、音の運びがやや硬い感じがして、もう少し流麗さが欲しいところ。
ただし最後の重音パッセージは他盤に比べても健闘していると言える。
丁寧で音も綺麗なので好感の持てる演奏ではある。
- P.レーン(Hyperion<97>)(6:17)○-△
技術的には水準以上なのだが、ただ終盤の重音パッセージに苦しさが見えるところが(見せ場だけに)惜しい。あと、前半によく出てくる16分音符のパッセージ(下行)で微妙に「継ぎ目」が見えるのも気になるところ(意図的か?)。表現的にもやや大人しくて(模範的ではあるが)突き抜けたところが少ない。
- シフラ(EMI<81>)(6:37)○-△
アゴーギクや強弱のつけ方がいかにも「聴かせよう」というか、パフォーマンス的雰囲気に満ちている。
恣意的と言ってよいほどだが、自由なワルツなだけに、まあ許せる範囲か。
ただし終盤の重音の部分は雰囲気で弾けないところだけに、技術的にやや苦しく洗練されているとは言いがたい。
全体的に、最初に聴く盤としてはお薦めできないが、こういう演奏もありかな、というところ。
- チッコリーニ(EMI<97>)(6:07)○-△
音はやや武骨。スタカートをかなり強調したりして、解釈がやや面白い。技術的には、滑らかさや洗練さといった点で(ペトロフあたりを聴いた後だと)やや不満が残る。最後のテーマではかなりテンポを落として、重音を安全運転かつ丁寧に弾いているのは(いいかげんに弾き飛ばされたり苦しさを見せるよりは、己を知っていて)好感が持てる。
- M.J.リー(Dabringhaus und Grimm<94>)(7:11)△-○
技術的に余裕がないのか、あるいは解釈なのか、全体的に重く、テンポも遅め。ただ細部まで丁寧で楽器を十分に鳴らし切ろうという点は買える。終盤の左手の重音なども、この部分の難しさを印象づけるだけのものとなっており、聴いていて爽快感には遠い。全体的に誠実な演奏ではあるが。
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